メタバース開発とは、メタバースそのものや関連するシステムなどを、プログラミングなどで実現することです。メタバースを開発できれば、その仮想空間でさまざまな活動ができるでしょう。
当記事では、メタバースを開発するにはどんな環境が必要なのか、どんな流れで開発すればいいのか徹底解説。開発を外注する場合の費用や、開発の評価が高い企業についても紹介します。
この記事を読めば、メタバース開発の基本と流れがよく分かるでしょう。メタバース開発に興味がある人は、ぜひ最後までご覧ください。
メタバース開発の始め方:必要な技術・スキル・開発言語は?
メタバースを開発するためには、通常のソフトウェアと同様に、開発環境やスキルなどが求められます。具体的には、Unityなどのゲームエンジン開発環境と、BlenderなどのDCCツールが必要です。
メタバース開発時には、もちろんですがプログラミングが行われます。メタバースにおけるプログラミング言語は、C#やC++が主流です。
Unityなどのゲームエンジン開発環境
ゲームエンジンとは、高い品質を保ちながら低コストで、3次元のゲームを制作できるシステムです。現在では、以下のように幅広い分野で利用されています。
- 自動車の設計
- スマートフォンの設計
- 映画
- アニメーション
- 宇宙開発
メタバースを作成する際にも、ゲームエンジンは活用されています。メタバースを作る時に使われるゲームエンジンは、主にUnityかUnreal Engineのいずれかです。
Unityは、Unity Technologiesにより、2005年に初版が公開されました。Unityでメタバース開発ができるのは、VRChatやClusterなどです。
Unreal Engineは、Epic Gamesにより開発され、1998年に初版が公開されたゲームエンジンです。バージョンごとに、UE1〜UE5と名前が付けられています。
Unreal Engineが使われているゲームの代表例は、開発元のEpic GamesがリリースしたFortniteです。Fortniteとは、オンライン上に多くのプレーヤーが集まっているゲームであり、メタバースの先駆けとも言えるでしょう。
BlenderなどのDCCツール
メタバースは、3DCGの領域に含まれています。3DCGの制作において、必要な機能が全て揃えられているソフトウェアが、DCCツールです。具体的には、以下のような機能がDCCツールにはあります。
- モデリング
- シェーディング
- ライティング
- リギング
- アニメーション
- レンダリング
DCCツールには、さまざまな種類があり、それぞれ特徴が異なります。代表的なDCCツールは、以下の通りです。
ツール名 | 年間費用 | 特徴 |
MAYA・3dsMax | 28万円ほど | 日本のCG会社のほとんどが使用 |
Houdini | Houdini Core:27万円ほどHoudini FX:60万円ほど | プログラミングのように操作可能 |
LightWave | 15万円ほど | 比較的安い |
Cinema 4D | スタンドアロン版で45万円ほど | After Effectsと連携できる |
Blender | オープンソースのため無料 | 無料だが機能は十分 |
プログラミング言語はC#やC++が主流
メタバースの開発で使用されているプログラミング言語は、C#やC++が主流です。主要なゲームエンジンとして挙げられる、UnityではC#が、Unreal EngineではC++が使われています。
プラットフォームによっては、Swiftが使われていたり、独自の言語が使われたりする場合も。Unityにはビジュアルスクリプティング、Unreal Engineにはブループリントといった、視覚的な開発方法もあります。
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メタバースの開発方法
メタバースの開発は、特殊な流れで行われていると考える人もいるでしょう。しかし、要件定義→設計→プログラミング→テスト→リリースといった、大まかな流れは通常のソフトウェア開発と変わりません。基本的には、以下の流れでメタバースの開発が進みます。
- メタバースを設計する
- 3Dアセットを制作する
- コンポーネントを開発してアタッチする
- テスト&リリース
それぞれのステップについて詳しく解説します。
メタバースを設計する
メタバースを開発する際には、まず要件定義を行って設計します。要件定義を行うこと自体は、通常のソフトウェア開発と同様ですが、メタバースならではの観点が必要です。2つの観点に分けて、メタバースの設計方法を解説します。
3つの基本要素に分けて考える
メタバースの必要不可欠な要素として、以下の3つが挙げられます。
- バーチャル空間(ワールド)
- オブジェクト(プロップ)
- エージェント(アバター)
バーチャル空間とは、さまざまな背景を組み合わせて作成された仮想世界です。ユーザーはバーチャル空間に入り込み、メタバースの世界を楽しみます。
オブジェクトとは、ワールドに置かれた小物類です。メタバース内のユーザーは、プロップに触れられます。
エージェントとは、メタバース内でのユーザーの分身であるキャラクターです。エージェントの操作によりメタバース内での活動は行われます。
メタバース設計時には、制作しようとしている物が3つのうちどれに該当するのか、整理しながら進める必要があるでしょう。
開発目的によって重視するべき機能は異なる
開発しているメタバースの目的により、3要素のうちどれを重視すべきかは異なります。なぜなら、開発にかけられる予算や、デバイス・インフラには制約があるからです。全てを重視してメタバースが重くなると、ユーザー体験の損失にも繋がるでしょう。
メタバースの開発目的は、主に以下の7つに分けられます。
- 製品設計・レビュー
- 人流・動線シミュレーション
- ロールプレイスペース
- ワークプレイス
- イベント
- 展示会・マーケットプレイス
- バーチャルライフ
例えば、目的がワークプレイスならば、メタバースではさまざまなコミュニケーションが行われます。この場合、エージェントを重視して開発し、表情などが分かるようにすべきでしょう。
また、目的が展示会・マーケットプレイスならば、メタバースにはさまざまな商品が用意されます。この場合、オブジェクトを重視して開発し、商品の構造や機能が分かるようにすべきでしょう。
3Dアセットを制作する
設計が完了したら、3Dアセットを制作します。3Dアセットとは、DCCツールにより制作された3Dモデルと、それに関連するものです。制作は、以下のような工程で行われます。
- デザイン
- モデリング
- セットアップ
- アニメーション
デザインとは、参考となる資料を収集し、作成したい物のイメージを決める工程です。しっかりデザインできないと、モデリング以降の工程が上手くいきません。
モデリングとは、デジタルで造形し立体的な物体を作成する工程です。点・線・面を編集するポリゴンモデリングと、粘土のように作成していくスカルプトモデリングの2つに分かれます。
セットアップとは、モデルを動かすシステムを作る工程です。部位ごとにボーン(骨)を組み込んでいき、モデルと関連付ける作業(スキニング)を行います。
アニメーションは、セットアップ完了後に行われる、最後の工程です。エージェントの表情はゲームエンジンがコントロールするため、表情のアニメーションは行われません。
コンポーネントを開発してアタッチする
コンポーネントとは、オブジェクトに動作などの機能を与える存在です。既存のものを利用したり、プログラミングしたりなどで、コンポーネントは独自に開発可能。
メタバースの開発においては、ゲームエンジンに入れ込んだ3Dアセットに、コンポーネントをアタッチしていきます。コンポーネントをオブジェクトに上手く紐づけていくことで、メタバースの挙動が演出されるのです。
テスト&リリース
通常のソフトウェアと同様に、メタバースの開発でもテストが行われます。テスト内容も通常のソフトウェアとあまり変わりませんが、メタバースではユーザー体験を重視すべきでしょう。具体的には、以下の4つに気をつけてください。
- どんな人がメタバースを利用するのか
- 何のためにメタバースを利用するのか
- メタバース空間はリアルか
- メタバース空間に置かれたアイテムの状態(汚れ・傷・配置など)に、理由が込められているか
テストが完了したら、無事にリリースされます。
メタバース開発費用はどれぐらい?
メタバース開発にかかる費用は、当然ながら開発内容より大きく異なります。内容が高度になればなるほど、より高額な費用となるでしょう。
メタバースの開発費用は、開発手法によっても大きく左右されます。完全オリジナルで開発する場合と、既存のメタバースを活用する場合に分けて解説するので、ぜひ参考にしてください。
完全オリジナルで開発する場合は数百万円〜
「メタバースの開発方法」でも解説したように、メタバース開発はさまざまな技術の複合体であると言えます。そのため、開発難易度は高くなり、開発にかかる費用も高騰しがち。どの企業に依頼する場合でも、基本的には数百万円〜が相場です。
メタバースの開発にかかる期間も、完全オリジナルの場合は長くなります。要望に応じたメタバースを開発してもらうため、ヒアリング含めて4ヶ月以上かかるでしょう。
既存のメタバースを活用する場合は費用を抑えられる
メタバースの開発では、完全オリジナルで開発する以外にも、既存のメタバースを活用するという方法があります。既存の開発キットを利用すれば、完全オリジナルと比べて、費用や開発期間を数分の1に抑えられる場合も。
例えば、シンプルなVR展示場の場合、1万円~で利用できるサービスもあります。また、Clusterなど既存のメタバースにワールドを作成してアップするだけならば、制作ハードルも比較的低いでしょう。
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メタバースは、さまざまな高度技術の複合体です。メタバースを開発する際は、基本的に実績のある専門の企業に外注するべきでしょう。
以下の3つの企業は、メタバース開発に定評があります。
- 株式会社メタバーズ
- 株式会社Synamon
- ネストビジュアル株式会社
各企業について、会社の特徴や料金の概要、実際に行われた開発例などを紹介します。
株式会社メタバーズ
株式会社メタバーズは、仮想社会での生活に関わるビジネスを生み出すために、2006年に設立されました。「自らの知識と技術を駆使し、人々が価値を生み出す活動を応援する」を経営理念として、さまざまな事業に取り組んでいます。
メタバーズが提供する、オリジナル仮想空間の制作・構築・運営サービスの料金は以下の通りです。
プラン | 費用 |
既存空間デザインの修正 | 11万円~ |
オリジナル3D建築・空間造形 | 110万円~ |
オリジナル3D家具・アイテム・アバターの作成 | 22万円~ |
バーチャル展示会・イベント実施運営支援 | 99万円~ |
自社ブランドでのOEM提供 | 基本料金:275万円~継続料金(月額):44万円~ |
独自メタバース開発 | 基本料金:550万円~継続料金(月額):22万円~ |
メタバーズには、以下のような実績があります。
- ヒロセ電機株式会社 社内イベント
- トヨタ技術会 バーチャルわくわくワールド
- 近畿大学生物理工学部 ONLINE OPEN CAMPUS 2021
- 京都市保育園連盟 保育フェスタ
幅広い事業実績があり、安心できる企業と言えるでしょう。
株式会社Synamon
株式会社Synamonは、メタバースを扱うプロとして、優れたメタバース体験の構築をサポートしている企業です。2016年に設立されたSynamonは、VR(仮想現実)・AR(拡張現実)・MR(複合現実)などの先端技術を活用し、便利な世界を目指しています。
Synamonが提供しているメタバースブランディングプラットフォーム「SYNMN」の料金は、WEB上では公開されていません。料金を確認したい場合は、資料のダウンロード申し込みが必要です。
Synamonの導入先は幅広く、東映アニメーションやKDDIなど大手企業に加え、官公庁など公的機関への導入実績も。さらに、メタバースに関するさまざまなセミナー・説明会・個別相談会なども行っています。
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ネストビジュアル株式会社
2014年に設立されたネストビジュアル株式会社は、映像とテクノロジーを組み合わせた、高品質な映像表現を目標とする企業です。VR・AR・MRや、インタラクティブシステム、プロジェクションマッピングなどを開発・制作しています。
ネストビジュアルでの、メタバース開発料金は以下の通りです。
プラン | 費用 |
メタバース開発プラットフォームをそのまま使用し開発 | 90万円~ |
メタバース開発プラットフォームを使用しカスタマイズ開発 | 150万円~ |
オリジナル開発 | シンプル機能:400万円~スクラッチ開発:1,000万円~ |
ネストビジュアルには、以下のような実績があります。
- お江戸メタバース
- ミウラナオコ アートギャラリー
- バーチャル展示会
現在は、NFTアートプラットフォームの開発が進められており、さらなる活躍が期待されています。
まとめ
メタバースの開発には、UnityやUnreal Engineなどのゲームエンジン、3Dアセットを制作するDCCツールが必要です。プログラミング言語は、主にC#やC++が使われています。開発時には、目的に合わせて重視する点を考え、ユーザー体験を重視し作成していきましょう。
メタバース開発にかかる費用は、完全オリジナルで開発するのか、既存のメタバースを利用するのかで大きく異なります。また、メタバース開発は高度な技術が求められるため、実績のある専門企業に外注すべきでしょう。
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