フリーランスとして創業する際に資金はどうしても必要です。自宅を事務所にして固定費をかけない形にしたとしても、必要経費はかかってきます。また事業が軌道に乗るまでは、仕事が取れなかったり、減ってしまったりする時もあるのです。

そうしたときのために資金を準備しておく必要があります。この記事ではフリーランスとして創業する際に必要な資金と、知っておくべき創業融資と補助金の知識について解説します。

フリーランスが創業時に必要なのは最低運転資金3か月分

フリーランスとして創業する際に、事務所を借りずに初期費用を殆どかけないという人も多いはずです。フリーランスであれば事務所を持たずに、自宅で作業。パソコンさえあれば問題ないという方も多いでしょう。

しかし創業時に資金は準備しておく必要があります。それは運転資金です。運転資金は事業を継続する際に必要な資金になります。運転資金は、仕事があまり取れなかったときや減ってしまった時のために必要です。

創業時に上手く行かなかったときを想定したくないという考えは理解出来ますが、例え仕事が少なくなったとしても、何か月かは生活出来る資金があると心に余裕が生まれます。余裕があることで、営業活動にも余裕を持って望めるようになるわけです。

その結果、自分の希望の仕事をもらえたり、単価の高い契約ができたりします。私は仕事が少なく、運転資金が殆ど無い時期を経験したことがあります。その時は目先のお金のために仕事を探していました。

その結果、ただ仕事をこなすだけになってしまい、次の仕事にも繋がりにくかったです。さらに時間ばかりが取られて、なかなか収入は上がらないという悪循環に陥ってしまいました。そこで国民生活金融公庫の融資を受けました。心に余裕ができたので、自分が出来る、次に繋がりやすい仕事を探せたのです。

必要な金額は最低でも生活出来るレベルの資金3か月分です。もちろんこれは多ければ多いほど良いです。半年分あるとさらに余裕が出来るでしょう。

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フリーランスが創業時に使える創業融資と補助金

フリーランスが創業時に資金が必要なことはすでに述べました。ではどのような方法で資金を得ればよいでしょうか。ここでは6つの方法について紹介します。

日本政策金融公庫の「新規開業資金」と「新創業融資制度」

日本政策金融公庫では新規に事業を始める人に対して、「新規開業資金」という融資制度があります。申請条件として「新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方」で融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)です。

設備資金だけでなく運転資金にも使えますが、設備資金の返済期間が20年以内なのに比べ、運転資金の場合は7年以内となっています。基準利率が2.31%~3.10%となっていますが、特定の要件を満たせば、特別利率A(基準利率-0.40%)・特別利率B(基準利率-0.65%)・特別利率C(基準利率-0.90%)が適用されます。

日本政策金融公庫の融資の場合、申し込んでから着金までが1か月~2か月程度で非常に速いです。私が融資を申し込んだ際にも、1か月で着金しています。すぐに資金が得られるのはフリーランスとしてかなりありがたいです。

一方、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」も創業時にぜひとも利用したい制度です。こちらも新たに事業を始める方のための融資制度で、設備資金だけでなく運転資金にも使えます。新創業融資制度は無担保・無保証人でも利用できます。無担保・無保証人での利用のため、融資金額は3,000万円(うち運転資金1,500万円)です。無担保・無保証人でも基準利率が2.31%~3.10%と低く設定されています。

ただし創業資金総額の10分の1以上の自己資金を準備する必要があります。そのため新規開業資金と同様、必ず審査を通って融資が受けられるというわけではありません。

こうした条件があるため自己資金を用意した上で、創業計画書を準備しなければなりません。このように日本政策金融公庫はフリーランスでも利用出来る融資制度があります。そのため日本政策金融公庫の融資制度を利用しているフリーランスは多いです。

創業計画書はホームページでも作成事例は多くありますが、創業計画書の作成で迷ったときは、知人のフリーランスに聞いてみるのも良いでしょう。

また覚えておくべきこととして、融資を受ける側が、融資制度を選んで申し込むことはできません。融資を申請して審査結果を見て初めて、どの融資制度になったのか分かるという仕組みです。

ただし無担保かどうかのチェック欄はあるので、無担保であれば新創業融資制度の方に振り分けられます。創業資金を日本政策金融公庫に融資してもらいたい場合は、一度日本政策金融公庫の窓口で相談することをお勧めします。

銀行や信用金庫から融資を受ける

銀行や信用金庫から融資を受ける方法もあります。銀行と言っても大手銀行もあれば地方銀行もあります。大手銀行がフリーランスに融資してくれる可能性はかなり低いです。ただし地方銀行であれば、融資を検討してくれる可能性もあります。

また銀行に比べて信用金庫の方が、融資を得られる可能性は高いです。信用金庫の場合、金利は各信用金庫によって違うため、問い合わせて確認してみるのが良いでしょう。一般的には日本政策金融公庫よりも金利は高めになっています。

また東京都の場合、「女性・若者・シニア創業サポート事業」を行っており、「女性、若者(39歳以下)」「シニア(55歳以上)で、都内における創業の計画がある者または創業後5年未満の者(NPO等も含む)」「地域の需要や雇用を支える事業であること」(「東京労働局ホームページ」より)を条件に、固定金利1%以内で信用金庫から融資を受けられる制度があります。

融資限度額は1500万円で運転資金のみの方は750万円が上限です。返済期間も10年以内で、東京都でフリーランスとして活動する場合には利用を考えても良い制度でしょう。

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制度融資を受ける

民間金融機関から融資を受ける際に、自治体がその一部を補填してくれるのが制度融資です。制度融資には地方自治体、民間銀行、信用保証協会の3者が関わります。信用保証協会から保証を受けられるため、創業時でも融資が受けられるというメリットがある仕組みです。

一方、3者が審査に関わるため、融資が実行されるまで早くても1か月~2か月の時間が掛かるというデメリットもあります。そのためすぐに創業したいという方、すでに創業初期の方ですぐに資金が必要な方には向かないです。

東京都では小規模事業融資(小口・フリーランス)が行われています。こちらは無担保・無保証人で利用でき、最大2000万円まで借り入れが可能です。金利は融資期間によって変わり、0.10%~2.50%になります。変動金利の選択も可能です。

運転資金は7年以内、設備資金は10年以内となっており、条件面としてはかなり恵まれていると言えます。こうした制度融資は東京都だけが実施しているわけではありません。他にも実施している自治体も多いので、現在住所がある自治体に問い合わせてみましょう。

ビジネスローンを利用する

ビジネスローンの利用も選択肢のひとつです。ビジネスローンも設備資金だけでなく、運転資金としても借りられます。ビジネスローンは事業資金専用のローンのため、事業を営んでいる個人事業主でも借りられます。

ビジネスローンは着金までのスピードが早く、無担保・無保証人での借り入れも可能です。しかし一方で金利が高いというデメリットがあります。ビジネスローンの場合、銀行・信用金庫や日本政策金融公庫の金利が高くても2%台なのに比べ、10%~18%と高いです。

また限度額も低く設定されていることが多く、数百万円程度までになっています。ビジネスローンは借り入れをしやすいため、選択肢のひとつにはなりますが、金利が高いため最後の手段とすべきです。

創業時から金利の高い借り入れをしてしまうと、後々大変になります。資金が足りない場合はビジネスローンですぐに借り入れをするのではなく、金利の低い日本政策金融公庫などで審査が下りるまで待つことをお勧めします。

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個人で借り入れる

創業時の資金が必要な際に、個人での借り入れも選択肢として考えられます。最初に考えられるのは親族や知人からの借り入れです。親しい関係であれば返済の融通も利きます。私の知人も親族から150万円借りて運転資金にしていました。

しかし知人や親族からの借り入れは返済できなかった際に、トラブルに発展してしまう可能性もあります。そのためしっかりと契約書を作っておくべきです。私の知人も契約書を作って借りていました。

他に個人での借り入れで借りやすいのは、カードローンです。金額が100万円ぐらいであれば、すぐに借りられるでしょう。ただしカードローンの場合、金利の高いのが一般的です。例えば楽天銀行の場合、借入金額によって1.9%〜14.5%まで金利が変わります。

借入金額が安ければ、金利が高くなる仕組みです。私もカードローンは使ったことがありますが、あくまでも次の入金があるまでのつなぎとしてでした。このように個人での借り入れは簡単に出来ます

ただ創業時ではなく、私も含め、事業が上手く行っていないときに一時的に利用する人が多いと感じています。個人での借り入れについては最後の手段として、他の方法に挑戦した後に行うことをお勧めします。

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東京都の創業助成金など各自治体が実施する補助金・助成金

創業助成金や補助金の仕組みのある自治体もあります。例えば東京都は創業助成事業を実施しています。東京都の創業助成事業では、以下がその申請条件です。

  • TOKYO創業ステーションの事業計画書策定支援の終了者
  • インキュベーション施設運営計画認定事業の認定施設の入居者
  • 都内の公的創業支援施設入居者
  • 東京都及び都内区市町村が行う創業を対象とする制度融資利用者
  • 都内区市町村で認定特定創業支援等事業(産業競争力強化法)による支援を受けた方

「令和4年度第1回 創業助成事業募集のお知らせ」(東京都)より

このように申請するためには条件があるので、早めに準備をして条件を満たしておく必要があります。東京都の場合、申請要件を満たすために、概ね2か月ぐらいかかるとのこと。助成対象は経費の3分の2以内で上限は300万円です。

助成金や補助金は返済しなくても良い資金ですので、利用出来るのであれば、利用すべきです。ただし申請条件があるので、その条件を満たすように、あらかじめ準備しておきましょう。

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ビジネスコンテストの活用もアリ

ここまで創業時に必要な資金を得る方法について述べてきました。前述したように、金融機関からの融資や地方自治体からの補助金や助成金を活用するのが一般的です。しかし他にも創業資金を得る方法があります。その選択肢の一つがビジネスコンテストです。

そこで賞を受賞すれば資金がもらえます。私の知人は大学時代に大学のビジネスコンテストで入賞して、開業資金の100万円を得ていました。新しいビジネスのアイディアを認められるだけでなく、資金も得られたことで非常に自信になったとのことです。

またビジネスコンテストの良さは賞金をもらえることだけにとどまりません。多くの人が注目するビジネスコンテストであれば、そのアイディアに注目した企業から資金援助を得られたり、業務を依頼されたりする場合もあります。

自分の事業に合ったビジネスコンテストがあれば、積極的に挑戦していきましょう。

余裕を持って資金を準備しておきましょう

フリーランスとして創業した後に、仕事が一気に減ってしまうこともあります。私自身も経験しましたが、リーマンショックの際には仕事が減るだけでなく、既存の仕事の単価も下がりました。東日本大震災の際も同様でした。

フリーランスの場合、企業の業績悪化によって契約が更新されなかったり、契約途中でも打ちきりの打診があったりします。こうした状況を踏まえると資金は余裕を持って準備しておくべきです。最低でも運転資金を3か月、できれば6か月程度の準備はしておきましょう。

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