一部の悪質な存在が目立ってしまった結果、全体的なイメージが悪くなってしまうのはどの分野でもあることです。経営コンサルタントも、一部の悪い事例が原因で怪しい印象を持っている人が少なからず存在します。

今回は、経営コンサルタントが怪しいと思われてしまう理由と、それを取り除くために重要な事柄を解説します。クライアントに信頼される経営コンサルタントになるため、確認しておきましょう。

経営コンサルタントが怪しいと思われてしまう理由

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残念ながら一部の人からは「経営コンサルタント怪しい職業」と思われているのも事実です。また、高額な報酬を要求しながら、適切なコンサルティングをしてくれない悪質な存在もいるため、こうした印象を強めてしまっています。

悪い印象を取り除き、正当な評価を得るには、怪しいと思われてしまうポイントを理解し、クライアントに誤解されないことが大切です。

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免許や資格がなくても名乗れる職業であるため

コンサルタントは、企業経営についての分析やアドバイスができれば、特定の資格や免許は不要な仕事です。名乗るために必要な試験や登録制度もなく、誰でも名乗れます。

MBAや中小企業診断士、公認会計士など、コンサルティングファームで評価されやすくなる資格も存在しますが、全てのコンサルタントが保有しているわけではありません。

コンサルタントの能力を誰でも分かる形で把握する方法がないため、多くの人の目には「よくわからない」「怪しい」といった印象を与えやすいのです。

こうした印象を完全に取り除くのは難しいですが、誠意ある対応や相手の利益を考えた助言をすることで信頼を積み上げていく必要があるでしょう。

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クライアントにどのような利益をもたらすのかが見えいにくいため

実際にコンサルティングを受けてみないと、どのような利益を得られるかがわかりにくいのも、怪しいと感じさせる一因です。

洋服であれば身につける前に試着して、着心地やサイズ感を確認できます。購入して間もない家具や家電に不具合があったなら、ほとんどのメーカーは何らかの保証をしてくれるでしょう。

こうした事前の確認や事後の不具合対応があるのは、基本的に形あるものを提供しているケースです。コンサルティングは形のないサービスを提供しているため、事前確認や結果に対しての保証が難しくなっています。

にもかかわらず、コンサルティング費用はほんの数時間の相談で数万円、月額報酬が数十万円といった高額なものであるため、怪しさを感じさせます。

コンサルティング料金を提示する際はその根拠を明確にし、相手の予算に合わせて内容を調整する柔軟さも必要です。分かりやすい過去事例があればそれも活用し、得られる効果を可視化しましょう。

提示される経歴や過去の実績の真偽が不明であるため

コンサルタントへの依頼を考えるクライアントは、これまでの経歴や実績も選ぶ際の参考にするでしょう。有名な企業との取引実績や、大手コンサルティングファームの経験者となれば、能力への期待が高まります。

しかし、華々しい経歴や実績を掲げていても、全てが事実とは限りません。過去の所属先・取引先全てに確認して回るわけにもいかないので、クライアントは真偽を確かめづらいでしょう。

プロジェクトのごく一部に携わっただけでも主導したかのように誇張したり、ほんの一時期所属しただけの経歴でも重要な役割を担ったかのように喧伝したりするコンサルタントも存在するため、怪しい印象を増長させています。

自己PRとして過去の実績を伝えるのも重要ですが、誤解を与えないよう注意し、謙虚な姿勢も大切です。

使っている専門用語がわかりづらいため

経営について話すとき、当たり前のように使われる言葉でも、クライアントには馴染みがなくて話を理解しにくいこともあります。シナジー、リソース、ロジスティクス、ベンチマーク、ゼロベース思考など、カタカナを使った言葉も多く、馴染みのない人からすると何を指しているのか掴みにくいものです。

相手が分かりづらいと感じる表現を多用した会話では、意図的に内容をぼかしているように思わせてしまいます。正しい発言をしていても、相手に伝わらなければ意味がありません。

コンサルタントの仕事は、コミュニケーション能力も重要です。相手にとって理解しやすい、かみ砕いた表現を心がけましょう。

怪しい経営コンサルタントにならないために重要なこと

怪しい経営コンサルタントにならないために重要なこと(見出し下画像)

経営コンサルタントが怪しいと思われてしまう要因は、仕事内容の不透明さや実績の真偽がわかりにくい点などがありました。

それらを取り除けるように対応すれば、信頼につながり、怪しさを払拭できるでしょう。

会社の経営を主導するのはクライアントであると認識する

経営コンサルタントは、経営者の相談に乗り、助言する立場になります。その性質から、クライアントよりも立場が上であると錯覚し、企業経営を思い通りにできると考えるのは危険です。

コンサルタントとクライアントの立場に、上下や優劣はありません。両者は異なる視点から会社経営を見つめ、課題解決に協力する関係です。

この関係性が崩れていると「こちらの意向を無視して計画を進められてしまった」「状況は改善したがもっと他に良い方法があったのではないか」といった不満を、クライアントが持つ結果になります。

会社はクライアントのものであり、最終的な経営判断や改善策の導入方法もクライアントが決定します。コンサルタントはその判断を促すために助言や分析、提案を行い、より良い選択ができるよう協力する立場に徹しましょう。

丁寧なコミュニケーションを心がける

会話内で使用される専門用語が分かりづらいのも、経営コンサルタントが怪しいと思われる原因の一つでした。これを回避するには、クライアント目線で言葉を選び、相手が理解しやすい話し方が大切です。

コンサルタントが当たり前のように仕事の会話で使っている用語でも、クライアントにとっては違います。もしも、クライアントとの会話の中で、分からない言葉について説明を求められたなら、面倒と感じずに内容を丁寧に説明しましょう。

また、相手が納得しないうちに契約を迫るような進め方も禁物です。どんなに自信があっても、強引な進め方では相手に不信感を与えます。

クライアントが納得するまで話し合い、相手の状況を理解したうえで契約やその後の業務を進めましょう。

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料金設定を明瞭にする

料金設定の根拠が不明瞭であると、怪しいと感じさせる要因になります。料金提示や見積を提出する際は、合計金額だけでなく内訳も明確にしましょう。要望によって内容を変更し、金額の増減にも対応できるのが理想です。

はじめの一定時間は相談を無料にしたり、試しに依頼できるような安価なサービスを設定したりもおすすめです。利益は減るものの、クライアントは気軽に体験でき、「無料相談でも親身な対応をしてもらえた」「もっと継続的に依頼したい」といった印象を持ってくれれば、その後の受注に繋がるでしょう。良心的なサービスを提供しているコンサルタントとして、口コミ効果も期待できます。

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知識やスキルを高める努力をする

コンサルタントは元手のかからない職業ですが、高度な専門知識を求められます。常に新しい知識を仕入れ、スキルアップできるよう自己研鑽に励むのも重要です。

海外の事例や最先端技術を使ったデータ分析など、コンサルタントの手法も日々新たなものが登場しています。企業経営を取り巻く状況も多様化し、同じ種類の問題を抱えていても企業の属する業界や規模によっても解決策は異なるでしょう。

一昔前の知識や手法では、クライアントの問題を解決できないこともあります。さまざまな状況に対応できるよう、視野を広げて自身の価値を高める努力を怠らないようにしましょう。

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過去の実績を伝えるときは利用者の声も使う

コンサルタントに限らず自身の活動PRとして、過去の取引実績を掲げる人は多いでしょう。この時、自分の言葉で実績を伝えるだけでなく、利用者からの声を取り入れると信頼できる情報として受け入れられやすくなります。

サービス提供側からの発信では、都合のいい部分しか見せていない印象を持たれる可能性もあるでしょう。しかし、実際に利用した人が「こんなに良いサービスだった」「また利用したいと思った」と言ってくれたなら、正確な情報として見てもらえます。

また、新たに利用するサービスの場合、提供側からのPR情報よりも、親しい人が評価している情報の方が信頼できます。

経営コンサルタントの仕事でも、利用者からの意見や感想を見つけたら、積極的に活用しましょう。会社経営者の方が自身のSNSやブログで感想を投稿してくれたら、お礼を伝えて引用掲載の許可を取るのもおすすめです。

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引き受けられる仕事を明確にする

コンサルタントとして相談を受ける中で、時には得意分野・専門分野以外の話を持ちかけることもあるでしょう。新たに受注する領域を増やすのも選択の一つですが、安請け合いした結果、クライアントに損失を与えてしまうと信用を失いかねません。

自分が引き受けられる仕事はどの分野なのか、どの範囲までなのかを明確にし、相談内容が手に余る・専門外である場合は、はっきり断るのも重要です。

自分が対応できない内容であっても、それを得意とする同業者を知っているなら、そちらを紹介するのもよいでしょう。

他者に利益を譲ることになるものの、クライアントにとって有益な行為となり好印象を与えます。良い印象を持ってくれたクライアントならば、後日別分野での相談をしてくれるかもしれません。紹介先の同業者からも自分の手に余る相談があった際、同じように仕事を回してくれる可能性もあります。

受ける仕事を線引きし、相手にとって良い選択となる行動ができれば、怪しい印象を持たれず、コンサルタントとしての評価を高められるでしょう。

怪しい経営コンサルタントにならないよう相手の利益に貢献しよう

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経営コンサルタントが怪しいと思われてしまうのは、資格がなくても名乗れて、与えられる利益や過去実績の真偽、使われる専門用語が分かりづらいのが大きな原因です。

これらの原因を取り除ければ、怪しいと思われず、信頼される存在になれます。自分の立場をわきまえ、丁寧なコミュニケーションを心がけましょう。料金設定を明瞭にし、自信のスキルアップも欠かせません。

自身の利益ばかりを追求するのではなく、相手の利益に貢献できるよう考え、行動できる経営コンサルタントを目指しましょう。