エネルギーセクターは余剰キャッシュフローを武器に、投資家へ高いパッシブインカムを提供する魅力的な分野となっている。中でもTotalEnergiesは配当維持を貫きつつクリーンエネルギー分野への投資を加速し、6%の高配当を実現している。
Chevronは原油価格低下局面でも高配当維持と自社株買いを続け、低コスト生産と成長戦略により38年連続の増配記録を更新中である。また、Brookfield Renewableは世界規模の再生可能エネルギーポートフォリオを拡大し、5%超の配当利回りと年率10%以上の成長を目指している。これら三社は、長期的なインカム形成を狙う投資家にとって有力な選択肢となり得るだろう。
TotalEnergiesのクリーンエネルギー戦略と高配当維持の巧妙な両立

TotalEnergiesは、欧州のエネルギー大手の中で特異な存在感を放つ。2020年、同業他社がクリーンエネルギー投資と引き換えに配当削減を選択する中、同社は配当を維持しながら電力分野への積極的な投資を表明した。実際、2024年には統合電力部門の営業利益を前年比17%増加させ、脱炭素経済への適応を具体的に進めている。現在、TotalEnergiesの配当利回りは6%に達しており、これはセクター内でも屈指の高さである。加えて、電力事業への投資拡大により、将来的な収益源の多様化が期待されている。
一方で、米国投資家が配当に対してフランス課税を受ける点は留意すべきである。しかし、この税負担も確定申告で一部還付可能なため、戦略的なポートフォリオ構築が可能と考えられる。TotalEnergiesは石油・ガス分野において安定収益を確保しつつ、クリーンエネルギーへと着実に歩を進めている。市場の脱炭素シフトを追い風に、同社のハイブリッド型成長戦略は、今後も長期的なパッシブインカム源として有効に機能する余地を持つと見られる。
原油価格下落局面でも安定を維持するChevronの配当戦略
Chevronは、原油価格下落にもかかわらず高配当を維持する稀有な存在である。現在、同社の配当利回りは5%近辺に達しており、これは株価が高値から20%下落したことによる恩恵である。ブレント原油価格が10%以上下落し、1バレルあたり約65ドルとなった中でも、Chevronはストレステストにより50ドル水準でも事業継続と増配継続が可能であることを示している。この堅牢な財務基盤により、同社は年間100億~200億ドルの自社株買いプログラムを維持できる見通しである。
また、ヘス社買収が完了すれば、2027年までにフリーキャッシュフローを倍増させる計画も進行している。強固な低コスト生産体制と増配重視の資本配分戦略により、Chevronは38年連続増配という希少な実績を持つ。これらの事実は、原油市況に左右されにくい長期的インカム形成の堅実な選択肢となることを示唆している。ただし、エネルギー需要見通しの不透明感を考慮すれば、将来の投資判断には一定の慎重さも求められる。
Brookfield Renewableが示す再生可能エネルギーによる持続的成長モデル
Brookfield Renewableは、世界最大級の再生可能エネルギー事業者として、長期安定成長への道を着実に歩んでいる。同社は水力、風力、太陽光、分散型エネルギー・蓄電など多様なポートフォリオを有し、今後5年間で80億~90億ドルの積極投資を計画している。これにより、単位当たり運用資金(FFO)の年率10%超成長が見込まれ、すでに長期契約ベースで約6%の成長が織り込まれている点は注目に値する。
現時点でBrookfield Renewableのキャッシュフローの約90%は平均14年の長期契約で裏付けられており、これにより収益の安定性と予測可能性が高まっている。さらに、経営陣は年間5%~9%の配当成長を目指しており、現在の5%超の配当利回りを背景に、投資家に対して再投資を通じた複利効果をもたらす設計となっている。エネルギー市場の変動性を抑制しつつ、安定した成長路線を描く同社のモデルは、持続的なパッシブインカム源として有力な存在であると評価できる。
Source: The Motley Fool