コンサルティングファームに所属している方の中には「いつかは独立したい」と考えている方もいらっしゃるでしょう。しかし、失敗しないか、独立後の収入減に悩まされないかといった不安も募りますよね。

独立後に収入が増えたという人はごく一部というデータもあり、コンサルタントとして独立し、事業を成功させるのは簡単ではありません。

本記事では、コンサルタントとして独立し、収入を増やすコツや事前準備について解説します。独立後の収入が増えない原因についても触れていますので、ぜひ今後のキャリアプランの参考にしてみてください。

コンサルとして独立すると収入は増えるのか?

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フリーランスが仕事とマッチングできるサービスも増えており、コンサルティングファームから独立して個人でコンサルタントとして活動するための環境は整っています。実際にコンサル専門の案件が集まるサービスも存在し、独立しやすい状況であると言えるでしょう。

しかし、コンサルタントとして独立しても、収入が増えるとは限りません。コンサルタントが独立した際のリアルな実情を読み解いていきましょう。

独立して収入が増えたコンサルは1割未満というデータも

フリーランス白書2020の報告によると、コンサル系の仕事をしているフリーランスのうち、独立してから収入が増えたと回答している人は1割未満です。

変わらないとした人が3割以上、減ったという人が6割という結果であり、収入増を求めての独立は難しい様子が伺えます。この背景には「案件獲得が難しい」「単価交渉が難しい」「継続依頼が獲得できない」といった原因が存在し、これらのリスクに対してどのような対策を講じるかが重要になるでしょう。

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なぜ独立したいのか・独立すれば何ができるのかを突き詰める

フリーランスのコンサルタント向け案件を紹介するエージェントサイトには、月額100万円以上の報酬が支払われる高額案件も存在します。こうした案件を継続的に受注できれば、会社員と同等かそれ以上に稼ぐのも難しくないように思えるかもしれません。

しかし、毎月仕事を受けられるとは限らないのがフリーランスです。目論見通りに仕事を受注できない可能性も考えておくべきでしょう。

コンサルタントを志すときも「なぜコンサルになりたいのか」「コンサルになって何をしたいのか」「それはコンサル以外ではできないことなのか」といった志望動機を追及し、他者の理解を得られるよう心がけたと思いますが、独立に際しても、改めて「なぜ独立したいのか」を突き詰めて考えることが大切。

この動機が経営理念となり、今後の経営方針に大きな影響を与えます。経営方針が盤石であれば、サービス内容やマーケティング戦略、ブランディングといった実務に近い部分も迷わずに整理でき、一貫した軸が出来るでしょう。

こうした軸に基づいた事業者は社内外に対してスタンスをはっきりと表明できるので、独立後の経営にも好影響を与えます。結果として信頼を獲得しやすくなり、案件を獲得したりクライアントとの円滑な関係を構築したりする際にも役立つでしょう。

独立後の収入が増えない原因

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独立後の収入が増えないのは、個人という存在の弱さや不安定さが原因です。

  • 大手企業に対抗できない
  • 大型案件が受注できない
  • 思い切った提案ができない

以上の3つの原因について、詳しく解説します。

個人では大手企業に対抗できない

コンサルタントとして企業に営業をかけても、競合となる他のコンサルタントが大手企業であると、個人では太刀打ちできない場合もあります。

伝統を重んじるクライアントほど、「大手は安心」「個人に依頼するのは不安」と考えやすく、実力を売り込む土俵にすら上がれません。また、単にターゲットとなる企業の規模が大きく、知見やスキルの面でクライアントに不安を与えてしまう可能性も考えられます。

提案が通らない場合は、ターゲットを見直してみるのも重要です。同じ戦略コンサルであっても、大企業の戦略コンサルティングから中小企業の戦略コンサルティングに切り替えてみるだけでも手応えを感じられるかもしれません。

リソース不足で大型案件が受注できない

コンサルタントが独立する場合、個人事業主であったり、少人数で会社を立ち上げたりといったケースが多いでしょう。

必然的にプロジェクトへ参加できる人数は限定され、規模に合わせた増員が難しくなります。そのため、確実に対応できる規模のプロジェクトしか受けられず、大型案件は挑戦しにくくなるでしょう。

小規模な案件ばかりを受注し、大型案件に挑戦できない期間が続くのは成長する機会を失っているとも考えられます。こうした制限によって、収入が伸び悩む結果になるケースも考えられるでしょう。

高単価の案件を受注するに当たって人的なリソースがボトルネックとなっている場合は、人材の採用や外部人材の登用や業務委託を活用した外注なども踏まえてリソースを確保することが大切です。

本質を突く思い切った提案ができず結果を出せない

フリーランスという立場は契約を打ち切られやすく、その際のリスクも会社員に比べて大きくなります。クライアント側からすれば、契約を切りやすいことがフリーランスに依頼するメリットとも言えるでしょう。

そのような立場で生じる不安から、独立したコンサルタントの中にはクライアントの顔色を窺った提案をしてしまう方も少なくありません。しかし、課題の本質に切り込んだ提案ができないと、根本的な課題解決に至れない場合もあるでしょう。

コンサルタントとしての本領を発揮できず、結果が出せないと、クライアントは契約の打ち切りを選択します。思い切った提案ができないがために売上が伸び悩んでしまっては本末転倒です。こうした状況に陥っている方は、勇気を出して本質的な提案をしてみるのも良いでしょう。

コンサルタントが独立後に収入を増やすコツ

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コンサルタントは独立すれば収入が増えるとは限らず、むしろ売上が伸び悩んでしまう可能性があります。それでは、収入を増やすにはどうすればよいのでしょうか。

独立後に収入を増やすコツを3つ紹介します。

自分の得意分野を徹底的に磨く

独立して個人で勝負するなら、得意分野を徹底的に磨きましょう。「何でもできます」は、一見優秀に見えるかもしれませんが、強みとなる専門分野を持たないのと同じです。

どの分野のコンサルティングをするのか、自分の強みは何かを明確にし、強力な自分の武器を身につけましょう。

クライアントは分散させる

収入を安定させ、突然の契約終了が発生しても立て直せるよう、クライアントを複数抱えてリスクを分散させましょう。

大口契約を結んでくれるクライアントが1つあっても、フリーランスは安心できません。社会情勢や天災など、予期せぬ事態により、クライアントが予算を割けなくなれば、どんなに大口契約を結んでいても打ち切られてしまいます。

1つのクライアントに依存している状態では、打ち切られた際の立て直しが困難です。クライアントを分散させてリスクヘッジしておけばアップセルの機会も増え、紹介という形で案件数を増加させられる可能性も高まるでしょう。

複数の方法で仕事を探す

仕事を探す方法も1つに限定せず、複数のサービスを活用しましょう。企業への個別営業だけでなく、コンサル案件に特化したエージェントの利用もおすすめです。

エージェントにもそれぞれ特色があるので、複数の窓口から仕事の情報を得られるようにすると、受注のチャンスを増やせるでしょう。

コンサルとして独立する前に必要な準備

コンサルとして独立する前に必要な準備(見出し下画像)

コンサルタントとして独立する前に次の準備をしておきましょう。

  • 開業資金を準備
  • 生活資金の確保
  • 事業計画書の作成
  • 業界の情報収集
  • 人脈作り
  • 家族や親しい人の理解

それぞれ、くわしく解説します。

開業資金を用意

コンサルタントとして独立する際、高額な初期費用は不要です。しかし、クライアントの信頼を得られるよう、環境を整えるための費用は用意しておきましょう。

開業にあたっては、自宅とは別に事務所を用意できるのが理想的です。ただ、事務所を借りると初期費用やその後の維持費がかかるので、自宅の一室で開業するコンサルタントも珍しくありません。

この場合、仕事で取り扱う情報の管理を徹底し、同居家族に機密情報を見られないよう注意します。部屋や書類をしまう棚に鍵を設置するなど、対策を考えましょう。

また、クライアントと電話でやり取りする場合、仕事用の回線を引いたり、静かな環境で通話できるよう仕事部屋を整えたりといった準備も必要です。

仕事の問い合わせが電話で入った際に事業所としてではなく家族が一般家庭として対応すると、相手に不信感を与えます。さらに通話中、家族の話し声が入ってしまうのも問題です。

このような事態を避けるため、自宅で開業する場合であっても、通話環境を整えるための費用も含めた開業資金を用意しましょう。他にも業務で利用するツールの導入費用なども見積もっておくとスムーズに業務を開始できます。

生活資金の確保

独立時には開業資金だけでなく、生活資金も確保しましょう。

独立直後は仕事が安定せず、思うように収入が得られない可能性もあります。生活費の心配をしながら仕事を受けていたのでは、正しい判断ができなくなってしまうでしょう。

安定するまでの間の生活費が確保できていれば、金銭面の不安を解消し、精神面の安定を図れます。

必要な金額は、家族構成やライフプランによって異なるので、事前にしっかりとシミュレーションしましょう。単身者なら半年から1年程度、家族の生活を支えている人なら2年から3年分程度の備えがあると安心です。

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事業計画書の作成

コンサルタントとして独立・開業する場合、個人事業主として開業届を出すだけならば、事業計画書はいりません。しかし、自身がこれから行う事業の見通しを立てて書面にまとめるのは重要です。

事業計画にはズレが生じるものですが、だからこそ今後の見通しを立てておけば「どれくらいのズレなのか」「軌道修正するには何が必要か」といった視点で、予想外の事態が起こった際に現状を分析できます。

また、事業計画書を作成することで独立後に生じる問題を先回りして潰す機会が得られるのです。例えば集客チャネルは何を使うのか、どれくらいの単価でどれくらいの案件が獲得できるのか、といった点についても詰めておかなければ計画書は完成しません。

未来の自分のためにも、今のうちに事業を客観的に見つめて事業計画書を作成しておきましょう。

業界の情報収集

コンサルタントとして関わっていく業界の情報収集は欠かせません。独立に適したタイミングであるかも含め、事前に情報収集し、独立後も仕事に関わる内容を察知できるようにしておきましょう。

会社に所属していたなら、職場の繋がりから自然と入手できた情報も、フリーランスになると自ら仕入れる努力が必要です。常にアンテナを張り、情報をキャッチできる状態であるようにしましょう。そのためには後述する人脈づくりも大切になってきます。

人脈づくり

仕事の紹介を受けたり相談を持ちかけられたり、業界の情報交換などができる人脈も独立前に作っておきたいところです。独立前のコンサルティングファーム繋がりだけでなく、必要な情報を得たり協力を要請したりできるよう、視野を広げて人脈を開拓しておきましょう。

人脈作りの手段としては、異業種交流会やセミナーへの参加、特定業種向けのコミュニティに所属するなどがあります。

誰かと交流すれば独立後も安泰と言い切れるものではありませんが、人脈は一朝一夕には作れません。有意義な交流ができる場所を探し、独立前から人脈を広げる取り組みをしておきましょう。

家族や親しい人の理解

コンサルタントに限らず独立・開業にはリスクがあるため、事前に家族や親しい人の理解を得ておくのも重要です。扶養する家族がいるなら、独立の結果によって家族の人生にも影響を与えてしまいます。

独立直後は、大幅な収入減を余儀なくされるかもしれません。十分な貯蓄があるか、家族は協力してくれるかなども確認し、独立に向けてしっかり準備していること、その後の見通しが立っていることを説明して理解を得ましょう。

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コンサル独立の成功にはポイントを押えて事前準備する

コンサル独立の成功にはポイントを押えて事前準備する(見出し下画像)

コンサルタントとして独立しても、収入が増えるとは限らず、減少したという人も多いのが現実です。独立するなら安易に決めずに、計画を立てたうえで事前準備を入念にしましょう。

資金の確保や情報収集など、独立前に必要な準備は多数あります。家族や親しい人の理解も得て、独立を成功させましょう。

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