「メタバースに掲載される広告とはどんなもの?」
「メタバースにはどんな広告が掲載できる?」
「メタバースに広告を掲載した事例はある?」

あなたはこのような疑問を抱えていませんか?

メタバース空間内では、広告掲載やマーケティングが行われることもあります。

今までにない形での広告掲載も可能となるため、新しい形での商品・サービスのPRが可能です。

ただメタバースは近年知られ始めたばかりもので、どんな広告が掲載できるのか・どんな形で掲載すれば良いのかなど、分からないことも多いでしょう。

この記事では、以下の内容を解説します。

  • メタバースで出稿できる広告の種類
  • メタバース広告のメリット
  • メタバース広告の活用事例

メタバース広告について知りたい場合は、ぜひ参考にしてみてください。

メタバース広告とは?出稿できる広告の種類

メタバース広告とは仮想空間で配信される広告のことで、企業が新たなマーケティングの手段として注目しています。

メタバースで出稿できる広告の種類は、以下のものです。

  1. カスタマイズ広告
  2. インフルエンサーと組み合わせた広告
  3. 自社のショップ・イベントでのPR

順番に見ていきましょう。

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カスタマイズ広告

カスタマイズ広告とは、個人の検索行動からニーズを読み取り、一人ひとりにあった内容の広告を表示するものです。

スマホアプリでもカスタマイズ広告が差し込まれていますが、同じものをメタバース上で実施します。

メタバースでは、空間内にある不動産がデジタル広告の掲載スポットです。

すでにスマホアプリ等で実施されているものと同じ仕組みであるため、メタバース広告の中でも参入障壁が低く出稿しやすいでしょう。

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インフルエンサーと組み合わせた広告

メタバース上でインフルエンサーが、商品・サービスをPRする形の広告です。

メタバースに出稿する場合、AI搭載がされた3D人型ロボット「デジタルヒューマン」の需要が高まると予想されています。

広告主の意向に沿う形で設計されており、AIによる自動学習で全て思うように制作可能です。

インフルエンサーも人間であるため、自社にとって不都合な言動が見られ炎上するリスクもあります。

デジタルヒューマンなら宣伝文言も企業側が全て考えられるため、不都合な言動による炎上の心配は不要です。

また、これまでのインフルエンサーマーケティングで培ったノウハウをAIで活用できるため、より効果的なPRができるでしょう。

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自社のショップ・イベントでのPR

メタバース上に自社のショップを開き、商品・サービス体験などを通してPRする方法です。

ユーザーにメタバース内でブランドの世界観を体感してもらえ、サービスの認知から検討、購入までの一連の流れをメタバース上で全て完結させられます。

ショップを活用した事例では、スポーツブランド「NIKE」が「Roblox(ロブロックス)」上に開設したメタバース空間「NIKELAND」が有名です。

NIKELANDでは、自分の分身であるアバターを通じてアクティビティを楽しんだり、NIKEのアイテムを着用したりできます。

無料で使えることから、アメリカやアジアを中心に多くの利用者を獲得。世界中への認知につなげています。

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メタバース広告を出稿するメリット

メタバースに広告を出稿することで、以下のメリットを得られます。

  1. ストーリー性が高く没入感のある広告を出せる
  2. アバターやNFTなどの技術で新しい価値を提供できる
  3. 新たな顧客層を獲得可能

順番に見ていきましょう。

ストーリー性が高く没入感のある広告を出せる

メタバース上では従来の広告より、没入感のある内容を配信できます。ストーリーテリングと呼ばれる、伝えたい内容をストーリーを用いて語る手法が効果的です。

メタバース広告は、3Dでバーチャルスペースの中において持続性が保たれます。ページを閉じると消えるWeb広告と違い、ユーザー側の目に留まる時間が長いということです。

またメタバース上では、ユーザーが仮想空間に没頭します。そのため物語でメッセージを伝えることで、従来の広告よりも強い印象を与えられるのです。

アバターやNFTなどの技術で新しい価値を提供できる

メタバースでは、アバターやNFTといった新しい技術を広告に活用できます。従来の広告とは違う形で掲載できるため、新しい価値の提供につながる可能性があるのです。

一例としてゲーミングプラットフォームの「ROBLOX」の中には、Immersive Adsという、没入型広告があります。

3D空間の中でポスターに掲載されているモデルが着ている服を気に入ったら、ポスター内の空間に入り試着や購入ができるというものです。

新しい技術を活用することで、今までにない購買体験が可能となります。メタバースに置いても、アバターやNFTによって全く新しい価値が提供されるかもしれません。

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新たな顧客層を獲得可能

企業は、メタバースを活用することで、新たな顧客層を獲得できます。メタバースを通じて、これまで接点のなかった顧客に認知してもらえる可能性があるためです。

またメタバース広告は、以下の方法で利用できます。

  • イベントの開催
  • 動画やコンテンツの配信
  • バーチャルストアの展開

特に初心者向けの体験や参考情報を提供することで、顧客の行動を促せるのです。

初めて接点を持つ顧客に効果的にPRすることで、新たなファンを獲得できるでしょう。

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メタバース広告の活用事例

メタバース広告には、以下のような活用事例があります。

  1. バーチャル伊勢丹
  2. バーチャル秋葉原
  3. BEAMS(VRイベントに出展)
  4. 日産自動車(軽自動車の試乗会を開催)
  5. 吉本興業(観光名所を再現)

順番に見ていきましょう。

バーチャル伊勢丹|オンライン上でリアルな購買体験が可能

バーチャル伊勢丹は、スマートフォン向けメタバース「REALITY」に公開されたサービスです。

三越伊勢丹とREALITYの期間限定コラボで、2022年12月21日から2023年1月18日までの約1ヵ月間公開されていました。

三越伊勢丹から提供された「仮想伊勢丹新宿店」のCGデータを使用しており、ファッションやインテリアなど、幅広い商品を取り扱っています。

バーチャル伊勢丹では、見つけた商品をそのままオンラインショップで購入可能です。アバターでショーウインドウの中に入り、マネキンごっこをする楽しみ方もできました。

REALITYの認知拡大につなげると同時に、三越伊勢丹の実店舗への集客にもつなげています。

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バーチャル秋葉原|地域共創型XR街づくりプロジェクトとしてオープン

バーチャル秋葉原は、AKIBA観光協議会大日本印刷が共同で運営しているバーチャル空間です。

現実世界と仮想世界を融合させた「地域共創型XR街づくりプロジェクト」として、2022年4月からオープンしました。

実際の秋葉原と同様に電気街のお店やカフェ、ゲームセンターなどがリアルな3Dグラフィックで再現されています。

秋葉原の看板も再現されており、広告掲載が可能です。そのためさまざまな企業が広告を通し、情報発信や販促活動を行うこともできます。

ユーザーの楽しみ方は、アバターを通した買い物やバーチャルゲームへの参加などです。今後はNFTを活用し、クリエイターの二次創作の支援が予定されています。

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BEAMS|VRイベントに出展し実店舗への送客につなげた

セレクトショップであるBEAMSは、VRイベントとして世界最大の「バーチャルマーケット」に5回出展し、商品をPRしています。

原宿の店内をバーチャル接客拠点とし、社員約40名が交代制で接客対応していました。

アバターの洋服アイテムの販売や、池田エライザさんによるバーチャルライブも開催され、多くの来場者にBEAMSをアピールしています。

またバーチャルマーケット上での接客を通じて、リアル店舗への来客に繋がった事例も。

BEAMSはメタバースを、実店舗への集客のための広告としても活用しました。

日産自動車|軽電気自動車「日産サクラ」の試乗会をメタバース上で開催

日産自動車は、世界最大のVR SNS「VRChat」上で「日産サクラ」の試乗会を開催しています。

日産サクラの発表は、リアルとメタバース上の両方で連動する形で行われました。

発表と同時にバーチャル試乗ワールド「NISSAN SAKURA Driving Island」をオープンし、世界中のどこからでも参加できるようにしたのです。

試乗会では、自分で運転席に座って運転したり後部座席に座ったりと、現実の試乗に近い体験ができました。

リアルでの試乗と合わせて実施することで、幅広いユーザーへのPRにつなげています。

吉本興業|養父市の観光名所をメタバース上で再現

吉本興業は、人口約2万人の養父市の観光名所をメタバース上に再現しました。

メタバース上で養父市を観光してもらうことで、現実世界でも訪れてもらうことを目的としています。

オープンイベントでは野生爆弾くっきー!さんやとろサーモンの村田さんらが参加したほか、養父市長がアバター姿で登場しました。

養父市長は、メタバースをきっかけに世界中の人に養父市の観光や市民との交流を楽しんでもらい、将来的には現実世界でも訪れてほしいという考えをコメントで残しています。

メタバースはビジネスだけでなく、地方創生のための広告活用も可能です。

メタバース広告運用における課題やリスク

メタバースでの広告運用は多様な可能性を秘めていますが、同時に以下のような課題・リスクも抱えています。

  1. まだ利用者が少なくターゲットが限定される
  2. 導入コストがかかる
  3. 情報の過剰提供になるリスクがある

順番に見ていきましょう。

まだ利用者が少なくターゲットが限定される

メタバースはまだ発展途上のサービスで、一部の人しか利用していません。そのためメタバースに広告を出稿しても、ターゲット層が限定されてしまう恐れがあります。

ビジネスとしてのメタバースの利用方法もまだ確立されていないため、どのように使うべきか迷う場合も多い傾向です。

広告を掲載しても効果的に活用できず、思うような効果を得られないかもしれません。

ただメタバースは、今後の伸びが期待される分野です。早期に参入することで、先行者利益を得られる可能性があります。

難しい面が多いですが、メタバースを広告活用する方法はないか検討してみると良いでしょう。

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導入コストがかかる

メタバース広告の制作費用は現在は高く、導入するには多額のコストがかかります。

イベントで利用する場合、対象となるアプリや開催規模にもよりますが、100万円〜1,000万円ほどが相場の金額です。

簡単に用意できる金額ではないため、メタバース広告を導入できるのは大手企業や一部の先進的な事業者に限られるでしょう。

ただ2023年2月時点でも、以下のように参入障壁が低くなるサービスも登場しています。

(引用:PR TIMES|日本初のVRメタバース専門広告代理事業DC ADVirth(ディーシーアドバース)11月1日正式サービス開始。VRChatにも広告掲載が可能になりクリエイターにも還元|

そのため今後、今よりも低いコストでメタバースに広告掲載できるようになる可能性は高いでしょう。

情報の過剰提供になるリスクがある

メタバースに掲載する広告が、情報の過剰な提供になる恐れがあります。

メタバースは自由度が高く、リアルでは実現が難しい広告も作成し掲載可能です。

広告過剰な状態となると、ユーザーの興味を引くどころか、逆に飽きさせたり不快感を与えたりとマイナス要因になるかもしれません。

現在のネットにも、一見広告に見えにくいものが溢れています。メタバースは自由度が高い分、その傾向がより強まる恐れもあるのです。

広告主はメタバースで広告の可能性を十分に引き出すため、扱い方に十分な配慮が必要となります。

メタバース広告がもたらす未来のマーケティング|電通・博報堂の見解

メタバースでの広告出稿は、大手広告代理店の株式会社電通グループや博報堂も注目しています。

2社ともメタバースの広告効果への期待は持っているものの、使い方には注意が必要という見解です。

日本を代表する広告代理店2社の見解から、メタバースの未来を考えてみましょう。

博報堂|広告が体験を邪魔するものになってはいけない

博報堂は、メタバースに広告を出稿することで、メタバースでの体験を邪魔するものになってはいけないというコメントをしています。

メタバースは自由度が広く、さまざまなユーザーにリーチできるサービスです。

物理的制約がほぼないため、リアルだとコストがかかる広告も作れます。

大きな利点ではありますがその反面、過剰な広告とモニタリングでユーザーに嫌悪感を生じさせる恐れがあると考えているのです。

博報堂の目黒慎吾氏は、広告がメタバースでの体験を邪魔するものになっていないか、さまざまな視点から考える必要があると述べています。

(引用:東洋経済ONLINE|博報堂と電通も熱視線注ぐメタバース広告の裏側|東洋経済

電通グループ|メタバース広告を出すだけでは効果は低い

電通グループも、メタバースでの広告掲載によるマーケティングのあり方を模索中です。

電通は2021年の東京ゲームショウで、NTTと共同でメタバースでの広告モデルの実証実験を行いました。

その実験では、単純に看板を出すだけではユーザーの行動を変えられないという結果が出ています。

いくらメタバースとはいえ、単に看板広告を掲載するだけでは商品・サービスの購入にはつながらないということです。

メタバースはユーザーの視野や映像の解像度を調整する関係で、注目したいもの以外に意識が向きにくいという特性があります。

そのため周辺視野を活かした看板広告は、現実世界よりも効果が薄いのです。

広告効果を最大化するには、広告を掲載する企業側も、メタバースの特徴と自社サービスとの関係性も理解しておく必要があると言えます。

まとめ

メタバースはユーザーだけでなく、広告を掲載する企業にとっても自由度の高いプラットフォームです。

現実世界では掲載が難しい広告の掲載も実現できるため、多種多様な可能性を秘めています。

その反面メタバースには導入面での課題、広告掲載におけるメタバースならではの欠点もあるため注意が必要です。

ただメタバースは今後の成長が見込まれる分野のため、早期参入することで先行者利益を得られる可能性があります。

今回の内容も参考に、メタバースでの広告掲載を検討してみてください。

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