迷ってしまいがちな新規事業創出のメンバー選び。どのような基準を設ければよいのか分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は、新規事業に向いているのは、「デキない」人かもしれません。
本記事では新規事業に向いている人の特長を詳しく解説します。これから新規事業を展開したい方、新規事業の人材を探している方はぜひ最後までご覧ください。
なぜ新規事業には「デキない人」が向いているのか
なぜ新規事業には「デキない人」が向いているのか。その理由として、主に下記の2点が挙げられます。
・泥臭く地道な作業も踏ん張れる
・慢心せずデータと向き合える精神性
それぞれ詳しく見ていきましょう。
泥臭く地道な作業も踏ん張れる
「デキない人」は泥臭く地道な作業を行うこともいとわず、踏ん張れる方が多いです。一見すると新規事業は独創的なアイディアや効率的な作業が求められるように見えますが、実際は地道な作業を継続していく場面が多く、こうした持ち味は大きな武器となるでしょう。
たとえば、新規事業開発の現場では競合他社のピックアップや自社商品・サービスの情報整理、顧客へのアンケート調査など地道な作業を要するものが多くなりがち。そして、これらの作業を丁寧に泥臭く行えるメンバーこそ、新規事業の成功には不可欠なのです。
慢心せずデータと向き合える精神性
慢心せずデータと向き合える精神性も、新規事業の創出では大切な要素です。そして、この精神性を持ち合わせているのが「デキない人」には多いのではないでしょうか。
商品やサービス、顧客に正面から向き合い、正しい事実を把握し続けるのが重要な新規事業開発。得られたデータをもとに改良や変更を重ね、徐々に魅力的なサービスへ「育てていく」感覚を持ち続けるのは、実は根気が必要な作業です。
能力があり、自信や実績があるほど不都合なデータと直面するのは苦痛を伴うものですが、慢心せずにデータ(現実)と向き合い、改善を繰り返せるメンバーが居てこそ、顧客に寄り添った新規事業が生まれると言えます。
新規事業に向いている人が持つ8つの特長
先述した「デキない人」が持っている要素の他にも、新規事業の創出に向いている人には以下のような特長があります。ここでは下記の8つの特長について、詳しく見ていきましょう。
・スピード感を持って行動できる
・論理的に思考できる
・課題を把握してヒントに繋げられる
・チャレンジを続けられる
・事業の核を理解し実現できる
・事業のコストを把握できる
・情報収集に長けている
・プレゼン能力が高い
それぞれ詳しく見ていきます。
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スピード感を持って行動できる
新規事業に向いている人の特長として、スピード感を持って行動できる点が挙げられます。ここでいうスピード感とは、仕事が早いという意味ではありません。新規事業に向けて何を行うかを明確にし、「計画的に進められる」というスピードの管理能力を指します。
計画立案やデータ分析、資料作成など新規事業を行う上で必要なタスクは多岐に渡りますが、各タスクを計画的に順序良く進めていく能力がないと無限にタスクが湧いてきてしまうため、区切り良く次のフェーズへ移行できるスピード感を持っていることが大切です。
論理的に思考できる
論理的に思考できる点も新規事業に向いている人の特長です。新規事業を成功させるには「何となく」といった感覚的な判断はNGです。一部の天才的な起業家は感覚的に事業を始めて成功を収めますが、感覚的に新規事業を初めて成功するのは容易でありません。
新規事業を軌道に乗せるためには、事業内容や戦略を論理的に組み上げ、細かく仮説検証を繰り返しながら展開していくことが不可欠です。新規事業を始める際は、論理的な思考に長けた人材を集めましょう。
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課題を把握してヒントに繋げられる
課題を把握してヒントに繋げられる人も新規事業に向いています。新規事業の草案は、消費者が抱える課題や競合他社の状態を土台にして考えるケースが多いです。そのため、現状の課題をヒントに事業案を立てられる能力は非常に重要。
新規事業の立案は「ゼロからイチを生み出す」というイメージが強いかもしれませんが、企業内での新規事業立案は必ずしもそうではありません。むしろ既存の課題をもとにして事業案を広げていくことが多く、全くのゼロから事業が誕生するとは考えにくいのです。
このため、課題をもとにしてヒントに繋げられる人材は新規事業において重要な戦力です。
チャレンジを続けられる
新規事業のメンバーを集める際には、チャレンジを続けられる姿勢も求めたいところです。新規事業は最初からいきなり成果が出ることは少なく、失敗しながら改善を繰り返し、チャレンジを続けていくことが新規事業の成功に不可欠です。
一度の失敗で諦めない精神力・ポジティブさが必要になると考えてください。
事業の核を理解し実現できる
事業の核を理解して実現できる能力も新規事業の展開で必要になります。「なぜこの事業を始めるのか」を把握し、それに基づいて新規事業の戦略や目的、展開の手法などを理解していないと、足並みを揃えて新規事業を進められません。
同じ方向を向いて新規事業を展開するためにも、事業内容を理解する力が求められます。また、理解した内容をもとに、実現に向けて行動する力も不可欠。理解力と行動力のバランスに長けた人材も新規事業に適任といえるでしょう。
事業のコストを把握できる
新規事業の担当者は、事業のコストに関しても把握しなければなりません。
新規事業を立ち上げる際は、大なり小なり費用がかかります。予算内で新規事業を行うためにも、各種コストの正確な把握が重要です。コスト感覚に優れた人材であれば、事業の費用対効果に対しても敏感に反応できるでしょう。
情報収集に長けている
情報収集に長けている人材も新規事業の担当者に適任です。新規事業を始める際は、自社商品やサービスの情報はもちろん、市場や競合他社、顧客データに至るまで、収集すべき情報が多岐に渡ります。
各情報を適切に収集・分析できる能力があってこそ、成功しやすい新規事業が生まれるのです。データドリブンな経営や意思決定を実現するためにも、情報収集に長けたメンバーを集めましょう。
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プレゼン能力が高い
プレゼン能力が高い点も、新規事業の展開で重要になります。プレゼン能力が高い人材は、新規事業の内容や特長などを分かりやすく説明可能です。どれだけ魅力的な新規事業であっても、プレゼンを上手く実施しないと外部からの評価は得にくいですよね。この点、プレゼンに長けた人材がいれば新規事業のアピールは問題なく行えると考えて良いでしょう。
メンバー・リーダー必見!新規事業創出に向いている人になる方法
新規事業に向いている人になるポイントとして、下記の3点が挙げられます。
・起業家と積極的に交流する
・デモの新規事業を企画してみる
・新規事業計画書を作成してみる
それぞれ詳しく見ていきます。
起業家と積極的に交流する
新規事業に向いている人になるには、起業家と積極的に交流することがポイントです。起業家と交流すれば、事業に対する姿勢やチャレンジ精神、忍耐力などが学べますし、それらの思考をトレースするだけでもかなり新規事業の立ち上げに生かせるでしょう。
また、起業家から新規事業の失敗談などの実体験を教えてもらうことも可能でしょう。近年はSNS等で起業家が積極的に情報発信している姿も見られます。SNSを通じて起業家と交流を図るのもおすすめです。
メンバーは積極的に起業家との交流を図ってみるのが良いでしょうし、リーダーは起業家との交流が持てそうなセミナーや講習会にメンバーを参加させるのも良いでしょう。新規事業創出に生かせる能力が身に付くよう、チームが一丸となって成長を意識することが大切です。
デモの新規事業を企画してみる
デモの新規事業を企画してみるのも新規事業の人材育成では有効です。新規事業の企画や戦略の立案、コスト把握、人員配置に至るまで、新規事業の流れを全体的に把握できます。
その企画に実際に取り組むか否かはともかく、事業の骨子を把握しているのといないのとではパフォーマンスに大きな差があるため、メンバーが集まった時点で研修として実施してみるのがおすすめ。
チーム全体でプレゼンまで実施し、意見を出し合って「主観的な事業の見え方」と「客観的な事業の見え方」の差を体感することも重要です。
新規事業計画書を作成してみる
新規事業の立ち上げメンバーを育てるには、実際に事業計画書を作成してみるのがおすすめ。事業計画書に記載する内容は多岐にわたりますが、一つずつ明文化していく中で「どうしても書けない」「自信を持って書けない」という箇所が出てくることでしょう。
こうした不明瞭な箇所は、新規事業におけるブラックボックスです。このブラックボックスをできるだけ減らし、新規事業という予測不可能な事柄をコントロール可能なものに変えていく作業こそ、事業を成功させる上で最も重要な意識と言えます。
例えば「どのようなニーズに応える事業なのか」という欄はするする書けても、「実際のオペレーションや業務フロー」に関しては筆が止まってしまいがちですし、「必要な資金や収支予測」といった欄では具体的な試算が必要です。
こうしたブラックボックスを詰め切った上で、ようやく「どれくらいの利益が見込めるのか」「顧客にどんな価値が提供できるのか」といったゴールの真実味が生まれてきます。
逆に言えば、これらを詰め切れないメンバーが集まって新規事業を立ち上げたとしても、成功する可能性は低いでしょう。新規事業の立ち上げで直面する「あいまいさ」を潰していけるよう、メンバーそれぞれに新規事業計画書を作成してもらうのは有効な手段です。
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新規事業に向いている人を確保するには?
新規事業に向いている人を確保するためには、下記の3点を押さえてください。
・採用時にスキル・能力を把握しておく
・他部署からも人材を募る
・社内研修で人材を育てる
それぞれ詳しく見ていきます。
採用時にスキル・能力を把握しておく
新規事業の人材を採用する際は、採用時にスキル・能力を把握しましょう。これらの確認を怠ると、採用した後に期待していた成果を出せなかったり、お互いの認識に齟齬が生じたりする可能性も。
少数ではありますが、転職希望者の中には自身のスキル・能力を誇張して履歴書に記載しているケースも少なくありません。面接の段階で採用候補者のスキル・能力を詳細にチェックしておけば、採用後に安心して新規事業関連の業務を任せられます。
具体的にどのような成果を生み出したのか、その成果に対してどの程度の貢献をしていたのか、といった点も踏まえ、採用時にチェックしておきましょう。
他部署からも人材を募る
他部署から新規事業に向いている人材を募るのもおすすめです。外部から新たに人材を採用する場合は、求人情報を公表してから書類審査、面接に至るまで多大な労力がかかります。しかし、社内で人材を募れば人事業務の負担を抑えつつ、自社の内情を理解した人材を集めやすいのです。
また、既に働きぶりを知っている従業員を扱うため、個々の能力やスキルに関しても予測しやすいというメリットがあります。新規事業に向いている人材が社内にいる場合は、部署を問わず新規事業の立ち上げに登用してみるのがおすすめです。
社内研修で人材を育てる
社内研修で新規事業の立ち上げに向いている人材を育てるのも一つの方法です。新規事業を立ち上げる際に求められるチャレンジ精神や忍耐力、事務処理能力などを、研修によって鍛えます。
従業員にとっても、これまでの仕事に対する姿勢を見直したり、新たな気持ちで業務に取り組んだりするきっかけになるでしょう。全体に向けて社内研修を行う際は、強制参加ではなく、従業員の希望参加形式にするのがおすすめです。
主体性を持ち、自ら希望して研修に参加する従業員を集められるので、少なくとも研修に参加するメンバーはそれだけ新規事業に対するモチベーションが高いと言えます。研修の効果が得やすくなり、参加者の中からメンバーを集めればモチベーションの高いチームが組めるでしょう。
その後、チームの中で足りないスキルや能力が把握できたら、それらを補うための研修を行うのがおすすめです。
新規事業に向いている人を集めて事業を成功させる
新規事業に向いているのは、いわゆる天才的・感覚的な人材よりも、地道な仕事を丁寧に継続できる人材と言えます。また失敗を恐れず、何度もトライできる人材も新規事業に最適と言えますね。
これまで解説した新規事業に向いている人の特長を参考にしつつ、今後の人材育成や採用、チームビルディングに生かして頂けますと幸いです。
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