2025年、スマートフォンの進化は「薄さ」に焦点が移りつつある。サムスンは1月のGalaxy Unpackedで、かつてない薄型筐体の「Galaxy S25 Edge」を示唆。対するAppleも、厚さ5.5mmの「iPhone 17 Air」を開発中との観測が出ている。
スペック上の優位性が行き着く中、各社はデザインで差別化を模索。特に成熟市場での買い替え需要喚起の鍵として、薄型化に活路を見出そうとしている。だが、カメラ構成の簡素化やバッテリー容量減など、機能面の犠牲も指摘されている。
消費者がこの「薄さ」にどこまで価値を見出すかは依然不透明だ。かつてのMotorola Razrのように、想定外の成功が再来するのか、それとも一過性の潮流に終わるのかが注目される。
サムスンとAppleが示す「薄型」戦略の共通点と相違点

Galaxy S25 Edgeは、サムスンが1月のGalaxy Unpackedで公開したティーザー端末の中でも、ひときわ異彩を放っていた。来場者の証言によれば、既存のどのスマートフォンよりも薄型で、約6.6インチの大型ディスプレイを保持したまま極限のスリム化を実現していたという。一方、Appleが開発中とされるiPhone 17 Airも、厚さ5.5mmという極端な薄型化が取り沙汰されている。
iPhone 16 Plusが7.8mmであることを考えると、明確な方向転換と言える。両社は、成熟しきったスマートフォン市場に新たな関心を呼び込むため、外観上の変革に賭けている点で共通する。従来の差別化要素であったカメラ性能やプロセッサの進化は、一般ユーザーにとっては限界に近づいており、新たなフックとして「薄さ」が浮上してきた格好だ。
ただし、Galaxy S25 Edgeは背面カメラを2基にとどめ、バッテリー容量も3,900mAhに縮小される見込みであるのに対し、iPhone 17 Airは同等のバッテリー持続時間を確保する可能性が報じられている。つまり、同じ「薄型」でも、その実装のアプローチや重視するポイントには明確な違いがある。
サムスンはデザイン先行で注目を集める一方、Appleは技術的な整合性を優先しつつあるようにも見える。
機能削減のリスクと「薄さ」の訴求力の限界
Galaxy S25 EdgeとiPhone 17 Airはいずれも超薄型設計を前面に押し出すが、それに伴う機能的なトレードオフは無視できない。Galaxy S25 Edgeは標準モデルに比べてバッテリー容量が抑えられており、カメラも従来の3眼構成から2基に減少。iPhone 17 Airも同様に、iPhone 16eのようにシングルカメラになる可能性がある。
これらの構成は、見た目のインパクトを重視する一方で、ユーザー体験の実質的な後退を招く恐れがある。Techsponentialのアヴィ・グリーングラート氏も指摘するように、多くのユーザーはバッテリー持続時間を機能の中核と考えており、見た目のスリムさを優先してそれを犠牲にする判断は簡単には下されないとされる。
特に長時間利用が前提となる現代のスマートフォンでは、充電頻度の増加は致命的なデメリットとなりかねない。ただし、Appleが新型端末でバッテリー持続時間を維持できる設計に成功している場合、この不安は払拭される可能性もある。
だが、機能を削ってでも薄さを前面に押し出す手法は、一部ユーザーには魅力的であっても、広範な支持を得るには限界がある。薄さそのものが製品価値となるには、機能や快適性といった本質との整合が不可欠だ。
Source:Tom’s Guide