新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」も3年目を迎え、密を回避し、距離を確保するといった行動はもはや“当たり前の習慣”として受け入れられつつあります。それに伴い、クライアントのもとに通い、顔を合わせ、関係を築いていくといったフリーランスコンサルタントの働き方も変化。オンラインを活用して活動の範囲を広げ、直接会うのもなかなか難しい遠方の地域にもクライアントを確保している…なんて人も増えています。

そこで今回は「withコロナ時代」と言われる今だからこそ、増えている&取り入れてみたい案件確保法をご紹介。独立・開業したての方、活動の幅をもっと広げたいなど、新たなクライアントを確保したいとお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください!

実名登録のSNSで独立や講演などの活動をアピールしよう

突然ですが、みなさんはSNSを利用されているでしょうか。

「使っていない」という方はもちろん、「使っている」という方でも、もし「プライベートでの発信、交流しかしていない」というなら、それはかなりもったいない&残念なこと。なぜならSNSは、上手に使えば強力な自身の“営業ツール”にもなり得るからです。

フリーランスコンサルタントとして、クライアントを獲得し、活躍するためには、まず自分の存在はもちろん、これまでの経歴や得意とする分野などを、多くの人に「知ってもらう」ことが重要です。

しかし、そうした情報を雑誌やタブロイド紙などの広告媒体を使って発信する――というのは、膨大にかかる費用を考えれば、とても現実的なことではありません。その点SNSは、(大袈裟でなく)全世界に向けて自分の活動や考え方を発信することができ、その内容に興味を持った人から質問や依頼がくる可能性もある立派な「無料の広告媒体」。これを使わない手はありません。

では「新規顧客獲得」を目的とした場合、どのSNSをどう利用するのが良いのでしょうか。ここで参考までにご紹介します。

オススメ1:Twitter

テキスト140文字、画像4枚以下というコンパクトな情報を、いつでも、どこでも発信できる手軽さで人気のTwitter。日本では非常に年齢層の幅広い約4,500万人ものユーザーが利用しており、拡散力が高いのが最大のメリット。匿名性の高いSNSではありますが、ここはあえて実名で登録し、自身の活動の記録や「今、取り組んでいる案件」を継続発信することで、自分の得意とする分野、仕事に対する想いなどをアピールしていきましょう。またセミナーや講習会を行う場合は、日程の情報や開催報告に活用すれば、拡散され、より多くの人に知ってもらうこともできます。

また、他のSNSに比べてカジュアルな印象も強いので、日々の何気ないつぶやきを続けて自分の「人となり」を知ってもらう、親しみを持ってもらうという活用法もあります。

ただし、利用者が多いということは、それだけいろんな考え方の人がいるため、時には発信した内容への反対意見や誹謗中傷に近いレスが寄せられることもあります。また投稿内容に批判が殺到する、いわゆる「炎上」状態になった場合、その後の活動にも影響するような大ダメージとなる恐れもあります。実名を公開して情報発信する分、投稿内容を精査するなど、慎重な利用を心がけましょう。

オススメ2:note

ブログのような体裁で、長文の内容を投稿できるSNSとして、近年急激に利用者を伸ばしているnote。運営元である株式会社noteの発表によると、利用者数は2020年5月時点で6300万人を突破しています。発信者の使いやすさ、続けやすさを重視した設計となっているため、広告やアクセスランキングの表示がないのも大きな特徴。その結果、熱心に良質なコンテンツをアップする利用者が多く、それが人気をさらに高めているといわれています。

また、近年はさまざまな企業が公式ページを立ち上げており、2021年6月には約3,000社が法人アカウントを開設、マーケティングに活用する事例も増えています。その流れはフリーランスコンサルタントも同様であり、自身の活動内容やこれまで培ってきたノウハウなどをまとめ、発信している先輩コンサルタントが少なくありません。また「記事を有料販売できる」という特徴を活用し、読者が興味を持ちそうな記事を有料記事として販売しているケースも見受けられます。

さらにnoteはTwitterやFacebookなど、他のSNSとの連携もしやすいため、作成した記事を「もっと多くの人に知ってほしい」と、Twitterなど別のSNSアカウントへとシェア&拡散すれば、より多くの人にアピールすることも可能です。

文字制限がなく、長文を掲載できるので、自身の考えをしっかりと反映させたコンテンツを発信できることがnoteを活用する最大のメリット。自身のスキルやキャリアを存分にアピールできるので、コンテンツに内容に興味を持った読者(クライアント)からの問い合わせなどが寄せられる可能性も高いといえます。

オススメ3:Facebook

日本でも約2,600万人のユーザーが利用しているといわれるFacebook。Twitterやnoteが20代を中心とした若年層に人気が高いのに比べ、Facebookは40代~50代の利用者が多いのが特徴。また、Facebookには「本人認証機能」があり、個人でも実名で利用しているひとがほとんど。また、日本では特にビジネス特化型として使われている傾向が強く、「経営者がFacebookのヘビーユーザーとなっている」というケースも珍しくありません。

そこでまずはアプローチしたい経営者に「友達申請」してみましょう。知らない人からの友達申請に警戒される可能性もありますが、共通の友達がいる、ある程度の友達がいる方であれば、承認を拒否される可能性は低いと思います。その後は毎日、活動内容やその日の業務の中であったエピソードはもちろん、仕事とは関係のないたわいのないことまで、とにかく発信し続けるようにしましょう。それによって徐々に認知が広まり、興味を持った経営者から声がかかる可能性もあります。

また先述した通り、Facebookは多くの経営者をはじめ、各企業で重要なポジションを任されている、決定権を持つという方が利用しています。そうした人へ自分の存在を知ってもらい、興味を持ってもらうためにも、自分の経歴やスキル、どんな活動を行っているのか「人物像」が伝わるようプロフィール情報を充実させることが重要。そして、イベントやセミナー、講習会を行う場合は、開催情報やその内容もしっかりと発信するようにしましょう。

ソーシャルリクルーティングの案件紹介・募集にも積極的に問い合わせを!

これまで、新たな取引先や案件を探そう――となった場合、「まずは人材紹介サイトに登録しよう」と考えるフリーランスコンサルタントが多かったように思います。確かに、今ではジャンルや業務内容はもちろん、求められているスキルレベルや年齢層まで細かく絞って募集案件を検索できるサイトもあり、「今すぐ案件を獲得したい」「マッチング度の高い案件を探したい」という方にとっては非常に心強いサービスが展開されています。

しかし、先にも述べたように、今、多くの企業が自社の公式SNSを開設し、自社の商品やサービスに関する積極的な発信を行うようになっています。同様に採用活動においても、SNSを活用して社員やアルバイトなどの採用活動を行う「ソーシャルリクルーティング」を導入する企業も急増しています。ポータルサイトや求人媒体を利用するよりもコストを大幅に抑えることができるだけでなく、求職者と気軽にコミュニケーションが取りやすく、採用後のミスマッチを防ぐことができるというメリットも大きいことから、今後、導入を決断する企業が増えることが予想されています。

TwitterやFacebookなどのSNSのアカウントを開設したら、自身の情報を発信するだけでなく、専門分野や気になる企業のSNSをフォローし、こまめにチェックするクセを付けましょう。そして気になる案件を見つけたら、すぐに問い合わせすること。その人が信頼できる人かどうかを見極めることができないと、「コンサルタントとして案件を任せよう」と決断できないため、個人名で活動するコンサルタントからのアポイントに、即、前向きな返事をくれる企業は少ないと思います。しかし、そうした積極的なアポイントで企業に自分を印象付けることができれば、後々、案件獲得につながることもあるはずです。

そのためには、プロフィールを充実させることはもちろん、ビジネスに関することはもちろん、たわいのないことで良いので定期的(理想は毎日)情報を発信し、どのような経験・スキルを持っているのか、他にどのような活動をしているのか、そしてどんな人物なのかがわかるようにしておくことが重要となります。

徐々に広がりつつある「ビジネスSNS」を使う方法も!

また「企業の求人情報やビジネスに関する情報を効率よく入手したい」と思うなら、TwitterやFacebookといった一般的に普及しているSNSではなく、『LinkedIn(リンクトイン)』や『Eight』、『Wantedly』などに代表される「ビジネスSNS」を使うのも一つの方法です。

ビジネスSNSは、その名のとおり、ビジネスを行う上でのさまざまな情報の収集、仕事を通じて知り合った人との交流、そして企業からのスカウトなどを目的としており、年々、利用者数を増やしています。ビジネスSNSに登録し、プロフィールを登録すると、それがそのまま履歴書や職務経歴書として用いられ、それを見た企業からスカウトや仕事のオファーが来た…というケースも少なくありません。

また、気になる企業があれば、登録したSNS内で社内の雰囲気や業務内容をチェックすることができるのもビジネスSNSならではのメリットのひとつ。さらに掲載したプロフィールを見て企業からオファーやスカウトが来た時も、第三者を介すことなくダイレクトに企業や担当者とやり取りができるので、案件獲得までのスピードが早く、事前にお互いをしっかり理解したうえでオファーを受けることもできます。それにより、業務を委託してから「何か違う」「こんなはずでは…」といった認識・意思の相違を防ぐこともできます。

コロナ禍で“音信不通”になった関係者への再アプローチを!

2020年から続くコロナ禍によって、ほとんどの企業が「予定していたプロジェクトが延期になった」「海外との取引がほぼ0になった」など、さまざまな影響を受けています。実際、自粛期間が長く続いたことで経済活動がストップし、フリーコンサルタントだけでなく「外部の人たちとの接点すらなくなった」という企業も少なくありません。フリーランスコンサルタントとして活動している方の中にはコロナ禍前まではある程度の頻度で取引していたけれど、自粛期間に関係が自然消滅した、連絡すら取らなくなったという取引先、担当者がある人もいるのではないでしょうか。

自粛が徐々に解除され、経済活動が少しずつ元通りになった今は、そうした「関係が途切れてしまった」取引先や担当者へ、メールでも電話でも、それこそSNSを通じてでも構いませんので、「再度連絡を取るべきタイミング」だといえます。

なぜなら、すでにほとんどの企業がコロナ禍前の水準に近い状態まで活動を再開しており、中止していたプロジェクトを再始動する、事業を立ち上げるなど、新たな活動にも取り組み始めているから。それに伴い、またコンサルトをはじめ、外部の人々に依頼する案件が発生する可能性が高まっています。また、近年の社会情勢、急激な為替変動により、コロナ前よりも難しい経営判断を求められる場面が多く、専門的知識をもったコンサルタントの力を借りようと考える企業・部門もあるでしょう。大切なのはそんな時に「この人に頼もう!」と、思い出してもらえる人になること。そのためにもコロナ禍で途絶えてしまった関係を繋ぎ直しておくことが重要なのです。

ただし、注意したいのは「仕事が欲しい」という想いが前面に出てしまい、「久しぶりに連絡がきたと思ったら、結局、営業か…」と思われてしまうこと。人によっては「ほとんど連絡もしてこなかったのに図々しいな」と思われてしまう可能性もありますので、最初は時候の挨拶と現状のお伺い程度、そして「また機会があれば一緒に仕事がしたい」程度にとどめておくのが賢明です。こうした“声掛け”によって、自分の存在を印象づけるだけでも案件が発生した時に「声をかけてみようか…」と、依頼につながる可能性は高まるはずです。

また企業側も。コロナ禍の3年間、ほとんど連絡が途絶えていたという相手に「また仕事を依頼したい」と思っても、その人がコロナ前と同じように活動をしているのか現状が若からないため、「仕事を依頼していいのだろうか」と、連絡を躊躇している可能性も少なくありません。そうした“遠慮”を防ぐためにも、少し取引間隔があいているクライアントには、こまめなアプローチを心がけ、再度の関係構築に努めることが大切なのです。

・・・いかがでしょうか。

かつては新規顧客獲得のためには、電話やメールで問い合わせをし、履歴書や経歴書を送ったうえで面談を行う――というのが一般的でした。しかしコロナ禍でテレワークの導入が進み、連絡も面談や打ち合わせもオンラインで完結させるというケースも増えています。そして今後は、こうした流れがさらに加速し、低コストでさまざまな情報を発信できるSNSの活用も進んでいくことが予想されています。その波に乗り遅れないよう、まずはSNSの「アカウントを作って気軽に発信する」ことから始めてみましょう。そして、メールや電話だけでなく企業や担当者とつながることのできる“窓口”を広げ、対面でなくても密なコミュニケーションが取れる環境を作っていくこと。そうした取り組みが新たな案件との出会いを広げることにもつながるはずです。