企業の成長を継続的に進めていくためには「新規事業」の創出・展開が不可欠です。ただ、日本企業は欧米各国の企業と比べて、新規事業を立ち上げたり、イノベーションを起こしたりする意識が低い傾向にあります。そこで本記事では、新規事業の必要性について詳しく解説していきます。

新規事業がなぜ必要なのか把握したい方、実際に新規事業の展開を検討されている方は、ぜひ最後までご覧になってください。

新規事業の必要性

それでは早速、新規事業の必要性について確認していきましょう。

新規事業の必要性として、下記の観点が挙げられます。

  • 本業以外の事業を創出して経営を多角化する
  • 将来的な経営人材を育成する
  • 商品・サービスのライフサイクルを考慮する
  • 経済の縮小に対応する

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本業以外の事業を創出して経営を多角化する

新規事業を展開することで、本業以外の事業を創出して経営を多角化できます。情報化が著しく進んだ現代社会では、人々が様々な情報をキャッチできるようになったため、ニーズの多様化が進みました。そのため、特定の事業に依存してしまうと、消費者のニーズの変化に対応できず、企業成長が鈍化する可能性があります。

新規事業を創出して経営を多角化すれば、消費者のニーズの変化に合わせて柔軟に事業を展開することが可能です。

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将来的な経営人材を育成する

将来的な経営人材を育成する上でも、新規事業の創出は有用になります。新規事業の展開では、事業展開でリーダーシップをとる人材が必要です。将来の経営人材候補に新規事業の展開を任せることで、事業展開や従業員のマネジメントなど経営者として必要な能力を鍛えられるでしょう。

新規事業の展開を任された従業員にとっても、責任ある仕事に取り組むことで業務に対するモチベーションが上がったり、新たなスキルを手に入れたりと様々なメリットがあります。

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商品・サービスのライフサイクルを考慮する

商品・サービスには「プロダクト・ライフサイクル」と呼ばれる売上変化の時間軸があります。

  • 導入期:商品・サービスを売り出して消費者に認知してもらう段階
  • 成長期:商品の認知が高まり、売上が徐々に伸びていく段階
  • 成熟期:売上が安定する一方で、成長角度は鈍化してくる段階
  • 衰退期:売上が減少して、成長率がマイナスになっている段階

1つの事業は期間の長短こそありますが、上記に挙げたライフサイクルを経ていきます。このため、特定の事業のみに依存して経営してしまうと、最終的に企業の成長が鈍化・低下してしまう可能性が高いのです。

企業の新陳代謝を高め、継続して成長していくためにも、新規事業の創出・展開は必要不可欠と言えます。

経済の縮小に対応する

経済の縮小に対応するという面でも、新規事業の必要性は高いです。日本経済の環境は、少子高齢化や個人消費の低迷により非常に厳しい状態が続いています。特に少子高齢化による人口減少は、日本国内の市場規模を着実に縮小させるため、既存の商品・サービスの売上が低下する可能性が高いです。

こういった経済の縮小に対応するためにも、消費者の細かいニーズを汲み取り、時代に合わせた事業を展開していく必要があります。

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新規事業をスタートしていくためのプロセス

新規事業をスタートしていくためのプロセスは、大まかに下記の流れとなります。

  1. 新規事業のコンセプトを考える
  2. 新規事業のモデルを構築する
  3. 新規事業計画を作成する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

①新規事業のコンセプトを考える

新規事業をスタートしていく際には、まずは新規事業のコンセプトを組み立てる必要があります。アイディアではなく、事業案の一歩手前の段階まで突き詰めたものを作成し、「どのような新規事業を展開していくのか」「新規事業によって誰のどんなニーズ・ウォンツを満たすのか」を明確にしましょう。

新規事業のコンセプト構築では、下記の手順で進めていくのがポイントになります。

  • アイディアを創出する
  • 事業として展開できるか検討する
  • 5W2Hをコンセプトに組み込み

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<アイディアを創出する>

新規事業のコンセプトを組むには、アイディアの創出が必要です。アイディア創出においては、視点を自分に置く「プロダクトアウト」と、市場に置く「マーケットイン」という2つの考え方がありますが、そのほかにもおすすめの思考方法やフレームワークが存在します。以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

また、アイディアを考える際の会議・ミーティングの場では、立場や役職に関係なくニュートラルな関係性で意見を出し合うようにしましょう。上下関係などが固定化されている状態だと、下の立場の人が自由に発言しづらくなるので注意してください。

<事業として展開できるか検討する>

アイディアの創出が一通り完了したら、次に事業として展開できるか検討していきます。事業のターゲット層や具体的にどのような商品・サービスを提供していくのかを整理していきましょう。新規事業の事業性を評価する際には、BMO法やIRR法といった評価手法を用いるのがおすすめ。

以下の記事で詳しく解説しているので、新規事業が成功するのか否か、という観点から事業性を評価したい方はぜひ参考にしてみてください。

<5W2Hをコンセプトに組み込む>

実現可能性が高い新規事業をピックアップできたら、5W2Hを盛り込んでコンセプトを作っていきましょう。5W2Hの内容は下記の通りです。

  • When:いつ、どんなとき
  • Why:なぜ、どのような理由で
  • Who:誰が、どんな人が
  • Where:どこで、どんな場所で
  • What:何を
  • How:どのように
  • How much:どれくらいの価格で

5W2Hの情報まで組み込むことができたら、新規事業の全体像はおおよそ完成できたと言えるでしょう。

②新規事業のモデルを構築する

次に創出したコンセプトをもとにして、新規事業のモデルを構築していきます。新規事業のモデルを構築する際は、現状の社内リソースを踏まえた上でモデル構築していくことがポイントです。下記の項目をもとにして、社内リソースを整理していきましょう。

  • 人的資源(投入できる従業員数)
  • 物的資源(PC台数や事務所など)
  • 利用可能な資金
  • 生産・仕入れ環境(工場、取引先など)
  • 販売促進の環境(広告、自社メディアなど)
  • 営業活動の実施可否
  • 想定の取引先企業

上記項目の情報を可能な限り正確に詰めていくことで、新規事業のモデルをより実現性の高いものに仕上げることができます。

③新規事業計画を作成する

新規事業のモデルを構築したら、次に新規事業計画の作成へ移りましょう。新規事業モデルを実際にどのように構築していくか、またどのように新規事業の展開を進めていくか具体的に整理していきます。

新規事業の開始予定日から数か月・数年単位で事業のスケジュールを組んでいきましょう。実現目標の数値や収支のシミュレーションも合わせて記載して、新規事業のシナリオを具体化します。

また新規事業の開始・展開で必要になる投資金額や資金調達方法についても整理していきましょう。早いタイミングで黒字化を実現するためにも、投資金額・資金調達の内訳について具体的に計画を立てておくことも重要です。

新規事業の全体的な計画を作成したら、部署や作業ごとの細かい計画を立てていきましょう。円滑に計画の作成・実行を進めるためにも、リーダーシップをとれる責任者の設定や作業の納期設定も忘れずに行ってください。

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新規事業を成功させるためのフレームワーク

新規事業の創出や実行を成功させるためには、フレームワークの活用が効果的です。今回は数あるフレームワークの中から、新規事業で活用できるフレームワークを抜粋して紹介していきます。

今回紹介するフレームワークは、下記の3つです。

  • ペルソナ分析
  • 3C分析
  • MVV

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ペルソナ分析

ペルソナ分析とは、仮想の顧客像(ペルソナ)を設定して、そのペルソナが求める商品・サービスを考えていく分析手法になります。ペルソナを設定・分析した上で、ニーズを満たせる商品・サービスを展開できれば、市場に存在するペルソナと同様の顧客に対して効率よく商品・サービスを販売できると考えて良いでしょう。

ただ、ペルソナの設定を誤ってしまうと、実際の顧客ニーズとかけ離れた商品・サービスを展開してしまうリスクがあるので注意が必要です。実際の顧客像に見合ったペルソナを設定することが、新規事業の成功を左右すると考えてください。

3C分析

3C分析とは、下記の3つの項目をもとに実施する市場・事業分析になります。

  • Customer(顧客・市場)
  • Company(自社)
  • Competitor(競合他社)

「Customer(顧客・市場)の項目では、顧客のニーズや市場規模、市場の将来性などを分析していきます。実際の顧客ニーズを把握するために、SNS上での調査や各種アンケート調査を合わせて実施するケースも多いです。

「Company(自社)」の項目では、自社の強みや弱み、現在展開している事業内容などを明確にしていきます。既存の事業をもとにして新規事業を展開したり、自社の強みを活かした新規事業を創出することで、他社と差別化することが可能です。

「Competitor」の項目では、新規事業を展開する上での競合他社について調査・分析を行います。競合企業の規模や販売・提供している商品・サービス内容、市場内における立ち位置など分析することで、自社が進めるべき戦略をより明確にすることが可能です。

MVV

MVVとは企業理念を策定する際に用いる考え方の一つですが、新規事業単位でMVVを設定するのもおすすめ。MVVは下記の3つの項目で構成されています。

Mission:企業・新規事業が果たすべき役割・使命を明確に決定する

Vision:Missionをもとにして、企業の将来像について明確にする

Values:会社・従業員の行動し指針となる価値観を決定する

新規事業全体の方向性・ビジョンを共有する際にも有効なフレームワークで、特に中小企業やベンチャー企業が新規事業に取り組む場合は会社全体の方向性を揃える必要があります。新規事業を立ち上げる前に企業や事業単位のMVVを改めて策定し、理念・ビジョンを明確に決めておきましょう。

新規事業の必要性は今後さらに高まる!

インターネット・スマホ普及による情報化、少子高齢社会の広がりにより、企業をとりまく環境は劇的に変化してきています。企業が安定して成長するためにも、新規事業を展開して事業を多角化していくことが重要です。

新規事業を展開することで、社内における人材育成や商品・サービスのライフサイクルに対応した企業経営も実現しやすくなります。特定の事業に依存することなく、新規事業を積極的に創出していく姿勢が今後企業に求められていくと考えて良いでしょう。

本記事の内容を参考にして頂き、新規事業の必要性について理解を深めて頂けると幸いです。

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