コンサルタントとしての働き方には、フリーランスと会社員の2つがあります。リモートワークの普及によって、自由な働き方ができるフリーランスも注目されています。

また、フリーランスとして活動した方が収入を多く得られると思っている人も多いです。しかし、実際には会社員の方が費用対効果が良いこともあります。

独立するかどうかを収入だけで決めるのではなく、仕事内容の違いを理解しておくことも大切です。本当に自分が「独立しても良いのかどうか」を確認しながら、読み進めてみてください。

フリーコンサルタントの収入はいくら?

実際のコンサル案件を確認すると、コンサル月額は1件あたり約50〜150万円程度が相場。とはいえ1件あたりの単価は、分野や求められる能力によっても異なります。

平均単価が高ければ求められる能力も高いため、簡単に案件獲得はできません。しかし、日本の平均年収が約436万円なのでコンサルタントの年収は平均値を大きく上回っています。加えてフリーのコンサルタントになれば、市場価値を高めてさらに大きく収入を伸ばすことも可能です。

▼関連記事▼
フリーランスの平均年収はどれくらい?平均年収以上に稼ぐ方法も解説

フリーコンサルタントの収入を左右する3つの要素

フリーコンサルタントの収入を左右する要素は、仕事内容だけではありません。具体的には、下記3つの条件が組み合わさってフリーコンサルタントの収入が決定します。

  1. 契約方法
  2. 担当する領域や分野
  3. 経験年数やポジション

フリーコンサルタントは、会社員のように固定給がありません。自分自身のスキルや経験によって収入に大きな差が出ます。フリーコンサルタントとしての収入を上げたいなら、収入が決定する詳細を理解しましょう。

1.契約方法

フリーコンサルタントの収入は、契約方法によっても異なります。会社員なら、会社から支払われる給料は一定です。しかし、フリーコンサルタントだと案件によって契約方法が異なり、支払われる条件も異なります。

フリーコンサルタントの契約方法については、下記2つを事前に理解しておきましょう。

  • フリーコンサルタントの収入を左右する3つの契約
  • 長期契約が獲得できない悩みがある

契約方法によって特徴があり、向いている人も異なります。フリーコンサルタントの収入を上げたいなら、契約方法について理解し、案件獲得の際に提案してみることが大切です。

フリーコンサルタントの収入を左右する3つの契約

契約の種類によって、支払われる条件や相場料金が異なります。フリーコンサルタントの収入を左右する契約の種類と特徴は、下記の3つです。

  • スポット型契約:短期間での契約でマルチタスクが可能
  • 顧問型契約:長期間での契約で責任が大きい
  • 成果報酬型契約:高単価案件が多いが成果が出なければ収入が不安定

簡潔にまとめると、上記が契約方法別の特徴です。人それぞれの特徴や性格、働き方に合わせて何が合っているのかを判断しましょう。

収入の安定性を求めるなら顧問型契約を選び、リスクを分散するならスポット型契約をおすすめします。

▼関連記事▼
口約束は災いのもと!契約書の徹底と使える電子契約書ツール5選

「長期契約が獲得できない」という悩みも

フリーコンサルタントの中には「長期契約が獲得できない」と悩む人もいます。コンサル1件あたりの単価は比較的高いです。しかし、毎月必ず契約できるわけではありません。

案件を獲得できても、すぐに契約解除となる恐れもあります。長期契約を獲得するためには、クライアントと信頼関係を築くことが大切です。信頼関係を築き「長期的にお願いしたい」と思われれば、収入も安定しやすくなります。

▼関連記事▼
仕事が継続してやってくるフリーランスの人物像はこんな人!10の特徴を解説
来期予算にあなたの業務委託費は盛り込まれるのか?来期継続を勝ち取る「4ヶ月前プレゼン」のススメ
経営コンサルタントは怪しい?その理由と信頼されるために重要なこと

2.コンサル領域や分野

フリーコンサルタントの収入を左右する要素の一つとして、仕事内容は外せません。同じフリーコンサルタントでも、担当する領域や分野によって収入は異なります。

コンサル業界の中でも、外資系コンサルや経営コンサルなどは単価が高いです。1つの意思決定によって大きな資金が動く場合にも、高単価案件となりやすいです。

ただ、収入を得られる反面、高いスキルや責任感の大きい内容となります。

▼関連記事▼
経営コンサルタントになるには?資格や年収、働き方を詳しく解説
経営コンサルタントに資格は必要?なり方や実務の業務内容を解説
経営コンサルタントはやりがいを感じやすい?やりがいを感じる瞬間や必要な能力
フリーの経営コンサルタントになるには?独立方法や案件の取り方を解説
中小企業の経営コンサルタントになるために資格は必要?おすすめの資格を解説

3.経験した年数やポジション

フリーコンサルタントとして各分野を経験した年数やポジションは非常に大切です。経験年数やポジションは、スキルや能力よりも数値として示せます。わかりやすく、フリーコンサルタントとしての市場価値を見極める判断材料にされるでしょう。

下記の表は、外資系戦略コンサルティングファームの収入例です。

引用:Consultant転職「コンサルタントの年収・給与【転職したらどれくらい?】」

同じ職種でも、コンサル経験や役職によって年収が大幅に異なります。フリーコンサルになれば、営業方法や実績によってもさらに大きな差がつくでしょう。

▼関連記事▼
コンサルのキャリアはどうなる?転職後のキャリアや経験を活かす方法を紹介
コンサルへの転職は未経験でも可能!必要なスキルや役立つ資格を解説

【分野別】フリーコンサルタントの平均収入

フリーコンサルタントの平均年収は、分野によって異なります。ここで解説するフリーコンサルタントの分野は、下記の4つです。

  • ITコンサルタント
  • 戦略コンサルタント
  • M&Aコンサルタント
  • 人事コンサルタント

フリーランス白書によると、フリーランスの年収で多いのが約400〜600万円です。つまり、400〜600万円を超えていれば、平均収入よりも高いと言えるでしょう。

ITコンサルタント 

ITコンサルタントの案件は、月100〜120万円程度と高額です。案件から年収を推測すると、約1,200〜1,440万円です。フリーランスの平均年収の約3倍程度となるため、かなりの収入を得られます。

ITコンサルタントには、ITの専門知識と拡大するIT需要に向けてのマーケティング能力が求められます。責任が重く、能力も求められるため平均年収も高いのが特徴です。

▼関連記事▼
ITコンサルタントとは?仕事内容や求められるスキルを解説

戦略コンサルタント

戦略コンサルタントとは、経営全体から事業支援など幅広い業務を任されるコンサルです。戦略コンサルタントの案件は、月80〜100万円程度です。案件から年収を推測すると、約960〜1,200万円となります。

戦略コンサルタントは、経営に関するプロであるため、業界に関係なく幅広く活躍可能です。貴重な体験ができ、自分自身の成長にも繋がりやすいため、フリーコンサルタントを目指すならおすすめです。

▼関連記事▼
戦略コンサルタントとは?経営コンサルとの違いや必要なスキルを解説

M&Aコンサルタント

M&Aコンサルタントは、M&Aに関するリサーチやKPI作成などをメインとする仕事です。案件は月110〜140万円程度となっています。年収だと、約1,320〜1,680万円程度になるでしょう。

M&Aは、事業自体に多額の資金が必要となります。多額の資金が必要だからこそ、成功した時の利益も大きく、コンサルタントへの報酬も高くなるのが特徴です。

▼関連記事▼
M&Aコンサルとは?アドバイザリーとの違いや業務内容を業界の背景も踏まえて解説

人事コンサルタント

人事コンサルタントは、人事採用業務全般における改善提案や採用方針のアドバイスを中心としています。案件は、月90〜110万円程度であり、年収だと1,080〜1,320万円です。

ITコンサルタントやM&Aコンサルタントと比較すると、やや低めの金額となっています。ただ、企業の人事担当者として優秀な人材獲得の経験があれば、多くの企業で活躍できるでしょう。

▼関連記事▼
人事コンサルタントとは?仕事内容や年収、激務といわれる理由を解説

フリーコンサルタントと会社員の仕事は何が違う?

フリーコンサルタントと会社員としてのコンサルは、収入が違うだけではありません。収入以外にも、下記3点で明確な違いがあります。

  • 自分で仕事を管理しなければいけない
  • 積極的に学ばなければいけない
  • 確定申告をしなければいけない

フリーコンサルタントに興味があると、収入ばかり気にしてしまいがちです。独立すれば、会社員の時より年収を上げることも可能です。

しかし、仕事量が多かったり、収入にならない部分もあったりするため注意が必要です。フリーコンサルタントと会社員の明確な違いを理解しておけば、独立後のギャップも減らせるでしょう。

▼関連記事▼
コンサルは稼げる?必要な能力や会社員とフリーランスの違いを解説

自分で仕事を管理しなければいけない 

会社員なら、基本的には会社が営業して獲得した案件を担当するのが一般的です。会社員でも、担当された仕事の中で何をすべきなのかを考えることはあります。

しかし、フリーコンサルタントとして独立したら、自分で全ての仕事を管理しなければいけません。仕事を獲得しすぎれば回すことができず、獲得できなければ生活に困ってしまいます。

また、営業や仕事の管理に関して給料は発生しません。会社員との違いにギャップを感じないように注意しましょう。

積極的に学ばなければいけない

フリーコンサルタントとして収入を安定的に得るためには、積極的に学ばなければいけません。クライアントは、コンサルタントとしての専門知識や最先端な情報の代わりに、報酬を支払っています。そのため、日々積極的に情報をアップデートしなければ、案件を獲得できない可能性も高いです。

厚生労働省が発表している「経済社会の推移と世代ごとにみた働き方」によると、日本の経済成長率は下降し続けています。

経済成長率が下がり、非正規雇用が増えるに連れて、企業もフリーコンサルタント選びに慎重になるでしょう。厳選された中から自分自身を選んでもらうためには、日々学び続けるしかありません。

▼関連記事▼
コンサルタントに必要な9つのスキルとは?実務で求められる理由も解説【リスキリングの参考に】

確定申告をしなければいけない

フリーコンサルタントは、 自分自身で確定申告をしなければいけません。会社員なら、会社が全て行ってくれるため気にする必要はありません。

しかし、確定申告に慣れていなければ時間がかかりますし、仕事の時間を確保できない可能性が高いです。仕事の管理同様、確定申告によって給料が発生するわけではありません。

そのため、確定申告のことも含め、独立するかどうか時間をかけて検討しましょう。

▼関連記事▼
フリーランスの確定申告はどうすればいい?手順や注意点について詳しく解説!
フリーランスで確定申告が必要なのはいくらから?申告方法や注意点を解説

フリーコンサルタントとして収入を上げるには?

フリーコンサルタントとして収入を上げるには、独立前の準備が重要です。独立後にいくら頑張っても、案件獲得に繋がるとは限りません。

収入を上げるためには、単価の高い案件を獲得できるかどうかが勝負です。高単価案件を獲得するには、下記2つに注意しましょう。

  • 業界の繋がりを作った上で独立する
  • コンサルファームでの実績を作っておく

独立前に上記が重要な理由を理解して、独立後に後悔しないことが大切です。

▼関連記事▼
<発表!>フリーランスとして独立前の抜かりない準備BEST10!
著書?SNS?ブログ?フリーランスコンサルタントで独立前にしておくべき個人アピール策
コンサルとして独立するには?収入を増やすコツや事前準備について

業界の繋がりを作った上で独立する

フリーコンサルタントとして独立する前に、各業界の繋がりを作っておくことが大切です。案件を獲得するためには、直接営業以外にもクラウドソーシングサイトや求人サイトがあります。

ただ、初めて関わるクライアントだと、信頼関係を1から築かなければいけません。時間もかかる上、契約後に「合わない」と思ってもすぐに辞めることはできません。

業界の繋がりがあれば、直接契約によって単価が高いだけでなく、収入の安定にも繋がります。信頼関係が元からある状態なので、大きな不満を抱えずに仕事を進められるでしょう。

▼関連記事▼
次につなげる!フリーランスとして独立前にお世話になったクライアントへの上手な接触・ごあいさつとは?

コンサルファームでの実績を作っておく

フリーコンサルタントとして独立する前に、コンサルファームでの実績を作っておきましょう。コンサルファームでの実績があれば、独立してもコンサルタントとしての評価は高いです。

中には、コンサルファームに在籍した期間が長いことで、年収2,000万円を超えるケースもあります。能力が同じでも、コンサルファームの在籍期間次第で、収入に差が出るのは事実です。

フリーコンサルタントとして安定した収入が欲しいなら、コンサルファームでの実績作りも検討してみましょう。

▼関連記事▼
中小企業向けコンサルティングとは?人気のコンサルファームとサービス内容を解説
事業再生コンサルとは?仕事内容やおすすめのファームを徹底解説
業務コンサルとは?業務内容や必要な資格、おすすめのファームを解説

努力次第でフリーコンサルタントの収入は上げられる

フリーコンサルタントとしての収入を上げるには、独立前の準備が大切であることを解説しました。しかし、すでに独立している人がこれから稼げないというわけではありません。

努力次第で、今からでもフリーコンサルタントの収入は上げられます。収入を上げるには、専門性に磨きをかけることも大切です。他にも、新規案件だけでなく継続案件を獲得できるように工夫しましょう。

フリーコンサルタントとなれば、後は自分次第です。努力によって、収入は良くも悪くも変化します。自分自身の市場価値を高める努力をすれば、収入アップを狙えるでしょう。