Gigabyte製GeForce RTX 50シリーズGPUにおいて、サーマルグリスの過剰塗布による漏出が相次いでいる。最初の報告から約10日後、Techpowerupのフォーラム上で新たに2件の同様の不具合が投稿された。縦置き構成で使用した際にI/O側へグリスが移動する現象や、PCI-Eスロット方向への流出が確認されており、対象モデルにはRTX 5080も含まれる。
Gigabyteは影響を認めた上で「性能や信頼性に支障はない」と説明しているが、依然として抜本的な対策は示されていない。初期製造ロットに起因する可能性が高いとされるなか、ユーザーの間では不安と懸念が広がっている。
相次ぐGigabyte製RTX 5080の異常報告とユーザー環境における具体事例

Gigabyte製GeForce RTX 5080を中心とした50シリーズGPUにおいて、サーマルグリスの流出事象が連続的に報告されている。WccftechおよびTechpowerupフォーラムによれば、5月初旬にはわずか1日の間に2件の新たな報告が投稿され、いずれもPCの縦置き環境下での発生であったとされる。
ユーザー「remekra」は、Lian Li SUP01ケースを使用中にI/Oポート方向へのグリスの移動を確認したとし、「TaLL」および「vermie22」も、使用開始からわずか1週間でPCI-Eスロット近辺への漏れを報告している。
Gigabyteはこの問題について、初期ロットにおけるサーマルグリスの塗布量の過多が原因と認める姿勢を示しているが、公式には性能や耐久性に影響はないと断言している。しかし、報告された事象はGPU冷却設計における品質管理体制の一端を問うものであり、ユーザーからは高額な製品に対する不安の声が強まっている。
現時点で機能障害や物理的破損の報告は確認されていないが、視認可能なグリス漏出が続く以上、Gigabyteの説明と実態の乖離が市場評価に及ぼす影響は無視できない。
Gigabyteの品質管理と保証方針に求められる再考
Gigabyteは過去の公式声明で、同社のGPUは複数の軸での落下試験、縦横両置きによる運用検証を経て出荷されていると説明している。
この方針が実際の製造プロセスでどの程度反映されているのかは明らかでないが、今回の連続事象は、そのテスト体制が想定していなかった現象を露呈したとも読み取れる。特に、使用環境が想定内である縦置きケースにおいて不具合が顕在化した点は見過ごせない。
さらに注視すべきは、Gigabyteが自社製品に対する保証条件として、ユーザーによるクーラーの取り外しを禁止し、その行為が保証無効につながると警告している点である。この保証方針が、可視的な異常を抱えるユーザーの対応選択肢を極端に狭めている。
対応窓口の迅速性や代替製品の提供体制も含めて、ブランドに対する信頼性を維持するには、現行のサポート体系を見直す必要がある。問題の影響が性能に波及しないとしても、視覚的な異常が残されたままであれば、高価格帯GPUに求められる安心感とは大きく乖離することになる。
Source:Wccftech