メタバース上でビジネスを展開する企業が、ここ数年急速に増加しています。

新規事業を企画する立場の方のなかには「自社で応用できるビジネスモデルがあるかわからない」と考える方もいるかもしれません。

そこでこの記事では、メタバースのビジネスモデルのうち、厳選した事例を15件ご紹介します。

また、メタバースをビジネス展開する前に知っておきたい収益化のポイントについても詳しく解説します。

ぜひ参考にしてみてください。

メタバースに眠るビジネスチャンスとは?

メタバースには多くのビジネスチャンスが眠っています。

なぜなら、既に存在するメタバースのプラットフォームを利用すれば、誰でも簡単にビジネスを展開できるからです。

そして、いまや多くのプラットフォームがスマホのアプリやブラウザから接続できます。つまり、企業にとっては参入しやすく、ユーザーにとっては使いやすい環境が整いつつあるのです。

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メタバースの市場規模

イギリスに本社を置く大手調査会社Technavioのレポートによると、メタバースの市場シェアは2021年から2026年にかけて約503億ドル(約7兆円※)に増加すると予想されています。

また、今後5年間メタバース市場の年間平均成長率は20.93%で加速するとも言われています。

(引用:「Technavio|コンポーネントと地域別の金融におけるメタバース市場 – 予測と分析 2022-2026|Technavio)

市場が急拡大する理由のひとつは、VR(仮想現実)とAR(拡張現実)プラットフォームの統合です。これまでにない新しい世界を作り出すVRと、Pokémon GOに代表される現実世界の拡張を展開するARは区別されながら成長してきました。

しかし、今後はARとVRとの統合によって利便性が提供され、予測期間中に金融のメタバース市場の成長を促進させる要因になると考えられています。

※金額は執筆時点のレートにて算出

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メタバースのビジネスモデル事例15選

ここからは、メタバースのビジネスモデル事例を詳しく解説します。新規ビジネスの立ち上げに必要なヒントが詰まっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

バーチャル渋谷|イベント

渋谷区公認のメタバース空間として誕生したのが「バーチャル渋谷」です。KDDIほか50社が参画するプロジェクトとして、2020年5月19日にオープニングイベントが開催されました。

アーティストのライブやアート展示、トークイベントなど「渋谷」らしいコンテンツを発信・体験できることがコンセプトです。ユーザーは自分だけのアバターでライブやトークショーを観覧できます。

コロナ禍でも渋谷の文化や経済の流れをとめずに交流できるとして期待が寄せられています。なお、バーチャル渋谷は無料アプリをインストールするだけで、参加可能です。

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ポケモンバーチャルフェスト|イベント

バーチャル遊園地「ポケモンバーチャルフェスト」は、ポケモンがモチーフになったアバターでメタバース内を遊び回れる空間です。夏休み限定企画として2020年にスタートしました。

「みんなでつくる、夏の思い出」をテーマに、仲間とミッションをクリアすると、アトラクションやコンテンツが増える仕組みになっています。

任天堂Switch「ポケットモンスターソード・シールド」のポケモンバトルのパブリックビューイングといったイベントも行われました。スマホ、PC、VRから参加可能です。

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フジテレビ「バーチャル冒険アイランド2022」|イベント

フジテレビが夏休み限定企画としてリリースしたのが「バーチャル冒険アイランド2022」です。

メタバース空間で全国どこからでも24時間遊べるアプリとなっており、人気番組に関連する企画やライブステージが楽しめます。

また、フジテレビ初のNFT企画として、アナウンサーの応援メッセージを収録した限定ボイスが販売されました。発売価格は各NFT2,000円で、記事執筆時点では二次販売も行われています。

Fortnite(フォートナイト)|ゲーム

Fortnite」は2017年にリリースされ、2020年に全世界3億5,000万ダウンロードを記録した人気オンラインバトルゲームです。世界中のプレイヤーと対戦できるモードがよく知られていますが、プレイヤーが独自の世界を自由に構築できる「クリエイティブモード」もプレイできます。

作成した「ワールド」はオンライン上で公開し、他のプレイヤーを招待して一緒に遊べるようになっています。

Fortniteは基本プレイが無料で、課金要素として以下の項目が用意されています。

  • スキン(アバターの衣装)
  • エモート(特殊な動作)
  • バトルバス(ゲーム進行度を優位に進められる機能)

VRChat|VR

VRChat」は、世界中の人と交流ができるVRとSNSを融合した体験を提供するサービスです。アバターを通してコミュニティで仲間と会話を楽しんだり、「ワールド」と呼ばれる新しい空間を構築したりといった遊び方ができます。

VRChatの特徴は、アバターに設定できる動きのバリエーションが豊富であることです。たとえば次のような動作が設定できます。

  • リップシンク(セリフに合わせて口パクをすること)
  • まばたき

そのため、よりリアルに近いコミュニケーションを実現しています。

基本プレイは無料で、VR機器がなくても参加可能です。

バーチャルOKINAWA|イベント・EC

バーチャルOKINAWA」は、コロナ禍で大きな打撃を受けた観光業を盛り上げるため発足したプロジェクトです。先述した「VRChat」のワールドのひとつで、沖縄の街並みをメタバースに再現しています。

国際通りで販売されているTシャツやお土産が購入できるほか、コロナ禍で中止になったイベントを開催しているのが特徴です。そのため、自宅にいながら沖縄旅行を楽しんでいるような気分が味わえます。

気になった商品を選択すると、公式オンラインショップ「バーチャル沖縄ショップ」に遷移して購入する仕組みです。

BEAMSバーチャルショップ|EC

株式会社ビームスが期間限定ショップとしてオープンしたのが「BEAMSバーチャルショップ」です。期間限定ショップとして、2022年8月に4度目の出店を果たしています。

メタバース上に店舗をイメージした建物を設置することで、ユーザーが自由に商品をみて回れる設計です。また、時間帯によっては実際のスタッフがアバターを操作し対応してくれます。

スマホやパソコンのブラウザからアクセスでき、商品購入の際はバーチャルショップ内からBEAMS公式オンラインショップへ誘導されるため、操作も簡単です。

三越伊勢丹「REV WORLDS」|イベント・EC

株式会社三越伊勢丹が展開するスマートフォン向けアプリプラットフォームが「REV WORLDS」です。外観や内装は伊勢丹新宿店の店内をイメージして構築されています。

基本操作は無料で、アバターを自分好みに設定してプラットフォーム内を歩いて回れます。

アプリ内で商品に近づくと商品側にタグが現れ、案内に沿ってオンラインストアに移り購入が可能です。お友達との同時接続やチャット機能が組み込まれており、離れている人とでも一緒に買い物を楽しんでいる気分を味わえます。

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パリス・ヒルトン|広告

世界的セレブとして有名なパリス・ヒルトン氏が、マリブにある邸宅をメタバース上で再現した事例です。屋上パーティや社交イベントを行うと発表したことで、注目を集めました。

パリス・ヒルトン氏は仮想通貨やNFTに以前から興味を示しており、NFTのオークション出品経験があります。なかには最高額約1.2億円で落札されたNFTもありました。2022年にはオリジナルのメタバース空間「Paris World」を手がけています。

※金額は当時のレートによって算出

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RISA|バーチャルオフィス

RISA」を利用すると、メタバース上にバーチャルオフィスを設立できます。自分の席で作業したり、休憩スペースで話しかけたりと、使い方は本物のオフィスのようです。コロナ禍以降、注目される新しい働き方を体現したサービスといえるでしょう。

RISAで使用できる主な機能は以下の通りです。

  • チャット
  • ビデオ通話
  • 画面共有

また、RISAを導入するとオフィスで集まっての作業はもちろん、以下のような活用方法も期待されます。

  • 遠方の取引先との打ち合わせ
  • 社内研修
  • 講演会

場所を選ばない働き方によって、在宅勤務を希望する主婦や、遠方で出社できない社員にとって働きやすい環境を実現できます。

観光庁ほか「NAKED XR TOUR」|観光

観光庁ほか3社が推進する横浜市のみなとみらい地区を舞台にした新感覚観光ツアーが「NAKED XR TOUR」です。なおXRとは、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、MR(複合現実)の総称です。新しいコンテンツを生み出す実証実験として2021年12月から2022年1月にかけて行われました。

ツアー参加者はVRゴーグルを装着し、みなとみらい地区を専用バスで観光します。都市とメタバースが融合した世界で、参加者が体験できるのは深い没入感と高い映像技術です。

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The Sandbox(ザ・サンドボックス)|プラットフォーム

The Sandbox」はメタバース上でキャラクターやアイテムを作成して遊ぶゲームです。

自由度が高いことが特徴で、先述したパリス・ヒルトンの邸宅もThe Sandboxのプラットフォームを使って作成されました。他にもadidasやavex、スクウェア・エニックスといった、有名企業が参入を発表しています。

The Sandboxにはマーケットプレイスが存在し、クリエイターが作ったキャラクターやアイテムはNFTとして売買されています。

月間アクティブユーザーは最大100万人を記録する巨大プラットフォームで、コンテンツ販売で生計を立てるクリエイターがいるほどです。特に、スマホゲームへの課金額が世界一高い日本において、コンテンツ販売事業は新たな切り口となりえるでしょう。

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Roblox(ロブロックス)|教育

Roblox」は、子どもから大人まで楽しめる空間として定評のあるメタバース上のグローバルコミュニティです。

なかでも注目は、Robloxはプラットフォームを活用した「Roblox Studio」で教育活動を行っている点です。特に、以下のような分野をサポートして人材育成に取り組んでいます。

  • 科学
  • 技術
  • 工学
  • 数学

2030年までにRoblox Studioで学ぶ生徒を1億人にするという目標を掲げており、メタバースが教育分野でどのような役割を果たすのか注目が集まっています。

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仮想大学キャンパス「メタバーシティ」|教育

アメリカでスタートしたメタバース空間の大学を提供するプロジェクトが「メタバーシティ」です。実在する10の大学が立ち上げることを発表しており、学生はVR機器を通して、自宅から離れることなく他の学生とリアルタイムで仮想クラスに参加できます。

リモート授業で多く採用されている「Zoom」といった遠隔情報ツールに比べ、より没入感のある教育が提供できると言われています。

なお、日本にも「メタバーシティ」というプラットフォームがありますが、上記とは異なるプロジェクトです。

cluster(クラスター)|プラットフォーム

新しい日常をつくるメタバースプラットフォームが「cluster(クラスター)」です。先述した「バーチャル渋谷」や「ポケモンバーチャルフェスト」はclusterのプラットフォーム上で制作されています。

clusterは、スマホ・PC・VRといった好きなデバイスから自由にアクセスできることが特徴です。最近はファッション業界での展開も模索されており、アバターの販売や、アバターを着せ替えるための服を制作するクリエイターに注目が集まっています。

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メタバースのビジネスモデルを収益化する4つのポイント

最後に、メタバースのビジネスモデルを収益化するための4つのポイントについて解説します。

メタバースのビジネスモデル分析①|サービス課金型

サービス課金型の特徴としては「基本プレイ無料、一部課金コンテンツあり」というように課金要素が含まれていることが多くあります。スマホゲームを普段からプレイしている方には、イメージしやすいかもしれません。

課金対象はメタバースの数だけあると言って良いでしょう。代表的な例は次の通りです。

  • アバターの衣装
  • イベント参加券
  • ゲーム進捗度を向上させるアイテム

サービス課金型では、ユーザーの課金率が高ければ高いほど収益が上がります。そのため、ユーザーが思わず課金してでも欲しくなるような特典や仕掛けが鍵になります。

メタバースのビジネスモデル分析②|EC販売型

EC販売型とはインターネットの通信販売を通じて利益をあげるビジネスモデルのことです。

現在はメタバース上で確認した商品を、別サイトに遷移して購入する方式が多くみられます。

三越伊勢丹が展開する「REV WORLDS」で洋服を購入する場合を例としましょう。最終的に決済を行うのは、アプリ内で現れる商品タグから遷移したオンラインストアです。そのため「REV WORLDS」は、商品の紹介からオンラインストアへの橋渡しをする役目を担っています。

メタバースの技術開発が進めば、自宅にいながらより手軽かつ、正確に商品の情報を手に入れられる可能性があります。たとえば、自分の体型をトレースしたアバターを登録することで、実店舗で洋服を試着する擬似体験ができるといったケースです。

普及が進むのか注目のビジネスモデルです。

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メタバースのビジネスモデル分析③|広告収益型

広告収益型とは、メタバース上に広告の掲載や、広告から購入された商品に対して手数料を得ることで報酬を得るビジネスモデルです。広告収益型が成立するかは掲載するプラットフォームのユーザー数によって左右される部分が大きいといえます。そのため、The Sandboxといった大型のコミュニティで実装されはじめています。

YouTubeやInstagramのように広告収益型で成立するメタバースの事例が現れるか、今後の展望に注目です。

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メタバースのビジネスモデル分析④|マッチングサービス型

マッチングサービス型とはクリエイターとユーザーをつなぎ、手数料を得るビジネスモデルです。メタバースの世界では、ユーザーがクリエイターとして販売側に回る可能性があります。そのため、販売のプラットフォームを提供する代わりに手数料を取ることで、収益化を図るのです。

NFTの価値が浸透するにつれて、販売方法は多様化する可能性があるといえるでしょう。そのため、今後のモデル展開に期待が集まっています。

メタバースと自社の強みをかけ合わせよう

メタバースにはいまだ眠っているビジネスチャンスがたくさんあります。

なぜなら、メタバースならこれまで企業が培ってきた商品やサービスを掛け合わせることで、新たな価値を創造できるからです。

ぜひメタバースと事業を融合させて、新しいビジネスを作るきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

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