コンサルティング経験を活かして独立し、フリーランスコンサルタントになる場合、どのようにして案件を受注するかは重要な問題です。最近はコンサル案件を専門に扱うエージェントも登場しており、スキルと実績次第では独立直後も高単価な案件を受注しやすくなっています。
今回は、フリーランスコンサルタント向けの案件を扱うエージェントについて解説しています。利用時のポイントやメリット・デメリットを押さえ、活動に役立てましょう。
フリーランスコンサルタント向けのエージェントは黎明期
転職者向けのエージェントだけでなく、フリーランス向けのエージェントも多数登場しており、エンジニアやデザイナーなど職種ごとに特化したサービスもあるほどです。
フリーランスコンサルタントの案件に特化したサービスも登場しており、個人でも大手企業の仕事を受けられる導線が増えています。
コンサルタント案件を扱うエージェントは、コンサルティングファームが母体となっているものや、人材紹介事業者が特定職種に特化したサービスとして展開しているケースなど様々。現状としてフリーランスコンサルタント向けのエージェントは黎明期にあるようで、極端に強い勢力を持ったサービスは登場していないようです。
そのため、複数のエージェントに登録し、比較しながら利用する必要があるでしょう。
エージェントを利用するときの4つのポイント
利用登録する前段階では、どのような案件を扱っていて、支払サイトやマージンがいくらかかるのかなど、詳細がわからないエージェントも存在します。
サービスサイトに記載されている情報や運営方針、運営元などを確認し、良い印象を持ったなら、利用登録・個別面談に進んで詳細を確認するのがおすすめです。
利用するときの判断ポイントを4つ紹介します。
希望に合う案件を扱っているか
まず気になるのが、自分の希望条件に合う案件をどれくらい扱っているかです。
- 報酬
- コンサル分野・業種
- 要求されるスキル・実績
- 案件の期間
- 働くエリア
- 稼働率
- リモートの有無
条件にも様々な項目がありますが、なるべく希望に合った案件を多く扱うエージェントの方が、納得できるマッチングがしやすいでしょう。
ハイクラスな案件ほど非公開求人となっているケースが多く、サービスサイト上に掲載されていないこともあります。登録時の面談では、非公開求人で扱っている案件がどのような条件のものが多いかも確認しておくと良いでしょう。
手数料はいくら取られるか
エージェントに対して支払う(または報酬から差し引かれる)手数料は、サービスごとに異なります。報酬の10~20%程度というケースが一般的ですが、詳細を公開していないところも多いので、利用登録時に確認しましょう。
一見、高単価案件に見えても、手数料で取られる額が大きくなると、得られる収入が減少します。同じクライアントからの案件でも、エージェントが違うことで手取りが増減したケースもあるようです。
条件交渉や福利厚生などのサービスがあるか
条件交渉の代行や福利厚生が受けられる点も、エージェントを利用するメリットです。サイトで掲載されているサービスを確認するだけでなく、交渉事例やサービスの利用状況も聞いておくと「思っていたフォローが受けられなかった」といった事態を防げます。
利用する際は、エージェントからのサポートが必要な場面を考え「こんな時はどんなフォローをしてくれるのか?」と、具体例を挙げて確認しましょう。
担当者のサポートは適切か
気持ちよく利用できるサービスであるかも、エージェントの善し悪しを決めるポイントになります。
- 面談時の対応は適切か
- こちらのスキルやキャリアを理解してくれるか
- 案件の紹介頻度や内容は条件にマッチしているか
- 交渉やトラブル発生時のフォローは十分か
もし、担当者の対応が合わない・相性が悪いと感じるなら、利用を考え直したいところです。エージェント側に相談し、担当者変更をお願いして様子を見るのもよいでしょう。
エージェントを利用するメリット・デメリット
エージェントの利用にはメリットもデメリットも存在します。それぞれを理解し、上手く活用すれば、効率よく働けて収入アップを目指せるでしょう。
メリット:営業活動しなくても案件を受注できる
エージェントを利用すれば、スキルや実績に合った案件を紹介してもらえるので、営業活動の手間を省けます。コンサルタントとしての業務に集中でき、より価値提供できる存在になれるでしょう。
中にはエージェント経由でなければ取り引きできない、大手企業からの案件もあるので、可能性を広げられます。
メリット:キャリア相談もできる
多くのエージェントサービスでは、登録者との面談を実施した上で案件を紹介しています。これは案件のミスマッチを防ぐために条件を確認するだけでなく、コンサルタント自身のキャリアを棚卸しする機会になるでしょう。
フリーランスになる前段階からサービスに登録し、面談を受けることもできるので、独立するかを迷っている時にも役立ちます。
メリット:単価交渉や報酬管理、福利厚生などのサービスがある
エージェント経由で仕事を受注する場合、報酬や労働条件の交渉も代行してもらえます。報酬の請求や受け取りもエージェント経由での管理となり、個別に請求書を発行したり入金確認したりといった手間がありません。
フリーランス向けの福利厚生サービスを用意しているところも多く、税理士紹介や弁護士への相談、各種施設の優待利用などが受けられます。
デメリット:手数料が発生する
サービスを利用する以上、仕方のないことですが、エージェント経由で仕事を受注すると何らかの手数料が発生します。
- 月額報酬の10~20%程度
- 報酬にかかわらず一定額
- 実績によりマージン率が変動
エージェントごとにこうした手数料の体系は異なりますが、いずれも提示されている報酬がそのまま受け取れるとは限らないと理解しておきましょう。
なお、多重下請け状態になっていると、複数のエージェントが間に入っているため、手数料を何度も取られます。結果、クライアントが支払う額と、フリーランスコンサルタントの受け取る額が乖離し、人材のミスマッチが起きることも。
エージェントを使って仕事を受注する際は、エンドクライアントと直接契約しているサービスを利用したいところです。
デメリット:エージェントごとに利用登録の手間がかかる
複数のエージェントに登録し、比較しながら利用したいところですが、登録時の手続きや面談はエージェントごとに対応しなければなりません。
希望条件のすり合わせやサービス内容の確認など、人材と案件のミスマッチを避けるために個別面談は重要です。しかし、新しいサービスに登録する度に面談があるのは、手間に感じることもあるでしょう。初回は様子見のため、希望よりも低い報酬や短期間の案件を紹介される可能性もあります。
【おすすめ】フリーランスコンサルタント向けエージェント5選
フリーランスコンサルタント向けのエージェントを5つ紹介。エージェント選びに迷ったら、まずはこの中から登録する候補を選んでみてください。
High Performer Consultant(ハイパフォコンサル)
「High Performer Consultant」はその名の通り、ハイレベル・高単価なコンサル案件を扱うエージェント。運営企業であるINTLOOP株式会社は、コンサル企業として18年の実績を持ち、2022年7月に東証グロース市場へ上場しました。
案件の分野としては、PM・PMOや戦略、業務、ITなどのコンサルタント案件があり、月額150万円を超える高額案件も目立ちます。
支払サイトは末締め翌月15日払いと短く、福利厚生サービス「fukurint」によるサポートや税理士紹介サービスも充実しています。
Professionals On Demand(POD)
「Professionals On Demand」は株式会社ワークスタイルラボが運営しており、フリーランス向けプラットフォームに強みのある、ランサーズ株式会社が親会社です。
大手コンサルファーム出身者によるキャリア面談が行なわれ、希望やスキルをしっかり理解した上で案件とマッチング。取り扱い案件の85%が非公開求人となっており、適性を判断して好待遇な案件を紹介してもらえます。
SAPやERP、DXなどIT系のコンサル案件が多く、プロジェクトへのアサイン後もサポートあり、フォロー体制が整っています。
Consultant Job(コンサルタントジョブ)
株式会社エル・ティー・エス リンク(旧・株式会社アサインナビ)が運営する「Consultant Job」は、大手上場企業との取引実績もあるエージェントサービス。運営元の親会社である株式会社エル・ティ・ーエスは2017年12月に東証マザーズへ上場、2020年6月には東証一部に市場変更(現在は市場再編により東証プライム)しています。
IT系フリーランス向けのマッチングサービス「アサインナビ」も運営しており、IT系コンサル案件に強く、月額120万円以上の案件も豊富。専属担当者によるフォロー体制があり、フリーランスにありがちな業務上の孤独感も感じにくくしています。
フリーコンサルタント.jp
「フリーコンサルタント.jp」は、2017年12月に東証マザーズ(現在は市場再編により現在は東証グロース)に上場した、株式会社みらいワークスが運営する案件紹介サービス。
大手企業向けの経営やIT分野のコンサル案件を中心に、完全リモート・基本リモートの案件も多く扱っています。稼働中のサポートがある他、稼働後は評価のフィードバックも受けられ、今後の活動にも役立てられます。
Strategy Consultant Bank(ストラテジーコンサルタントバンク)
ハイクラスなコンサル案件のマッチングプラットフォーム「Strategy Consultant Bank」は、2021年9月設立の株式会社Groovementが運営し、人材紹介会社の中で新しい存在です。戦略ファーム出身者が独自ルートで紹介する高単価な案件を扱っており、マッチング精度の高さから早くも注目を集めています。
案件は戦略系、業務系を中心に、副業・兼業向けの稼働率を抑えたものもあるなど、柔軟さも魅力。フリーランスコンサルタントを活用する企業向けのサービスも展開し、企業とフリーランスの橋渡しをしています。
エージェントを活用してフリーランスコンサルタントの仕事を受注しよう
近年、多様なマッチングサービスが登場し、フリーランスコンサルタント向けの案件に特化したエージェントも各種企業が展開しています。
エージェントを利用する場合、手数料の負担や登録時の手間はあるものの、営業活動の手間を省いてキャリア相談や各種サポートが受けられるなどのメリットも多数。個別営業や既存のコネクションでは受注できない、大手企業の案件への参画も可能です。
自身の可能性を広げ、仕事を取る手法の一つとして、フリーランスコンサルタントもエージェントを活用しましょう。