映画は世代を超え、様々な文化や国境を越えて人々を魅了し続けるエンターテインメントの一つです。近年、映画産業は技術革命や新たなマーケティング戦略、さらにはグローバル化の影響を受け、多大な変動が見られます。そして、この変動の中でリーダーシップを保ち続ける映画製作・配給会社たちの動向は、映画業界の今後の方向性を予測する上で非常に興味深いものとなっています。この記事では、2023年の最新データに基づく世界の映画製作・配給会社の時価総額ランキングTOP78を紹介し、各企業の特徴やランキングの背後にある要因について深堀りしていきます。

世界の映画製作・配給会社ランキング:時価総額TOP78

下記の世界の映画製作・配給会社ランキング一覧は、本メディアReinforz Insightが各社の公表情報を元に集計している時価総額ランキングです。時価総額は、各企業の株式時価に基づいて算定されており、企業の実質的な価値を示す指標となります。

このランキングを元に分析すると、以下が特徴として見えてきます。

  • 国別の分布
    • アメリカ:2社
    • 日本:6社
    • マレーシア:1社
    • 中国:10社
    • 香港:15社
    • インドネシア:2社
    • 大韓民国:6社
    • フィリピン:1社
    • インド:19社
    • フランス:2社
    • スイス:1社
    • タイ:4社
    • シンガポール:2社
    • 台湾:3社
    • イタリア:1社
    インドの企業が最も多く、次に香港、中国が続きます。

  • 時価総額の大手3社
    • Comcast Corp(アメリカ):237,269億円The Walt Disney Co(アメリカ):230,689億円ソニーグループ(日本):165,391億円
    トップ3社のうち2社はアメリカに所在し、1社は日本に所在しています。また、これら3社の時価総額は他の企業と比べて顕著に高いです。

  • 時価総額の分布
    • トップ3企業が圧倒的な時価総額を持っており、特に1位と2位の企業は200,000億円以上の大きな差を他の企業と持っています。
    • ランキング下位の企業は時価総額が非常に少なく、特にランキング75位以降の企業は時価総額が0または非常に少ないことが確認できます。

  • 業界の特性
    • 上記の企業の多くがメディア、エンターテインメント、映画製作などの関連業界に所属していることが予想されます。これは特定の業界に関するランキングである可能性が高いです。

総括すると、このランキングは主にアジアとアメリカのエンターテインメントおよびメディア関連企業を対象としていると考えられます。時価総額のトップはアメリカの大手企業で占められている一方、リスト全体ではアジアの企業が多数を占めています。

以下は、ランキングトップ5にランクインしている企業です。

1位:Comcast Corp(アメリカ)

アメリカに拠点を持つ大手通信・メディア企業。NBC Universalを所有し、テレビ放送、映画制作、テーマパークなど多岐にわたるビジネスを展開。

メディア業界での広範囲な事業展開と強固な市場地位により、高い収益性を持つ。

2位:The Walt Disney Co(アメリカ)

世界的に有名なエンターテインメント企業。アニメーション、映画、テーマパーク、放送事業など多岐にわたる事業を展開。

ディズニーブランドの強さ、大ヒット作の継続的な制作、そしてテーマパークなどの多角的事業による安定した収益。

3位:ソニーグループ(日本)

電子製品、音楽、映画、ゲーム等の幅広い事業を展開する日本の多国籍企業。

PlayStationをはじめとするゲーム事業、Sony Picturesの映画事業、Sony Musicの音楽事業など、多岐にわたる強固な事業基盤がある。

4位:東宝(日本)

日本の大手映画会社。国内外の映画製作・配給を手掛ける。ゴジラや吉本興業との共同事業などが有名。

日本国内の映画市場での強いブランド力と、高品質な映画の継続的な制作・配給による。

5位:PPB Group Bhd(マレーシア)

マレーシアの多角的な事業を展開する企業。不動産、映画館、食品製造などの事業を展開。

映画館チェーンGolden Screen Cinemasを所有しており、マレーシアでの映画館市場でのリーダーシップを確立。多角的事業展開による安定収益。

このランキングから、特に上位に位置する企業は、多角的な事業展開、強固なブランド、および独自の市場ポジションを持っていることがわかります。これにより、それぞれの企業は安定した収益を上げ、高い時価総額を維持することができています。

【世界の映画製作・配給会社ランキング:時価総額TOP78リスト】

※対象となる映画製作・配給会社として「上場企業」かつ「映画製作・配給業を展開している企業」
※対象決算期はデータ入手が可能な直近決算期を採用
※時価総額は記事執筆時点(2023年7月27日)の株価および為替レートで算出

ランキング企業名所在国決算期 (決算期)時価総額(億円)時価総額 (百万円)
1Comcast Corpアメリカ2022/12237,26923,726,894
2The Walt Disney Coアメリカ2022/09230,68923,068,877
3ソニーグループ日本2023/03165,39116,539,088
4東宝日本2023/0210,4061,040,618
5PPB Group Bhdマレーシア2022/126,968696,780
6China Film Co Ltd中国2022/125,446544,582
7China Ruyi Holdings Ltd香港2022/124,733473,321
8Beijing Enlight Media Co Ltd中国2022/124,566456,633
9PT MNC Digital Entertainment Tbkインドネシア2022/123,992399,189
10PT MD Pictures Tbkインドネシア2022/122,967296,702
11東映日本2023/032,577257,717
12Visual China Group Co Ltd中国2022/122,569256,939
13Alibaba Pictures Group Ltd香港2023/032,183218,297
14CJ Corp大韓民国2022/121,890188,979
15Huayi Brothers Media Corp中国2022/121,549154,881
16松竹日本2023/021,509150,877
17Beijing Baination Pictures Co Ltd中国2022/121,201120,052
18Omnijoi Media Corp中国2022/1297897,824
19Cultural Investment Holdings Co Ltd中国2022/1279979,866
20GMA Network Incフィリピン2022/1272772,677
21Huanxi Media Group Ltd香港2022/1262962,855
22TIPS Industries Ltdインド2023/0361861,848
23IMAX China Holding Inc中国2022/1254754,658
24Gaumontフランス2022/1243042,967
25China Star Entertainment Ltd香港2022/1233533,507
26アミューズ日本2023/0332932,926
27Highlight Communications AGスイス2022/1227327,349
28Digital Domain Holdings Ltd香港2022/1225925,888
29GMM Grammy PCLタイ2022/1224824,771
30Workpoint Entertainment PCLタイ2022/1224524,498
31Showbox Corp大韓民国2022/1223723,747
32Next Entertainment World Co Ltd大韓民国2022/1223623,641
33Mei Ah Entertainment Group Ltd香港2023/0318718,742
34Yggdrazil Group PCLタイ2022/1217817,843
35mm2 Asia Ltdシンガポール2023/0310710,668
36Bucket Studio Co Ltd大韓民国2022/1210210,231
37Nahar Poly Films Ltdインド2023/03949,367
38EuropaCorp SAフランス2022/03888,780
39National CineMedia Incアメリカ2022/12767,576
40M Pictures Entertainment PCLタイ2022/12757,509
41Barunson Co Ltd大韓民国2022/12727,177
42Starlight Culture Entertainment Group Ltd香港2022/12636,308
43Wave Exponential PCLタイ2022/12565,586
44A Metaverse Co中国2021/12555,469
45Channel Nine Entertainment Ltdインド2022/03464,601
46Universe Entertainment And Culture Group Co Ltd香港2022/06434,341
47Lajin Entertainment Network Group Ltd香港2022/12404,012
481 Production Film Co台湾2022/12363,555
49Emperor Culture Group Ltd香港2022/06353,469
50Bossdom Digiinnovation Co Ltd台湾2022/12333,278
51Eros International Media Ltdインド2023/03323,152
52Orange Sky Golden Harvest Entertainment (Holdings) Ltd香港2022/12303,050
53Deltamac (Taiwan) Co Ltd台湾2022/12252,481
54Mukta Arts Ltdインド2023/03191,948
55SVP Global Textiles Ltdインド2023/03191,929
56B.A.G. Films & Media Ltdインド2023/03151,539
57Vividthree Holdings Ltdシンガポール2023/03121,196
58Keyne Ltd香港2022/12121,154
59Beewize spaイタリア2022/12111,076
60Pritish Nandy Communications Ltdインド2023/039883
61Shalimar Productions Ltdインド2023/038791
62GV Films Ltdインド2022/037701
63KSS Ltdインド2023/037666
64China National Culture Group Ltd香港2023/036558
65Sahara One Media & Entertainment Ltdインド2023/036552
66Spackman Entertainment Group Ltdシンガポール2022/126552
67Bingo Group Holdings Ltd香港2023/035463
68Redwoods Co Ltd大韓民国2022/124431
69National Arts Group Holdings Ltd香港2021/123280
70Creative Eye Ltdインド2023/031118
71SDC Techmedia Ltdインド2023/03193
72Aarcon Facilities Ltdインド2023/03171
7352 Weeks Entertainment Ltdインド2023/03170
74Padmalaya Telefilms Ltdインド2023/03150
75Veronica Production Ltdインド2022/03037
76BMB Music & Magnetics Ltdインド2022/03031
77IDream Film Infrastructure Co Ltdインド2023/03026
78BGIL Films & Technologies Ltdインド2023/03023

出典:各社プレスリリースなど

世界の映画製作・配給会社ランキングの有用性

映画製作・配給会社のランキングは、多くの点で有用性があると言えます。以下、その具体的な有用性を挙げて考察します。

  • 投資判断の基準として:投資家や株式市場の参加者は、ランキング情報を元に、企業の健全性や市場でのポジション、成長の見込みなどを評価する材料として利用できます。

    特に時価総額は、公開市場での企業価値の指標として重要で、企業の財務健全性や将来性を示すバロメーターとなります。

  • 業界の動向・トレンドの把握:ランキングを通じて、どの企業が業界で上位に位置しているか、または急速に成長しているかを知ることができます。

    新しい技術やビジネスモデル、新興市場での動きなど、業界の最新トレンドを探る手助けとなる。

  • 競合分析:映画製作・配給会社は、自社の位置を知るためにランキングを利用することができます。これにより、競合他社との比較や自社の強み・弱みを分析する材料として活用できます。

  • マーケティングやブランド戦略の策定:企業が上位ランキングに位置することは、顧客やパートナーに対する信頼性や権威を示すものとして活用できます。

    これをマーケティングや広告、PR活動に活用することで、ブランドの価値を高めることが可能です。

  • 業界への新規参入の判断材料として:新規参入を検討する企業や起業家は、ランキング情報をもとに市場の大手企業や成長企業の動向を把握し、参入のタイミングや戦略を考える材料として利用できます。

  • 映画のクリエイターや関係者のキャリア選択:映画の製作関係者や俳優、スタッフなどは、自身のキャリアを計画する際に、ランキング上位の企業を優先的に選ぶか、あるいは逆に新興企業や中小企業でのチャンスを追求するかの参考としてランキングを活用できます。

  • 映画のファンや観客の情報源として:映画のファンや観客は、どの企業がヒット作を多く手掛けているのか、またどの企業が注目されているのかなどの情報を得ることができます。

ただし、ランキングだけを頼りに判断を下すのはリスクが伴います。ランキングはあくまで一つの指標であり、その背後にある詳細なデータや情報を正確に理解し、分析することが重要です。

世界の映画製作・配給会社ランキング:変化を与える要素

世界の映画製作・配給会社ランキングに変化を与える要素は、以下の通りです。

ヒット作の制作

会社が製作・配給した映画が大ヒットすれば、その会社の収益と評価は大きく向上します。これはランキング上位に位置する最も直接的な要因といえます。

国際的な展開

映画が国際的に受け入れられ、世界中で高い興行収入を記録することは、その会社の国際的な影響力を増大させる要因となります。

新技術の導入

映画製作の新技術や革新的な方法を導入し、それが成功を収めると、その会社は業界内での地位を確立・向上させることができます。

M&A(合併・買収)

他の映画製作・配給会社や関連企業を買収することで、規模を拡大し、市場でのシェアを増やすことができます。

新しい市場への進出

成熟した市場よりも、新興市場に進出することで、より大きな成長機会をつかむことができます。

ストリーミングサービスとの提携・進出

近年、NetflixやAmazon Prime Videoなどのストリーミングサービスが人気を博しています。これらのプラットフォームとの提携や独自のサービスを立ち上げることは、収益源の多様化とブランドの向上につながります。

コンテンツの多様化

映画だけでなく、テレビドラマやウェブシリーズ、アニメーションなど、多岐にわたるコンテンツの製作・配信を手掛けることで、リスクを分散し、安定した収益を確保することができます。

批評家や映画賞の評価

映画が高い評価を受けると、それが興行収入や評価にも影響を与えることがあります。

マーケティング・プロモーション戦略

効果的なマーケティングやプロモーション戦略を展開することで、映画の知名度や視聴率を高めることができます。

外部要因

為替変動、経済の好不況、政治的な変動、パンデミック(例: COVID-19)など、映画製作・配給会社のコントロール外の要因もランキングに影響を与える可能性があります。

これらの要因は、映画製作・配給会社のランキングに影響を与える多くの要素の一部に過ぎません。市場は常に変動しており、新しいトレンドや技術、外部環境の変化など、様々な要因が絡み合ってランキングの変動をもたらしています。

まとめ

2023年の映画製作・配給会社のランキングは、各企業の努力と戦略、そして時折の幸運が結果として現れています。映画産業は常に変わりゆくものであり、新しい技術や市場の変動、外部環境の変化など、数え切れない要因がランキングの変動をもたらしています。しかし、これらの変動の中でも、品質の高いコンテンツを提供し続ける企業、そしてそのビジョンを持続的に追求する企業がトップに立っていることは明らかです。今後も映画業界の動向は注目されるものとなるでしょう。このランキングは、その一部を切り取ったスナップショットに過ぎませんが、映画ファン、投資家、業界関係者にとっての貴重な指標となることを期待しています。

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