フリーコンサルになって案件を受注するには、クライアントが納得してくれる単価設定が重要です。
この記事ではフリーコンサルが単価を決める方法や、その注意点、単価アップのために必要なことを解説しています。適切な単価設定で、クライアントの期待に応えられるフリーコンサルを目指しましょう。
フリーコンサルが仕事の単価を決める方法
フリーコンサルの単価は月額70万~200万円とも言われ、金額に開きがあります。このような単価の違いが発生する理由は、コンサル分野やコンサル自身のスキル、業務範囲によって単価相場が大きく異なるからです。
そのため、フリーコンサルになった時、自分の仕事の単価をどう決めれば良いか分からなくなってしまう人もいるでしょう。自身のコンサルティングサービスに値段をつけるのは難しい作業ですが、以下では単価を決める方法を解説していくので、参考にしてみてください。
時間単価を考える
コンサルの相談料は、1時間あたり5,000~20,000円くらいが相場とされます。ただ、この相場価格にも開きがあり、仮に1日8時間労働・月20日間稼働で考えると、月額80万~320万円と差が大きいです。
自分の時間単価を決めるには、同業者が提示している価格や、自分が希望する収入を考慮して算出しましょう。
同業者の相場を参考にする
コンサル単価は担当分野や関わる業務範囲、コンサルタント自身のスキル・経歴によって大きく変化します。そのため、時間単価を考える際は、自分と同程度の同業者が、どのくらいの時間単価を示しているかを調べて参考にしてみましょう。
その上で、他者よりも価格を抑えて売りにするのか、多少高くても他にない付加価値を付けてアピールするのかといった方向性を考えて、単価を決定します。
稼働時間と希望年収から算出する
時間単価の考え方には、稼働時間と希望年収から算出する方法もあります。
- 年間または月間の稼働日数
- ひと月または一日あたりの労働時間
- 希望する年収額
以上の3点から逆算して、1時間あたりどれくらいの単価であれば希望する収入に届くのかを検討します。例えば、月160時間の労働で月100万円・年収1,200万円と考える場合、時給で6,250円が必要です。この時給を稼げるように単価を設定するのが良いでしょう。
業務単価を考える
コンサルタントの仕事にはクライアントの相談に乗るだけでなく、状況の分析や社内のヒアリング、戦略の提案などの業務もあります。相談を受ける時間数だけでは計算できない部分もあるので、各業務・各フェーズごとの単価も考えておきましょう。
自身がコンサルタントとして携わる業務を細かく分け、それぞれどれくらい時間を要するのか、どんな負担が発生するかを考えて単価を決定します。
こうして決定した単価をまとめておけば、見積りを依頼されても価格提示に迷いません。クライアントから内訳を聞かれても説明しやすくなり、説得力のある見積り作成ができるでしょう。
月額単価を考える
スポット的な相談や分析業務ならば、数時間・数日といった短期間で完了します。しかし、ヒアリング対象が多かったり、提案した改善策の導入まで立ち会ったりする場合などは、短期間で終わりません。顧問契約を結び、年単位で関わる場合もあるでしょう。
そのような場合は、時間単価や業務単価を元に、ひと月あたりどの程度の業務が発生するかを考えて、月額単価を提示します。
毎月の企業訪問や相談時間、関わる業務の工数を考え、調査費用や交通費などを含めた経費込みで必要な金額を決定します。長期的なプロジェクトであれば、全期間で必要な金額を算出したのち、月数で割っても良いでしょう。
この場合も時間ごと・業務ごとの単価に基づき、内訳が明確に示せる月額単価を設定しましょう。
フリーコンサル向けエージェントの案件単価も参考にする
フリーコンサル向け案件を取り扱うエージェントにも、月額単価や大まかな業務内容が提示されています。単価の相場を把握するには、エージェントサイトに掲載されている案件情報も参考にしましょう。
フリーコンサルが自身の単価を決める時の注意点
単価を決める時には、価格の根拠を明確にし、自分の身の丈に合った金額を設定しましょう。また、仕事はクライアントと対話する場面以外でも発生し、費用がかかるならばそれも考慮した単価設定にしないと採算が取れません。これらの注意点について解説します。
価格の根拠を明確にする
高額な月額報酬も期待できるフリーコンサルですが、クライアントが納得できる金額でなければ発注してもらえません。提示した価格の根拠が不明確であると納得されず、仕事が取れなくなります。
自分の市場価値を把握し、提示するコンサル費用には何が含まれ、どのような内訳になっているのか、金額の根拠を明確に説明できるようにしましょう。
スキルや実績に見合った単価にする
基本的に単価が高額であるほど、クライアントの期待値も上がっていきます。そのため、高単価での受注ができても、相手の期待に沿った働きができなければ、評判を下げる結果となるでしょう。一度下がった評判を元に戻すのは、簡単ではありません。
フリーコンサルになった当初から高単価受注を狙うのではなく、身の丈に合った価格設定をし、少しずつ単価を上げていきましょう。
業務以外にかかる時間や費用も含めて考える
コンサル業務ではクライアント企業を訪問する時間だけでなく、前後の移動時間や交通費も発生します。相談以外の分析や調査、課題の改善提案にも、さまざまな業務や費用が発生します。
コンサル業務の全工程を俯瞰し、消費される時間や費用を含めて採算の取れる単価を考えましょう。
フリーコンサルが単価アップするために必要なこと
フリーコンサルとして収入を伸ばすには、受注量を増やすだけでは限界があります。量をこなして実績を増やすのも必要ですが、受注量ではなく案件ごとの単価を上げて収入を増やせるように考えましょう。
単価アップを狙う時に必要なことや成功のポイントとなる点について解説します。
信頼と実績を積み重ねて単価交渉する
相場よりも高い単価で仕事を受けたい場合、いきなり高額受注を目指すのではなく、信頼と実績を積み重ねて単価を上げていく、中長期的なアプローチがおすすめです。
コンサルの単価は過去の実績も大きく影響します。フリーコンサルになった直後は個人実績が少なく、ファーム所属時代が優秀であっても相場以上の単価で受注するのは難しいものです。
初めのうちは相場と同程度の単価で受注し、仕事ぶりや信頼関係を築きながら、単価交渉の機会を伺いましょう。
継続案件の単価交渉は更新時がおすすめ
継続案件の単価更新は、契約更新の話が出たタイミングでの打診がおすすめです。自身の貢献度や今後提供できる価値を示し、次回契約の条件アップを交渉します。
ただ、クライアントによっては交渉を持ちかけた時点で支払える予算が決まっており、増額できないケースもあります。その場合、次の予算申請時に検討してもらえないか、謙虚に伝えましょう。クライアントとどのような付き合い方をしているかにもよりますが、強引な単価交渉は好かれません。
また、そもそも単価アップの可能性はあるのか、その条件にはどの程度の成果が要求されるかなども、折を見て確認しておくと良いでしょう。
得意分野や強みを持つ
コンサル分野にはさまざまなジャンルがあり、フリーコンサルとして活躍するなら、得意分野や強みを持っておく必要があるでしょう。特定分野において随一の存在になれれば、相場を上回る単価でも受注が途切れないコンサルになれます。
強みの確立は、一朝一夕では叶いません。フリーコンサルになる前から独立した時を考えて、自分の方向性を決めておくのも重要です。独立後も自己研鑽を欠かさず、常にその分野で必要なスキルを磨きます。
さらに、フリーコンサルなら、SNS発信や電子書籍出版によるセルフブランディングも効果があります。得意分野の知見を発信し、自分自身をPRしていきましょう。
案件単価の高い領域の仕事ができるようにする
コンサルにはさまざまな分野・領域があり、高いスキルを求められるものや需要の高いものほど、高単価な傾向にあります。得意分野を伸ばす努力と平行して、市場ニーズを分析し、仕事の幅を広げる取り組みも行いましょう。
経験のない分野でコンサルティングを行う場合は、普段よりも入念に準備をしてから受注します。スクールやセミナーに通ってスキルアップしたり、挑戦したい分野のコンサルをしている同業者の仕事を手伝わせてもらったりして、一定の能力を身につけてから新しい分野に挑戦しましょう。
スキル・経験の組み合わせで差別化を図る
仕事の幅を広げるなかで、自分にできることを組み合わせれば、他のコンサルタントとの差別化がしやすくなります。どのような組み合わせが新しいビジネスに発展するか、常にアンテナを張っておきましょう。
コンサル市場のトレンドにいち早く乗れれば、フリーコンサルとして活動する上でのアドバンテージになり、競合が少なければ高い単価での受注もしやすくなります。
他分野のコンサルタントとチームを組む
コンサル同士でチームを組み、互いの得意分野を補い合えれば、単独での対応が難しい大型案件の受注も可能です。
自身の専門外の内容を含んだ仕事も受けられ、大型案件への参画実績が得られるとともに、仕事の幅を広げるきっかけにもなるでしょう。複合的なコンサルによって高い価値を提供できるなら、高単価での受注もしやすくなります。
人脈を疎かにしない
コンサルの仕事は、過去の職場やこれまでに仕事をした相手からの人脈によって、案件受注に繋がるケースもあります。自分の”人となり”やスキルを知ってくれている人からの紹介なら、良い条件で仕事が受けられるでしょう。
独立前に所属していたファームとも友好な関係を保てるよう、独立時の去り方にも注意し、独立後に接する機会があれば誠実な対応を心がけます。独立するからといって、所属していたファームをないがしろにしていると、仕事に繋がる人脈を失うばかりか、自身の評判を落としかねません。
人脈は大切にし、好感が持てる対応を心がけましょう。
▼関連記事▼
コンサルタント起業を成功させる!営業方法や必要なスキル、法人化について解説
フリーコンサルは単価の決め方・上げ方を理解して適切な価格設定を
フリーコンサルが自分の単価を決める時は、時間単価、業務単価、月単価のそれぞれを考え、見積金額に根拠が示せるようにしましょう。
単価設定が不適切であると、仕事が受注できなかったり、受注できても期待を裏切ったりしてしまいます。はじめから高単価での受注を狙うのではなく、相場単価からスタートし、段階を踏んで単価アップを狙います。
他にも、自身の強みや差別化できる要素を考えてアピールし、他分野のコンサルと組んで大型案件にも挑戦してみましょう。新しい経験やPR材料になる実績が増える他、単独では難しい高単価な案件受注にも繋がります。