メタバースはアメリカの「Meta(旧Facebook社)」が1兆円以上の投資を表明したことをきっかけに、大きく注目を集めています。
市場の成熟はこれからですが、今後大きな成長が見込まれており、これまでできなかった新しい手段で収益を得ることが可能です。
ゲームで遊ぶことでお金を稼ぐこともできるため、メタバースでの働き方について気になっている人も多いでしょう。
そこでこの記事では、以下の内容を解説します。
- メタバースの将来性
- メタバース関連の仕事のデメリット
- メタバース関連の具体的な仕事
メタバースの仕事に興味がある場合は、ぜひご一読ください。
メタバースの仕事は将来性があると言える4つの理由
メタバースは今後市場が伸びていくことが予想されており、関連する仕事の将来性は高いです。
メタバースは以下4つの理由から、将来性があると考えられています。
- メタバース市場の拡大で新しい雇用が生まれ続ける
- 年齢・性別・国籍にとらわれない働き方が可能
- 場所・時間に縛られない働き方が可能
- NFTが注目されている
順番に見ていきましょう。
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メタバース市場の拡大で新しい雇用が生まれ続ける
メタバース市場は拡大しており、それに伴って新しい雇用も生まれています。
透明性の高い情報提供で世界をリードするアメリカの企業・ブルームバーグは、メタバースの市場が2020年の5,000億ドル(約71兆6,948億円)から2024年に8,000億ドル(約114兆3,652万円)に拡大すると予測しました。
なお、スマートフォンの市場は、2030年に5,207億ドル(74兆4,374万円)に到達すると予測されています。
つまりメタバース市場は、スマートフォン以上の成長が見込まれているのです。
詳しくは後述しますが、メタバース市場の拡大に伴い「メタバース建築家」「メタバースセラピスト」など、新しい仕事が次々生まれています。
スマートフォンが普及したことで、YouTuberやインスタグラマーという働き方が生まれました。
同じようにメタバース関連でも、新しい仕事が生まれていく可能性は高いでしょう。
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年齢・性別・国籍にとらわれない働き方が可能
メタバースによって、年齢や性別・国籍にとらわれない働き方が可能になります。
ポイントとなるのは「アバター」という、メタバース内の自分の分身です。
仮に50代の男性であっても、メタバースの世界には若い外見や可愛い女の子のアバターで参加できます。
ボイスチェンジャーで声を加工すれば、本当の性別は分かりません。
つまりメタバースでは、現実の年齢・性別と異なる自分で働くこともできるのです。
さらに記事執筆段階では、同時翻訳技術の実験が進んでいます。
東京にある「凸版印刷株式会社」が総務省の委託で、遠隔同時通訳の実証実験を実施しました。
自動同時翻訳機能が搭載されれば、アバターを通して異なる言語での会話も可能となります。
実験がうまくいき実用化されれば、メタバースを通して国籍や言語の壁もない働き方が実現するでしょう。
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場所・時間に縛られない働き方が可能
メタバースの仮想空間やアバター技術を活用すれば、これまでは難しかった接客業のリモート化も可能となります。
具体的にはVR空間内での案内スタッフや、アバターを動かすオンライン接客などです。
これまでの接客は店舗に常駐することが当たり前でしたが、VRを通すことで対面と変わらない接客がリモートで可能となります。
また、育児中の主婦や外出が困難な高齢者なども接客の仕事ができるようになるため、新たな雇用を生み出すことにつながります。
NFTが注目されている
メタバース経験者はまだまだ少ないため、早く始めるほどメタバースでの仕事のメリットを得られます。
メタバース関連の仕事の中でも特にNFTは、早く始めるほど有利となる側面が強いです。
NFTとは、デジタルデータの所有権を取得できる技術のことです。
これまではアートや音楽などのデジタルデータを、自分のものだと証明することはできませんでした。
しかしNFTによってデジタルデータに所有権が与えられることで、希少性が認められ高い価値が生まれます。
競合が少ないうちはNFTを活用した商品によるファンを獲得しやすく、高値で売れる可能性もあります。
しかしメタバースの市場が成熟していくと、以前は100万円で売れたものが数年後ほどで1,000円ほどの価値に落ちていることも予想されます。
他の仕事に関しても、メタバースの市場が成熟していくと競合が増え、稼ぐことが難しくなる恐れがあります。
可能な限り早く始めた方が、メタバースでの仕事の先行者利益を得られるでしょう。
メタバースで働くのは危険?デメリットを解説
メタバースの仕事はさまざまなメリットがある反面、以下のデメリットが懸念されています。
- 法律やルールが十分に整備されていない
- まだ求人が少ないため稼げるとは限らない
- 未知のリスクがある
上記のデメリットも知った上で、メタバースでの仕事を検討しましょう。
ひとつずつ詳しく解説します。
法律やルールが十分に整備されていない
メタバースは記事執筆段階で、法律やルールが十分に整備されていません。そのため、メタバース内でトラブルが発生しても、法律で規制されない恐れがあるのです。
2021年に行われた「バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス 」では、メタバース痴漢という事件が発生しました。
これはメタバース上で、女性アバターの体を触る行為。
現実世界での痴漢と同じことをアバターに対して行ったということです。
痴漢を受けたのはアバターですので、それほど問題はないように思うかもしれません。
しかしアバターが痴漢をされると、視覚から脳が刺激を受け実際に体を触れられたように感じます。
そのため現実の痴漢と同じような恐怖感があり、PTSDのような精神的な影響も考えられます。
現実世界であれば痴漢は法的に罰せられますが、メタバース内で痴漢を取り締まる法律はまだありません。
メタバースにおける個人のガイドライン整備を目的とする「バーチャルシティコンソーシアム」が設立されています。
また、2022年3月から一般社団法人「Metaverse Japan」も設立され、メタバースにおける個人の権利やコンテンツ著作権のルール整備などを議論しています。
法律やルールの整備に向けた動きはあるため、メタバース内のトラブルは徐々に規制されていくでしょう。
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まだ求人が少ないため稼げるとは限らない
メタバースの市場自体が成熟していないため、求人数が限られています。
それに対し仕事には多くの人が関心を寄せているため、求人の倍率が高くなりやすいです。
メタバースの仕事に関する需要の高さは、就活フェスでもうかがえます。
2022年4月に開催されたメタバース関連6社によるメタバース就職イベント「METANAVI」は、YouTubeライブ配信やZoomで1,000人以上が視聴しました。
需要が高い一方で求人はまだ少ないため、メタバースの仕事をしたくても採用してもらえるとは限りません。
誰もが働ける仕事ではないため、既存の仕事と比べて収益を得るハードルが高いといえます。
未知のリスクがある
メタバースの普及に際しては、未知のリスクが懸念されています。
現実世界に近いリアリティがある分没入感が強く、オンラインゲームやネット以上に依存してしまう恐れもあるのです。
メタバースは「ファントム・タイムライン症候群」を引き起こす可能性が示唆されています。
これは、バーチャル世界と現実の区別がつかなくなる感覚のことです。
ファントム・タイムライン症候群に陥ることで、メタバース内では積極的にコミュニケーションを取るものの、現実世界ではほとんど話さない人が出てくるかもしれません。
メタバースはまだ成熟していないため、どのようなリスクをはらんでいるかは未知数です。
メタバースの職業9選|仕事内容を詳しく紹介
メタバースに関する仕事には、以下の職業があります。
- P2E(Play-to-Earn)
- NFT転売
- メタバース不動産投資家
- アバターワーク
- メタバースセラピスト
- NFTデザイナー
- アバターデザイナー
- メタバース建築家
- プラットフォームの運営・開発
それぞれの仕事内容を順番に見ていきましょう。
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P2E(Play-to-Earn)
P2E(Play-to-Earn)は、オンラインゲーム内の報酬やアイテムを仮想通貨で取引し、収益を得る働き方です。
NFTの技術を活用しているため、ゲームのキャラクターやアイテムなどのデータにも所有権が与えられます。
従来のゲームの場合、キャラクターやアイテムは元からゲーム内に設定されており、もう遊ばないからといって他人に売ることはできませんでした。
しかしNFTによりデジタルデータにも所有権が与えられることで、価値のある資産としてゲームのキャラクターやアイテムを売ることが可能となります。
メタバース以前にゲームで稼ぐ方法は、YouTubeで実況動画を配信するくらいしかありませんでしたが、これからは、色々な方法でお金を稼げるようになるのです。
NFT転売
NFT転売とは、NFT作品を安く買い高値で売ることを指します。実世界での転売と同じことをNFTで行うイメージです。
NFTマーケットプレイス上で行われ、販売金額と購入金額(手数料を足したもの)が利益となります。
NFTは証明書付きのデータで世界に一つだけの作品となるため、高値がつきやすいです。
NFTの需要は高まっているため、多くの人に購入してもらい利益を狙っていけるでしょう。
なおNFT転売は、以下の流れで行います。
- 取引所を開設
- ウォレット(インターネット上の財布)を作成
- ウォレットに送金
- NFTプラットフォームにログイン
- NFTを購入し転売
そのため、NFTに関する知識がないと転売を始めることすらできません。
NFT転売で収益を得たいなら、NFTについての基本的な知識を習得しておきましょう。
メタバース不動産投資家
メタバース内の土地や建物を、現実世界の不動産のように取引する職業です。
NFTによってメタバース内の不動産も所有権を証明できるようになり、以下のような活用が可能となりました。
不動産の活用方法 | 概要 |
転売 | 現実の不動産と同じく、安く仕入れたものを高値で売ることで利益を得る。 |
賃貸 | メタバース内で購入した土地でアパートを運営し、家賃を徴収する。 |
店舗運営 | 店舗やショッピングモールを建築し、販促活動を行う。 |
イベントの開催 | メタバース内で展示会やファッションショーを開催できる。 |
メタバース内の不動産価値は上昇傾向にあり、取引も活発化しています。
2021年11月には、ニューヨークのRepublic Realm社が不動産価値の上昇を見込み、NFTゲーム「The Sandbox(ザ・サンドボックス)」内の土地を約5億円で購入しました。
メタバース内の不動産価値が、今後さらに上昇すると見込まれたためです。
ただ、今後も見込み通りメタバース内の不動産価値が高まるとは限りません。メタバースが一過性のブームで終わり、不動産価値が下落する恐れもあります。
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アバターワーク
アバターワークは、VR機器やスマホを通じてアバターを操作し、ビジネス上のコミュニケーションを行う職業です。
具体的には、以下のようなものを指します。
- 店頭での接客
- イベントスタッフ
- タレント活動
接客では、対面よりもアバターを通した方が話しやすい傾向です。
東京都市大学や工学院大学の研究によると、アバターを介した会話の方が自己開示をしやすいという結果が出ました。
(引用:オンラインコミュニケーションツールを比較し、自己開示の効果を検証 ―VRアバターはビデオチャットよりも素の自分をさらけ出す。―|東京都市大学))
アバター相手の方が素で話してくれる人が多いため、現実での会話が苦手な人も接客の仕事をしやすいです。
ただ、アバターワークを行うには、VR機器やスペックの高いスマホ・PCを用意する必要があります。
コストがかかるため、アバターワークを始めるハードルは高めです。
メタバースセラピスト
VRを利用し、メタバース内でセラピーやカウンセリングを行う職業です。
VRヘッドセットを使用し、遠隔でアバターを通して心理カウンセリングやセラピーを行います。
医療業界からも注目されており、日本ではメタバースクリニックというサービスが運営され始めました。
実際の人間と対峙しているわけではありませんが、VRのリアリティによって実際のセラピーと同じ効果を得られます。
ただ現在の法律では、メタバースでのカウンセリングが医療行為として定められていません。
そのため、法律に問題ない状態でメタバースセラピストとして収益を得られるかは不透明です。
NFTデザイナー
NFTデザイナーは、アートや音楽作品などを作り販売することで収益を得る職業です。
NFTで作品に所有権を与えることで、コピーできない世界にひとつだけの作品となります。
1点ものであることから大きな価値が生まれており、海外では2021年にデジタルアートが75億円で落札された事例があるほどです。
作り方はデジタルアートや音楽を作る場合と同じで、作ったものを「NFTマーケットプレイス(NFTの取引所)」に出品することで販売できます。
ただ、出品したからといって高値で売れるとは限りません。価値が認められなければ安値になるか、最悪の場合売れない恐れもあります。
アバターデザイナー
メタバースユーザーから依頼をもらい、好みや要望に合わせてアバターを個別に作成する職業です。
SNSのアイコン作成のアバター版のようなイメージです。
メタバースではアバターが自分の容姿となるため、ユーザーに高い需要があります。
具体的な求人では、正社員としてソーシャルゲームのアバターイラスト作成で月40万円を狙えるものがあります。
派遣ですと、アバターデザイナーで時給1,800円のものも。
アバターデザイナーの求人は、PhotoshopやIllustratorなどのグラフィックツールの実務経験が必要なことが多いです。
Webデザイナーとしての経験を積んで、ステップアップを目指すのが良いでしょう。
メタバース建築家
メタバース内の土地に、建造物を作る職業です。
必要な資源さえあれば3Dモデルを作れなくても建築可能で、以下のようなものを自分の発想を自由に形にできます。
- 理想の自分の部屋
- タワーマンション
- 空に浮かんだ家
- スペースコロニー
高い価値がついたものは、売買したり貸し出したりして賃貸料を得ることも可能です。
メタバース建築には、企業も参入し始めました。
NFTマーケットHEXA(ヘキサ)が運営するメタバース空間では、26,000人以上が住民票NFTを保有し部屋を持っています。
さらにHEXAが公認したクリエイター6名により設計された、新しい7部屋も公開。
今後メタバースが普及していけば、メタバース建築家への需要も高まっていくでしょう。
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プラットフォームの運営・開発
メタバースのプラットフォーム(空間・世界)の運営・開発を行います。
社員やアルバイトとしての仕事は、プログラミング言語を活用した以下の開発です。
- VR空間
- アバター
- ユーザー向けのコンテンツ
記事執筆段階でも、アメリカの「Meta」のようにプラットフォーム作りに乗り出している会社が増えてきました。
メタバースが普及すると、その分ユーザー数も増加します。
便利なプラットフォームを作っていれば多くの人に利用してもらえるため、多額の利益も見込めるでしょう。
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メタバース関連の仕事をしたいものの、どうやって求人を見つければ良いか分からない人もいるでしょう。
そこでここからは、メタバース関連の仕事やバイトの探し方について解説します。
- メタジョブ!
- AMBI
- その他の探し方
順番に見ていきましょう。
メタジョブ!
メタジョブは、メタバースやアバター接客で働きたい人と企業をつなぐマッチングサービス。
三井物産グループの「Moon Creative Lab Inc.」が運営しています。
メタジョブでは、以下の職務内容に絞って検索できます。
- イベント案内
- イベント司会・ファシリテーション
- リモート接客
- ゲームマスター
- PR・プロモーション
- 販売促進
- 講師
- その他
具体的には、カラオケ店舗で行われるマーダーミステリーゲーム(架空の殺人事件の犯人を推理する)の進行のような求人があります。
AMBI
AMBIは、エン・ジャパンが運営するハイキャリアの求職者をターゲットとした人材プラットフォームです。
メタバース求人の特集ページも設けられているため、仕事を探しやすくなっています。
具体的なメタバース関連の求人は、以下のものです。
- メタバースプラットフォームでのPRイベントをクライアントに企画提案
- メタバースプラットフォーム「cluster」のマーケティング全般
AMBIでは、登録された履歴書をもとに、転職エージェントや企業側が合格確率を提示してくれる「マイバリュー診断」というサービスもあります。
自分がどのような企業から求められているのか、今の職歴だとどのような評価を得られるのかといった、リアルな市場価値を把握できるのも大きな特徴です。
その他の探し方
メタバースプラットフォーム「Cluster」や、メタバース企業の求人に直接応募するのもひとつの手です。
「Cluster」の公式サイトでも、メタバースを開発するエンジニアの募集を行っています。
また「メタバース 求人」「メタバース 採用」などのネット検索で、求人を出している企業を探すことも可能です。
また求人サイトや転職サイトにも、メタバース関連の求人が掲載されています。
メタバース関連の求人はまだ少ないため、こまめに検索し新しい求人がないかチェックするのがおすすめです。
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まとめ
メタバース関連の仕事は、以下の9種です。
- P2E(Play-to-Earn)
- NFT転売
- メタバース不動産投資家
- アバターワーク
- メタバースセラピスト
- NFTデザイナー
- アバターデザイナー
- メタバース建築家
- プラットフォームの運営・開発
メタバースが普及していくことで、上記の仕事も収益化のハードルが低くなっていくでしょう。
その分競合も増えていくことが予想されるため、できる限り早く始めるのがおすすめです。
今後の法整備の動きと合わせて、メタバース関連の仕事に注目してみてください。
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