インターネットの仮想空間に参加し、他者との交流も可能であるメタバース。その将来性から、さまざまな企業の注目を集めています。

この記事では、メタバースに参入している日本企業について業種別に紹介。メタバースのブームの背景や将来性についても解説します。

この記事を読めば、日本企業のメタバースに関する取り組みがよく分かります。メタバースに興味のある人は、ぜひ最後までご覧ください。

メタバースに参入した日本企業の一覧|業種別に紹介

メタバースに参入し、実際にビジネスを始めている日本企業について、業種別に紹介します。紹介する業種は、以下の5つです。

  • メタバースプラットフォーム運営
  • メタバースゲーム
  • メタバースイベント
  • BtoBビジネス
  • デバイス開発

メタバースプラットフォーム運営

メタバースにおけるプラットフォームとは、メタバースを利用する際に必要となる、サービスの基盤です。代表例としては、プラットフォームの先駆けとも言える「Second Life」や、会議などに利用できる「Horizon Workrooms」などが挙げられます。

Cluster

Clusterは、クラスター株式会社から提供されている、日本最大級のメタバースプラットフォーム。VR機器だけでなく、スマートフォンやPCなどから、数万人が同時にアクセス可能です。

Clusterの中では、誰でもライブやカンファレンスなどに参加でき、エンタメを楽しんだり仕事をしたりできます。常設化されているワールドやゲームなどで、誰かと一緒に遊ぶことも可能です。

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NTTドコモ

携帯電話の通信サービスを提供しているNTTドコモも、メタバースへの参入を進めています。NTTドコモが提供しているメタバースプラットフォーム「XR World」では、アバターを通して他者との交流が可能です。

専用のアプリ等は不要であるため、Webブラウザから誰でも簡単にアクセスできるでしょう。

XR World内では、さまざまな有名アーティストによるライブ映像や、アニメのMVも楽しめます。将来的な目標は、アバターのカスタマイズや、共通の話題でコミュニケーションできるサービスの提供です。

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その他のメタバースプラットフォーム運営企業

  • エイベックス
  • エムアップ・ホールディングス
  • Kudan
  • GMOインターネット
  • フジ・メディア・ホールディングス

メタバースゲーム

メタバースはこれまで、オンラインゲームにより発展してきました。代表例は、Epic Games社が開発したFortniteです。

Fortniteにはクリエイティブモードやパーティーロイヤルモードなどがあり、仮想空間を作って遊んだり、アーティストのコンサートを楽しんだりできます。

Thirdverse

Thirdverseは、「メタバースに自分の心が落ち着く場所を創り続ける」という信念のもと、VRゲームの開発に力を注いでいます。これまでにリリースしたVRゲームは、「ソード・オブ・ガルガンチュア」や、「ALTAIR BREAKER」など。

これらのゲームでは、VRゲームが強みとする直感的な操作でプレイ可能です。世界中のプレイヤーと、コミュニケーションも楽しめます。

GREE

GREEとは、グリー株式会社によって運営されているソーシャル・ネットワーキング・サービスです。スマートフォンからのみアクセスでき、無料でソーシャルゲームを楽しんだり、メッセージをやり取りしたりできます。

グリー株式会社の完全子会社である、REALITY株式会社が提供しているメタバースが、バーチャルライブ配信アプリの「REALITY」です。スマートフォンを使ってアバターの姿になれば、顔を出さずに配信活動を行えます。

REALITYのサービス「REALITY World」では、展示会や交流会などのイベント、バーチャル支店やデジタルツイン都市などの開発が可能です。

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その他のメタバースゲーム企業

  • カプコン
  • スクウェア・エニックス・ホールディングス
  • ソニーグループ
  • 任天堂
  • バンダイナムコホールディングス
  • ネクソン

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メタバースイベント

メタバース内で開催されているイベントも多いです。メタバースイベントが広がった背景には、新型コロナウイルスの影響による対面活動の制限が挙げられます。コロナ禍で完全に定着したため、今後も続くと期待できるでしょう。

HIKKY

VR Awards 2020やXR Creative Award 2020で最優秀賞を獲得し、注目を集めている「HIKKY」。企業には独自のVRサービスを、クリエイターには発表の場所を、ユーザーには自由な世界の提供を掲げています。

HIKKYは、すでに多くの開発事例を持っています。代表的なものは以下の通りです。

  • バーチャル秋葉原駅(JR東日本)
  • Audi e-tron VR試乗体験ブース(アウディジャパン)
  • バーチャルマーケット5ゴジラ出現(東宝)
  • バーチャルHAWKS STORE(ソフトバンクホークス)
  • バーチャルボートショー(トヨタ自動車)

このように、さまざまな大企業にVRサービスを提供しています。

KDDI

大手電気通信事業者であるKDDIが提供しているメタバースイベントが、Cluster内での「バーチャル渋谷」。現実の渋谷と連携し、同じコンテンツを映し出しているミラーワールドです。バーチャル渋谷は配信プラットフォームでもあり、渋谷区から公認されています。

バーチャル渋谷では、アーティストのライブやトークイベントなど、渋谷をイメージしたイベントに自宅から参加可能です。もちろん、エンターテインメントを発信することもできます。

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その他のメタバースイベント企業

  • IMAGICA GROUP
  • ANAP

BtoBビジネス

企業同士のビジネスモデルであるBtoBビジネスにおいても、メタバースは浸透しつつあります。特に、製造業や建設業の世界では産業用メタバースと呼ばれており、企業によってはビジネスに欠かせない存在です。

リコー

リコーが開発し、企業での導入も進んでいるサービスが、「リコーバーチャルワークスペース」です。スタートアップ企業や起業家を支援する取り組み「TRIBUS」から生まれました。

リコーバーチャルワークスペースでは、VRを利用して同じ空間を共有します。同じ場所にいなくても、オフィスにいるようなコミュニケーションが可能です。

リコーバーチャルワークスペースには、発想を共有できるスクリーンシェアや、音声入力機能も用意されています。ブレインストーミングをはじめとするミーティングへの活用が可能です。

凸版印刷

世界最大規模の総合印刷会社である凸版印刷も、メタバースに参入しています。ビジネスでのコミュニケーションを目的に開発されたサービスが、「MiraVerse」です。

MiraVerseでは、凸版印刷の事業の技術を活用し、現実を取り込んだ臨場感ある空間を実現。建物や製品などが正確にデータ化され、あたかもリアルの世界かのような空間が広がっています。ユーザーによる自由な創作も特長の1つと言えるでしょう。

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パーソル

パーソルマーケティング株式会社もメタバースに参入し、メタバース市場で人材サービス事業をスタートしました。メタバースの構想作り・環境構築などを行うとともに、メタバースで働けるような人材育成にも取り組んでいます。

パーソルがメタバースに参入した理由は、メタバース事業の拡大や雇用の変化など。メタバースでの勤務が広がれば、多様な働き方の実現が期待できるでしょう。

その他のBtoBビジネス企業

  • シャノン
  • CRI・ミドルウェア
  • テクノプロ・ホールディングス

デバイス開発

メタバースの世界に入るには、何らかのデバイスを必要とします。現在、代表的なデバイスであるのが、VRヘッドセットやVRメガネです。開発課題として、機器の小型化や性能面での向上が挙げられます。

パナソニック

大手電機メーカーであるパナソニックも、メタバースへの参入を着々と進めています。代表的なものが、完全子会社が開発した「MeganeX」と「Pebble Feel」です。

MeganeXとは、高解像度と軽量を両立させたVRヘッドセット。長い時間をメタバース内で過ごすヘビーユーザー向けに、軽さの追及にこだわっています。

Pebble Feelとは、メタバースに連動したウェアラブル冷温デバイスです。専用のシャツと組み合わせると、メタバース内でも暑さや寒さを感じられます。

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キヤノン

映像機器を主に取り扱っているキヤノンも、メタバースのデバイスである「AMLOS」を開発しています。VRコミュニケーションを可能とする「Kokomo」の開発も進んでおり、さらなる成果が期待できるでしょう。

AMLOSの特徴は、オフィスにカメラを1台設置するだけで、複数視点の映像を同時に配信できる点です。在宅ワークのオンライン会議に適した、Web会議ソリューションであると言えます。

メタバースに参入する日本企業が激増中!その背景は?

メタバースとは、インターネット上に存在する仮想空間です。メタバースの中では、アバターと呼ばれる自分の分身を通し、他者との交流を図れます。

現在のインターネットには、FacebookやInstagramなどさまざまなSNSがありますが、メタバースはSNSの未来形とも言えるでしょう。

メタバースは日本企業から大きな注目を集めています。日本企業のうち約5割がメタバースについて認知しており、メタバースの盛り上がりとともに、今後もさらに増加していくでしょう。認知している企業のうち2割が、自社ビジネスへの活用に興味を持っています。

メタバースへの参入は、企業だけにとどまりません。自由民主党が、メタバース・プラットフォームであるCluster内で演説会を行うなど、政界においてもメタバースの活用が進んでいます。

仮想空間におけるオンライン交流の需要が高まっている

新型コロナウイルスの世界的な流行により、仕事や学業などにおける対面での交流が制限されている今、オンライン交流の需要が高まっています。在宅ワークやオンライン授業などの際に、ZoomなどのWeb会議サービスを利用している人も多いでしょう。

その中で、仮想空間でのオンライン交流にも注目が集まり、メタバースに関心を持つ人も増えています。代表的なメタバースでの交流サービスは、Meta Platformsが提供している「Horizon Workrooms」です。

参加者は、身振り手振りによって自分のアバターを操作でき、対面での会議のようなコミュニケーションを図れます。

内閣府が掲げるムーンショット計画

人が身体・脳・空間・時間の制約から解放された社会の実現を目標に、内閣府が掲げている「ムーンショット計画」。少子高齢化や多様なライフスタイルの追及が背景にあり、新たなビジネスや産業の創出も期待されています。

2050年までに計画を達成するため、内閣府により推進されているのが、サイバネティック・アバターです。サイバネティック・アバターとは、自分の代わりとなるロボットや3D映像を示すアバターに加え、人のさまざまな能力を拡張する技術をも含む概念。

サイバネティック・アバターの概念はメタバースとの関わりが深いため、メタバースは国を挙げた事業とも言えるでしょう。

海外投資家も注目する日本のテクノロジー

メタバースはインターネットにおける今後のトレンドとして期待されているため、国内外の投資家たちは関心を寄せています。そんな中で、海外の投資家たちは日本のテクノロジーにも注目しています。

日本企業の中で、海外投資家からの一際大きな注目を集めているのが、ソニーグループです。ソニーグループは、アメリカ・ラスベガスで毎年開催されているテクノロジー見本市(CES)に参加し、新会社の設立計画やSUVの試作車などで話題となりました。

また、ソニーグループはCESにて、スポーツにおける判定を補助するカメラシステムである「ホークアイ」を発表。ホークアイは、ライブ映像で捉えた動きをデータに変換した後、3次元コンテンツを生成します。

ファンがアバターを作成すれば、仮想空間内での交流も可能です。

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将来性の鍵は新たなコンテンツの創造と消費!

メタバースへの注目が集まり続ける中で、日本だけでなく世界中の企業が参入を果たしています。将来的に参入企業が多くなれば、次第にプラットフォームの淘汰が進むでしょう。

そのため、将来性が高いのは、プラットフォームへの依存度が低い企業だと言えます。プラットフォームの淘汰が進んでも、厳しい競争を生き残る可能性が高いからです。

メタバースはインターネット上の仮想空間であるため、今後は現実に依存していないことも求められるでしょう。現実やプラットフォームに依存せず、新たな価値を生み出せる企業にこそ、メタバースにおける将来性があると言えます。

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まとめ

新型コロナウイルスの影響もあり、世界中でメタバースへの注目が集まっています。内閣府がムーンショット計画を掲げるなど、国を挙げた事業とも言えるでしょう。
世界の企業にメタバースの世界で後れを取らないために、日本企業も続々と参入しています。日本のテクノロジーは海外投資家からも注目されていますが、テクノロジーに頼りきりではなく、新たなコンテンツを創造できるかどうかが将来性の有無を分けるでしょう。

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