「市場調査を実施したいけど、どんな手法があるか分からない…」

「どの調査手法を使えば良いの?」

上記のようなお悩みを抱えている方は少なくありません。初めて市場調査を行う場合は調査手法や手順について不安に感じてしまうでしょう。

本記事では上記のような悩みを解決するために、市場調査の具体的な手法や調査の流れ、調査を行う際のポイントについて詳しく解説します。市場調査の手法についてお悩みの方、理解を深めたい方はぜひ10分ほどお付き合いください。

そもそも市場調査とは

市場調査とは、企業が抱える課題やマーケティング戦略の立案、新規事業の創出などを目的として、市場の声を集めたり、それらを分析して意思決定に生かしたりする試みを指します。具体的には、サービスの強みや弱み、顧客のニーズ、競合サービスなどの情報を集めることが多いです。

情報を収集し、事業に活かすことが不可欠になった昨今。データドリブンな経営を実現するには、市場調査を行って情報を把握・分析しなければなりません。上手く情報を扱えれば、事業の創出や拡大を効率的に進められます。

市場調査と聞くと、これまでは大手企業が大規模に実施するイメージが強かったかもしれません。しかし近年は大企業のみならず、中小企業やスタートアップ企業も市場調査を実施しています。

小資本の企業でも実施できる市場調査方法が誕生したと言えますが、逆に言えば、規模の小さいビジネスであっても市場調査が欠かせないものとなった、とも考えられますね。

市場調査の実施が一般的になった背景として、ネットリサーチやアンケート調査、SNS調査といったオンラインでの調査が普及し、敷居が下がったことが挙げられます。企業の担当者が自分で市場調査を実施するケースも散見されるほど、市場調査は一般化しているのです。

市場調査を行う目的とは?

市場調査を行う目的は、主に下記の3つです。

・消費者のニーズを把握する
・マーケティングの精度を高める
・競合他社と差別化する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

消費者のニーズを把握する

市場調査を実施すれば、消費者のニーズを詳しく把握できます。実際に消費者が抱いているニーズを一次情報として把握できるため、確度の高い声が手に入るのは市場調査のメリットです。

ユーザーのニーズが分かれば、それを満たすサービスを考案したり、ニーズを満たせるようにサービスを改良したりするだけでも顧客の満足度は高められます。また、新規事業を立ち上げる際にも大きなアドバンテージとなるでしょう。

企業の意思決定が独りよがりにならず、多くの顧客に支持されるものであり続けるためにも、市場調査でニーズを把握するのは非常に重要な取り組みと言えます。

マーケティングの精度を高める

市場調査を行えばマーケティングの精度を高められます。マーケティングを成功させるには顧客のニーズや競合他社の情報把握が必要不可欠。ニーズを正しく捉え、それを上手く刺激できる広告を打ち出すにも、ユーザーのニーズを把握することが第一歩です。

市場調査であらかじめ情報を収集しておけば、円滑にその後のマーケティング施策を進められます。逆に、市場調査を実施せず、先入観や思い込みをもとにマーケティング施策を実施しても、想定した効果は得られないでしょう。

効果的なマーケティングを実行し、売上を最大化するためにも、消費者ニーズの把握は重要です。ニーズを把握するには、後述する手法を用いた適切な市場調査が必要と言えます。

競合他社と差別化する

競合他社と差別化を図る上でも市場調査は重要です。

市場調査を実施する企業は増えていますが、まだ全ての企業が積極的に調査を行っているとは言えません。市場調査によって得られたデータを活用すれば、その時点で市場調査を実施していない企業には一歩以上の差を付けられるでしょう。

また、市場調査によって得られるデータの中には、「ユーザーの不満」が隠れていることも。市場調査によって、他社のサービスでは満たしきれていないニーズが見つかった場合、それを満たしたサービスを打ち出せば大きな優位性を確保できるでしょう。

市場調査の手法

ここからは、具体的な市場調査の方法について解説します。まず、市場調査の手法は大きく分けて下記の2つです。

・定量調査
・定性調査

それぞれに特長があるため、まずは大枠を理解するためにも定量調査と定性調査の概要から見ていきましょう。

定量調査

定量調査とは、「数値で扱えるデータ」を収集・調査する手法です。例えば商品やサービスの認知度や購入頻度、顧客満足度といった数値で表せるデータが対象となります。収集した段階から数値で扱えるため、客観的に把握しやすく、分析しやすい点が定量調査のメリットです。

定量調査の具体的な実施方法として、下記の3つが挙げられます。

・インターネット調査:インターネット上でアンケートを実施して情報を取集する

・会場調査:オフィスや施設に調査会場を設けて消費者から情報を集める

・訪問調査:消費者の自宅を訪問してアンケート調査を実施する

データを多く集めるために定量調査を複数回行うケースも見られます。また期間ごとに調査を実施し、それぞれのデータを比較することも多いです。

定性調査

定性調査とは数値化・データ化しづらい個人の意見・回答を収集する調査手法です。市場調査で得られるデータのすべてを定量化できるわけではありません。数値やデータに表れない部分に顧客ニーズの核心が隠れているケースも多いです。

例えば「既存のサービスに追加してほしい機能は?」という質問を実施した場合、返される顧客の答えは数値化できるものではありません。しかし、なによりユーザーの心情を強く表すデータであることは言うまでもないでしょう。

定性調査の手法として下記の3つが挙げられます。

・デプスインタビュー:インタビュアーと回答者が1対1でインタビューして意見・回答を集める

・グループインタビュー:複数人の参加者間でディスカッションを行ってもらい、意見・回答を収集する

・行動観察調査:対象者の自宅を訪問して、実際に商品・サービスを使用している状況を観察・調査する

定性調査は定量調査と比較して対象者1人あたりにかかる調査時間が長くなりやすく、サンプル数を確保しづらいのが難点です。定性調査でサンプルを多く集めるためには、長期間の調査や高いコストがかかってしまうでしょう。

市場調査を進める流れ

市場調査を進める流れは下記の通りです。

①市場調査の目的を決める
②市場調査の予算・期間を設定する
③市場調査前の情報取集を行う
④市場調査の方法を決定する
⑤市場調査を実施する
⑥調査結果の分析・検証を行う
⑦市場調査の結果を意思決定・事業運営に活かす

それぞれ詳しく見ていきます。

①市場調査の目的を決める

まずは市場調査の目的を決めましょう。何を目的に市場調査を行うかで収集すべき情報も変わってきます。たとえば新規事業を立ち上げるとして、参入する市場を把握するために情報を収集する場合、顧客のニーズや競合他社の調査が必要です。

目的によって選択するべき市場調査の手法も変わります。市場調査を実施する前に、市場調査を行う目的を明確にしましょう。

②市場調査の予算・期間を設定する

市場調査の目的を決めたら、次に市場調査の予算や期間を設定します。市場調査に対してかけるリソースによって調査の規模は大きく変わるでしょう。また企業によっては調査に使えるリソースに制限がかかるケースも。

無理なく市場調査を実施するためにも、かけられるリソースを早い段階で明確にしておき、そのなかでより実用に足る情報を手に入れられるよう最適な手法を選ぶようにしましょう。

③市場調査前の情報収集を行う

市場調査を実施する前の情報収集も重要になります。たとえば世の中のトレンドや国内外の景気動向などは政府・調査会社の統計情報を見れば把握可能です。顧客層ごとの細かい情報は市場調査で調べる必要がありますが、市場調査で確かめなくても把握できる情報は事前に収集した方が余計な調査を実施せずに済みます。

自社の内部環境・外部環境の情報を収集する際は、フレームワークを活用して情報を整理するのがおすすめです。情報整理のフレームワークとしては下記の記事にて詳しく解説しています。

▼関連記事▼
市場調査で活用できるフレームワーク6選!フレームワークの活用方法も合わせて解説!

④市場調査の方法を決定する

事前の情報収集が完了したら、次に市場調査の方法を決定しましょう。収集する情報の種類・目的によって最適な調査手法は異なります。

たとえば、既存サービスの適切な価格を改めて知りたい場合は「価格」という数値が目的なので、定量調査を選択して数値データを集めるのが良いでしょう。しかし新機能の追加を予定していて、その検討材料としてデータを欲している場合は定性調査を実施するのがおすすめです。

既に決めていた「市場調査を実施する目的」と照らし合わせつつ、「どの形態でデータが集まれば意思決定に役立ちそうか」を考えてみましょう。数値が適しているなら定量調査が、言語や印象を求めているなら定性調査が最適と言えます。

その上で、コストを抑えるならインターネット調査、データの質を求めるなら訪問調査、といったように、リソースとも相談しながら最適な調査手法を割り出しましょう。

⑤市場調査を実施する

調査手法を決定したら実際に市場調査を実施しましょう。市場調査を行う前に改めて実施期間や対象者の選定、質問項目などを整理して調査に備えてください。特に訪問調査、各種インタビューを実施する場合は、質問者が質問項目を誤ると適切なデータが収集できません。当日の調査の流れと合わせて質問項目の確認・すり合わせを行っておきましょう。

⑥調査結果の分析・検証を行う

市場調査が無事に完了したら、次に調査結果の分析・検証を行います。調査で収集したデータや意見、回答から分かる内容を具体的に抽出しましょう。調査データが多く得られても、分析・検証を実施しないと実際の事業や経営に活かせません。市場調査を実施して終了ではなく、分析・検証まで抜かりなく進めることが重要です。

データ量が多い場合は統計を実施するのもおすすめですが、専門知識が求められるため、データ分析だけを外部に委託するケースも少なくありません。

⑦市場調査の結果を意思決定・事業運営に活かす

市場調査の分析・検証が完了したら、市場調査の結果を意思決定・事業経営に活かしましょう。市場調査で得られた結果は調査を実施した企業のみが知りうる情報です。他社が把握していない情報を使って意思決定・事業経営を行えば、自ずと他社との差別化にも繋げられます。

市場調査の個人情報は厳重に保護・管理する

市場調査で得られた情報は外部に流出しないよう厳重に管理しましょう。特定の部署・役職の人物が閲覧できる状態にするのはもちろんのこと、インターネット上のセキュリティ面にも注意を払ってください。

特に近年は企業を対象としたサイバー攻撃が多く発生しています。オフライン環境でデータを保存・管理する等、サイバー攻撃に備えた情報管理を徹底しましょう。

むやみに社内でデータを共有することも情報流出の原因になりやすいので要注意です。基本的に共有するのは分析後の整理された情報群であったり、資料だったりといった「情報を落とし込み、転用した著作物」だけにしましょう。

市場調査の手法を把握して効率よくデータを集めよう!

市場調査の手法は「定量調査」と「定性調査」の2つに大別されます。定量調査は数値データの収集、定性調査は数値化できない意見・回答を集めるのに有効です。収集したいデータの種類や調査目的に合わせて調査手法を選択しましょう。

また市場調査を実施する際は予算・期間の設定、事前の情報収集、円滑な調査運営なども不可欠です。市場調査を成功させるためにも事前準備から抜かりなく進めていきましょう。

本記事の内容を通じて市場調査の手法・流れについて理解を深めて頂けると幸いです。

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