ASRockは、AMD Ryzen 9000シリーズ、とりわけ9800X3Dにおける一部起動不良とCPU損傷に関する報告に対し、全BIOSバージョンが損傷の原因ではないと強調した。BIOS 3.20ではメモリ互換性の向上が図られたが、同社はこれは起動安定性の改善に留まる措置であり、ハードウェア損傷とは無関係と断言している。

調査対象となったマザーボードの多くは、ソケット清掃後に正常動作を確認しており、基板やVRMに異常は認められなかった。

ASRockは複数のユーザーと連絡を取り、被害状況の特定と原因解明を進めているが、現在のところ一部の問題は単純なメンテナンスで解決可能な可能性が示唆されている。一方、ネット上では継続的なCPU損傷の報告も散見され、今回の声明が抜本的な解決策に繋がるかは見通せない。ASRockは、問題発生時には自社サポートフォームを通じての報告を推奨している。

Ryzen 9000シリーズの起動障害とASRockの対応状況

ASRockは、Ryzen 9800X3Dを中心としたRyzen 9000シリーズに関する起動不良の報告に対応するかたちで、特定のBIOSバージョンによって互換性問題が発生する可能性を認めている。事実、BIOS 3.20以降ではメモリ互換性の改善により、起動に関するトラブルの緩和が確認された。

一方、CPU焼損とされるケースにおいて、ASRockはマザーボード側のVRMや電源回路に物理的損傷が見られなかったとし、CPUソケット清掃後の正常動作も報告されている。

ASRockは影響を受けたユーザーへの個別対応を進め、検証に使用したボードはストレステストも含めて安定動作が確認されたという。ただし、この一連の調査は限定的なケースに基づくものであり、統計的な裏付けに乏しい点には注意が必要だ。

現在のところ、CPU損傷がソフトウェア的問題によるものなのか、個別環境に起因するのかは特定されていない。ASRockは、サポートフォームを通じての情報提供を呼びかけており、調査は継続中とされている。

損傷要因の断定回避と情報開示の姿勢

ASRockは、すべてのBIOSバージョンについて「CPUを損傷させる要因にはならない」との立場を明確にしている。この声明により、ユーザー間に広がっていた「特定バージョンのBIOSがCPU破損を引き起こす」との懸念を払拭する意図がうかがえる。

一方で、BIOSアップデートによる起動安定性の改善は事実であり、起動不良とCPU破損の因果関係が全く存在しないと断言できる状況には至っていない。Redditなどのコミュニティには、数週間の使用後にCPUが故障したとの報告が複数存在する。

この点で注目すべきは、ASRockの情報開示が限定的であることである。現時点で示されている調査結果は一部事例にとどまり、原因の全容解明には至っていない。それでもなお、ASRockがユーザーと直接的に連絡を取り、トラブル事例を積極的に集めている姿勢は評価に値する。

ただし、問題の根本がユーザー環境にあるのか製品仕様に起因するのか、もしくは別の複合的要素が関与しているのかは依然として不透明である。今後の対応には、より広範な検証と継続的な情報提供が求められるだろう。

Source:VideoCardz.com