HMDとNokiaのパートナーシップ終了により、Nokiaブランドの新端末が2025年で最後となる可能性が浮上した。これにより、独創的で奇抜なデザインを数多く生み出したNokia製フィーチャーフォンが事実上の終焉を迎える見込みである。
かつての「口紅型」7280やQWERTYキーボード内蔵の6800など、独自の美意識と機能性を兼ね備えた携帯端末は、今日の画一化されたスマートフォンとは対照的な存在であった。AppleやSamsungが展開する現行のフラッグシップモデルには性能面での進化は見られるものの、外観においては差異が乏しく、かつての大胆な発想の継承が失われつつある。
今一度、スマートフォンは先祖たるフィーチャーフォンの自由な創造性に目を向けるべき時を迎えている。
Nokiaブランド終了の可能性が示すモバイル市場の転換点

HMDがNokiaブランドの使用を2025年で終了する可能性が浮上している。これにより、Nokiaの名を冠した携帯端末は市場から姿を消すことになるかもしれない。現在予定されている5機種のフィーチャーフォンが、ブランドの事実上の最終ラインナップとなる見通しであり、Nokia 5710XAなど一部モデルではUSB-C対応への移行も検討されている。
背景には、スマートフォン全盛時代におけるフィーチャーフォンの需要減退と、それに伴うブランド戦略の見直しがあると見られる。かつて世界最大の携帯電話メーカーとして一時代を築いたNokiaが、ライセンス契約の終了とともに歴史の表舞台から退こうとしている状況は、技術革新と市場ニーズの変化がいかにブランド寿命に影響を及ぼすかを如実に物語っている。
スマートフォンと異なり、機能とスタイルの多様性を重視したフィーチャーフォンの系譜は、個人の使い方に特化した端末設計という概念を体現していた。Nokiaブランドの終焉は、単なる製品供給の停止ではなく、「選択肢としての個性」が失われていく象徴とも言える。
スマートフォンが失った自由な造形美と再考されるべき価値
Nokiaの往年の携帯電話は、6800の変形式QWERTYキーボードや7280の回転ダイヤルといった、極めてユニークで個性的なデザインを数多く生み出してきた。いずれも実用性と遊び心を併せ持つ設計であり、デバイスが「使う道具」であると同時に「表現の一部」であることを強く印象づけていた。
特に、7600や3650のように大胆な造形を採用したモデルは、現代の洗練されたが画一的なスマートフォンとは一線を画していた。現在のiPhoneやGalaxyシリーズは、高性能・高機能化を追求する一方で、フロントデザインの均一化が進んでおり、背面のカメラ配置や素材の違い程度でしか個性を打ち出せていないのが現状である。
この状況は、製品としての最適化が進む一方で、自由な発想や意匠の革新が抑制されていることの裏返しとも取れる。今後のスマートフォン開発においては、過去のNokiaが体現していたような「大胆な機構」と「個性の表出」を再評価する動きが求められる可能性がある。デザインを単なる外観処理ではなく、機能的意図と結びつけた価値創造として捉えることが、製品の次なる進化につながる。
Source:PhoneArena