様々な企業の経営に関する課題を解決する専門職である経営コンサルタント。やりがいの大きさや待遇の良さから多くの方が憧れる職業ですが、経営コンサルタントになる方法を正しく理解している方は少ないのではないでしょうか。

「経営コンサルタントになるためには資格が必要なんじゃないか?」「年収はいくらくらいなんだろう?」「働き方にはどんな種類があるの?」といった疑問を解消するため、本記事では経営コンサルタントに活かせる資格や年収、働き方について解説します。

これから経営コンサルタントを目指している方はぜひ参考にしてみてください。

経営コンサルタントはどんな職業?

経営コンサルタントは企業が直面する様々な経営課題に対して、豊富な知見や経験に基づいて解決策を提示する職業です。場合によっては立案した解決策を実際に実行するフェーズまで伴走することもあり、経営コンサルタントが携わる業務は多岐にわたります。

企業が直面する経営課題は多種多様です。それらに迅速かつ正確に対応することが求められるため、経営に関する深い知識が必要。また、クライアント企業の経営者や責任者とやり取りしながら業務を進めるため、企業の重役にも劣らない論理的な思考力や業界に対する理解も前提として求められます。

場合によってはクライアント企業のメンバーと協働してプロジェクトに当たるため、マネジメント能力や折衝しながら業務を進めるコミュニケーション能力も必要です。求められるスキルが多くレベルが高い一方で、待遇の良さや裁量の大きさは折り紙付きと言えるでしょう。

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経営コンサルタントになるにはどうすればいい?

多くの方が憧れる経営コンサルタントですが、実際に経営コンサルタントとして働くためにはどうすれば良いのでしょうか。具体的には、以下の3つの方法があります。

  1. 新卒でコンサルティングファームに就職する
  2. ポテンシャル採用でコンサルティングファームに転職する
  3. 中途採用でコンサルティングファームに転職する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

新卒でコンサルティングファームに就職する

大学や大学院を卒業した新卒の方は、新卒枠でコンサルティングファームに就職するケースが一般的です。国内外の大手コンサルティングファームは新卒採用枠を開いているため、就職できれば一番初めのキャリアからコンサルティングファームで経験を積み、コンサルタントとしての経験を重ねられます。

一般的に、新卒採用でコンサルティングファームに就職した場合、平均的な初任給よりも高額な給与が得られることもあり、倍率は非常に高いです。新卒でコンサルティングファームに就職するためには、在学中からコンサルタントになるための研鑽を積む必要があると言えるでしょう。

内定を得るために特に大切なのはケース面談と呼ばれる採用試験で、面接官と対面した状態から、提示された経営課題に対して即興で解決策を提示するというもの。事前に準備をしていないとケース面談を突破することはできず、知識の量ではなく知識の使い方が問われる試験となっています。

新卒でコンサルティングファームへの就職を目指している方は、あらかじめ必要な知識やノウハウを調べておき、準備を進めておきましょう。

ポテンシャル採用でコンサルティングファームに転職する

コンサルティングファームには「ポテンシャル採用」という特定の年齢制限をクリアした若手の中途人材を採用するための採用枠が存在することも。事業会社等に入社したものの、経営コンサルタントとして活躍したいと考えている方におすすめの方法です。

ポテンシャル採用ではこれまでのキャリアよりも今後の可能性や期待値が重視されます。つまり、これまで何をしてきたか、ではなく「これから何をしたいか」「自社の社風とマッチした人材なのか」という点が成否を分けると言えるでしょう。

入社したいコンサルティングファームを絞り、事業内容や特長を理解しておくと採用される確率が高くなります。あらかじめ入念な準備をしておくことが大切です。

中途採用でコンサルティングファームに転職する

中途採用でコンサルティングファームに転職するルートも存在し、こちらは即戦力としての活躍が期待されます。これまでコンサルタントとして働いていたり、事業会社でコンサルティングと同様の働き方をしていたりする方におすすめの方法です。

即戦力としての働きが期待されるため、特定の領域に対して深い知識があったり、コンサルタントに求められる能力を備えていたりすると転職の成功率が高まります。

コンサルタントに求められるスキルや能力は以下の記事で詳しく解説しているので、こちらも確認しておきましょう。

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事業会社の経験を活かしてコンサルタントとして独立する

事業会社での経験を活かし、フリーのコンサルタントとして独立するケースも想定されるでしょう。先述したケースとは異なり、コンサルティングファームへ転職せず、いきなり独立するため独立後に案件を獲得するのが難しくなる可能性があります。

豊富な実績があったり、業界内での知名度や人脈があったりする場合はこうしたルートでも経営コンサルタントとして成功できるでしょう。自分の市場価値と照らし合わせつつ、可能であれば独立に踏み切ってみるのもおすすめです。

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経営コンサルタントになるために資格は必要?

経営コンサルタントを目指す方にとって気になるのが「資格は必要なのか?」という点でしょう。経営コンサルタントとして働くために資格は不要です。

しかし、保有しておくと有利な資格も存在するため、あらかじめ確認しておきましょう。

経営コンサルタントになるために資格は不要

経営コンサルタントになるために資格は不要です。行政書士や医師、弁護士のような業務独占資格が存在する業種でもないため、無資格で働いたり、独立したりしても問題ありません。

しかし、経営コンサルタントの実務に活かせたり、就職や転職で有利になったりする資格は存在します。以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

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経営コンサルタントの働き方とは?

経営コンサルタントの働き方は大きく二つに分けられます。それぞれメリットやデメリットがあるため、あらかじめ理解したうえで自分のキャリアを描きましょう。

コンサルティングファームで働く

最もポピュラーな働き方として挙げられるのがコンサルティングファームでコンサルタントとして働くケースです。会社員として雇用されながら、在籍する会社が抱えるクライアント企業の課題解決に向けてコンサルティングを行います。

コンサルティングファームによって得意な領域やサービス内容は異なるため、コンサルティングファームで働く際は自分のキャリアプランと相談しながら就職先を選ぶようにしましょう。

後述するように、フリーの経営コンサルタントとして働くことも可能ですが、雇用されながら働く場合は働く場所や時間は選べず、給与も決まった金額が支払われることになります。安定はしますが、高みを目指したい方にとっては窮屈に感じることもあるでしょう。

しかし、在籍するファームのネームバリューを活用できるメリットもあるため、独立するか継続するかの選択は慎重に行うことをおすすめします。

フリーの経営コンサルタントとして働く

コンサルタントとしての実績や経験がある場合は、フリーの経営コンサルタントとして働くことも可能です。個人事業主として開業したり、場合によっては法人化したりして、自ら開拓したクライアントと契約を結んでコンサルティングを行います。

一般的にフリーの経営コンサルタントは、ファームに在籍する経営コンサルタントよりも年収が高くなると言われていますが、実際は案件を安定して獲得できなければ無収入になってしまうリスクがあり、案件獲得の難易度も高いため、必ず収入がアップするとは言いがたいです。

こうしたリスクはあるものの、時間や場所に縛られず、自分のライフワークバランスに合った形で稼働できるのは大きなメリットと言えるでしょう。

経営コンサルタントの年収とは?

経営コンサルタントを志す方にとって特に気になるのが年収でしょう。高い給与や報酬が期待できる経営コンサルタントですが、どれくらいの年収が期待できるのでしょうか。

ここでは、会社員として働く経営コンサルタントと、フリーの経営コンサルタントの年収をそれぞれ解説します。

会社員の経営コンサルタントの年収

一般にコンサルタントと言えば高い給与や報酬が期待できる職業。しかし経験年数や実力、コンサルを行う分野によって収入にはばらつきがあります。ここでは、株式会社ムービン・ストラテジック・キャリアの「コンサルタントの年収・給与」を参考に、コンサルタントの給与を見てみましょう。

引用:コンサルタントの年収・給与│株式会社ムービン・ストラテジック・キャリア

事業会社の多くは経験年数や役職によって変動する給与テーブルが用意されていますが、コンサルティングファームの多くは「役職+成果」を基準に年収額が決まります。

上図を見ると、役職はアナリストからパートナーまで用意されており、年収には大きな開きがあるのが分かります。役職は年齢によって自動的に上がるのではなく、本人の能力や実績によって昇進していくので、例えば20代でマネージャークラスになれば若くして年収1,500万円を超える可能性もあるのが特長です。

また、多くのコンサルティングファームでは企業の業績ではなく、個人の業績に連動して賞与が支払われるのも一般的な企業との違いでしょう。実力次第では年齢によらず給与や役職を高められるため、個人事業主に近い働き方になることが予想されます。

フリーの経営コンサルタントの年収

フリーの経営コンサルタントは自分で案件を獲得してコンサルティングサービスを提供し、報酬を受け取る形になります。

仮に雇用されているときと同じ業務内容と単価で働いた場合、これまでは企業から給与として支払われていた分が全て自分の収入になるため、会社員として働いていた頃よりも収入がアップすることが予想されます。

経営コンサルタントの案件を見てみると、単価は最低でも100万円/月からに設定されており、仮に案件を絶やさず12ヶ月間稼働できれば、年商は1,200万円オーバーになるでしょう。ここから必要経費や税金を支払った手残りが年収に。もちろん、さらに高額の案件を獲得できれば年収はさらに上がります。

加えて、案件マッチングサイトを利用せず、直接契約でコンサルティングを実施すればマージンを差し引かれないので、さらに年収は高くなるでしょう。

気になる方は、実際にフリーの経営コンサルタント案件を探してみることをおすすめします。以下の記事を参考に案件を探せば、独立後のイメージが持ちやすくなるでしょう。

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経営コンサルタントに向いている人の特長

経営コンサルタントには様々なスキルや経験が求められます。誰にでもできる職業というわけではなく、適性や向き不向きが存在するのも事実。ここでは、どのような方に経営コンサルタントが向いているのか、詳しく解説します。

責任感がある

経営コンサルタントに最も必要な資質として、責任感が強く、困難の中でも最後までやり抜ける力を持っていることが挙げられます。クライアント企業の課題を自分事として捉え、責任感を持ってやり遂げられないと、経営コンサルタントとしての業務が苦痛になってしまうでしょう。

様々なプレッシャーを感じながら成果を上げ続けることが求められる一方で、経営コンサルタントの業務の大半は地道な作業で成り立っています。こうした業務に黙々と向き合うためにも、責任感は大切な資質と言えます。

論理的な思考が得意

経営コンサルタントは不確定な未来に道筋を見出す職業。論理は先行きの見えない未来を照らす上で頼れる武器となります。論理的な思考が苦手な方は経営コンサルタントに不向きと言えるでしょう。

具体的には、企業の課題を分析して原因を追及したり、原因に基づいて解決策を考案したりするために論理的思考力が求められますが、こうした思考が苦手な方は経営コンサルタントとして成果を上げるのは難しく、一方で得意な方は興味深く業務に向き合い、楽しめる可能性があります。

プレッシャーの中にもやりがいを見出せる

クライアント企業やステークホルダーと関わりながら成果を上げ続けることが求められる経営コンサルタント。当然、成果を上げられない期間が続けば重く苦しいプレッシャーがのしかかります

こうしたプレッシャーを跳ねのけて成果にこだわれる方や、苦難を超えて成果を手に入れることにやりがいを見出せる方は経営コンサルタントに向いていると言えるでしょう。

経営コンサルタントは企業の頼れる専門家

中小企業から大企業に至るまで、様々な企業が課題に直面しながら事業を営む中で、経営の専門家として伴走してくれる経営コンサルタントは非常に頼りになる存在です。大きなやりがいを感じながら仕事に打ち込みたい方にはおすすめの職業と言えるでしょう。

本記事を参考に、経営コンサルタントとして活躍する未来を目指してみてはいかがでしょうか。