OnePlusは2025年における新たなフォルダブルスマートフォンの投入を見送ると発表した。公式フォーラムにて明かされた内容によれば、高価格と耐久性への懸念が市場の拡大を阻んでいることが判断の背景にあるという。同社は「OnePlus Open 2」の発売計画を白紙としたが、フォルダブル市場からの撤退は否定し、OPPOのFind N5に見られる技術的進化を今後の製品開発に活かす意向を示している。
TechRadarとのインタビューでは、2024年のフォルダブル出荷台数が前年比2.9%増に留まっている点も紹介され、業界全体が勢いを欠いている現状が浮き彫りになった。現状の市場では、従来型の「キャンディバー型」端末が主流であり続けており、新たなフォームファクターが本格的に普及するにはさらなる時間と技術の成熟が必要とされている。
フォルダブルスマホの普及に立ちはだかる価格と耐久性の壁

OnePlusが2025年のフォルダブルスマートフォン「OnePlus Open 2」の投入を見送った背景には、依然として高い価格設定と耐久性への懸念がある。従来型のスマートフォンに比べてフォルダブル端末はコストがかさみ、端末の価格が10万円を超えるケースが一般的であり、多くの利用者にとってハードルが高い。さらに、折りたたみ機構を採用したことでヒンジ部やディスプレイの劣化など、物理的な耐久性にも課題が残っている。OnePlusは、これらの要素が市場成長の足かせになっていると見ており、当面は新製品の投入を見送る方針を取った。
価格や耐久性の課題は技術進化とともに克服される可能性もあるが、現段階ではまだ成熟しきっておらず、主流の選択肢とはなりにくい。OPPOのFind N5のような先行モデルが素材や構造面で進化を見せていることは心強い材料ではあるものの、それが一般的な基準として定着するには時間を要する。ユーザーにとっては、見た目の新しさや利便性よりも、コストパフォーマンスや長期的な使用価値が購入の決め手となっているのが現実である。
OnePlusが見据える次世代体験と戦略的な「静観」
今回の決断は、OnePlusがフォルダブル端末そのものを否定しているわけではない。同社は「Never Settle」の精神に基づき、革新的な体験の提供を優先事項としていることを強調し、より最適なタイミングでの市場投入を視野に入れている。OPPOがFind N5で見せたような素材の革新やエンジニアリングの進展を評価しており、それらの技術的成果を自社製品に取り込む構想を持っていることも明言している。現段階での製品投入見送りは、あくまで「一時停止」であり、長期的には再びこの分野に挑戦する姿勢を保っている。
この姿勢は、単なる消極的判断ではなく、未成熟な市場に対してリスクを避けつつ次なる準備を進める戦略的選択と捉えることができる。現時点で中途半端な製品を出すよりも、真に満足度の高いモデルを出すことを重視しているという姿勢は、同社が重視してきたブランド価値にも沿っている。フォルダブル端末に関心を持つ層にとっては期待の先延ばしとも言えるが、その間にどれだけの進化を見せるかが、次なる発表の評価を左右することになるだろう。
市場の成長鈍化が示す普及の難しさと今後の展望
Counterpoint Researchのデータによると、2024年のフォルダブルスマートフォン出荷台数は前年比2.9%増という緩やかな伸びにとどまった。この数値は一定の需要があることを示してはいるものの、他のスマートフォン市場と比べるとその伸び率は決して高くない。特に通常の「キャンディバー型」スマートフォンが依然として市場を大きく占めている中で、フォルダブル端末はまだニッチな存在に留まっているのが実情である。OnePlusのような新興プレイヤーが成功を収めるには、差別化された体験だけでなく、価格面や耐久性を含む総合的な完成度が求められる。
市場が成長軌道に乗るためには、端末価格の引き下げやサプライチェーンの安定、ユーザーサポートの充実といった多角的な取り組みが不可欠となるだろう。現在のように一部のプレミアムモデルに限られる状況では、普及拡大には限界がある。フォルダブルという形状が単なる「話題性」に留まるか、それとも次世代のスタンダードとなるかは、今後数年の技術進化と市場反応に大きく左右される。OnePlusの決断は、まさにその見極めを慎重に進める企業としての立場を映し出している。
Source:Wccftech