「メタバースを活用した教育ってどんなもの?」
「メタバース教育にはどんな効果がある?」
「メタバースを活用した教育の事例は?」

あなたはこのような疑問を抱えていませんか?

メタバースはエンタメ分野で活用されるイメージがありますが、実は教育にも応用可能です。

実際に複数の学校・企業がメタバースを授業や研修に活用しており、教育面でも注目されています。

ただメタバースを使った教育はイメージがわかず、どんなことができるのか気になっている人もいるでしょう。

この記事では、以下の内容を解説します。

  • メタバース教育が注目される理由
  • メタバース教育の効果・利点
  • メタバース教育の学校・企業での導入事例

メタバースを活用した教育について知りたい場合は、ぜひご一読ください。

メタバースを活用した教育とは?注目されている3つの理由

メタバースを活用した教育は、従来の教育の課題を解決したり新しい教育を実現したりする可能性があることから注目されています。具体的には、以下3つです。

  1. 学校に通えない生徒も自宅から授業を受けられる
  2. 対面に近いコミュニケーションが可能
  3. 教育プログラムによるビジネス展開の可能性がある

順番に見ていきましょう。

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学校に通えない生徒も自宅から授業を受けられる

メタバースを活用することで、家庭の事情等から学校に通えない生徒も自宅から授業を受けられます。

オンライン上の仮想空間を利用しており、ネット環境があればどこからでも授業に参加できるためです。

生徒たちはオンライン上でコンテンツを見たり、課題を解いたりして授業を受けられます。教室での授業と同じ内容を学べるため、授業に遅れる心配がありません。

もし学校に通えず十分な教育を受けられなければ、将来的に「読み書き・計算ができない」「自分の進路を選べない」などの問題に直面するでしょう。

メタバースによって自宅から授業を受けられれば、教育格差による悪影響を防げるのです。

対面に近いコミュニケーションが可能

メタバースを活用することで、対面に近いコミュニケーションがオンライン上で可能となります。

オンライン上でのコミュニケーションはZoomのようなWeb会議ツールでもできますが、メタバースの方がより対面に近い状態を作れるのです。

Web会議ツールは通信速度がやや遅く、対面と比べると身振り手振りに違和感が生じます。

一方メタバースでは「アバター」という自分の分身を通じてコミュニケーションを行いますが、音声・動きの伝わり方が滑らかで対面に限りなく近いのです。

アバターを通じて交流することで、家庭の事情で学校に通えない人も社会性を育めます。

またWeb会議ツールは会話の時のみ接続して使用しますが、メタバースは常時接続が可能です。

コミュニケーションも同じ空間にいるように常時行えるため、学校で同じクラスにいるかのような状態を作れます。

教育プログラムによるビジネス展開の可能性がある

メタバースは生徒間だけでなく、ビジネス面でも注目されています。教育プログラムを開発することで、ビジネス展開できる可能性があるためです。

2023年2月時点でも、さまざまな教育プログラムの導入・開発が進んでいます。

株式会社Brave groupの子会社である株式会社MetaLabは、2023年4月から「MEキャンパス」を開校すると発表しました。

メタバースでCG・プログラミング教育を行うもので、提携通信制高校に同時入学することで高卒資格の取得も目指せます。

参照:メタバースでCGやプログラミング教育を行う「MEキャンパス」2023年4月開校。Brave groupの子会社が運営

メタバースを活用したビジネス展開は、まだまだ少ない状態です。その分ニーズに対応した教育プログラムを展開できれば、一気にシェアを獲得できるでしょう。

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メタバース教育が抱える3つの課題

メタバース教育はさまざまな可能性を秘めている一方、浸透させるには以下の3つが課題です。

  1. メタバースの導入が容易ではない
  2. メタバース教育のコンテンツが少ない
  3. VR酔いの恐れがある

今後メタバースでの教育を推進する上では、これらの課題を解消しなければなりません。順番に見ていきましょう。

メタバースの導入が容易ではない

そもそもメタバースの導入自体が容易ではないという問題があります。メタバース導入には、主に以下のものが必要です。

  • VRに対応したPC・モニター
  • VRゴーグル・コントローラー
  • 安定して早いネット回線

これらを揃えるとなると、多くのコストが発生します。

またメタバースの利用や導入に必要な技術・知識を持つ教育者は、限られているのが現状です。

そのため教育現場や企業がメタバースを活用するためには、専門知識を持った人材を雇うか育成しなければいけません。

学生にとっても、アバターの操作や3D空間での学習に慣れることが課題となる可能性があります。

メタバースを教育に導入するなら、学習環境を十分に整備し学生や生徒にメタバース教育の利用方法や効果を十分に説明することが必要です。

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メタバース教育のコンテンツが少ない

メタバース自体が発展途上なため、教育に関するコンテンツもまだ不足しています。

教育面で実現したいことや解決したい課題があっても、それを実現できるコンテンツがあるとは限りません。

また、メタバースを教育に活用している学校・企業も少ない傾向です。

そのため効果的な活用方法についてまだ事例が少なく、企業や学校が導入する際のプランニングも難しくなっています。

VR酔いの恐れがある

メタバース教育では、VR酔いの恐れが懸念されています。

VR酔いとは、VRゴーグルを装着してメタバースの映像を見た際に乗り物酔いに似た症状が起こる現象。左右の目に映る映像の違いが、酔いの原因です。

メタバースを活用した授業では、VRヘッドセットを装着して長時間メタバース空間に滞在します。

世代によっては、このような方法に慣れていません。そのためVR酔いを起こす可能性が高く、学習に支障をきたす恐れもあるのです。

VR酔いは個人差もありますが、メタバースを活用する上では注意しなければいけません。

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メタバースを活用した教育がもたらす効果・利点

メタバースを教育に導入することの効果・利点は、以下の5つです。

  1. リアルな教室ではできない授業が実現する
  2. 集中力が高まり学習効果が上がる
  3. 海外とつながり英会話力が高められる
  4. 不登校問題にも対応できる
  5. 企業研修にも活用できる

順番に見ていきましょう。

リアルな教室ではできない授業が実現する

メタバースを活用することで、従来の教室ではできない新しい授業が実現します。具体的には海外との交流や、よりリアルな歴史の授業などです。

メタバース空間を利用することで遠方にいる先生や他校の学生とも、実際に会っているかのように交流できます。

海外の学生と同時に接続すれば、渡航をせずとも文化交流が実現するのです。

またメタバースのVR動画を使うことで、リアルな教室ではなかなか難しい実験やシミュレーションなども手軽に行えます。

歴史の授業であれば過去にタイムスリップしてその当時の文化に触れたり、歴史的瞬間に立ち会ったりするなどの疑似体験も可能です。

メタバースを活用することで、時間や場所を問わず学習効果を高める効果が期待されています。

集中力が高まり学習効果が上がる

メタバースを使った授業をすることで集中力が高まり、学習効果が上がるという利点があります。

2016年に中国・北京の高校で、天体物理学を題材にした授業でVRを用いた手法と従来の手法を比較した実験が行われました。

その実験では、VRを使った授業を受けた生徒の方がテストで高得点だったという結果が出ているのです。

(引用:Mogura VR News:VRを使った教育に効果はあるのか?学習意欲や理解度を調査)

このことからVRは、学習意欲を引き出し楽しみながら学べるようになると考えられています。

メタバースでもVR映像を使用しているため、メタバースを活用した教育は知識を吸収しやすくし学習効果を高める効果が期待されているのです。

海外とつながり英会話力が高められる

メタバースによって海外とリアルにつながることで、より高い英会話力を身につけられると考えられています。

ジェスチャーや海外の雰囲気を楽しみながら会話練習をすることで、インプットの質が向上するためです。

英会話との相性が良いことから、実際にメタバースと組み合わせたサービスが登場しています。

総合教育・生涯学習機関の株式会社ECCは、中学校・高等学校を対象に「VR留学体験」というサービスを発表しました。

留学の事前準備や英会話の実践の場の提供などを目的としており、日本国内で本格的な英語学習が可能です。

デモ検証に参加した生徒の内、9割以上が「楽しい」と回答しています。

メタバースで海外とリアルにつながることで、より効果のある英語学習が可能となるでしょう。

(引用:PR TIMES|英語教育もメタバースの時代へ!ECC「VR留学体験」の公開レッスンを実施します ~2022年7月14日(木) 佐賀・龍谷高等学校にて~

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不登校問題にも対応できる

メタバースを活用した教育は、不登校問題の解決にもつながると考えられています。実際に不登校問題の解決策として行われているのが「メタバース登校」です。

メタバース登校では、毎週月曜日から金曜日の朝9時から14時半まで、さまざまな授業が行われます。

国語や算数など基礎教科の授業はもちろん、プログラミング、クラブ活動も可能です。

埼玉県戸田市では、メタバース登校を「出席」として扱っています。

このメタバース登校については不登校の生徒にも効果があり「学校よりも居心地が良い」「前より授業が好きになった」という生徒もいるほどです。

メタバース空間上での授業や学習は、リアルの学校と比較して柔軟な対応ができます。メタバースにより、不登校の子どもたちにとって適応しやすい環境を整えられるかもしれません。

(引用:NHK|不登校の子どもたち 新たな居場所は“メタバース”

企業研修にも活用できる

企業がメタバースを活用して、スキルやツールのトレーニングを提供することもできます。

一例として空港会社のANAは、整備士の安全教育にVRコンテンツ「ANA VR Safety Training System」を導入しました。

コンテンツ内容は航空機整備の環境や過去の労働災害事例をもとにしており、格納庫での整備作業を再現したものです。

メタバース上で実業務の訓練をすることで、実際に事故が起こるのを防げます。

リアルとメタバースを組み合わせは、より質の高い教育の提供につながるのです。

メタバースを教育に活用した学校の事例【国内及び海外】

メタバースは、国内外の学校で教育に活用されています。具体的な事例は、以下のものです。

  1. スタンフォード大学
  2. 角川ドワンゴ学園
  3. 長岡工業高等専門学校

どのように活用されているのか、順番に見ていきましょう。

スタンフォード大学|年間約150日間の授業をVR空間で実施

スタンフォード大学では、Meta(旧Facebook)が開発した「Virtual People」という講義を行っています。実施されている授業のほぼ全てが、VRを活用したものです。

年間150日もの講義ですが、全てリモートで行われています。

人種差別を受けた男性の人生を体験するというような、メタバースだからこそできる授業内容があるのも特徴です。

角川ドワンゴ学園|教材のほとんどがVRに対応

通信制高校である角川ドワンゴ学園では、2021年4月からVRによる授業が導入されています。

2022年4月には、メタバース空間で入学式が行われました。

また授業内容も3D教材や史跡に触れるなど、疑似体験に重点を置いたものに変わっています。

これまでも「ネットの高校」として有名でしたが、メタバースの導入で全国どこからでもアバターを通じてリアルな交流ができる授業を実現したのです。

長岡工業高等専門学校|高専で初となるメタバース空間を導入

長岡工業高等専門学校では、2022年4月に「長岡高専バーチャルキャンパス」を公開しました。具体的には、以下のような内容で構成されています。

  • セミナールーム:授業・講演を聞く場所
  • グループワーク室:学生同士のディスカッションの場
  • ミーティングルーム:自身の進路相談ができる
  • ラウンジ:学生同士が交流する

利用できるのは、長岡高専の職員・学生だけではありません。全国高専の教職員・学生や、イベントによっては高専生以外の高校生や大学生、一般の方も利用可能です。

公に公開された学びの場であり、今後も順次コンテンツの追加が予定されています。

メタバースを教育に活用した企業の事例【国内及び海外】

メタバースは学校だけでなく企業でも、教育に活用されています。

  • 英会話教室イーオン
  • VictoryXR

どのようなものか、順番に見ていきましょう。

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英会話教室AEON|VR英語学習プラットフォームを使用した新レッスンを提供

英会話教室であるAEONは、VR英語学習プラットフォームimmerseを使用した新レッスン「AEON VR」のパイロット版を提供しています。

実際に海外で英語を使用するシーンをリアルに体験できる学習コンテンツで、海外の雰囲気を味わいながら少人数のレッスンを受けられるのが特徴です。

空港での英会話表現のロールプレイングのようなグループレッスンを通し、どこからでも海外にいるかのような実践的な英語学習ができるようになっています。

2. VictoryXR|メタバース仮想大学キャンパスの設立を計画

2021年12月に、アメリカのVR・AR教育企業「VictoryXR」が、Meta社と提携したメタバース仮想大学キャンパス「メタバーシティ」を設立する計画を発表しました。

世界各国の大学がメタバース化され、キャンパスのデジタル化が進行中です。

メタバーシティが順調に進むと、海外まで行くことなく大学の講義を受けられるようになります。

日本国内にいながら世界各国の大学講義を受けるという未来は、そう遠くないかもしれません。

まとめ

メタバースを活用した教育は、学校はもちろん企業研修にも活かせます。

ビジネス展開の可能性も幅広く、メタバースの広がりに伴ってさまざまなサービスが登場するでしょう。

メタバース教育がもたらす未来の変化には、教育領域での革新が挙げられます。従来の授業ではできなかった教育も可能となり、学びの質向上にもつながるのです。

ただしメタバースを教育に導入するには、技術的な面での課題もあります。メタバース関連の今後の動きにも注目しましょう。

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