組織で働く会社員と比べると、補償・保険制度や福利厚生がない点がフリーランスのデメリットとしてあげられます。「自分の身は自分で守らなけならない」という不安が、フリーランス転職への足かせになっている方もいるでしょう。

しかし、近年ではそんなフリーランスのデメリットをカバーするサービスが数多く存在するのをご存じでしょうか。この記事ではフリーランスが利用できる補償・保険サービスや福利厚生サービスを紹介するので、フリーランスへの転職を考えている方はぜひ参考にしてください。

補償・保険サービス3選

組織に属して働いていれば業務に関連して発生したトラブルは組織が対処することがほとんどですが、フリーランスの場合は個人で責任を負う必要があります。

例えば、パソコンのウイルス感染により取引先情報が漏えいしたり、納期遅延により取引先が実害を被ったりした場合は、損害賠償を請求される可能性もあります。

万が一のトラブルに備え、保険への加入を検討しておきましょう。ここではフリーランス向けの民間保険サービス3つを紹介します。

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FREENANCE(フリーナンス)「あんしん補償」

FREENANCEは、インターネット事業大手のGMOインターネットグループ株式会社が運営する補償サービスです。

「あんしん補償」では、業務中の事故や納品物の欠陥に起因する事故を最高5,000万円まで補償。情報漏えい、著作権侵害などによる損害にも最高500万円まで補償がつきます。会員登録すれば、これらの補償を無料で受けられます。

「あんしん補償」以外にも、フリーランスの資金繰りをサポートするサービスとして請求書買取サービス「即日払い」があります。FREENANCEが請求書を買い取り、最短で即日現金化し利用者の口座に振り込むシステムです。手数料は請求書額面の3%〜10%。同口座を使えば使うほど手数料が下がります。

FREENANCE口座の維持手数料や振込手数料は無料、「あんしん補償」も会員全員が無料で利用できるのが大きなメリット。FREENANCEは「即日払い」で発生する手数料を収益源とすることで「あんしん補償」サービスを無料で提供するビジネスモデルを確立しています。

参考:FREENANCE(フリーナンス)│GMOペパボ株式会社

フリーランス協会「フリーランスの保険」

フリーランス協会は、フリーランス向けのイベント開催や情報発信を行っているコミュニティサイト。無料会員と有料会員(年会費1万円)があり、有料会員になると「フリーランスの保険」を利用できます

「賠償責任保険」では、情報漏えい、納期遅延、業務中の対物・対人事故などによる損害に対して補償が適用され、内容によって最高1億円までの補償が付きます。

報酬トラブル時に対応してくれる弁護士保険制度「フリーガル」や、大手企業も導入している福利厚生サービス「WELBOX」も自動付帯。健康診断やリラクゼーション施設の割引、ベビーシッター優待などの子育て支援など、さまざまなサービスを受けられます。会員本人だけでなく、第2親等まで利用できるのも嬉しいですよね。

ケガや病気で働けないときに保険金を受け取れる「所得補償プラン」など任意加入のサービスもあり、フリーランスが備えておきたい保険がそろっています。

参考:フリーランスの保険│フリーランス協会

USEN「お店のあんしん保険」

音楽配信事業として有名なUSENですが、店舗のIoT化・IT化などのサポート事業も展開しています。

「お店のあんしん保険」は店舗を構えているフリーランス向けの保険サービス。火災や落雷、盗難や暴力行為などによる設備面の損害を補償する「設備・什器等補償」のほか、大家さんや店舗利用者への賠償責任をカバーする補償制度が用意されています。火災などの規定の理由により休業となった場合の損失をカバーする「休業損害補償」にもオプションで加入できますよ。

参考:お店のあんしん保険 | USEN INSURANCE

福利厚生サービス6選

ここでは、フリーランスが利用できる福利厚生サービスを紹介します。

フリーランスになると、確定申告などの税務関連の業務も自分で行わなくてはなりません。

福利厚生サービスを利用すれば、税務関連のサポートをお得に利用できるので、慣れない業務に悩んでいるフリーランスの心強い味方になるほか、スキルアップ講座などの自己啓発メニュー、家族とのおでかけに使えるレジャーや宿泊施設のクーポン、体が資本のフリーランスだからこそ利用したい健康診断サポートなど、さまざまなサービスをお得に利用できます。

それぞれの適用条件を確認し、自分にあったサービスを検討しましょう。

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ランサーズ「フリーランストータルサポート」

クラウドソーシングサイト大手のランサーズが提供する福利厚生サービスです。内容は大きくわけて以下の2つがあります。

①「Freelance Basics」                                   

フリーランスに必要な会社機能を無料またはお得に使えるサービス。税理士への税務相談、会計ソフト、医療保険、資産形成など幅広いジャンルで利用できます。

②福利厚生「Lancers クラブオフ」     

「過去3カ月連続で 5,000 円以上の報酬を獲得している」方が利用できます。一定金額以上稼げている方なら実質無料で利用できますね。一度の申し込みで3カ月間利用できます。ジャンルは以下の9種類で、全国25万施設で優待・割引を受けられますよ。

  • 健康・ヘルスケア
  • 育児介護サービス
  • スポーツ・フィットネス
  • 食事・グルメ
  • 旅行優待
  • レジャー
  • エンタメ
  • ショッピング
  • 美容・ビューティー

参考:フリーランストータルサポート│ランサーズ

クラウドワークス

ランサーズと同様に、クラウドソーシングサイト大手のクラウドワークスも福利厚生サービスを提供しています。

①ライフサポート

会員なら誰でも利用できるサービス以外に、クラウドワークスで「毎月3,000円以上の報酬を獲得している方」のみが対象となる福利厚生サービス「ベネフィット・ワン」があります。ジャンルはランサーズと同じく9種類で、全国23万を超える施設で利用可能です。

②お仕事サポート  

確定申告、法律や税務の相談などができます。写真や動画素材の購入、ワークスペースの検索・予約ができるアプリに使える割引など、フリーランスの仕事で使える特典が充実しています。

③スキルアップ支援   

ライティングや動画編集などのスキルアップ講座、語学レッスン、プログラミング講座などをお得な価格で利用できます。

参考:クラウドワーカー会員特典│クラウドワークス

あんしん財団

あんしん財団は、中小企業と個人事業主向けの福利厚生を目的として設立された一般社団法人。月2,000円で主に以下のサービスを利用できます。

①福利厚生サービス「WELBOX」 

株式会社イーウェルが提供する福利厚生サービス「WELBOX」を利用できます。ジャンルは以下のとおりで、利用できるメニューは約46,000点(2022年7月時点)。仕事でもプライベートでも活用できますね。

  • グルメ
  • 旅行・レジャー
  • リラクゼーション・美容
  • エンターテイメント
  • 日常生活・車・スポーツ
  • 健康 ・介護・ 育児・教育
  • 自己開発
  • 住宅
  • 冠婚葬祭

②人間ドックや定期健康診断の費用補助

人間ドックは6,000円まで、定期健康診断は2,000円までの補助が受けられます。負担額が上記の金額未満の場合は、実費負担額までの支払いになります。

③ケガの補償(事業総合傷害保険)  

ケガで入院した場合は1日6,000円、通院の場合は1日2,000円が補償され、医療保険としても活用できます。日常生活や休日中など業務外であっても補償の対象になるのが嬉しいですね。

参考:あんしん財団

INTLOOP株式会社「fukurint(フクリント)」

フクリントとは、フリーランス専門エージェントであるINTLOOP株式会社が提供する福利厚生サービスです。内容は大きく分けて以下の3つ。中でも、自己啓発などスキルアップサポートが充実しています。

①税務・仕事関連   

確定申告、資産運用、法人化など税務関連の相談サービスを割安で利用できます。Wi-Fiレンタル、会計ソフト、キャリアカウンセリングなど仕事に生かせるサービスが多いのも魅力。

②生活関連    

オフィスの家具・家電の購入、FP相談、レンタカー、家事代行サービス、遺伝子解析、スポーツジムなどの利用を補助してもらえます。

③自己啓発関連    

プログラミング、英会話、コンサルタントに必要なスキル学習などをお得な価格で利用できます。

下記4つの案件紹介サービスのいずれかに登録すればフクリントを利用できます。まずは、下記の案件紹介サービスをチェックしましょう。

  • High Performer Consultant(ハイパフォコンサル)                                    フリーランスコンサルタントの案件紹介サイト
  • High Performer PMO(ハイパフォPMO)                               フリーランスPMOの案件紹介サイト
  • TechStock(テックストック)                                 フリーランス・ITエンジニアのための案件紹介サイト
  • Batchgooma(バチグマ)                                   フリーランスマーケターのための案件紹介サイト

参考:fukurint -フクリント

ギークス株式会社「フリノベ」

フリノベは、ITフリーランス専門エージェントのギークス株式会社が提供する福利厚生サービス。ギークス株式会社は20年以上のフリーランス支援実績をもつ大手企業で、福利厚生サービスの登録エンジニア数は19,000人です(2022年10月時点)。福利厚生サービスの内容としては以下の3つがあります。

①会計や確定申告のサポート

フリーランスになれば避けては通れない、会計業務や確定申告のサポートを受けられます。会計ソフトの割引、税理士による無料セミナーの優先案内などがあるので、初めてフリーランス活動を始める方にとっては嬉しいサービスと言えるでしょう。

②日常生活のサポート      

健康診断、人間ドック、脳ドック、腸内フローラ検査サービスなどのヘルスケアや、洗濯代行サービス、食材の定期便、ライフプランニングなど、日常生活で活用できるサービスをお得に楽しめます。

③オンライン学習のサポート     

プログラミングや英会話を割引価格で利用でき、忙しい方でも独学でスキルアップに取り組めますよ。

フリノベはITフリーランスの案件・求人情報サイト「ギークスジョブ」にエントリー後、本登録になった方が利用できます。気になる方はまずギークスジョブを確認してみましょう。

参考:ITフリーランス向け福利厚生プログラム「フリノベ」                             参考:ギークスジョブ

PE-BANK「サポートプラス」

 PE-BANKは、株式会社PE-BANKが運営するフリーランスエンジニア専門のエージェントサイト。ITエンジニアがフリーランスエンジニアとして独立する際に抱える不安を解消すべく、福利厚生サービス「サポートプラス」を提供しています。

PE-BANK会員であれば「サポートプラス」を自由に利用できますが、「サポートプラス」自体はPE-BANK会員以外の方でも利用が可能。登録費や年会費はかかりません。                       ※一部所属するPE-BANK会員のITフリーランスのみが利用可能なサービスがあります。

ここでは、PE-BANK利用者が受けられるサポート内容を紹介します

①福利厚生サービス「サポートプラス」    

ビジネス、スキルアップ、ライフスタイル、ファイナンス、ヘルスケアなどさまざまなジャンルのサービスをお得に利用できます。ITセミナーやIT専門書籍の割引、ITフリーランス専用保険の特典など、ITエンジニアに嬉しいサービスが盛りだくさん。

②確定申告サポート          

提携している税理士が確定申告をサポート。LINEで気軽に個別相談ができたり、動画配信で税務セミナーを受けられたり、手厚いサポートを受けられます。

③教育サポート           

PE-BANKでは、ITエンジニアがおさえておきたい先端技術などをテーマにしたセミナーを毎月無料で開催しています。スキルアップを目指すエンジニアに嬉しいサービスです。

参考:PE-BANKI                                          参考:サポートプラス

各種サービスをうまく活用して安心して働こう

今回は、フリーランスが利用できる補償・保険サービスや福利厚生サービスを紹介しました。

近年フリーランスとして働く人が増加していることをうけ、フリーランスの社会的認知度や地位が向上が見込まれます。それにともない、今後もさまざまなサービスが発展していく可能性があります。

「フリーランスだから、保険や福利厚生を受けられなくてもしょうがない」とあきらめなくても大丈夫です。自分にあったサービスを利用して、安心して心地よく働ける環境を作っていきましょう。

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