収入の多角化を狙って、新規事業の開発を考える企業も多いでしょう。新規事業開発の成功は、企業の継続的な発展につながるといえます。
しかし新規事業開発には、専門的なスキルが必要です。なかには社内のメンバーだけで新規事業開発を始めることが不安な企業もあるかもしれません。
この記事では、新規事業開発をサポートしてくれるコンサルについて、受けるメリットデメリットや、費用、選び方について解説します。
ぜひ最後までご覧ください。
新規事業開発のコンサルとは
コンサルタントとは、クライアントの経営課題を解決し、業務改善をサポートする組織です。コンサルタントのなかには専門分野があり、新規事業開発に特化した組織が存在します。
新規事業開発に特化したコンサルタントは、専門的な知識と経験をもとに、あらゆる角度から事業計画を立案・見直します。社内のリソースだけでは対応できない部分も、コンサルタントへの依頼で解決できる可能性が高まるでしょう。
新規事業開発コンサルのおもな業務範囲と進め方
新規事業開発コンサルのおもな業務範囲は、以下のとおりです。
- アイデア出し……魅力的で斬新な事業アイデアの発案、市場調査
- ビジネスモデルの検討……利益回収のポイントや、事業計画の検討
- 事業立ち上げ……事業立ち上げや管理、撤退基準のサポート
- 組織強化……新規事業開発のノウハウ共有、人材育成
依頼するタイミングは、企業が抱える課題によって異なります。たとえば「ある程度アイデアは固まっているが事業計画の妥当性がわからない」という場合は、「ビジネスモデルの検討」のタイミングの依頼が考えられます。
次に、新規事業開発コンサルに依頼するおおまかな進め方は、以下のとおりです。
- 自社の課題と依頼事項を整理する
- コンサルの依頼先を決定する
- 新規事業開発の開始・コンサルティングの実施
まず自社が「どんなことに困っているのか」「どのような状況なのか」を整理します。次は支援内容や費用、スケジュールなど必要条件が一致した企業との、コンサルティング契約の締結です。最後に、新規事業開発とともにコンサルティング業務がスタートします。
新規事業開発のコンサルの受ける費用の相場
新規事業開発のコンサル費用は、依頼先や支援する内容によって大きく異なります。おおまかな費用の相場は以下のとおりです。
- プロジェクト契約……10〜100万円/月
- 1時間あたりの時間契約……5,000円〜/時間
- 顧問契約……20〜50万円/月
たとえばアイデア出しから事業立ち上げ、事業強化に至るまですべて依頼する場合、年間2,000万円以上かかる場合もあります。支援内容は個別具体的な性質が強く、ネットで調べた金額と一概に比較することは難しいといえます。比較検討のために複数のコンサル会社から見積もりをとってみましょう。
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新規事業開発を立ち上げる際の失敗パターン5選と注意点
新規事業開発を立ち上げる際の失敗パターンと注意点は、以下の5つです。
- 短期的な事業戦略に終始している
- 既存事業のノウハウが生かせない
- 担当者の本気度・想いが足りない
- 事業開発のスピードが遅い
- 最新技術に対応できる人材が足りない
それぞれ順番に解説します。
1.短期的な事業戦略に終始している
目先の利益を優先して、短期的に効率よく稼げる事業展開を目指してしまう企業は多くあります。しかし新規事業開発の成功率は30%以下ともいわれており、短期で結果を出すのは難しいといえるでしょう。
短期的に利益を獲得しようとする例として、既存事業を横展開する計画が挙げられます。BtoB専門の商社がエンドユーザー向けのECサイトを立ち上げて、客層の多角化を目指すような事例です。
一見、既存事業とのシナジーが生まれ、すぐに利益が獲得できそうに見えるかもしれません。しかしチャンスがたくさんあるように見えるぶん、競合他社も同じところに目をつけている可能性が高いといえます。結果として、差別化できず、競合に埋もれて失敗する企業が出てしまいます。
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2.既存事業のノウハウが生かせない
既存事業で培ったノウハウを生かそうと考えても、必ずしもうまくいくわけではありません。多くの企業は成功した事業の継続によって成り立っており、新規事業開発のスキルが足りていない可能性があるためです。
むしろ成功体験に固執するあまり、斬新で魅力的なアイデアを生み出しにくい場合もあります。「成功した時と同じようにすれば良い」という考えだけでは、新規事業の発展は難しいでしょう。
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3.担当者の本気度・想いが足りない
会社に言われるがまま、なんとなく新規の事業を開発してもうまくいく可能性は低いでしょう。新規事業を立ち上げるには多くの人をまとめ、アイデアを出し、プロジェクトをまとめ上げる熱量が必要となるためです。
新規事業開発には、成果と期限のノルマが付き纏います。なかには新規事業開発を任されることに、後ろ向きな考えを持つ人もいるかもしれません。しかし、組織の一員として任されたからには、責任を持って本気で開発をやりきることが重要です。
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4.事業開発のスピードが遅い
開発のスピードは、新規事業にとって非常に重要なテーマです。新規事業開発は競合他社もしのぎを削っていて、一番手と二番手では大きな差が生まれる可能性があります。またマーケットも日々変動しており、設定する状況が変化すると見込んでいた事業の効果が期待できにくくなってしまいます。
事業開発が遅くなる原因のひとつは、開発チームのスキル不足です。何から手をつけてよいかわからない、開発をスムーズに進める全体の見通しがない、など経験値の少なさがスピードに影響する可能性があります。
また開発現場と決定権者とのスピード感の差も開発速度を落とす要因になり得ます。とくに意思決定プロセスが多い大企業であればあるほど、社内の稟議や決裁に時間がかかるといえるでしょう。
5.最新技術に対応できる人材が足りない
これからの新規事業開発に、DXやAIの知識は必要不可欠です。なかにはDXの実現が、新規事業開発の目的となっている企業もあるでしょう。
しかし社内のメンバーだけで人材を補うには、ハードルが高い場合もあります。中途採用で人材を確保したとしても、社内のカルチャーを理解するのに時間がかかるでしょう。結果として開発のスピード低下を招きかねず、事業が失敗する一因となり得ます。
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新規事業開発のコンサルを受けるメリット4選
新規事業開発のコンサルを受けるメリットは、以下の4つです。
- 事業開発のプロからノウハウを学べる
- 経営に第三者の視点を得られる
- 事業開発がスピードアップする
- 雇用契約と比べて人件費の削減につながる
それぞれ順番に解説します。
1.事業開発のプロからノウハウを学べる
事業開発に特化したノウハウを得られるのは、大きなメリットのひとつです。社内のメンバーだけではスキルが不足する傾向にある新規事業開発を、強力にサポートしてくれます。
たとえばビジネスモデルの検討や市場調査など、あらゆる角度から事業計画を見直すことは新規事業開発において必要不可欠です。プロフェッショナルをメンバーに加えることで、より洗練された事業にできる可能性が高まるといえるでしょう。
2.経営に第三者の視点を得られる
既存事業の枠や社内の階級にとらわれない客観的意見が得られるのも、コンサルを受けるメリットのひとつです。
内部からの目線だけで事業開発を進めると、社風や決定権者の意向に左右されて、開発に必要な新しい発想が生まれなくなる可能性があります。また、隠れた弱点を見落とす可能性も否定できません。
メンバーに加わったコンサルからは、純粋に事業計画をより良くするための意見を取り入れられるでしょう。また自分たちからは見えない視点からの意見は、特長を伸ばしたり弱点をフォローしたりできる可能性が高まります。プロスポーツ選手がコーチからフォームの指導を受けるように、事業を俯瞰できる目線は新規開発の大きな手助けになるでしょう。
3.事業開発がスピードアップする
即戦力を開発メンバーに加えられるため、ノウハウの共有により事業開発のスピードを一気に加速できるのが、コンサルを依頼する強みです。プロ視点のスピード感で事業計画を練り上げられれば、競合他社との差別化にもつながります。新規事業の経験が少ない企業にとっては、力強い味方になるでしょう。
スピードが重視される新規事業開発において、社内メンバーの育成と、事業成功との両立は、難しい側面があります。コンサルタントをチームに引き入れることでその点をカバーしつつ、経験値の蓄積により長期的な人材育成も期待できます。
4.雇用契約と比べて人件費の削減につながる
コンサルに依頼することで、社員との雇用契約に比べてトータルの人件費や工数をカットできる可能性があります。企業は社員に対して、多大な時間と手間をかけて研修や教育をしています。そのリソースを事業開発に割けるようになれば、新規事業開発はひとつ前進するでしょう。
新規事業開発のコンサルを受けるデメリットと注意点3選
新規事業開発のコンサルを受けるデメリットと注意点は、以下の3つです。
- コンサル費用がかかる
- 社内メンバーとの連携が取りづらくなる可能性がある
- すべてをコンサル任せにしない
それぞれ順番に解説します。
1.コンサル費用がかかる
当然のことながら、コンサルを依頼するには費用がかかります。費用の大きさは、コンサル会社やサポートの内容によって大きく差が出るポイントです。
費用をかけたことと、事業の成功はイコールではない可能性もあります。たとえば「請負報酬」型のコンサルに依頼した場合、事業の結果に関わらずコンサルティング業務そのものに対して報酬が発生します。コンサルを選ぶ際はさまざまな情報を慎重に吟味した上で、信頼できる依頼先を探さなくてはなりません。
2.社内メンバーとの連携が取りづらくなる可能性がある
いきなり社外から招聘されたコンサルからの意見を、よく思わないメンバーが現れる可能性も考えられます。事業開発において円滑なコミュニケーションは重要な意味を持ち、部署の内部分裂が起きるようではコンサルを招聘する意味がありません。
全員が事業開発の成功に向けて足並みを揃えられるよう、まずは関係者のコミュニケーションをとり、しっかりと連携を図ることが重要です。依頼先のコンサルトを選ぶ際は、担当との相性も考慮しておくと良いでしょう。
3.すべてをコンサル任せにしない
事業開発にもっとも重要なのは、絶対に成功させたいという熱量や想いを担当者が持っているか否かといえます。つまりコンサルはあくまでもサポートであり、主体は社内の開発メンバーだと立ち位置を明確にしておかなければなりません。
そのため一からすべて任せるのではなく、まず自分たちで考え抜き、結果をコンサルに調整してもらうのが適切です。
新規事業開発のコンサル会社を選ぶポイント3選
新規事業開発のコンサル会社を選ぶポイントは、以下の3つです。
- 新規事業開発の実績が豊富か
- コンサルの得意分野が自社の課題と合っているか
- コンサルタントが信用できる人物か
それぞれ順番に解説します。
1.新規事業開発の実績が豊富か
まず、新規事業開発の実績がどれくらいあるかを確認しましょう。コンサル会社によってはホームページに実績の詳細を掲載している企業もあります。また、自社と近い課題の解決事例があると、より効果的なノウハウを持っている可能性があります。
2.コンサルの得意分野が自社の課題と合っているか
コンサルの得意分野を判断するには、以下の2点を確認しましょう。
- 得意な業界か
- 得意な業務フローか
たとえばIT専門のコンサルであれば、ITの活用に特化した事業開発のノウハウに期待できます。また、事業のアイデア出しからのコンサルを得意とする企業であれば、新規事業開発の初期段階からの連携が考えられます。自社の課題と照らして、一番適切なコンサルを探してみましょう。
3.コンサルタントが信用できる人物か
コンサルタントとの信頼関係は、新規事業の成功を左右する要素のひとつです。そのため複数のコンサル会社に相談し、信頼できる人物か比較検討した上で選定しましょう。
比較の材料としては、以下の要素が考えられます。
- 普段の対応
- 提案内容
- レスポンス
- コミュニケーション能力
コンサルは弁護士や税理士のように専門資格がなくてもできるため、知識や経験を客観的に図るものさしがありません。依頼先のコンサル会社の大小だけでなく、実際に対応にあたる担当者をチェックしましょう。
まとめ
新規事業開発において、コンサルに依頼するメリットは多くあります。
信頼できるコンサルを見つけられれば、事業開発の強力なサポートになるでしょう。
ぜひあなたも、新規事業開発の成功に向かって、パートナーを探してみませんか。
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