Facebook社がMetaに社名変更したことがきっかけで、「メタバース」は一種のバズワードとして世間を賑わせました。2020年における世界のメタバース市場は476.9億ドルに達し、2028年には8289.5億ドルまで拡大する見込みという調査結果も公表されています。

巨大テック企業に限らず、ソニーやパナソニックなどの日本の大企業もメタバースに力を入れており、メタバース市場への「投資」が非常にホットです。

なかでも「メタバースETF」と呼ばれる、メタバース市場に分散投資できる銘柄が誕生し、投資妙味があると注目を集めています。

そこで本記事では、おすすめのメタバースETFを3銘柄紹介し、注目が集まる理由を解説します。

メタバース領域に分散投資したいと考えている方は、ぜひ本記事を最後までご覧ください。

そもそも「メタバースETF」とは?

「メタバースETF」は厳密に言うといくつか種類があります。なかでも、「Roundhill Ball Metaverse ETF(ラウンドヒル ボール メタバースETF(以後、METVと表記))」がメタバースETFの先駆け的存在です。

METVはメタバースの構築に必要なインフラ企業やゲームエンジンなど、合計51銘柄で構成されており、2021年6月から運用が開始されています。

日本国内にもメタバースETFがいくつか登場しており、組入銘柄はETFによって異なるものの、主力企業は似通う傾向にあります。

メタバースETFに投資することで、メタバースに力を入れている企業に分散投資でき、市場の長期的な成長率から注目を集めているのです。

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ETFは上場投資信託の略称

そもそもETFとは、「Exchange Traded Funds (上場投資信託)」の略称です。ETFは日経平均やダウ平均といった株価指数などに連動するように、投資商品を運用しています。

ETFによって組み入れる銘柄や比率、連動させる指標はさまざま。構成はインデックスファンドと似ていますが、ETFは、企業の株式と同じように相場の値動きをみて売買できる点で異なります。

ETFはいわゆる幕の内弁当のような詰め合わせパック型の商品で、特定の業界や世界全体など、選択するETFによって幅広く分散投資できる点が大きな特徴です。

ラウンドヒルボールメタバースETF(METV)とは

METVは、Ball Metaverse Research Partners (ボール・メタバース・リサーチ・パートナーズ)社が管理する「Ball Metaverse Index」を指標とするETFです。

Ball Metaverse Indexは、メタバースの投資パフォーマンスを追跡するために設計された世界で初めての指標

METVは、2021年6月30日に運用が開始されました。

メタバースETFの組入銘柄は51種類【2023年2月時点】

2023年2月時点におけるMETVの組入銘柄は51種類です。銘柄は情勢などに応じて入れ替えがなされており、同時点における上位10銘柄は以下のとおりです。

銘柄特徴割合
NVIDIA(エヌビディア)半導体メーカー8.63%
ROBLOX(ロブロックス)ゲーム企業8.40%
Apple2023年中にMRグラスの販売を予定7.47%
Metaメタバースを主力事業として積極投資6.71%
マイクロソフトビジネス用メタバースプラットフォーム開発に注力5.29%
TENCENT(テンセント)中国のIT企業3.61%
QUALCOMM(クアルコム)モバイル通信技術関連企業3.35%
AUTODESK(オートデスク)3Dデザインやエンターテインメント向けソフトウェア開発企業3.17%
TSMC台湾最大級の半導体メーカー3.03%
ソニー国内で唯一の組入銘柄2.91%

メタバースプラットフォーム事業に限らず、通信技術や半導体など、基盤技術を扱う企業が銘柄の上位に組み入れられています。

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メタバースETFを購入できるのは海外の証券口座

最も知名度のあるメタバースETFであるMETVを購入・投資できるのは、2023年2月時点においてIG証券だけのようです。

SBI証券や楽天証券といった証券会社では購入できません。

なお、METV以外にもメタバースETFはいくつかあり、次に紹介する2銘柄はSBI証券や楽天証券でも購入できます。

日本の証券会社で購入できるおすすめメタバースETF2選

日本の証券会社で購入できるおすすめのメタバースETFは、次の2銘柄です。

  1. グローバルXメタバースETF(VR)
  2. eMAXIS Neo バーチャルリアリティ

グローバルXメタバースETF(VR)

グローバルXメタバースETF(ティッカーシンボル:VR)」は、メタバースの開発および商業から利益を得る企業に投資しています。具体的には、以下に関連する企業が該当します。

  • XRを体験できるハードウェアやソフトウェア開発
  • ライブストリーミング等を3Dシミュレーションで共有するプラットフォーム開発
  • NFTやデジタル決済に関わるアプリ開発
  • 半導体・クラウドコンピューティング技術

「Global X Metaverse Index」に連動する投資成果を目指しており、2023年2月時点の組入上位10銘柄は以下のとおりです。

銘柄特徴割合
Metaメタバースを主力事業として積極投資8.03%
NVIDIA(エヌビディア)半導体メーカー7.10%
TENCENT(テンセント)中国のIT企業6.68%
NetEase(ネットイース)中国のゲーム企業6.61%
ネクソン(NEXON)PCオンラインゲームなどの開発5.91%
ROBLOX(ロブロックス)ゲーム企業5.09%
任天堂コンピューターゲーム開発に注力4.98%
Unityゲームエンジン開発会社4.73%
Coinbase暗号資産交換業社4.69%
Take-Two Interactive(テイクツー・インタラクティブ)ゲームソフトウェア開発会社4.42%

METVに比べて、ゲーム開発企業に対する投資割合が多いという特徴があります。

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eMAXIS Neo バーチャルリアリティ

eMAXIS Neo バーチャルリアリティ」は、S&P Kensho Virtual Reality Indexの値動きに連動する投資成果を目指すインデックスファンドです。厳密に言うとETFではありませんが、メタバース関連銘柄に分散投資できるという点で共通しています。

eMAXIS Neo バーチャルリアリティという名前のとおり、「バーチャルリアリティ」に関連する銘柄を扱っており、2023年1月時点の組入上位10銘柄は以下のとおりです。

銘柄特徴割合
Metaメタバースを主力事業として積極投資8.6%
NVIDIA(エヌビディア)半導体メーカー8.2%
HIMAX TECHNOLOGIES(ハイマックス テクノロジーズ)半導体メーカー7.7%
PTCソフトウェア開発7.1%
XEROX Holdingsテクノロジー・ハードウェアの開発7.0%
Unityゲームエンジン開発会社6.3%
Penumbra(ペナンブラ)ヘルスケア機器等の開発・販売4.8%
STMICROELECTRONICS(STマイクロエレクトロニクス)半導体メーカー4.5%
SYNAPTICS(シナプティクス)半導体メーカー4.4%
AMBARELLA(アンバレラ)半導体メーカー4.2%

グローバルXメタバースETFと重複する銘柄もありますが、半導体メーカーが多くを占める点に違いがあります。

SBI証券で購入できるメタバースETFは2つ

SBI証券の場合、「グローバルXメタバースETF」「eMAXIS Neo バーチャルリアリティ」のいずれも購入可能です。

2023年2月末時点において、「グローバルXメタバースETF」は1口23米ドル前後で購入できます。「eMAXIS Neo バーチャルリアリティ」は、SBI証券の場合100円から買付可能。

それぞれのリスクとリターンを判断し、興味がある銘柄に少額から投資してみてはいかがでしょうか。

楽天証券で購入できるメタバースETFは1つ

楽天証券で購入できるのは、「eMAXIS Neo バーチャルリアリティ」のみです。

楽天証券の場合も、スポット購入なら100円から買付できます。リスクとリターンを十分に検討し、余剰資金で少額から購入してみてもよいのではないでしょうか。

メタバースETFが注目される3つの理由

メタバースETFが注目を集める理由は、大きく分けて以下の3点です。

  1. 新たなインターネット革命として期待視されている
  2. 市場が急拡大し今後も成長が見込まれている
  3. 多くの大企業が新規参入している

新たなインターネット革命として期待視されている

METVの投資戦略チームが投資家向けに発表した資料では、メタバースに関して以下のように説明しています。

『メタバースは、あらゆる産業にまたがる全く新しい技術や、今までになかった職業、資格、サービスを創造し、モバイルインターネットを実現化させたiPhoneに次ぐ革命になるだろう』

2008年頃にiPhoneが突如として登場し、いつの間にかスマホの所有が当たり前になりました。現代はスマホがなくてはならない世界ですが、次のインターネット革命として、メタバースが期待視されているのです。

市場が急拡大し今後も成長が見込まれている

「メタバース」と一言で言っても、ETFの組入銘柄で紹介したように、積極的に取り組む企業の業界は多岐に渡ります。

2020年における世界のメタバース市場は476.9億ドルに達し、2028年には8289.5億ドルまで拡大するという調査結果も出ており、8年間で約20倍の市場規模に到達する予定です。

ほかにも、2035年までにメタバースが日本にもたらす経済効果は日本円で約12〜24兆円との見込みも。

2023年2月時点におけるメタバースの立ち位置は、ゲームやエンターテインメントが中心です。しかし、今後はより生活に密着したビジネス展開や、バーチャル会議、バーチャルオフィスへの展開も着々と進められています。

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多くの大企業が新規参入している

2021年10月に、旧Facebook社が「Meta」に社名変更したのを転機に、多くの企業がメタバースビジネスに参入しています。

プラットフォームやVRヘッドセット開発に限らず、基盤技術の開発は必要不可欠です。ほかにも、メタバース用のゲームエンジンやゲーム開発は、業界として非常にホットと言えるでしょう。

国内では、ソニーやパナソニックなどの大企業がメタバース関連製品の開発に乗り出し、凸版印刷やANAが独自のメタバースプラットフォーム開発に取り組んでいます。

ほかにも、既にキャラクターIPを持っている任天堂やDisneyといった企業のメタバース展開も想定されます。

新たなビジネスチャンスの到来に対し、大資本が投入されている現状と言えるでしょう。

メタバースETFに投資する際の注意点

メタバースETFに関して、以下の注意点があるので覚えておきましょう。

  • 銘柄が一部の業界に集中する傾向にある
  • 必ずしも成長するとは限らない

銘柄が一部の業界に集中する傾向にある

本記事ではメタバースETFを3つ紹介し、組入上位10銘柄をまとめました。そちらを見てもわかるように、投資先の業界が比較的集中し、構成銘柄が似通ってしまう点には注意が必要です。

ETFやインデックスファンドは、分散投資できる点に大きなメリットがあります。しかし、「メタバース」という市場自体が現時点でやや限定的で、投資先を分散しきれていない側面も。

2023年2月時点でメタバース市場に注力している企業は限られているので、場合によっては独自のポートフォリオを組んで個別株を購入するという方法も考えられるでしょう。

必ずしも成長するとは限らない

メタバース市場は2028年時点で2020年の20倍ほどに成長すると見込まれていますが、必ずしも成長するとは限りません。

投資の世界に絶対はありませんし、メタバースとは異なる文脈で新しい技術が急速に進歩・発展する可能性もあります。

実際、5Gの高速通信技術が着々と普及していますし、Web3の分散型インターネットが普及する未来はほぼ間違いありません。

メタバースは将来有望な市場のひとつとして、引き続き最新情報をチェックしておいて損はないでしょう。

メタバースETFの今後の成長に期待

メタバース関連ビジネスに注力する企業に投資できるメタバースETF(METV)は、2021年に運用が開始されました。

メタバースは市場の拡大・成長が見込まれる有望なビジネス領域で、世界中の企業が開発に取り組んでいます。

プラットフォーム開発だけでなく、ゲーム産業や半導体メーカーなどの基盤産業も、今後の成長が期待できます。

メタバースETFとしておすすめなETFを3つ紹介しましたが、組入銘柄やリスクリターンを十分検討し、市場の動向は常にチェックしておきましょう。

メタバースに注力する企業のさまざまな取り組みを調べ、メタバースの世界観や今後の展望に期待しましょう。

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