新規事業を創出・展開していく際に「売上計画」の作成は必須になってきます。ただ、どのような手順で売上計画を作成すれば良いか分からないケースも多いでしょう。
そこで本記事では、新規事業の売上計画の作成手順、売上予測のポイントなどについて詳しく解説していきます。新規事業をこれから展開したい方、新規事業の売上計画の作成でお悩みの方は、ぜひ最後までご覧になってください。
新規事業の売上計画を立てる手順
それでは早速、新規事業の売上計画を立てる手順について確認しましょう。新規事業の売上計画は、大まかに下記の流れに沿って立てていきます。
①事業コンセプトを作成する
②提供する商品・サービスや単価を明確にする
③商品・サービスを提供する仕組みを設計する
④収益を得る方法を検討する
⑤売上・資金・コストなどの見通しを作成する
それぞれ詳しく見ていきます。
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①事業コンセプトを作成する
まずは新規事業のコンセプトを決めていきましょう。コンセプトは「アイディア」と混同されやすいですが、実際は意味が異なります。アイディアは思い付きの段階であって、コンセプトはアイディアを基にして具体的な事業内容を示す段階です。
コンセプトが明確でないと、新規事業の内容や売上計画を立てることが難しいので、最初の段階でコンセプトを固めておきましょう。なかなかコンセプトが決まらない場合は、以下の記事で紹介するフレームワークを用いて事業を検討してみるのがおすすめです。
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②提供する商品・サービスや単価を明確にする
次に提供する商品・サービス、ターゲットの顧客を明確にしていきましょう。新規事業で販売・提供する商品・サービスが明確でないと、売上計画を具体的に立てるのは難しいです。売上計画を作成する前に、コンセプトを基にして商品・サービスの内容を具体的に決めておきましょう。
また商品・サービスの内容によって、単価・金額は大きく異なってきます。商品・サービス単価次第で売上計画も変わってきますので、こちらも明確に決めておくことが重要です。
またターゲットの顧客層によっても、設定すべき商品・サービス単価が異なってきます。たとえば、平均年収の顧客層に向けてアパレル商品を販売する場合、1着あたりの単価は数千円~1万円ほどになってきますが、高所得者の顧客層に向けたアパレル商品であれば、数万円以上の単価設定でも販売できるでしょう。
ターゲット層の経済状態も考慮し、最適な商品・サービスの単価を決めていきましょう。
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③商品・サービスを提供する仕組みを設計する
商品・サービスを提供する仕組みの設計も行いましょう。仕組みを構築したり、活用する際にかかるコストを算出するのが目的です。
たとえば、商品を販売する際には輸送費用や広告宣伝費が生じてきます。また自社メディアやサイトを通じて販売・提供する場合も、注文管理やメディア・サイト運営などで人的コストがかかってきます。
商品・サービスを提供する仕組みを設計しておかないと、各種コストの算出が困難です。どのように商品・サービスを提供していくのか、仕組みを明確に固めていきましょう。
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④収益を得る方法を検討する
商品・サービスを提供する仕組みまで固めたら、収益を得る方法を検討していきます。良い商品・サービスを顧客に提供できたとしても、それらが収益確保に繋がらなければビジネスとして成立しません。
収益を得る方法としては、下記の3つが代表的な方法になります。
- マージン型
- 回転型
- 顧客ベース型
<マージン型>
マージン型とは、商品・サービスを低コストで生産し、高価格で販売・提供していく方法になります。販売数を伸ばすというよりも、特定の顧客に対して堅実に商品・サービスを展開し、売り上げを伸ばしていくイメージです。
<回転型>
回転型とは、低価格の商品・サービスを高回転で販売・提供していく方法です。マージン型とは反対に、商品・サービスの販売数を伸ばして収益を出していきます。
例えば大手チェーンの飲食店は、大半が回転型の収益体制で事業を展開している典型例です。
<顧客ベース型>
顧客ベース型とは、顧客を確保してから後日に料金・報酬を受け取る方法です。月額制・サブスク型の事業は顧客ベース型に当てはまります。
⑤売上・資金・コストなどの見通しを作成する
収益を得る方法を固めたら、次に売上・資金・コストなどの見通しを作成します。売上計画の肝となる部分です。
売上の見通し
売上の見通し作成では、市場規模や推定の顧客獲得数にもとづいて売上の見積もりを出しましょう。
基本的に売上高の計算では「顧客数×客単価」の計算式を用います。客単価はある程度まで固定化できますが、顧客数は市場規模やニーズの多寡、商材によって変わってくるでしょう。正確な予測を立てるためには、根拠のあるデータや情報を収集し、顧客数を予測するのが大切です。
資金の見通し
資金の見通し作成では、実際に各期の見込みキャッシュフローを作成して合計の資金額を算出していきます。
新規事業の展開で必要となる資金を確認して、資金繰りに問題がないかチェックしましょう。また融資や出資などで資金を集める場合は、融資・資金計画も合わせて作成します。融資・出資を利用する場合、必要書類の作成や審査など各種手続きが必要になってくるので、ゆとりを持って進めるようにしましょう。
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コストの見通し
コストの見通しでは、新規事業を展開する上で必要な費用を算出し、損益分岐点を確認します。また固定費や変動費など費用項目ごとの金額もチェックしましょう。
コストに対する売上高が現実的な数値(達成可能な数値)になっているかどうかも踏まえ、コストと商品・サービス単価を調整していきましょう。
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最終的な収支の見通し
売上・資金・コストの見通しが完成したら、最終的な収支の見通しを作成しましょう。想定の売上高や投下するコスト、資金額を考慮した上で、年単位での収支見通しを固めます。新規事業の黒字化のタイミングも把握して、無理のない事業展開を進めていけるよう準備していきましょう。
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新規事業の売上計画における「売上予測」の決め方
新規事業の売上計画において、「売上予測」の作業は一番負担のかかる部分になります。売上予測の精度によって、売上計画の実現可能性が変わってくるといって良いでしょう。
売上予測を決める際は、下記のポイントを押さえて進めるのがポイントになります。
- 売上予測のアプローチ
- 仮定条件の数値
- Excelによる試算
売上予測のアプローチ方法は大きく2種類
売上予測のアプローチは、大まかに下記の2つに分かれています。
- トップダウン
- ボトムアップ
トップダウン
トップダウンの売上予測は、市場規模や自社のマーケットシェア、商品・サービス価格などを踏まえて売上高を予測していくアプローチ。トップダウンのアプローチは仮定のデータ・要素が多いため、あくまでも新規事業の売上の方向性を確認するために活用するケースがほとんどです。
ボトムアップ
ボトムアップの売上予測は、自社の既存顧客のニーズや新規顧客のポテンシャルなどを踏まえて、売上高を算出していくアプローチ。既存事業に対してはボトムアップ型のアプローチで売上予測を出す企業が大半です。
新規事業の売上予測では、既存顧客のデータをすべて活用できる訳ではないので、トップダウン型のアプローチも併用して見込み顧客のニーズを把握していく必要があります。
仮定条件の数値
仮定条件として使える数値を集めていくのも、売上予測の精度を高める上で重要です。トップダウン型のアプローチで売上予測を立てる場合であっても、可能な限り客観的なデータを集めて利用しましょう。売上予測で活用できる客観的な数値データとして、下記のデータが挙げられます。
- アンケート調査・市場調査で取得したデータ
- 業界の平均データ(売上高・回転率など)
- 競合他社の売上・獲得顧客数のデータ
各種データを集めるのにも労力・時間がかかりますので、ゆとりを持ってデータ収集を行うようにしましょう。
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新規事業の売上計画が必要になるタイミング
新規事業の売上計画が必要になるタイミングは、主に下記の3パターンに分かれてきます。
- 新規事業の提案を行うタイミング
- 数値面で新規事業の方向性を固めるタイミング
- 融資・出資を募るタイミング
新規事業の提案を行うタイミング
新規事業の提案を行うタイミングで、売上計画の提出が求められることが多いです。特に規模の大きい事業になるほど、売上計画を早いタイミングで提出する必要性が出てきます。ただ、ベンチャー企業や中小企業など比較的事業の規模が小さい企業の場合は、提案のタイミングでは新規事業の大まかな内容のみ記載するケースも見られます。
数値面で新規事業の方向性を固めるタイミング
新規事業の提案段階では売上計画が必要でない場合もよく見られますが、新規事業の方向性を数値も含めて固めるタイミングでは売上計画が必須です。綿密な売上計画を作成しなければならず、現実的な数値を基準にした計画書が求められます。
融資・出資を募るタイミング
融資・出資を募るタイミングでも新規事業の売上計画が必要です。金融機関から融資を受ける場合、企業の財務状況に加えて、新規事業が将来的に収益獲得に繋がるかどうかチェックされますが、その際に売上(事業)計画の提出が求められます。
また投資家から出資を受ける場合にも、売上計画を提示し、事業の将来性をアピールしなければなりません。売上計画が綿密に練られていれば、投資家も安心して出資できるため、資金調達がスムーズに進むでしょう。
新事業の売上計画を立ててビジネスを成功させる
新規事業の売上計画は、事業の収益性や方向性を明確にする上で非常に重要です。事業規模の大小を問わず、売上計画の作成は必ず必要になると考えた方が良いでしょう。
本記事で解説した内容を参考に、新規事業の売上計画を作成していただけると幸いです。
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