業務が来期も継続されるかどうかはフリーランスにとって死活問題です。来期も業務が継続されるためには、業務委託費がクライアントの来期予算の中に盛り込まれる必要があります。予算の中に盛り込まれるには、積極的なプレゼンも時には必要となってきます。

ではいつプレゼンをすればいいのでしょうか。またどのようなポイントがあるでしょうか。ここではプレゼンのタイミングとポイントについて解説します。

企業の予算策定は決算の4ヶ月前ぐらいから始まる!

初期費用を抑えてフリーランスになれる仕事

来期予算に業務委託費を盛り込むためには、予算策定の前にプレゼンしなければなりません。では企業の予算策定はいつぐらいから始まるのでしょうか。予算策定は、大手企業の方がやや早い傾向があります。ただおよそ決算の4ヶ月前には、中小企業も含めて予算策定を始めているでしょう。そして予算執行の1ヶ月前には決まっていると考えて良いでしょう。

そのため契約更新の前であっても、来期の予算が決まっている時期にプレゼンをしても意味がありません。すでに予算が決まっている中で、あなたの業務委託費が含まれていなければ、どのようなプレゼンをしても意味が無いからです。そのため4ヶ月前がいつかを知るために、取引先の決算時期を知る必要があります。まずは担当者に聞いてみましょう。

フリーランスが来期継続を勝ち取るためのプレゼンのポイント

フリーランスが来期継続を勝ち取るためにするプレゼンのポイントとしては以下の5つのポイントがあります。

成果を見える化する

プレゼンの資料では、成果を見える化しておく必要があります。つまり具体的な成果を数値に落とし込み、クライアントが見てもすぐに成果が出ていると分かるものにすることです。

自分は雇う側としてフリーランスのプレゼンを見ることがあります。数値がただ羅列されているだけで、その数値が良いのかどうか分からないプレゼンも多いです。例えば「問い合わせを100件に向上させました」と書かれていても、以前と比べてどれくらい増えたのかの比較ができなければ判断できません。

また企業側としては売上や収益がどれくらい伸びたのかが重要です。問い合わせが100件になって売上や収益はどうなったのかを知りたいわけです。しかしその数値が相手に示されていないことも結構あります。

他にも出来ることを羅列したプレゼンもよく聞きます。企業側はあなたがどの分野で成果を出せるのかに興味があります。出来ることを並べるのではなく、成果が出せるものをプレゼンしましょう。

また定量的なものだけでなく、定性的なものも書くようにしましょう。例えば自分から率先してプロジェクト会議を開催したこと、社内勉強会の開催を提案し開催にこぎつけた事などです。

プレゼン資料を作成する

プレゼン資料は、今期の振り返りと改善点、来期に向けての意気込みとあるべき自分の役割、打ち手などを書く必要があります。今期の振り返りとして、どのような成果があったのか数値を用いるのはもちろんのこと、どれくらい改善したのか、違いが見える資料にすべきです。

その上でさらに改善点を示すことで、来期はどのような成果が得られるのかが分かるようなプレゼン資料にしましょう。プレゼン資料を作成する際の視点は、ユーザーベネフィットに落ちているかどうかです。

自分の視点で資料を作成するのではなく、ユーザーが今何を必要としているか、その視点に基づいて資料を作成してみましょう。必要なのは枚数よりも分かりやすさです。

枚数が少なくてもユーザーにとって分かりやすいものを作成しましょう。ただ注意すべきことは企業文化です。企業によっては「プレゼン資料はパワポ○枚が適切」となっていることがありますので参考までに聞いてみましょう。

プレゼンは短時間(約30分)で分かりやすく

プレゼンは短時間で行います。時間としてはおよそ30分ぐらいです。一般的にプレゼン時間は事前に決めます。企業の担当者から所要時間を聞かれたら、質疑応答含めて30分と答えましょう。

説得ではなく納得してもらう

私自身プレゼンをすることも多いですが、企業側としてプレゼンをされることもあります。フリーランスの方や企業の営業マンからプレゼンをされて良いプレゼンというのは、説得ではなく、納得できる形になっているものです。

よくWEBマーケターの人のプレゼンを聞くと、「PVを増やすことで、問い合わせが増える。結果として売上が上がる。私に頼んでもらえれば・・・」と自分のできること、やってきたことを羅列されることがあります。

プレゼンで一生懸命説得しようとしているわけです。しかし企業側としては「困っているのは、そこではないんだよな」と思うことが多いです。相手の立場に立って、必要とされる人物をイメージしてプレゼンしましょう。。

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リハーサルは必ず行う

実際のプレゼンをする前に、リハーサルを行う必要があります。ただし一人でリハーサルをして、時間内に終われたかどうかの確認をしても意味がありません。自分では「この説明で分かるだろう」と思っているところが、相手に伝わらないことがよくあります。

そこで自分のプレゼンを聞いてくれる相手を探す必要があります。リハーサルでは、相手に企業側の担当者として、質問もしてもらいます。そして最後にプレゼンの改善点について意見を言ってもらいましょう。

チェックしてもらう項目としては、プレゼン資料は分かりやすいか、説明は聞きやすかったかなどです。こうした役割をお願いできるのは、フリーランス仲間です。家族や友達だと厳しい指摘はしづらいですし、フリーランスの立場でのプレゼンの良し悪しが分からないでしょう。

ただフリーランスであれば、誰でも適切な指摘をしてくれるというわけではありません。同じフリーランスでも日常的にプレゼンに現場を何度も経験している人で、改善点について指摘できる人を選びましょう。そしてしっかりと改善点を言ってくれるそんなフリーランス仲間に頼みましょう。

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プレゼンで起こる想定外の事態

プレゼンの資料を作成し、リハーサルをして準備万端にしていても想定外の事態が起こることもあります。当日急に起こる事態もあれば、事前の調整不足で起こる場合もあるのです。ここでは実際に私が経験したプレゼンの想定外の事態について紹介します。

急な時間短縮

プレゼン時間を決定していても、打ち合わせが長引いてしまったり、予定が新たに入ってしまったりして、時間が短くなる場合があります。当初は30分の予定であったものが、20分で話をしなければいけないという事態もあるのです。

私の知人は社長の前で30分間プレゼンする予定だったところ、後ろに予定が入ってしまったそうです。そのため15分で中座しなければならないと開始前に言われたとのこと。

他の出席者は残るため、順番通り30分プレゼンすることはできます。しかし社長に今期の成果と来期の打ち手を見せたかった知人は、15分に短縮して要点のみを先に伝えたのです。そうすることで無事に来期継続を勝ち取ったとのこと。

予算の話になると、権限がある人の出席が必要となり、そうした人は忙しいことが多いです。相手に合わせて柔軟に発表内容を変更できる準備はしておきましょう。

プレゼン出席者に予算を決定する権限がない

プレゼンした人が実は予算の決定権のない人だというケースはありがちな話です。私の知人のエンジニアは契約に関する話には、必ず社長もしくは決裁権がある人に出席をお願いしています。間接的に他の社員の方に報告をすると、場合によってはこちらの意図が伝わらず予算の下りないことが多いとのこと。

決裁権のある人が出席していれば、その場で来期の予算の話だけでなく、報酬の話までできることもあります。私の知人もそこで報酬の話までしてしまうそうです。社長が同席しているので、報酬変更も達成できる率が高いそうです。

もし、クライアントがあなたに来年度の業務委託をしないつもりでいても先方にはいい印象を与えて去ることになります。それは将来的に声がかかる可能性を残していることになります。是非、来期に向けたプレゼンに挑戦しましょう。

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上手にプレゼンしても来期継続がないこともある!

ここまでやっても来期の継続が打ち切られる可能性はもちろんあります。あなたの成果に関係なく、予算の関係で契約が更新されないこともあるのです。契約期間中、しっかりと成果も出してきたのに、来期継続が無いと分かると少なからず精神的に落ち込むはずです。

しかしフリーランスは、落ち込んでいる場合ではありません。次の案件を取るために、精神的な落ち込みから回復する術を身につけなければなりません。フリーランスの気持ちの落ち込みをなくす方法も身につけましょう。

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