フリーランスは社会保険に加入できるの?

サラリーマンの社会保険との違いを知りたい!

このような疑問や悩みを抱えているフリーランスの方は少なくないでしょう。フリーランスの中には社会保険に未加入の方も散見され、社会保障はフリーランスにとって一つの懸念点となっています。

結論から述べると、フリーランスの方でも社会保険に加入できます。社会保険に加入しておかないと、万が一の際に保険が適用されず、適切な医療サービス・介護サービスが利用できなかったり、高額な費用を支払ったりするリスクが生じるのです。

本記事では、フリーランスが加入できる社会保険の種類や加入時の注意点を詳しく解説します。フリーランスの社会保険について知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

フリーランスも社会保険に加入できる!

フリーランスの方でも、サラリーマンの方と同様に社会保険に加入できます。ただし、サラリーマンとは加入できる社会保険が異なるケースもあるので事前に確認しましょう。

フリーランスの方はどのような社会保険に加入するのか、社会保険の種類ごとに確認します。

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健康保険

フリーランスの方の場合、加入する健康保険は下記の4つに分かれています。

  • 国民健康保険に加入する
  • 任意継続を利用する
  • 国民健康保険組合に加入する
  • 配偶者の扶養に入る

それぞれ詳しく見ていきます。

<国民健康保険に加入する>

フリーランスに最も多い健康保険の加入パターンが、国民健康保険(国保)への加入です。国保は、被用者保険など他の医療保険制度に加入していないすべての住民の方を対象とした医療保険制度。フリーランスは個人事業主として扱われ、被用者保険には加入できないため、とくに手続きをしない場合は自動的に国保へ加入することに。

国民健康保険の保険料は、前年の所得金額で決まります。たとえばフリーランスになる前に会社員として勤務していた場合は、会社員時代の所得金額で保険料が決まるのです。会社員時代の年収が高く、フリーランスになってからの収入が低い場合、健康保険料の支払い負担が重くなるので注意してください。

国民健康保険に加入するためには、前職を退職した日から14日以内に、お住まいの市区町村役場の国民健康保険の窓口で手続きをする必要があります。手続きの際は、離職票・退職証明書・雇用保険資格喪失連絡票など会社を退職した書類と、運転免許証などの本人確認書類が必要です。

ただ、14日以内に届け出を行わなかった場合も特段ペナルティはありません。退職から14日を過ぎても国民健康保険には問題なく加入できます。しかし、怪我や病気にかかってしまうリスクを考えるとなるべく早い段階で加入手続きを完了した方が良いでしょう。

※国民健康保険では「扶養」という制度自体が設けられていません。このため、これまで会社の社会保険で家族が扶養に入っていた場合は、個人でそれぞれ国民保険に加入する必要があります。

<任意継続を利用する>

フリーランスになる前に、会社員として勤務していた場合は任意継続と呼ばれる制度を利用できます。任意継続とは、会社員の際に加入していた健康保険に退職してからも継続して加入できる制度です。

任意継続の期間は最長で2年間となっています。2年が経過した後は、国保などの他の健康保険へ加入しなければなりません。

任意継続を利用するには、雇用保険の資格喪失日の前日までに継続して「2カ月以上」の被保険者期間が必要で、任意継続の手続きは退職日の翌日から20日以内に実施しなければなりません。国民健康保険では扶養を利用できませんが、会社員時代の社保を継続すれば家族の扶養も継続できます。

今後も扶養制度を利用したい場合は任意制度を利用しましょう。

<国民健康保険組合に加入する>

国民健康保険組合に加入するのも一つの方法です。国民健康保険組合とは、特定の業種・職種ごとに集まって構成する健康保険になります。フリーランスとして該当の職種に従事している場合、国民健康保険へ加入可能です。

国民健康保険組合には様々な種類があります。下記、国民健康保険組合の一例です。

  • 東京美容国民健康保険組合
  • 大阪府薬剤師国民健康保険組合
  • 文芸美術国民健康保険組合
  • 中央建設国民健康保険組合
  • 東京技芸国民健康保険組合

国民健康保険組合では、保険料は基本的に固定額になります。国民健康保険と同様に全額本人負担ですが、給与額によって保険料が増額されない点は国民健康保険組合ならではのメリットです。

<配偶者の扶養に入る>

配偶者がいるフリーランスの方で、金額的にそこまで稼ぐ必要がない場合は配偶者の扶養に入るのも一つの方法です。配偶者の扶養に入ることで、被扶養者として配偶者が加入している健康保険に一緒に加入できます。

ただし、扶養に入るとフリーランスとして年間に稼げる金額が制限されてしまうので注意してください。

年金

フリーランスの方の場合、国民年金保険に加入が必要です。国民年金保険はいわゆる「国民年金」のことです。会社員の場合は、国民年金と厚生年金の2つの年金に加入して保険料を支払います。ただし、保険料の半分を会社が支払ってくれるため、実質的な負担は半減されます。

これに対してフリーランスの方の場合は、国民年金のみの加入になりますが、保険料は全額自己負担です会社員の方が国民年金・厚生年金の支払いを半額で済ませているのに対して、フリーランスの方は全額自己負担で年金保険料を支払います。

年金保険の負担・充実度という面では、フリーランスは会社員よりも劣ってしまいます。

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介護保険

フリーランスの方も会社員と同様に、介護保険への加入が必要です。介護保険は、40歳以上の国民全員が強制加入となる保険です。40歳未満の場合は介護保険を支払う必要はありません。ただし40歳以上になったら加入して保険料を支払います。

介護保険料は基本的に国民健康保険料など他の社会保険料と一緒の支払いです。65歳以上で年金を受け取っている方は、年金額から介護保険料が自動的に天引きされます。

フリーランスが加入できない社会保険

フリーランスの方は基本的に社会保険への加入が可能ですが、中には加入できない社会保険もあります。

下記、フリーランスの方が加入できない社会保険の一例です。

  • 雇用保険
  • 労災保険

雇用保険

フリーランスを含む個人事業主の方は、雇用保険に加入できません。雇用保険とは、労働者が失業した際にに一定の条件を満たすことで手当を受給できる保険制度です。雇用保険によって失業時・求職活動中にも生活資金を確保できます。

雇用保険は事業主に雇われている労働者が加入対象です。自身で事業を行っているフリーランスは雇用主がいない状態ですので、雇用保険の加入対象外になります。

フリーランスの方は万が一の事態に備えて、自分自身で生活資金の準備が必要です。。

労災保険

フリーランスの方は労災保険への加入もできません。労災保険とは、業務中にケガをしてしまった際などに補償を行う保険制度です。雇用保険と同様に、雇用されていないと労災保険には加入できません。

事故などによる怪我に備える場合は、各種民間の保険会社への加入がおすすめです。保険の中には特約で怪我などの補償を適用してくれるケースもあります。すでに民間の保険に加入している場合は特約を確認してみましょう。

フリーランスが社会保険に加入する際の注意点

フリーランスの方が社会保険に加入する際は、下記の点に注意してください。

  • 保険料は全額自己負担
  • 社会保険料は経費にカウントできない

保険料は全額自己負担

フリーランスの場合、各種保険料の支払いは全額自己負担です。

会社員の場合、会社が国民年金・厚生年金を折半して支払います。

これに対して、フリーランスは会社に雇用されていない分、保険料の折半はありません。自身の負担・責任で保険料の支払い対応が必要です。

社会保険料は経費にカウントできない

健康保険料や年金保険料などの社会保険料は経費としてカウントできないので注意してください。

ただ、経費としてカウントできない代わりに「社会保険料控除」として支払った社会保険料全額を計上できます。控除とは、課税所得金額を計算する際に所得金額から差し引ける金額です。控除額が高いほど課税所得額が低くなるため、所得税額も低くなります。

経費としては社会保険料を計上できませんが、控除で節税に繋げられるのでご安心ください。

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まとめ

フリーランスの方も健康保険や年金など社会保険に加入可能です。中には健康保険の国民健康保険組合などフリーランスならではの社会保険もあります。

ただし、雇用保険や労災保険など会社員と同様の保険に加入できないケースもあるので注意してください。

本記事の内容を参考にし、フリーランスの社会保険について理解を深めて頂けましたら幸いです。