新規事業を立ち上げた直後は顧客の獲得が難しく、売上を作れないことも少なくありません。理想は新規事業を立ち上げる前に綿密な営業戦略を立て、その戦略に沿って営業を行い、早い段階から売上を獲得すること。

本記事では、新規事業を立ち上げた後に鬼門となりやすい営業方法のアドバイスや新規事業の営業の流れ、営業戦略を立てる際のコツについて解説します。ぜひ参考にしつつ、新規事業の成功に役立ててみてください。

新規事業の成否を分ける「営業」とは?

まずは新規事業における「営業」の重要性について見ていきましょう。新規事業を成功させるために、営業の成功は必要不可欠。以下の3つの観点から、新規事業の営業を読み解きます。

  1. サービスの定着を決定づける「新規事業の営業」
  2. やみくもな営業戦略では事業撤退を強いられることも
  3. 新規営業には専用の営業戦略が必要

それぞれ詳しく見ていきましょう。

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サービスの定着を決定づける「新規事業の営業」

新規事業を立ち上げた直後は顧客が存在せず、新たに顧客を獲得しなければなりません。また、市場における認知度や実績も少ないことが予想されるため、マーケティングの仕組みを作り上げたからと言って、待っているだけで売上に繋がる商談が組まれることは少ないでしょう。

そこで、見込み顧客に直接働きかける「営業」が非常に重要となります。先方が自社や自社のサービスを認知していなくとも、説明や提案を行う機会が得られるため、認知度が低く、サービスを立ち上げた直後にこそ営業活動の重要性は高まるのです。

新規事業を立ち上げてから当面の間はサービスが市場に定着する「PMF」を目指すことになりますが、まずは地道な営業活動で顧客を獲得し、市場における知名度や実績を獲得しなければ、PMFを実現することは難しいと言えます。

既存事業よりも新規事業のほうが営業活動の重要度が高いことも少なくありません。まずは新規事業における営業の重要性を認識しましょう。

やみくもな営業戦略では事業撤退を強いられることも

営業活動を進めるにあたり、どのような方法で営業を行なうのか、ターゲットは誰なのか、という視点で営業全体の方針を定めたものが「営業戦略」です。営業戦略が間違っていれば、営業活動の成果は上がりにくくなるでしょう。

やみくもに立てた営業戦略では成果が得られず、そのまま長い期間が経過すると、投資額が回収できず、事業の撤退を余儀なくされることも少なくありません。

最悪のケースに至る前に、成果が芳しくない場合は営業戦略の見直しを行うのも一つの方法です。また、営業戦略を持たないまま営業活動をスタートしてしまった場合は、戦略の立案から取り組むことで、より成果が上がりやすくなるでしょう。

後述する営業戦略の立て方も参考に、自社に適した営業戦略を考えてみましょう。

新規営業には専用の営業戦略が必要

新規事業の営業と既存事業の営業では、大きく「顧客の新規性」が異なります。新規事業の営業では「初めて出会う顧客が多い」ため、既存事業の営業とは勝手が異なる場面も多く出てくるでしょう。

こうした新規の営業で成果を出すには、既存事業の営業とは異なる手法が求められます。まずは自社の存在や新規事業について理解してもらい、それが顧客のどんな悩みや課題を解消するものなのか、について説明する機会を手に入れなければなりません

つまり営業としての目的やクロージングまでのルートが異なるため、新たな手法はもちろん、スムーズに契約へ至るための新しい営業戦略が求められるのです。

新規事業の立ち上げから営業までの流れ

ここからは、新規事業の立ち上げから営業活動をスタートするまでの流れを見ていきましょう。大きく以下の3ステップに大別されます。

  1. 新規事業の立ち上げ
  2. 新規事業のマーケティングと営業
  3. 集客の仕組み化と拡大戦略

一つずつ見ていきましょう。

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新規事業の立ち上げフェーズ

新規事業の立ち上げフェーズでは、事業の核となるサービスの開発や磨き上げ、市場の分析といった工程がメインです。参入する市場において、新規事業がどのような位置づけなのか、ターゲットは誰なのか、といった視点で新規事業そのものを開発します。

このフェーズでは営業活動を始めることはありませんが、新規事業を打ち出す前に営業戦略を立てておくと良いでしょう。

また、新規事業を打ち出した直後は多くの注目を集められるため、そのタイミングで一気に営業活動を始められれば理想的なスタートダッシュが切れます。その後の営業にも良い影響が生まれるため、タイミングを意識しながら営業の準備を進めましょう。

新規事業のマーケティングと営業

新規事業を打ち出した後は、サービスが市場で受け入れられるようにマーケティングや営業活動をスタートします。

マーケティングは広告やメディアを活用して広く市場へ働きかけ、サービスに興味を持ってくれる見込み顧客を集める行為です。市場における認知の獲得やステークホルダーの獲得、人材採用などの幅広い分野に波及的な効果を及ぼす部署と言えます。

こうしてマーケティング部署が集めた見込み顧客をクロージングへ導くための要が営業活動なので、マーケティング部署からトスアップを受けてからスムーズに営業を始められるような仕組みを構築しておきましょう。

近年はマーケティングと営業をシームレスに繋ぐためのMAツールなども多く登場しているため、場合によっては導入を検討してみるのもおすすめです。

また、新規事業の領域やリソースによってはマーケティングを行わず、営業活動だけで顧客獲得を目指すケースも考えられます。この場合はマーケティングという緩衝材が存在しない分、営業の重要度が高くなることも見込んでおきましょう。

集客の仕組み化と拡大戦略

営業活動が効果的に進んで顧客が獲得でき、新規事業が市場に馴染んできたらマーケティングによる集客や営業活動の仕組み化・効率化に取り組みましょう。

立ち上げ直後はどうしても属人的な成果の上げ方になってしまいますが、このフェーズでは属人的な業務を削減しつつ、外注も視野に入れたコストの削減とリソースの再分配が求められます。

事業の拡大に向けた人員の整備や資金の投入が急がれるため、営業に関しても、質を落とさず規模を拡大できるよう改善していく必要があるでしょう。先述したMAツールの導入や、効率化によってできた余剰のリソースを投下するなどして、最適化と自動化を両立します。

このように、事業に必要な要素を最適化しつつ事業を拡大していければ、収益の最大化やコストの削減にもつながるため、より新規事業が成功する可能性を高められるのです。

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新規事業の営業でよくある課題と解決方法

ここからは、新規事業の営業でよくある課題と、その解決方法について見ていきましょう。例として6つの課題をご紹介するので、自社に照らし合わせながら読み進めてみてください。

新規事業の集客・営業で生じる5つの課題

新規事業の集客や営業で生じやすい課題として、以下の5つが挙げられます。

  1. 営業戦略があいまいで成果に繋がらない
  2. 営業メンバーの獲得や育成が進まない
  3. 営業の実務プロセスが不明確
  4. 顧客ニーズの想定が甘く適切な提案ができない
  5. マーケからのトスアップがない

それぞれの課題と解消方法を見ていきます。

営業戦略があいまいで成果に繋がらない

営業戦略があいまいなまま新規事業の営業活動を進める企業も少なくありませんが、その結果「思うように成果が得られない…」というケースも散見されます。

事前に営業戦略を立案し、それに沿って営業を行わないと、成果をもとにした分析や改善も見込めず、成果が上がらない営業活動に終始してしまうのです。

まずは営業戦略の練り直しから始めましょう。市場や商品の理解に加えてターゲットの把握、顧客ニーズの想定を行い、業務プロセスを見直します。その後、提案のプロセスやトークスクリプトの刷新へと落とし込み、新たな体制で営業をリスタートしましょう。

営業メンバーの獲得や育成が進まない

新規事業の営業は数ある営業職の中でも難易度が高く、向き不向きがはっきりした職業です。優秀な営業メンバーの獲得に難航したり、既存社員の育成に躍起になったりすることで時間を無駄にしてしまうリスクが生じます。

こうした人材面での課題には、新規事業に強い営業コンサルタントを導入したり、営業代行会社を利用したりすれば対応できるでしょう。自社でゼロから営業力を育てるのは至難の業ですが、コンサルタントや代行会社のノウハウを吸収しながらであれば自社メンバーの育成もスムーズに進みます。

外部の専門家の知見も交えつつ、将来的に資産になる人材の育成も踏まえた営業スタイルを確立しましょう。

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営業の実務プロセスが不明確

営業の実務にはある程度決まったプロセスが存在しますが、新規事業の営業となると、そのプロセスが存在しないことも。メンバーそれぞれが手探りで業務に当たってしまうと、メンバー間でシームレスに営業を行えなくなり、効率が低下してしまいます。

このような事態に陥らないよう、営業戦略に基づいた実務プロセスを設計しておくことが大切。指針となるプロセスが明確になっていれば、現場のメンバーは安心して業務を進められるでしょう。

顧客ニーズの想定が甘く適切な提案ができない

営業を行う際には、顧客がどのようなニーズを抱えているのか想定しなければなりません。顧客のニーズを細かく分けるとキリがありませんが、ターゲティングが成功していれば、営業先の企業は同様の課題を抱えているもの。つまり、営業活動がしやすくなります。

しかしニーズの想定が甘く、ターゲティングに失敗している場合はそうはいきません。会話の中で「自社のサービスでは顧客のニーズに応えられない」と気付くような状況では、営業が成功する可能性は限りなく低いと言えます。

適切な提案ができるよう、顧客ニーズは詳細に絞り込んでおくとよいでしょう。一つだけでなくてもよいので、「新規事業で提供するサービスによってどのようなメリットが生まれるのか」「そのメリットを必要とする顧客はどんな悩みを抱えていることが多いか」を明確にしておくことが大切です。

マーケからのトスアップがない

新規事業にマーケティング部署がある場合は、マーケからのトスアップを受けて営業が動く事になるでしょう。しかし、マーケの成果が少なくトスアップを受けられない状況では、営業が成功する可能性は低いと言えます。

こういった場合はマーケの戦略を練り直すと同時に、営業のメンバーが新規顧客の獲得に向けて自立駆動できるような仕組みを提供することが求められるでしょう。

マーケの戦略立案から成果が見込めるまでにはタイムラグがあるため、その間にも営業が活躍できるよう環境を整えてあげる必要があります。営業先リストの入手・作成や新規営業の指示を出すなどして、一度マーケティングと営業を切り分け、後で両部署の連携を構築すれば問題はありません。

新規事業を成功させる!営業戦略の立て方と実践方法

ここからは、営業戦略の立て方や実践方法について詳しく解説します。具体的には以下の3つの観点から、詳しく見ていきましょう。

  1. 新規事業の営業戦略は「誰に売るか」を最優先に
  2. 自社サービスのポジションを理解する
  3. マーケティングと営業のシームレス化を意識する

それぞれのポイントについて、詳しく解説していきます。

新規事業の営業戦略は「誰に売るか」を最優先に

新規営業の営業戦略を決める際には、「誰に売るか」が最重要項目となるため、まずはターゲットの策定から始めましょう。新規事業は顧客がいない状態からスタートするため、市場での認知度や実績が少ないところから営業を始めなければなりません。

そのなかでサービスを訴求し、契約へ繋げるには「顧客のニーズ」と「自社サービスのメリット」が上手くハマっていることが大切。サービスのメリットから逆算して、「誰が欲しがるのか」「どんなニーズに応えているのか」を掘り下げましょう

さらに明確に、「それはどんな企業なのか」「どんな人なのか」が分かれば、営業先をかなり絞り込めますし、その後の営業戦略の下流部分についても考えやすくなるのです。

自社サービスのポジションを理解する

営業戦略を立てるうえで重要なポイントとして、自社サービスのポジションを理解し、その立場での戦い方を考えることが挙げられます。

例えば自社サービスが競合サービスとは全く異なるポジションを取っているのであれば、その新規性や特異性、また「だからこそ得られるメリット」に言及するべきですし、同様のポジションを取っているのであれば競合との比較を用いて「比較によって選択権を与える」ような売り込み方が有効です。

自社のポジションによって戦い方は大きく異なるため、ポジションの理解にとどまらず、その位置にいるからこそ使える武器を上手く活用して営業戦略を考えましょう。

市場調査や競合調査が核となる

営業戦略を立てるためには市場調査や競合調査が必要。新規事業を考案した時点で市場や競合の調査は済んでいるでしょうが、ここで言う調査とは、あくまで「営業視点での調査」のことです。

例えば競合調査で言えば、「他社は商品をどのように売っているか」「他社商品の購買層は誰で、なぜ買うのか」を営業目線で解き明かし、そのフレームを自社の新規事業に当てはめて、成功につながる仮説を立てるまでが調査に当てはまります。

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マーケティングと営業のシームレス化を意識する

マーケティング部署を用意している場合は、マーケティングと営業の連携を強化し、お互いの部署間のシームレス化を図ることも大切です。営業戦略を立てる際には、マーケティング戦略との兼ね合いも意識しなければ、効果を最大化できないでしょう。

また、マーケティング活動によって得られた知見は営業にとっても大きな財産となります。「意外とこんな層にも興味を持たれている」「やはりこの層がサービスを愛用してくれる」といった目に見えない情報が数値となって蓄積するマーケティング部署のデータを活用すれば、営業活動はさらに効率化できるでしょう。

反対に、営業が蓄積した顧客の生の声をマーケティングに反映すれば、さらにマーケティングを効率化できます。単なる営業先の紹介、という位置づけではなく、両部署の連携を強めれば双方にとって好影響を与え合う好循環が生み出せるのです。

このような好循環につながるよう、あらかじめ営業戦略をデザインしておきましょう。

新規事業の営業は外部の専門家を頼ることも検討して

新規事業の営業は様々な課題が生じやすく、自社内だけでは対処しきれないことも少なくありません。どうしても成果が得られない場合は、外部の専門家を頼ることも視野に入れて検討してみましょう。

営業コンサルタントや新規事業コンサルタント、営業代行会社などを活用すれば、効率的に新規事業を軌道に乗せられるでしょう。本記事を参考にしつつ新規事業の営業活動を見直し、事業を成功へ導きましょう。

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