「メタバースをビジネスに活用できる?」
「メタバースを活用したビジネスの事例はどんなものがある?」
「メタバースのビジネス利用にはいくらくらいかかる?」

このような疑問にお答えします。

アメリカのFacebook社が社名を「Meta」に変更したことで、メタバースが注目されビジネスに活用する企業も増えてきました。

今後メタバースが普及していくと、さらなるビジネスチャンスの拡大が予想されます。

ただ、メタバースがどんなものか、どう活用すればよいのかなどがわからず、ビジネスに活用するイメージを持てない場合もあるでしょう。

そこでこの記事では、以下の内容を解説します。

  • メタバースとは
  • メタバースのビジネスモデル
  • メタバースを活用した事例

メタバースのビジネスについて知りたい人は、ぜひ参考にしてみてください。

メタバースとは

メタバースとは、インターネット上の仮想空間のことを指しています。「超越」を意味する「Meta」と「世界」を意味する「Universe」が語源です。

メタバースでは、アバターという自分の分身を通して仮想空間に入ります。仮想空間内は現実と同じ時間が流れており、アバターを通して次のような活動が可能です。

  • ゲーム
  • コミュニケーション
  • バーチャル会議 など

3DCGやAIの発達により、メタバースは現実に限りなく近い状態で過ごせるようになっています。

メタバースについてより詳しく知りたい人は、「【具体例つき】メタバースとは?メリット・デメリットもわかりやすく解説」の記事も参考にしてみてください。

メタバースにおける4つのビジネスモデル

メタバースは、さまざまな企業でビジネスに活かされています。おもに4つのビジネスモデルがあり、それぞれの収益や導入コストは以下のとおりです。

2021~2025年(黎明期)2025年~2030年(普及期)2030年以降(定着期)
収益コスト収益コスト収益コスト
プラットフォームをつくる期待できない非常に高い期待できる非常に高い非常に期待できる高い
ワールドやアバターをつくるやや期待できる高い期待できるやや高い期待できる低い
クリエイターをサポートするやや期待できる高い期待できる高い非常に期待できるやや高い
自社サービスを提供するほとんど期待できないあまりかからないやや期待できる低い期待できる非常に高い

メタバースは発展途上の分野であるため、まだ大きな収益が期待できないものも含まれます。

それぞれのビジネスモデルについて、詳しく見ていきましょう。

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プラットフォームをつくる

プラットフォーム作りは、メタバースの基盤となる大量のベース技術を作成するビジネスです。

本記事の執筆時点ではオンラインゲームを中心に、多くの企業がメタバースのプラットフォーム作りに乗り出しています。

メタバースでシステムを維持するのは、AI(人工知能)です。構築には高い投資が必要で、アメリカのMeta社(旧Facebook社)は約1.1兆円以上の投資をしました。

とはいえ、メタバースのユーザーはまだ少ないため、プラットフォームでの収益は見込めません。将来的にメタバースが普及すると、プラットフォームを利用するユーザーが増えて高収益が期待できます。

ただ、プラットフォームの規模が拡大すると、新機能の実装やアップデートも必要となるため、運営の負担は大きくなるでしょう。収益はメタバースの普及に左右されるため、プラットフォーム作りは中長期的な投資となります。

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ワールドやアバターをつくる

ワールド(メタバース空間)やアバターの作成は、プログラマーやデザイナー、アーティストなどのクリエイターが担います。

ワールドやアバターを作るには高いスキルが求められるため、多くの費用が必要です。ただ、今後はクリエイターが完全に趣味で作った無料ツールの登場も予想されます。ツールの進化で制作コストが下がれば、収益化しやすくなるでしょう。

制作コストが下がれば、その分企業も含め多くのプレイヤーの参入が見込まれます。

クリエイターをサポートする

クリエイターのサポートとは、具体的にはメタバースで使用するアバターや、3DCGの作成・管理を行うツール開発です。

メタバースを利用する上では不可欠であるため、サービスが続く限り需要が見込めます。収益は、ツールを使用するクリエイターの数次第です。

メタバースが普及するとクリエイターが多くなりニーズも高まるため、高収益が期待できるでしょう。ただ、普及するほど便利なツールも求められるようになり、競争が激しくなると予測されます。

自社サービスを提供する

バーチャル店舗の開設やバーチャルイベントの開催など、自社サービスの提供も可能です。

後述しますが、2022年にはバーチャルマーケット」のように大規模なイベントも開催されています。バーチャルマーケットでは実店舗のように商品を販売したり、PVのような音楽作品を公開したりすることも可能です。

既存のプラットフォームを使用すればよいため、導入コストも少なく最も参入しやすいビジネスモデルとなっています。

メタバースのユーザーがターゲットとなるため、普及前は収益を得にくいですが、ユーザー数が増えていけば収益化しやすくなるでしょう。

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メタバースでビジネスを始める3つのメリット

メタバースでビジネスを始めると、対面・リアルでは得られない以下3つのメリットがあります。

  1. コミュニケーションが円滑になる
  2. 他社と差別化しやすい
  3. 販路を拡大できる

順番に見ていきましょう。

コミュニケーションが円滑になる

メタバースの仮想空間を活用することで、コミュニケーションが円滑になります。

どこからでも会議できるため、従来のように場所を押さえたり、移動したりする手間がないためです。勤務地が違う社員とどこからでも話せるようになるため、コミュニケーションの活性化も期待できます。

また、メタバースで使用されるVR・AR、AIの技術が向上したことにより、限りなく対面に近いコミュニケーションが行えるようになりました。身振り手振りを交えた会話も可能で、従来のWeb会議のような硬さはありません。

さらに、社内や取引先だけでなく顧客とのコミュニケーションの場として、大規模なネットワークイベントも開催できます。

システム次第で数十万〜数百万規模の交流も行え、場所・会場の確保もいらないため、新規ビジネスを展開しやすいでしょう。

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他社と差別化しやすい

メタバースを活用している企業はまだ少ないため、他社との差別化につながります。メタバースによって他社と異なる販促活動やPRを行えれば、競合分野の中で大きくリードできるでしょう。

また、メタバースは空間や人数といった制約がないため、より多くの人に自社の商品・サービスをアピール可能です。バーチャル空間で自社のコンセプトを3DCGで作れば、ブランドイメージを効果的に伝えられます。

マーケティングやブランディングがより効果的かつスムーズに行えることも、メタバースによる差別化の面で効果的です。

販路を拡大できる

従来の実店舗に加えメタバースによるバーチャル店舗も活用すれば、販路がさらに大きくなります。バーチャル店舗はオンライン上での販売となるため、場所を問わず商品やサービスの売買が可能です

日本でも老舗百貨店の「大丸松坂屋」が、2020年から「バーチャル大丸・松坂屋」の出展を開始しました。「バーチャル大丸・松坂屋」は、メタバースと連携したECサイトで、クリスマスやお正月のギフトを中心に取り扱っています。

メタバースは限りなく現実世界に近い空間であるため、ネットショッピングよりも「商品を見て買う体験」がしやすく、購買意欲の向上にもつながっているのです。実店舗と合わせてバーチャル店舗での販売を行えば、さらなる売り上げアップが期待できるでしょう。

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メタバースビジネスのデメリットや課題

メタバースはまだ発展途上のサービスであるため、ビジネス利用には以下のデメリットや課題があります。

  1. 初期費用や運用コストがかかる
  2. 法整備が間に合っていない

メタバースを活用したビジネスを考えているなら、上記2点についても理解しておきましょう。

それぞれ詳しく解説します。

初期費用や運用コストがかかる

メタバースをビジネスで活用するには、多くの費用が必要です。

サービスを導入するための初期費用はもちろん、サーバーを滞りなく更新するための運用コストもかかります。自社でのプラットフォーム作成は最もビジネスチャンスが大きいですが、その分費用も高額です。

たとえば、アメリカのMeta社は、1兆円あまりを投資しメタバースのシステムを開発しています。

また、メタバースの既存サービスで会議を行う場合でも、際も利用するサービスにより無料〜月10,000円程度の支払いが必要です。

住宅メーカー向けのVRモデルハウスやリモート内覧会を開催している「Gruneメタバース」は、1年契約でひと月あたり20万円かかります。

メタバースのビジネス活用にはメリットが多いですが、コスト面がネックとなっているのが現状です。

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法整備が間に合っていない

日本の法律は、メタバースのような仮想空間でのビジネスを想定していません。

法律で所有権が認められるのは実体のあるものだけで、メタバース内の物品は対象外です。仮にメタバース内で土地やアイテムを購入したとしても、法律上は仮想物質であるため所有権が認められません。

もし自分がメタバース内で購入した土地を無断使用しているユーザーがいても、返還や退去を求められないのです。

法整備については、本記事の執筆時点で世界的にも目立った動きはありません。そのため、メタバースに沿った法律が制定されるまで、もうしばらく時間がかかると予想されます。

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メタバースをビジネスで活用した3つの事例

メタバースは、さまざまな方法でビジネスに活用されています。たとえば、次の3つです。

  1. バーチャルマーケット
  2. バーチャル渋谷
  3. 就活メタバース

順番に見ていきましょう。

バーチャルマーケット

バーチャルマーケットとは、2018年から始まった世界最大規模のバーチャル展示会です。空間内の特設会場には3Dアバターや3Dモデルが展示されており、来場者は自由に試着・購入が可能です。

2022年8月13日(土)から28日(日)には「バーチャルマーケット2022 Summer」を開催。2020年のゴールデンウィークに開催された際は約1,100サークル、約40社が出展しており、2022年も世界中から多くの来場が見込まれます。

バーチャルマーケットへの来場は無料で、スペックを満たしたパソコン(CPU:intel Core i5 8700〜、メモリ:16GB以上)があれば誰でも参加可能です。

バーチャル渋谷

バーチャル渋谷は、渋谷区が公認している配信プラットフォームです。KDDIの依頼を受け「クラスター株式会社」が開発し、2020年5月からオープンしました。

世界的に大きな注目を浴びたのが「バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス」で、2020年には40万人、2021年には55万人のアバターが訪れています。

バーチャル渋谷には「cluster」というメタバースプラットフォームが使用されており、パソコンやスマートフォンのアプリから誰でも参加可能です。

なお、バーチャル渋谷は商品の販売よりも、イベント開催によるブランディング促進がメインとなっています。イベントを通して自社コンテンツのファンになってもらい、自社製品・サービスを購入してもらうきっかけとするのがよいでしょう。

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就活メタバース

こちらは「ポート株式会社」がリリースしている、メタバースを活用した就活サービスです。

メタバースのプラットフォームを通して、キャリアコンサルタントが求職者の悩みをヒアリングした上で、キャリアプランを提示。

メタバースを活用することで、対面に近いコミュニケーションができます。そのため、従来のオンライン面接よりも人柄や個性が伝わりやすいのが特徴です。

2021年にリリースされたばかりでまだ一般的ではありませんが、今後のメタバース普及によっては新しい就職活動の形になりえるでしょう。

メタバースはビジネスチャンスにあふれている!

最後にここまでの内容をまとめます。

  • メタバースとはインターネット上の仮想空間
  • プラットフォームやアバターの作成などのビジネスモデルが見込まれる
  • ビジネス活用にも複数のメリットがある

メタバースビジネスはいくつか課題もありますが、日常生活だけでなくビジネスのあり方まで変えてしまう可能性を秘めたものです。国内外で複数の企業がメタバースに投資しており、スマホ普及後のように新たなサービスが生まれるでしょう。

将来的なビジネス活用も見込み、メタバース関連の動きを注視してみてください。

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