転職情報サイトの「マイナビ転職」が、20歳~59歳の正社員として働く800人を対象に、リスキリング(学び直し)に関する実態調査をした。

政府が5年間で1兆円の予算を投じる方針を明らかにしたリスキリングが注目を浴びる中、今回の調査ではリスキリングへの期待が寄せられる反面、現実とのギャップが浮き彫りになった。

まず「リスキリングが必要だと思うか」という質問では、「そう思う」の回答が全体の約8割を占める結果となった。さらにリスキリングに期待することを問われると、「仕事・働き方の幅を広げること」が最も多く40.1%、次いで「学んだ知識をいまの仕事・業務に役立てること」(35.9%)、「昇給」(29.6%)という結果になった。

実際にリスキリングを実施した人に対しその結果を聞いてみると、一番多い回答が「資格の取得ができた」で26.8%だったものの、「時間確保やコストの確保が大変だった」(18.4%)、「身に付けたスキルを生かせていない」(16.8%)といったマイナス面の意見が上位に入る結果となった。

また、リスキリングを行う大きな目的の一つである「昇給・昇進」についても、「昇給した」と答えた人は11.2%、「昇進・昇格した」は6.4%で、少ない数字にとどまった。

社会人にとって一番のネックとなる時間やコストを確保してリスキリングを行っても、昇給・昇進にあまり直結しない現実は、今後の大きな課題となるだろう。

そしてリスキリングを現在行っていない人に理由を質問すると「時間がない/忙しい」が最も多く、39.1%にのぼった。次いで「何から始めればいいか分からない」(20.6%)、「勉強にお金をかける余裕がない」(19.8%)の回答が上位となり、金銭面や時間の確保が大きな壁になっていることが明るみになった。

実際、リスキリングに対して勤務先にあったら良いと思う制度については、トップとなったのが「学習費用を会社が負担してくれる制度」で5割超という結果に。次いで「賃金に還元される制度」(49.9%)、「就業時間内にリスキリング(学習)を実施していい制度」(39.4%)となり、ここでも金銭面、時間的な面を重要視している人が多いことが伺える。

しかし一方で、月収がいくら上がればリスキリングをしたいと思うかという質問に対しては、最多回答、中央値はいずれも「1万円」(23.1%)という結果になり、次いで、「5000円」(15.3%)、「5万円」(12.3%)となった。リスキリングが昇給につながればいいと思いつつ、大幅な増額を望んでいる人は少ないとみられる。

今回の調査を実施した「マイナビ転職」編集長の荻田泰夫氏は、「企業は、リスキリング経験者の事例や仕事・領域ごとに『新しいスキルを身に付けることで、どのようにキャリアを広げていけるのか』ということを、社員にガイドすることが有用だと思います。今後は、社員一人一人の挑戦を後押しし、評価する環境を整え、身に付けたスキルを発揮できる機会・環境を提供し、好循環を促すことが企業経営に求められるようになると考えられます」とコメントしている。

■マイナビ転職:https://tenshoku.mynavi.jp/

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