編集部
日本労働組合総連合会（東京都・千代田区）が、「フリーランスの契約に関する調査2023」を実施した。
調査期間は2022年12月23日～12月27日。インターネットリサーチを実施し、フリーランスとして働く20歳以上の男女1000名のサンプルを集計した。（調査協力機関：ネットエイジア株式会社）
フリーランスとして働くきっかけの1位は「好きなことを仕事にしたい」
フリーランスとして働くことになったきっかけについては、「好きなことを仕事にしたかったから」が32.5%で最も多い回答となった。次いで「自分の専門性を活かすため」（29.8%）、「場所や時間にとらわれずに自由に働きたいから」（29.4%）という結果となったが、世代別にみると、20代は「場所や時間にとらわれずに自由に働きたいから」が39.5%にのぼり、全体より10ポイント高い結果となった。
また、フリーランスとして働くことに満足しているかという質問に対しては、仕事全体で見てみると「非常に満足している」「やや満足している」が56%という結果になり、半数以上が満足感を得ていることがわかった。
仕事内容や質に関しては「満足している」が63.6%、労働時間に関して「満足している」と回答した人は57.5％となった。さらにプライベートとの両立でも「満足している」と感じている人は68.8%にのぼり、ワークライフバランスが取れている人が多い結果に。
一方で収入面に関しては「満足している」と答えた人は27.9%となり、他と比べて低い数字となった。
フリーランスの半数近くが仕事上のトラブルを経験
フリーランスとして働く上で、トラブルを経験したことがあるかという質問に対しては、46.1%の人がトラブルに遭遇した経験があると回答。内容について質問すると「不当に低い報酬額の決定」が31%と最も多く、次いで「一方的な仕事の取消し」（28.4%）、「報酬の支払いの遅延」（25.8%）となり、やはり金銭面のトラブルが多いことが判明した。
仕事を発注する際の合意方法 最も多いのはメールやチャット
業務を受注する際に仕事の条件や報酬についてどのような形式で合意を行っているかについては、「メールやチャット、アプリで確認・合意を行っている」が最も多く72.3%となった。次いで「口約束で確認・合意を行っている」が56%と、書面での契約を交わさずに受注している人が半数以上いることがわかった。なお、「書面などによる契約を行っている」と回答した人は44.0%、「電子文書による契約を行っている」は27.7%という結果に。
なぜ業務を発注する際に契約書を締結しないのかという理由については、「日頃の信頼関係があるため」が最も多く43.8%、次いで「書面で契約しなくても、権利や報酬が保障され、円滑な業務遂行に支障がないため」（26.8%）、「発注者から提示されなかったため」（24.4%）、「契約書をかわす慣例がなく、受発注側どちらにもその発想がないため」（23.6%）という結果になった。
また内容に理解や納得をしないまま契約した経験がある人が292名いることもわかった。理由としては「締結・合意しないと次の仕事をもらえないから」（39.7%）「十分な検討時間がなかったため、仕方なく」（38.0%）が他に比べて多い結果に。
ただ、フリーランスとして適切な報酬や権利を守るためには書面で契約することが望ましいと感じている人が64.1％いることも判明し、発注業者に対して本音が言えないフリーランスの弱い立場が浮き彫りになった。
フリーランスが安心して働くために必要なことは？
フリーランスとして働く中、ハラスメントや精神的・身体的暴力を受けた経験があると回答した人が31.1%にのぼっている。これは発注業者や事業者と対等な関係を築くことができない環境にあることが要因のようだ。
そのためフリーランスが安心して働けるようになるために必要なことは何か質問すると「フリーランスの立場や権利を守る法律の整備」との回答が33.7%で最も多く、「フリーランスが利用できる福利厚生（健康診断や施設利用・旅行の優待サービス、税務・法務サポート、スキルアップ支援、入院見舞金等）」（32.8%）、「所得が補償される制度・仕組み（病気やケガで働けなくなった際の所得補償）」（25.9%）、「フリーランスに対する企業への理解促進」（24.1%）、「雇用保険のような制度・仕組み（失業中の生活の安定を図るための仕組み）」（21.3%）と続いた。
ただ20代、30代になると5人に1人が「妊娠・出産・育児・介護などと仕事の両立のための制度・仕組み（給付金や休暇など）」をあげている。
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