起業には事業内容の決定や各種申請手続き、商品の決定などの作業が発生します。何から始めればよいのか、商品内容は適切であるかなど、疑問や不安に感じることも出てくるでしょう。

こうした起業時の問題を解消するためのサポートをするのが、起業コンサルタントです。

今回は仕事内容や料金体系、料金の決め方などについて、起業コンサルタントにスポットを当てて解説します。起業コンサルタントを志す方はぜひ参考にしてみてください。

起業コンサルタントとは

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起業コンサルタントは、法人の新規事業立ち上げや個人事業主の開業サポートなど、スタートアップ部分のアドバイスを専門とするコンサルタントです。

新たに事業を始める場合、事務手続きだけでなく市場の動向や対象顧客の設定、商品内容が適切であるかなど、多数の対応事項が発生します。特に初めて起業する個人事業主や、経験のない分野の事業に取り組む法人などは不安も多く、専門知識を持った第三者の意見を聞きたい場面もあるでしょう。

起業コンサルタントは、こうした起業時のさまざまな事柄を解決するためのサポートを行います。

また、飲食店やクリニックなど、特定の業種に精通した起業コンサルタントもあります。最近では、フリーランスや副業での起業需要があるため、小規模な個人事業者向けの起業コンサルタントも需要があるようです。

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起業コンサルタントの仕事内容

起業コンサルタントの仕事内容(見出し下画像)

起業コンサルタントは、起業時に発生するさまざまな業務のサポートや、起業に関するアドバイスを専門とします。なかには起業時の事務手続き代行を引き受けるコンサルタントもいますが、内容によっては特定の資格がなければ違法となる手続きもあるので注意しましょう。

ここからは起業コンサルタントの代表的な仕事内容を紹介します。

起業時の書類作成

起業時の書類作成に不慣れな人は、作成のサポートや代行を必要としている場合があります。

個人事業を開業するときに作成する書類等法人を設立するときに作成する書類等
個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)
青色申告承認申請書
青色事業専従者給与に関する届出書
事業開始等届出書
課税事業者選択届出書
所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書
労働保険関係成立届
労働保険概算保険料申告書
雇用保険適用事業所設置届
雇用保険被保険者資格取得届
給与支払事務所開設届出書
源泉所得税の納期の特例に関する申請書など


定款実質的支配者となるべき者の申告書
会社の印章
登記申請書
代表取締役・取締役の就任承諾書
監査役の就任承諾書
就業規則届
労働保険関係成立届
労働保険概算保険料申告書
雇用保険適用事業所設置届
雇用保険被保険者資格取得届
法人設立届出書
青色申告承認申請書
給与支払事務所等の開設届出書
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書など

業種や事業の規模、従業員の有無により不要な書類や、従業員の雇用条件によってはこれ以外に必要な書類もあります。個人事業主の場合、開業時に必要な書類は限られていますが、法人を設立する場合は用意する書類が多く手間がかかるでしょう。

こうした手続きを代行するサービスは起業を志す方にとって非常に有用なサービスではありますが、法人設立時の必要書類の中には行政書士や司法書士といった国家資格がなければ作成できないものが含まれます。

これらの資格を取得し、起業コンサルタントの業務として実行するのは問題ありませんが、そうでない場合は作成にあたっての相談・サポートといった立ち位置に留める必要があるでしょう。

資金調達

事業内容や規模によっては、起業時にまとまった資金が必要です。自己資金でまかなえるのか、不足するならどのような資金調達方法があるのかをアドバイスするのも、起業コンサルタントの仕事です。

【資金調達方法の例】

  • 自己資金でまかなう
  • 金融機関から借り入れる
  • 公的な助成金・補助金を利用する
  • 出資者を募る

金融機関からの借入や助成金・補助金の利用には、事業計画書などの書類を提出しての審査が必要です。

起業コンサルタントは審査に通るよう書類作成をサポートしたり、利用できる補助金・助成金の情報を集めてアドバイスしたり、といったことも仕事のひとつです。

また、適切な借入金額や開業後の収支を考えた返済計画について相談を受けることもあるでしょう。

出資者を募る場合、個人や法人に依頼するだけでなく、最近はクラウドファンディングを使って広く出資者を集められるようになりました。

クライアントの状況に適した調達方法を提案し、申請手続きをサポートするのが大切です。

開業や起業時の手続き・申請

開業や起業時の各種届出書類や申請書類は、それぞれ該当する公的機関に提出しなければなりません。書類の作成に加えて手続きや申請業務も起業コンサルタントが携われる仕事です。

また、業種・業態によっては開業届や法人設立届のほかにも、届出または申請が必要となります。

  • 深夜0時を越えてアルコールを提供する飲食店は深夜酒類提供飲食店営業開始届の提出
  • 店内飲食ではなくアルコールの持ち帰り販売をする場合は酒類販売業免許の申請
  • 中古品の買取・販売業は古物商許可の申請

一例ですが、業種によってはこのような届出や申請が必要で、忘れたまま営業すると法令違反になる恐れがあります。事業者が必要な届出に気付いていないケースもあるので、起業コンサルタントとしてアドバイスしたいポイントです。

なお、手続きや申請の代行まで引き受けるには、行政書士資格が必要になります。

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事業内容や物件についての相談

実際に販売する商品やサービス、提供場所について相談に乗るのも業務内容のひとつ。

よい商品であっても価格や販売する場所、ターゲットが不適切だと売上が伸びにくくなるでしょう。また、販売や接客が必要になる店舗を構える場合は、特に立地や外観・内装も売上を左右します。

商品の魅力を訴求しやすく、適切な販売方法をアドバイスするのも起業コンサルタントの仕事になります。

営業・集客のアドバイス

起業してからの事業者の大きな不安は、売上が見込めないことでしょう。そのため、初期のマーケティング方法やターゲット設定についてのサポートを依頼されるケースも少なくありません。

どのような営業手法や広告手法を選べば売上につながるのか、SNSによる情報発信はどのようにするとよいかなど、マーケターとしての知見が問われます。ターゲット層の行動原理を分析・予想し、効果的な営業方法や集客方法を提案しましょう。

マーケティングの観点で言えば、業種やエリアによって適切なマーケティング手法は異なるため、特定の業種やエリアに強い起業コンサルタントは重宝されやすい傾向にあります。

起業コンサルタントの料金体系

起業コンサルタントの料金体系(見出し下画像)

起業コンサルタントの料金体系は、大きく次の4種類に分類されます。

  • 固定報酬型(月額)
  • 時間報酬型
  • プロジェクト型
  • 成果報酬型

また、契約内容によって適用する料金体系を変えるケースもあるでしょう。ここからは、それぞれの料金体系について詳しく解説します。独立時の参考にしてみてください。

固定報酬型(月額)

クライアントと顧問契約を結び、毎月決まった額の報酬を受け取る料金体系です。立ち上げから事業が一定の軌道に乗るまで、コンサルタントは期間を決めてクライアントに伴走します。

法人向けの起業コンサルに多い料金体系で、契約期間は半年や1年が一般的です。相談や面談の回数は、月に数回決まったタイミングに行ったり、必要に応じて都度設定をしたりしてクライアントの課題に迅速に対応できる体制を整えましょう。

時間報酬型

時間報酬は相談1時間につきいくら、といった料金体系です。長期にわたっての継続的なサポートはしませんが、とりあえず専門家に話を聞いてもらって方向性のアドバイスが欲しい方や、起業に関する特定の部分について相談したいなど、スポット的な需要に向いています。

初期の相談は時間報酬で対応し、顧問契約を結んでから固定報酬に移行するパターンも考えられるでしょう。アップセルの参考にしてみてください。

プロジェクト型

起業時に発生する特定業務だけに絞ってコンサルティングをする場合、プロジェクト型の料金体系が使われます。例えば、起業にあたっての書類作成や対象とする顧客の設定、取り扱う商品についての相談だけ引き受ける場合などです。

先述した時間報酬型も特定の部分の相談やサポートに利用されますが、プロジェクト型は時間ではなく1件ごとに料金が発生するという違いがあります。

所要時間や工数は相談内容によって異なるため、プロジェクト型の報酬で仕事を受ける場合は料金表を用意しておくとよいでしょう。

成果報酬型

起業後の数か月間や1年間の売上から、所定の割合を報酬として受け取るのが成果報酬型です。

クライアント側は初期費用がかからないので依頼までのハードルが低くなりやすいと言えます。しかし、コンサルタント側は一定の期間が経過するまで報酬を得られず、受け取れる金額も不確定です。

クライアントが大きな利益を出せれば報酬も増える反面、期待ほどの結果が出なければ報酬も減ってしまいます。単価が高く、結果を出す自信があるコンサルタントが採用する方法と言えます。

起業コンサルタントの料金の決め方

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コンサル料の決め方には、大きく2つの方法があります。どちらの方法が適しているかは、引き受ける内容や状況によって異なるでしょう。

相場から判断して決める

実績のある業者や同じ地域の業者などを複数ピックアップし、最低・最高価格や平均価格を調査して、同程度で価格設定する方法です。

起業コンサルタントを始めたばかりで実績のない状況でも決めやすいでしょう。

希望年収と稼働時間から逆算して決める

もう1つは、1年に稼ぎたいと思う報酬と予想される年間の稼働時間から、1時間あたりの料金を逆算する方法です。

例えば年収を1,000万円、稼働時間は月120時間で年間1,440時間と想定するなら、時給7,000円ほどになります。ここに書類作成にかかる消耗品費や打ち合わせのための通信費、交通費、事務所の維持費などの経費を上乗せして、相談1時間あたりの料金を決定します。

大きく相場と剥離が生まれてしまう場合は、付加価値を付けて単価を上げられないか、特定の需要に深く応えて単価を上げられないか、という観点でサービス内容を検討してみましょう。

例えば起業コンサルタントとして創業直後から伴走しつつ、シード期の資金調達が成功したタイミングで高単価のマーケティング戦略コンサルティングも提案する、というようにLTVをアップさせる手法が考えられます。ぜひ参考にしてみてください。

怪しい起業コンサルタントと思われないために

怪しい起業コンサルタントと思われないために(見出し下画像)

コンサルタントは、特定の資格や免許を必要としない仕事です。

そのため、虚偽の実績を掲げて集客し、高額な費用を払わせたり、支払いのために金融会社を紹介して借り入れをさせたりするような悪質コンサルタントも存在します。

こうした一部の悪質なコンサルタントが居るため、コンサルタントという職業そのものを怪しく思う方も一定数存在します。

仕事を安定的に受けるには、怪しまれるコンサルタントを反面教師にし、疑いを持たれない誠実な対応を心がけましょう。そのためには以下の点に注意するのが大切です。

料金の内訳を明瞭に

相談1回につき数万円、月に数度アドバイスをもらうのに月額数十万円と、コンサル料は金額だけを見ると非常に高額です。金額の根拠がわかりにくいため、仕事内容に不信感を持たれてしまうと依頼を受けるのが難しくなってしまうでしょう。

怪しい事業者と誤解されないため、料金には何が含まれているのかを説明し、金額の根拠も提示できるよう準備しましょう。相手が払うコストに見合ったメリットがあると理解されれば、誤解される心配はありません。

クライアントが納得するまで説明した上で契約する

コンサルタントの仕事は、クライアントの利益になるようサポートすることです。それには相手の要望に沿った提案が重要であり、意見を押しつけてはいけません。信頼関係を築き、理解と納得を得て進めなければ、長期的に見ても成果が出にくくなるでしょう。

無理に決断を急がせるような言葉で契約を迫るのは、悪質業者の手口です。契約はクライアントが納得するよう説明を行い、納得してもらってから進めましょう。

見積書や契約書、領収書などの書類は正確に作って提出する

問題のあるコンサルタントは、まともに書類を提出してこないという声もあります。

  • 料金表は見せてくれるが詳細な見積書を出してくれない
  • 契約書の内容がおかしい
  • 請求の段階になってから金額を知らされる
  • 領収書を発行せず、理由をつけて追加料金を請求してくる

このような悪質コンサルタントの手口と同列にならないよう、書類はきちんと作成・提出しましょう。特に請求に関する書類には細心の注意を払うよう心がけましょう。

起業コンサルタントは起業時の頼もしい味方

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起業コンサルタントは、個人や法人が新たに事業をスタートする際の手続きや課題解決について、サポートやアドバイスを行うコンサルタントです。煩雑な書類作成や手続きを代行したり、事業が軌道に乗るよう商品・サービスについてのアドバイスを行ったりします。

実際に起業をする際には不安や課題が山積みになるもの。豊富な知見や経験を携えた起業コンサルタントは創業者にとって頼もしい味方となるでしょう。新たなサービスの誕生を間近で応援できるやりがいの大きな職業ですから、自信を持って起業コンサルタントを名乗れるよう、この記事を参考にしながら検討してみましょう。