ロイター企業調査によると、会社員の副業・兼業を認めている企業は23%ということが明らかになった。調査期間は2023年2月8日~2月17日で、発送者数は493、回答者数は238。

「働き方改革」の一環として推進している会社員の副業・兼業。2021年4月の調査では社員の副業・兼業を認めている企業が15%ほどで、この2年間で増えているものの、ペースは緩やかなことがわかった。

副業・兼業を認めている企業が23%という中、今後導入を検討中としている企業は10%という結果となった。2021年4月の調査では導入検討中の企業は5%だったため、こちらも緩やかではあるが増加したことになる。

社員の副業・兼業を前向きに検討している企業は、その理由として「多様な働き方の提供」が最も多く54%にのぼった。次いで「社員の自由なキャリア形成」(53%)、「社員の収入増」(46%)などの理由が上がった。半数以上が、社員が本業以外にやりがいを見つけ副業・兼業をすることで、キャリアアップにつなげるのを好意的にみているといえるだろう。

その一方で社員の副業・兼業を認めている企業でも、実際に行っている社員は10%未満にとどまっている実態も明るみになった。制度があるにもかかわらずあまり浸透していない背景には、本業への影響の懸念があるとみられている。本業の合間に副業・兼業を行うとなると、平日夜間や土日などの休みを利用することになるのだろうが、時間を確保することの難しさや、体力的な問題も影響しているのかもしれない。

実際、社員に副業・兼業を認めていない企業の理由の一つとして「本業へ支障が出る」ことや「長時間労働への懸念」が根強くあるようだ。

例えば製造業であれば「安全操業を第一とするため、安易に副業を認めにくい」といった声もあがった。また「円滑な労働移動を推進目的とする主旨は理解するが、労働政策は従来のままであり、企業には制度を導入し難い」という意見もみられた。

さらに企業としては、社内情報の流出に敏感になっていることも大きな理由のようだ。ちょっとした雑談から企業の重要な情報が漏れてしまう可能性も否定できないため、副業・兼業を認めるのにあたって大きな壁となっている。また「人事上の手続きが煩雑」という声も聞かれた。

このように会社員の副業・兼業に注目が集まる中、なかなか思うように実行に移せない実態が明らかになる中、一度退職した社員を再度雇用する「アルムナイ制度」については、積極的に実施している企業が11%、希望があれば実施している63%と高い数字となっているのは興味深い結果といえるだろう。