「三越伊勢丹の手がけているメタバース事業はどんなもの?」
「百貨店がメタバースに進出した理由は何?」
「メタバースはどのようにビジネス活用できる?」
あなたはこのような疑問を抱えていないでしょうか?
日本を代表する百貨店である三越伊勢丹もメタバースに進出し、自社のビジネスにつなげています。
ただECサイトもある中、三越伊勢丹がどのようにメタバースを活用しているのか、イメージがつかない人もいるでしょう。
そこでこの記事では、以下の内容を解説します。
- 三越伊勢丹のメタバース事業
- 三越伊勢丹がメタバースに進出した事例
- 他の百貨店のメタバース進出事例
詳しく知りたい場合は、ぜひご一読ください。
三越伊勢丹がメタバースで手がける「REV WORLDS」の概要
三越伊勢丹は、メタバースでスマートフォン向け仮想都市空間プラットフォーム「REV WORLDS」を手がけています。
開発も三越伊勢丹がしており、仮想新宿が舞台のメタバースです。
REV WORLDS上には「仮想伊勢丹新宿店」があり、デパ地下やファッション、ギフトなどさまざまなショップが出店しています。
仮想店舗内に並んでいる商品は、実際の三越伊勢丹で販売されているものです。各種オンラインストアへの登録しログインすることで、そのままオンラインストアから購入できます。
三越伊勢丹がメタバースに進出した理由
三越伊勢丹は、新しい顧客体験を生み出すためメタバースに進出しました。リアル店舗とオンラインを融合させることで、今までにない顧客体験につながると考えたためです。
メタバースプラットフォームのREV WORLDSは、三越伊勢丹グループで2018年に開始された社内起業制度に応募されたことがきっかけで生まれました。
近年ではEC化が進み、購入から所有までの利便性は高まっています。
その一方で店員・顧客間のコミュニケーションがなくなり、購買による体験価値の提供が不足しているという課題がありました。
それを補うために作られたのが、REV WORLDSです。
REV WORLDSでは、リアル店舗の販売員を3G化したアバターが接客します。
Zoomでも身振り手振りを交えたコミュニケーションは可能ですが、反応がやや遅く対面時のように仕草やうなづきが相手に伝わりにくい傾向です。
そのため会話が被ったり、表情が読み取れなかったりということが起きます。
メタバースはZoomでのやりとり以上に、身振り手振りを正確に表現できます。そのため、本当にそこにいるかのようなコミュニケーションが可能です。
アバターを通すことで、対面に限りなく近いコミュニケーションを介した購買体験ができます。
REV WORLDSは対面に近いですが、リアルでもECでもありません。そのため顧客にとって、新しい体験となります。
REV WORLDSの評判は良い?ネット上の評判まとめ
REV WORLDSのネット上での評判は、以下のようなものです。
リリース当初から入れてます。特にデパ地下あたり、実際に新宿伊勢丹の売り場を知っていると確かに実際に買い物をしているかのような体験ができる。 その他いろいろと工夫しているのが伝わってくるの、今後も頑張ってほしいと思います。(コンテンツ充実に比例してロードが長くなるのは改善してほしいですが…) 参照:https://applion.jp/iphone/app/1554810291/review/ |
映画で見るような仮想空間は夢が広がります! 今後のアップデートも楽しみです! ただ、初めのロード時間が長い事をどうにか解消してくれたら尚いいですね 参照:https://applion.jp/iphone/app/1554810291/review/ |
少しずつ洗練されてきている気がします。コンテンツダウンロード時間やらの仕組みが少しでも改善されていくことを期待しています。 参照:https://applion.jp/iphone/app/1554810291/review/ |
「楽しい」「ワクワクする」といった声が寄せられており、良い評判が多くあります。
その一方で、コンテンツダウンロード時間の長さに改善を求める声も見受けられました。
現段階では今後に期待する声が多く、サービスとしてはまだ成熟していない状態です。
REV WORLDSの3つの強み
三越伊勢丹のREV WORLDSには、以下のような強みがあります。
- オンライン上で実店舗のような買い物が可能
- アバターを通じリアリティの高い体験ができる
- スマホがあれば誰でも利用できる
順番に見ていきましょう。
オンライン上で実店舗のような買い物が可能
REV WORLDSは、オンライン上で実店舗のように買い物できることが強みです。
同じくオンライン上で買い物できるECサイトは、目当ての商品をすぐ見つけ購入できる利便性の高さが特徴です。
しかし実店舗での買い物のような、偶然見つけ興味を持った商品を購入するという体験はできません。
REV WORLDSは仮想店舗を散策しながら買い物するため、偶然良い商品を見つけ購入するというリアル店舗に近い体験も可能です。
必要に応じて店員からアバターを通じたオンラインでの接客も受けられるため、ECサイトではできない実店舗に通っているかのような体験ができます。
アバターを通じリアリティの高い体験ができる
REV WORLDS内でアバターを用いることで、買い物以外にもライブ感のある体験が可能。具体的には、バーチャルイベントやライブへの参加です。
メタバース以前でも、バーチャルイベントやライブ配信は行われていました。REV WORLDSの異なる点は、アバターを通したリアリティのあるコミュニケーションです。
Zoomでも身振り手振りを交えたコミュニケーションは可能ですが、反応がやや遅く対面時こちらの意図が相手に伝わりにくい傾向があります。
メタバースは身振り手振りもかなり正確に表現できるため、本当にそこにいるかのようなリアリティのあるコミュニケーションが可能です。
ライブ配信で自分のチャットを動かしたりボイスチャットを使ったりすれば、一緒に会場にいるかのような体験ができるでしょう。
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スマホがあれば誰でも利用できる
REV WORLDSは、スマホがあれば誰でも利用可能です。旧来のメタバースでイメージされるような、ハイスペックPCでないと利用できない空間ではありません。
ハイスペックPCは性能が良い分高価なため、必要となるとサービス利用のハードルが高まってしまうでしょう。
一方REV WORLDSは、隙間時間を利用してスマートフォンから気軽にアクセスすることを想定しています。
スマホがあれば気軽に楽しめるため、サービス利用のハードルは低いです。
三越伊勢丹がREV WORLDSを開発しリリースするまでの流れ
三越伊勢丹は、以下の流れでREV WORLDSを開発しリリースしています。
- 三越伊勢丹グループの社内公募制度から誕生
- 「バーチャルマーケット4」に出展
- CRAFTARを開発パートナーに採用し4ヵ月でアプリをリリース
順番に見ていきましょう。
三越伊勢丹グループの社内公募制度から誕生
2018年に三越伊勢丹グループは、変革を生み出す人材を見つけ組織で支援するために社内起業制度を立ち上げました。
REV WORLDSは、制度第一期の応募者の中に事業計画として含まれていたものです。
当初は実現可能性が見えなかったことから落選しましたが、2019年にブラッシュアップしたものを再応募し、事業化の候補として認められました。
「バーチャルマーケット4」に出展
2020年4月、世界最大のVRイベント「バーチャルマーケット4」に仮想伊勢丹新宿店を出展しました。
CGを使った店内装飾やバーチャル販売員による接客が行われ、仮想空間における伊勢丹の高い再現性が話題となります。
また当時は新型コロナウイルスの影響で外出自粛となっていたこともあり、バーチャルマーケット4は50万人もの来場を記録。
仮想伊勢丹新宿店への多くの来店につながりました。
CRAFTARを開発パートナーに採用し4ヵ月でアプリをリリース
REV WORLDSは三越伊勢丹が目指すビジョンを実現するため、自社VRアプリ開発としてCG制作も外部だけに頼らず内製化しています。
ただ内製化だけでは、三越伊勢丹が思い描いているものを実現するのは困難でした。
そこでアニメーションやVRを活用したソリューションに強みを持つ「CRAFTAR(現
LDH DIGITAL)」を開発パートナーとして採用します。
その結果4カ月の構築期間で、REV WORLDSのリリースに至りました。
REV WORLDSで行われている3つのメタバース事業
REV WORLDSでは、以下3つのメタバース事業が行われています。
- 仮想伊勢丹新宿店
- バーチャル伊勢丹
- Disney Ultimate Princess Celebration at Virtual Isetan
順番に見ていきましょう。
仮想伊勢丹新宿店
仮想伊勢丹新宿店はその名の通り、仮装新宿の中にオープンした現実さながらの伊勢丹新宿店です。デパ地下やファッション・ギフトなどのショップが、多数出店しています。
販売されている商品は、実店舗で売られているものと同じ。
アバターを通じて現実さながらのコミュニケーションを行い、メタバース上で商品を購入できます。
またアバターは、ファッションやヘアスタイルを自分好みにカスタム可能です。伊勢丹の柄を使ったオリジナルアバターウェアもあり、幅広く楽しめます。
【REALITYとのコラボ】バーチャル伊勢丹
バーチャル伊勢丹は、コミュニケーションプラットフォームであるスマートフォン用アプリ「REALITY」とのコラボ企画。
2022年12月21日から2023年1月18日までの約1ヵ月間、開催されていました。
バーチャル伊勢丹は、仮想伊勢丹新宿店のCGデータを使用し公開しています。
現実の百貨店のようなショーウィンドウを多数設置しており、マネキンごっこをして遊ぶこともできました。
またREV WORLDS、REALITYでそれぞれ開催中のクリスマスキャンペーンを告知しており、サービスの認知拡大につなげていました。
Disney Ultimate Princess Celebration at Virtual Isetan
「Disney Ultimate Princess Celebration at Virtual Isetan」は、ディズニープリンセスをテーマにしたバーチャルストア。
開催期間は、2021年7月21日のオープンから2022年8月31日までです。
約80点の商品がCGで展示されており、ディズニープリンセスデザインドレスのような豪華なものや、プリンセス像のオルゴールなどもありました。
もちろん気に入った商品は購入可能。商品をタップすると、ディズニー公式オンラインストアである「shopDisney」へと遷移し、購入手続きできる仕組みでした。
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三越伊勢丹だけじゃない!「大丸松坂屋百貨店」のメタバース進出事例
ここまで三越伊勢丹のメタバース事業について解説してきましたが、同じく百貨店の「大丸松坂屋百貨店」もメタバースに進出しています。
大丸松坂屋百貨店のメタバース進出事例は、以下のものです。
- バーチャル大丸・松坂屋
- 「ニューヨーク展」の開催
- 「パリ展」の開催
順番に見ていきましょう。
バーチャル大丸・松坂屋
バーチャル大丸・松坂屋は、HIKKYが主催する「バーチャルマーケット(Vket)」に出展されました。2020年末に初出展し、その後も2回出展しています。
バーチャル空間がECサイトとつながっており、欲しい商品はECサイトを通じて購入可能です。
商品は出店時期によって異なりますが、食料品やお正月・クリスマスに関連するものを販売しています。
出店のきっかけはコロナ禍。従来とは違う方法で買い物を楽しんでもらうにはどうすれば良いかを考え、メタバースへの進出を決めています。
「ニューヨーク展」の開催
ニューヨーク展は、2022年8月13日〜28日に開催された世界最大級のVRイベント『バーチャルマーケット2022 Summer』に出展されました。
メタバース上を自由に動き回って食品3Dモデルを確認したり、気に入ったものを購入したりすることが可能。購入した商品は、後日自宅に届く仕組みです。
ニューヨーク展の開催時期が夏だったため「盛岡冷麺」や「藁焼きカツオ」などの夏に好まれるメニューを中心に、ごちそうグルメを600点以上展示していました。
「パリ展」の開催
パリ展は、2022年12月3日〜18日に世界最大級のVRイベント『バーチャルマーケット2022 Winter』に出展しています。
前述のニューヨーク展とは対照的に開催時期が冬だったため「名古屋コーチン味噌鍋セット」や「海老天鍋焼きうどん」などの商品を揃えました。
仕組みはニューヨーク展とほぼ同じで、展示されている商品のカタログを確認し気に入ったものは購入可能です。
なおパリ展では、初となるメタバース接客のアルバイトが募集されました。
これから企業がやるべきメタバースのビジネス活用
三越伊勢丹や大丸松坂屋百貨店以外にも、さまざまな企業がメタバースに進出。今後はメタバースのビジネス活用も求められます。
今後各企業は、メタバースを以下のようにビジネス活用するのがおすすめです。
- イベントの出展・開催
- バーチャルオフィスを活用する
- NFTでのアイテム販売
順番に見ていきましょう。
イベントの出展・開催
メタバース上で開催されるイベントに、自社のブースを出展させてみましょう。接客業以外だと、就活フェスや音楽フェスなどへの出展事例があります。
最初は他社が主催するものへの出展で問題ありませんが、ある程度要領が分かったところでメタバース上のイベントを自社で開催するのも良いでしょう。
メタバース上であれば、イベントの規模には制限がありません。リアルでは開催が難しいイベントを実施することで、新たな収益源を得たり企業イメージアップにつながったりという効果が期待できます。
バーチャルオフィスを活用する
メタバースを顧客相手のみに活用するのではなく、自社のバーチャルオフィスを作るのも一つの手です。
バーチャルオフィスがあれば、居住地を問わず優秀な人材を採用できます。またテレワークを実施した際も、勤務状況が可視化され確認作業が容易です。
そのため、新型コロナウイルスのような感染症が蔓延し出勤が難しくなっても、影響を最小限に抑えられます。
NFTでのアイテム販売
NFTとは「Non-Fungible Token」の頭文字を取ったもので、ネット上の印のようなものです。
通常ネット上の画像や映像には、所有権が定められていません。しかしNFTがあることで画像や映像に固有の価値が生まれ、コピーや盗用といったことができなくなります。
近年NFTを使ったデジタルアートの売買が増加しており、メタバース上で販売されたNikeのスニーカーは1,300万円以上の高値を付けました。
参照:https://realsound.jp/tech/2022/05/post-1021264.html
NFTはNikeのようなスニーカーだけでなく、アクセサリーや印鑑データの販売も可能です。自社のビジネスに結びつけてNFTでのアイテム販売ができないか、検討してみるのも良いでしょう。
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まとめ
三越伊勢丹は自社でREV WORLDSを開発し、プラットフォーム上で仮想伊勢丹新宿店を出店しています。
そのほか大丸松坂屋百貨店も「バーチャル大丸・松坂屋」のような形でメタバースに進出しました。
Nikeのような大手企業もメタバースに進出しており、今後さらに増えていくことが予想されます。
何事も早く動いたほうが、成果を得やすいものです。この記事を参考に、メタバースへの進出を検討してみてください。
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