社内の新規事業でメタバース関連事業をスタートさせたいが、参考になる前例が少ないため、「事業に関して相談できる団体があれば」と思っていませんか。

日本国内には、メタバース事業にまつわるサポート組織・支援団体がいくつかあります。

いくつかあるサポート組織の中で、国内で最初に設立されたサポート組織が「日本メタバース協会」です。

本記事では日本メタバース協会の構成メンバーや活動内容などを紹介します。

日本メタバース協会以外のメタバース関連団体も紹介しているので、メタバース事業の立ち上げに関する情報収集の一手段として、各団体を把握しておきましょう。

日本メタバース協会とは?

日本メタバース協会は、メタバース技術及びメタバース関連サービスの普及やビジネス環境などの整備を進めることで、国内産業のさらなる発展を目的としています。

日本メタバース協会がさまざまな情報を収集し、情報を発信するハブとして機能することを目指し、同協会は2021年12月7日に設立されました。

メタバース関連企業が会員として集結し、会員同士の協業などによる相乗効果が生まれることを期待し、日本メタバース協会は各種活動に取り組んでいます。

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日本のメタバース事業をサポートする組織

日本メタバース協会のビジョンは、「メタバースビジネスのサポーターになる」ことです。

世界のメタバースの市場規模は2028年には8289.5億ドルに到達する見込みで、2020年の476.9億ドルに比べると、20倍ほどの市場拡大が期待されています。

急成長が期待されるメタバース市場において、日本が得意とするゲームコンテンツや高い技術力を駆使すれば、世界企業と再び渡り合える事業を日本から生み出せる大きなチャンスです。

メタバースといっても背景や仕組みは多種多様で、ゲームコンテンツを含むものや、ブロックチェーン・NFTなどのWeb3.0関連技術を取り入れたものもあります。

そこで日本メタバース協会は、今後日本で生み出される多種多様なメタバース関連ビジネスをサポートするために設立されました。

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勉強会や分科会などを実施中

日本メタバース協会のおもな活動内容は、次の4つです。

  • 勉強会:有識者、会員等を講師として毎月開催
  • 分科会:会員同士の議論等を通じた実務的知識や情報の共有
  • ビジネスマッチング:会員が協働することによる相互作用を目的
  • 会員情報の展開

2022年8月8日には、「第1回グローバルビジネス推進分科会」が開催されました。同分科会は、海外でのビジネスの事例を取り上げ、海外企業とのビジネス促進も視野に入れることを目的としています。

第1回の内容は「Fortnite(フォートナイト)」を題材にした、メタバースの成功事例を紹介するものでした。ゲームの枠を超えて、ショービジネスやeSportsのビジネスで、メタバース空間のプラットフォームとして大きな成功を収めている実情が取り上げられています。

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日本メタバース協会4人の設立メンバー

日本メタバース協会の設立メンバーは4人おり、全員が暗号資産取引所を運営する会社などの代表取締役社長です。

ここでは4人の設立メンバーについて、それぞれの活動実績などを見ていきましょう。

代表理事:大西知生

代表理事の大西知生氏は、慶應義塾大学経済学部卒業後、東京銀行やJPモルガン銀行などを経て、2018年1月からFXcoin株式会社の代表取締役社長を務めています。

FXcoinは、「暗号資産(仮想通貨)市場の健全な発展と拡大」と「日本人の金融リテラシー向上」を目的として誕生しました。

FXcoin公式サイトの情報では、事業内容変更などの諸般の事情により、2022年8月31日をもってサイトを一時停止する発表がなされています。事業内容変更後の体制が整い次第、サイトの再度更新について判断がなされるようです。

なお、FXcoinの代表取締役に関しては、2022年6月で大西知生氏から狩野弘一氏に交代しました。

理事:森川夢佑斗

理事の森川夢佑斗(むうと)氏は、京都大学在学中にブロックチェーン事業に着手し、2017年12月、株式会社Gincoを創業しました。

株式会社Gincoでは、暗号資産を保管するウォレットシステムを事業者向けに提供するサービスや、NFTなどの新たなブロックチェーンの活用例に対応するインフラ作りに取り組んでいます。

Gincoの目標は、C2Cの概念を仮想通貨の分野で実現すること。ブロックチェーンによって信頼が担保された仮想通貨などを安全に管理できて、個人間でやりとりできるプラットフォーム作りを進めているようです。

2019年には、ブロックチェーン業界を代表する起業家として「Forbes Next Under30」などに選出されており、ブロックチェーン技術に関する書籍も多数出版しています。

理事:雒東生

理事の雒東生(らく とうせい)氏は、2017年8月にCoinBest株式会社を創業し、ブロックチェーン関連事業や暗号資産交換業を営んでいます。雒氏が構想するビジョンとして、自社開発で培ったブロックチェーン技術のノウハウを活かしたシステム開発及びNFTサービスの関連事業、メタバース分野への事業展開を視野に入れているようです。

また2022年3月11日には、MAAS株式会社(東京都港区、代表取締役:楊鑫奇)とともに「日本NFT・メタバース交流会」を開催し、世界初ソーシャルメタバースプラットフォームの「STARS Finance」とNFTマーケットプレイス「DAIDAI.io」をローンチしています。

監事:新見明弘

監事の新見明弘氏は、暗号資産への投資ソリューションを国内外の投資家に提供するため、2018年に設立された「インテリジェンスユニット合同会社」の代表社員です。

インテリジェンスユニットは関係各社と提携・協業して、以下の実績を上げています。

  • 国内の暗号資産取引所のデータベースを構築し、国内企業に暗号資産データを提供
  • 国内外の投資家向けに提供する暗号資産インデックスを開発するための定量分析手法を確立

インテリジェンスユニットの100%子会社である「IU Capital Partners」は、2022年6月にメタバースインベストメンツから出資を受け、メタバースにおけるNFTへ投資しています。

日本メタバース協会の会員になる方法

日本メタバース協会には、「正会員」「ベンチャー会員」「賛助会員」の3種類の会員があります。各会員の入会条件等は下表のとおりです。

正会員ベンチャー会員賛助会員
入会条件株式会社
合同会社等の企業
資本金5億円未満かつ設立5年以内の企業学校法人、自治体、一般社団法人等
入会金なし(次年度以降は10万円)なしなし
月会費1万円(次年度以降は2万円)5,000円(次年度以降は1万円)なし

日本メタバース協会の会員は法人等でしか入れないため、個人で入会することはできません。

なお、入会に際しては、日本メタバース協会の入力フォームに下記の記載が必要です。

  • 氏名
  • 会社名
  • メールアドレス
  • 会社ウェブサイトURL
  • 入会理由
  • 入会に関するご質問(任意)

日本メタバース協会以外の団体一覧

日本メタバース協会以外にも、日本にはメタバース事業の支援を目的とする団体が複数設立されています。2022年4月時点では、以下の4団体が設立済みです。

  • 日本メタバース協会
  • メタバースジャパン
  • メタバース推進協議会
  • 日本デジタル空間経済連盟

日本メタバース協会以外のそれぞれの団体について、設立日や目的、活動内容などを見ていきましょう。

メタバースジャパン

一般社団法人メタバースジャパン2022年3月14日に設立されました。「日本の可能性をメタバースを通じて世界に解き放つハブになる」ことを目的に、産官学の業界や企業の垣根を越えて、最先端の情報や世界観を広く共有することを目指しています。

活動内容は、定期勉強会やイベントの開催、ワーキンググループ活動などを実施予定とのこと。多様性を尊重しながら、人々の可能性を伸ばし活躍できる場を増やすための各種活動を視野に入れています。

代表理事には、一般社団法人渋谷未来デザイン理事・事務局次長の長田新子氏、共同代表理事としてPwC Japan マネージングダイレクターの馬渕邦美氏が就任しました。

理事にはパナソニックやKDDIなどの大手企業や東京大学、慶應義塾大学の教授など、幅広い顔ぶれになっています。

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メタバース推進協議会

一般社団法人メタバース推進協議会2022年3月28日に設立され、代表理事に養老孟司氏が就任したことで話題を呼んでいます。

平穏で普通な生活を送ることさえ「有難い」とされる現実社会。その中で、メタバースという新しい世界をどのように描き、後世に残していくべきかなどを探求するために、メタバース推進協議会が設立されました。

活動内容は以下のとおりです。

  • 毎月1回の国内外の有識者を交えた、業界を横断する意見交換会
  • 国内におけるメタバース空間内での人と空間のつながり、コミュニティ形成などについての検討会
  • 業界、地域、技術領域といった個別テーマを設定した分科会やプロジェクトの実施
  • メタバースに関する勉強会や講演会などのイベント実施

日本デジタル空間経済連盟

一般社団法人日本デジタル空間経済連盟2022年4月15日に設立されました。代表理事はSBIホールディングス株式会社代表取締役社長の北尾吉孝氏です。

業界横断の総合経済団体として、デジタル空間における経済活動を活性化し、日本経済の健全な発展と豊かな国民生活の実現に寄与することを目的としています。

活動内容は以下のとおりです。

  • デジタル空間の経済発展に向けた、課題やニーズなど事業者の意見集約
  • 政策提言や報告書の提出
  • 政府、国内外の行政団体との対話
  • デジタル空間に関わる総合的な情報発信

また、日本メタバース協会やメタバースジャパンが賛助会員として合流しており、業界団体同士の連携強化を図り、各団体のミッションがより早く推進されることが期待されます。

日本メタバース協会は本邦初のサポート団体!

日本メタバース協会は、日本で初めて設立されたメタバース関連事業のサポート団体です。2021年12月に設立され、設立から4ヶ月が経過した2022年4月から、平均して月に一度の勉強会や分科会を開催しています。

また、日本メタバース協会をはじめ、日本では続々とサポート団体が設立。これからほぼ確実に市場規模が拡大するメタバース分野において、日本メタバース協会などの業界団体による市場全体の統制やルール作りは必須です。

メタバース業界のさらなる発展を願い、日本メタバース協会の今後の対応に注目しましょう。

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