メタバース技術を活用したSNSは既に普及しており、全世界で利用者を伸ばしつつあります。なかでも韓国企業が開発した「ZEPETO」は、約3億人のユーザーを抱える大規模SNSとして進化を遂げました。

メタバース要素によって従来のSNSにはないメリットが付与されており、TwitterやMeta(旧Facebook)を追い越す勢いで需要が高まっています。SNSはメタバース領域にもっとも近く、各企業の動向が見逃せない事業といえるでしょう。

そこで本記事では、メタバース要素を持ったSNSを5つ紹介します。従来のSNSとの違いも解説するので、ぜひチェックしてみてください。

メタバース要素を持ったSNSアプリを5つ紹介

アバターを作成して仮想空間でコミュニケーションが楽しめるSNSを5つ紹介します。

  • ZEPETO
  • Bondee
  • cluster
  • パラレル
  • instagram

メタバース型SNSの特徴は、現実世界と切り離された空間で会話を楽しめる点です。表面上のコミュニケーションツールではなく、アバターを介して仮想空間内で意思疎通する部分が相違点といえます。

スマホがあれば簡単にアカウント作成ができるため、気になる方はチェックしてみてください。

ZEPETO

ZPETOは韓国企業『NAVER Z Corporation』が開発したメタバースプラットフォームです。3億人を超えるユーザー基盤を持ち、おもにZ世代の女性を中心に人気を集めています。

従来のSNSとの違いは「ワールド」と呼ばれる仮想空間が存在する点です。自分のアバターでワールドに飛び込み、バーチャル空間で現実と同じようなコミュニケーションが取れます。

また大手企業とのタイアップも多く、GUCCIやディオールなどの有名ファッションブランドともコラボ事例も。また大手通信会社「ソフトバンク」がZEPETO内にバーチャルショップを出店するなど、メタバース事業の一環として多くの企業が利用しています。

Bondee

Bondeeは2023年にリリースされた最新メタバースアプリです。ゆるかわのアバターを作成し、友人と連絡が取りあえるメッセンジャーアプリとして活用されています。

SNSとして珍しく友達の上限が50名と少なめに設定されており、ほかのSNSよりもクローズドなコミュニケーションを取れる点が特徴。ホーム画面から友達の様子を確認できるなど、実生活に近い距離感で会話を楽しめます。

BondeeはLINEなどのメッセンジャーアプリと似たような立ち位置となりますが、相手の状態にあわせて連絡を取りやすい点がメリットといえるでしょう。現実世界とリンクしてアバターが変化するなど、メタバースを取り入れた新たなSNSとして注目されています。

cluster

clusterは日本最大規模のメタバースプラットフォームです。家から音楽ライブに参加したいという想いから発足し、「引きこもりを加速させる」というユニークなコンセプトを持っているのが特徴です。

東京都渋谷区公認の仮想都市「バーチャル渋谷」や、国民的な知名度を誇るポケモンとコラボした「ポケモンバーチャルフェスト」など、大規模イベントを積極的に開催。

仮想空間に集まって楽しむコンテンツ作りに注力しており、地域プロモーションや企業のPRイベントに活用される事例も多く残っています。

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パラレル

パラレルはZ世代に人気のメッセンジャーアプリです。PCに比べてスペックが劣るスマホでも、複数人の会話が楽しめるため人気が集まっています。

スマホ画面の共有ができるなど、一つの画面を見ながら会話が楽しめる機能も搭載。またゲームのマルチプレイ時に活用されるなど、SNS上のたまり場として機能しています。

パラレルをメタバースSNSとして紹介しているネット記事も散見されますが、パラレルはメタバース要素を含んでいません。通話アプリとして活用されており、仮想現実を楽しむツールではないので注意しましょう。

Instagram

Instagramは写真共有を軸としたSNSです。TwitterやMeta(旧facebook)と比べて画像・動画に比重を掛けており、ハッシュタグやインフルエンサーを起用したマーケティングの元祖ともいえるでしょう。

メタバース領域に着手する動きが年々強まっており、仮想空間を商品PRやブランディングに活用するケースも。AR技術によって家具設置のシミュレーションを行えたり、カタログにスマホをかざすと3Dモデルが表示されるなど、拡張現実を活用した事例も残っています。

またInstagramを運営する「Meta社」では、仮想空間内でNFT売買ができる環境を整備していることを公表。メタバース領域での経済を活性化させるべく、着々と準備を進めているといえるでしょう。

メタバース要素を持つSNSと従来SNSの違いは?

従来のSNSとメタバースSNSの最大の違いは、仮想空間の有無です。バーチャル世界に入り込み、アバターを介してコミュニケーションが取れるのがメタバースSNSの特徴。

また仮想空間をSNSに取り入れることで、3つのメリットが生まれます。

  • 身体操作によって表現の幅が広がる
  • 現実世界と仮想空間の切り分けができる
  • 仮想空間内で経済が生まれる

平面上のコミュニケーションから次元が拡張され、現実世界と同じように意思疎通できる点が魅力。さらに仮想空間内で経済活動が生まれるなど、コミュニケーションツールの枠組みを飛び超えた活用方法も期待されています。

そこで本記事では、メタバース要素を持つSNSを徹底分析。従来のSNSと比較しながら、仮想空間ならではの特徴やメリットを解説します。

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身体操作によって表現の幅が広がる

従来のSNSはテキスト上でコミュニケーションを取りますが、メタバースSNSはボディランゲージによる意思疎通が可能です。また相手のアバターと握手をするなど、距離感の近いコミュニケーションも図れます。

現実世界に近い形で自己表現できるだけでなく、テキストやボイスチャットで会話することも可能。従来のSNSとして扱うこともできるため、ユーザーの取れるリアクションが増えている点も魅力です。

トラッキング技術(身体の動きをアバターに反映する技術)の発達により、アバターの動きが現実世界に近づきつつあります。デバイスの進化によって表情の変化が反映されるようになり、バーチャル空間内での感情表現が一層豊かになったといえるでしょう。

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現実世界と仮想空間の切り分けができる

メタバースSNSは仮想空間の中でコミュニケーションが生まれるため、自分がその世界にいるような没入感が特徴です。一方、従来のSNSはメッセンジャーアプリとしての側面が強く、現実世界の延長線として扱われています。

また2つのSNSを利用するユーザーの声をリサーチした結果、次のような意見が多く集まりました。

  • 従来のSNS→現実世界の延長線として利用する
  • メタバースSNS→仮想空間で理想の自分になりきって利用する

従来のSNSとメタバースSNSを比較すると、利用されるシーンが全く異なることが分かります。現実世界のコミュニケーションツールとして従来のSNSを利用し、バーチャル世界を楽しむためにメタバースSNSを使用しているパターンが大半を占めました。

双方のアプリを使用するユーザーの中では、現実世界と仮想世界の切り分けが進んでおり、根本的に違うツールとして活用されています。

仮想空間内で経済が生まれる

仮想空間内での雇用が既に始まっており、メタバースSNSを介してビジネスが成立している事例も散見されます。アバターに使用する服装やアクセサリーを作成する3Dクリエイターも増えており、あらたな市場が形成されつつあるといえるでしょう。

従来のSNSが持つコミュニケーションツールとしての枠組みを飛び出し、メタバース領域ならではの経済が発達する可能性も。仮想現実で1日の大半を生活しているユーザーも珍しくなく、市場規模の拡大が予想されています。

また2022年5月にはInstagramがNFTに対応することを公表。デジタル資産の需要が高まり、SNSを中心としたNFT市場に注目が集まっています。

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メタバース型のSNSが日本で普及していない2つの理由

メタバースSNSは国外ユーザーの利用者が大半を占めており、日本人ユーザー数は少数だと言われています。日本国内でメタバースSNSが普及していない理由は2つです。

  • メタバースの定義が定着していない
  • 関心の薄いユーザーが圧倒的に多い

メタバース領域に注目が集まっているとはいえ、メタバースが何なのか具体的に説明できる人は多くありません。国内利用者数の多いSNSと比較して、利用後のイメージが想像しにくいのも難点といえるでしょう。

そこで本記事では、メタバース型のSNSが日本で普及していない理由を分析しつつ、SNSの背景やネックとなっている部分を解説します。

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メタバースの定義が定着していない

メタバースという言葉だけが独り歩きしており、具体的に何を指しているのか掴めていない方が殆どです。世界的な定義がハッキリしている訳ではありませんが、VR黎明期から活動されている「バーチャル美少女ねむ」さんの著書「メタバース進化論」では7つの定義が紹介されています。

  1. 空間性
  2. 自己同一性
  3. 大規模同時接続性
  4. 創造性
  5. 経済性
  6. アクセス性
  7. 没入性

著書では仮想空間の有無だけでなく、様々な条件をクリアすることがメタバースの定義として記されています。注目を浴びているメタバース事業も定義を満たしていないことが多く、メタバース要素を持つSNSの普及にも時間が掛かるといえるでしょう。

関心の薄いユーザーが圧倒的に多い

従来のSNSがあれば十分と考えている方も多く、メタバース領域に関心を持っているユーザーと温度差が生じています。VR空間が楽しめるHMD(ヘッドマウントディスプレイ)も高価格帯が多く、関心の薄いユーザーが増える原因にも。

またVRコンテンツに必要な知識も多く、どうやって楽しめばいいのか悩んでいるプレイヤーも散見されます。技術革新によってデバイスの価格が低下し、誰でも気軽に利用できる環境が整わない限り、メタバースSNSの普及には時間が掛かるといえるでしょう。

メタバースを活用したゲームがSNSに代わる可能性も

世界各国で大ヒットを記録した「マインクラフト」を筆頭に、メタバースを利用したゲームが盛り上がりを見せています。SNSはあくまで連絡手段として活用し、ゲーム内でコミュニケーションを取るプレイヤーも増えてきました。

ゲーム内コミュニティの活性化により、SNSのような役目を果たしているゲームも珍しくありません。またNFTを利用したブロックチェーンゲームに注目が集まり、デジタル資産としても有能性が高い「Sandbox」などが話題に。

SNSの利用時間がゲームに置き換わる可能性も高く、メタバース領域のゲームに投資する企業も増加。ゲームが新たなメタバースプラットフォームとして、幅広い層に活用されることが期待されています。

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コインチェックがメタバース上に『Oasis』を建築中

仮想通貨取引所「コインチェック」が、メタバース都市「Oasis」の建築を発表。異なるメタバースプラットフォームで大型都市を開発しており、NFTコミュニティの拠点として期待されています。

  • 「Oasis TOKYO」→「The Sandox」で開発中
  • 「Oasis KYOTO」→「Decentraland」で開発中
  • 「Oasis MARS」→「Otherside」で開発中

また「Oasis」では、小嶋陽菜さんがプロデュースするアパレルブランド「Her lip to」や、女優の水原希子さんとのコラボも実施予定。コラボイベントを通じてメタバース上にコミュニティ形成し、アーティストと企業が交流できる場にしたいと公表しています。

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メタバース要素が次世代SNSを牽引する可能性も高い

従来のSNSにメタバース要素が加わり、現実世界のようなコミュニティが形成されつつあります。

  • 仮想空間の要素を持ったSNSに注目が集まっている
  • メタバース型と従来のSNSでは使い道が異なる
  • 国内ではメタバースが浸透していない

メタバース型のSNSはZ世代を中心に普及が広まり、新たなプラットフォームとして認知されつつあります。まるでその世界にいるような没入感が強みであり、従来のSNSでは味わうことのできない体験を可能としました。

使用するデバイスの価格帯やメタバースの認知度など、まだまだ普及には時間が掛かることも予想されます。とはいえメタバース要素が次世代SNSを担う日も、そう遠くない未来かもしれません。

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