随幻科技の資金調達

オンライン・バーチャルイベントのサービスプラットフォーム「随幻科技(MR Stage)」が投資ラウンドシリーズAで数億元(数十億円)を調達、中国IT大手アリババ集団に属する「阿里巴巴(中国)網絡技術」を株主に迎えた。

随幻科技は昨年8月にも投資ラウンドプレシリーズAで、テンセント(騰訊控股)や紀源資本(GGV Capital)から数千万ドル(数十億円)を調達済である。

イベントのオンライン化によりコスト削減を目指す

随幻科技は2020年の設立当初、大規模なオフラインイベントを開催できる状況ではなかった。

そこで、イベント開催時のコスト削減に着目した。一般的なオフラインイベント開催費は、参加者の移動費・宿泊費・会場設営費などで半分以上を占めるため、イベントをオンライン化できれば主催者の費用面での負担はかなり軽減されるのではないか。

電気自動車メーカーの小鵬汽車(Xpeng Motors)、カルティエ(Cartier)、LINE FRIENDS(ライン フレンズ)などの顧客が、VR(Virtual Reality:仮想現実)空間で発表会やライブ配信といったイベントを立ち上げる一方で、随幻科技はイベントのオンライン化に需要を見出した。創業者の洪煦CEOも、その方法やコスト削減・効率化を実現する方法を考えてきたことを主張している。

3Dリアルタイム・バーチャル・ソリューションの市場投入

随幻科技は数カ月におよぶ技術・プロダクト開発を進めた後、2021年に3Dリアルタイム・バーチャル・ソリューションを市場に投入した。

その後発表したソフトウエアやハードウエア(「随幻空間」「随幻空間SAAS」「随幻バーチャル制作ワークステーション」)は、企業のオンラインイベント・オンライン年次総会・オンライン展示会・オンライン発表会・オンライン教育・ライブ配信・コンテンツ制作など幅広く利用されている。

また、随幻科技は阿里巴巴(中国)網絡技術の出資に先立ち、アリババが提供するビジネス向けのコミュニケーション・コラボレーションプラットフォーム「釘釘(DingTalk)」と協力し、今年9月に開催された釘釘のデジタルサミット「秋季釘峰会」でバーチャルイベント・ソリューションを発表。

随幻空間シリーズは、ユーザーが作り上げるユーザー専用の3D世界であり、時間・場所を問わずアクセス可能なバーチャル空間を利用できる。また、釘釘やビデオ会議プラットフォーム「騰訊会議(Tencent Meeting)」にもシームレスな接続が可能である。

ユーザーは随幻空間をベースに、複雑な機器や大規模なチームが無くても、1人またパソコン1台のみで、オフラインと同様のバーチャルイベントが立ち上げられるのである。

「ユーザーはプロダクトの機能とコンテンツを重視するため、当社は研究開発とコンテンツ制作を担当するスタッフの割合を大きくしている」と、洪CEOは述べている。市場に出されるプロダクトへのフィードバックをもとに、さらなる戦略に取りかかっているという。

使いやすい3Dエディターのおかげで、ユーザーが自身のアイデアから3D作品を簡単に作成できるようにしている。また、3Dシーンテンプレートから3Dツール、3D特殊効果といった3D素材ライブラリを作り、発表会・展示会・フォーラム・授業などオンラインイベントのニーズに対応している。

随幻科技のプロダクトを利用している企業および機関

・上汽大衆汽車(SAIC Volkswagen)

・シュワルツコフ(Schwarzkopf)

・万達集団(Wanda Group)

・中国信息・通信研究院(CAICT)

・中国日報(China Daily)

この2年間で随幻科技の事業規模は驚異的な発展を遂げている。市場での需要はさらに発展すると見られ、洪CEOは来年もより一層の成長を期待している。

会社概要

  • 会社名: 随幻科技
  • 所在地: 中国(上海)自由贸易试验区张衡路200号2幢3层
  • 会社解説: 「企業イベントを手軽にメタバースへ移す」をスローガンとする。
  • 設立: 2020年11月30日
  • 事業概要: 仮想ビデオ、ブロードキャストの開発およびサービス事業。
  • URL: http://www.mrstage.com/

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