成功も失敗もすべて「自分の努力・実力次第」のフリーランス。思わぬ失敗や成果が出ないことに悩み、迷いつつも、すぐに気持ちを切り替え、前に進む“強い心”も求められます。

とはいえ、やはりそこは人間。時には一つのミスにとらわれ、落ち込み、自己嫌悪を繰り返す――なんて時もあるはず。そこで今回は、筆者を含めフリーランスで活動する人たちの経験や声も参考に、「気持ちの落ち込みグセ」をなくすために、取り入れてみたい習慣やオススメの対処法をご紹介。ぜひ自分に合った克服法を見つけて、前向きなフリーランス生活を!

対処法1:自分の「考え方のクセ」を見直し、切り替えてみよう

もしあなたが「自分は落ち込み、悩むことが多い」と自覚しているのであれば、自分がどんなことに落ち込んでいるのか、その理由を客観的に見直すことも重要となります。

例えば「あの人は高い成果を得ているのに、自分はなかなか評価されない」など、自分と他人を比較して落ち込んでしまうことはありませんか。このように他人と自分を比較することは決して悪いことではありませんが、その際に「他人の良い部分」と「自分の足りない部分」にだけ着目してしまえば、それが落ち込みを引き起こす原因ともなってしまいます。

また、「こんな自分になりたい」と理想を掲げたものの、思うように物事が進まず、落ち込んでしまうという人もいるでしょう。確かに高い理想に向かって努力することも重要ですが、成果は必ずしも「完璧(100点)にできた」か「全くできなかった(0点)」だけではありません。ゼロか100かといった極端な考え方で物事を捉えるクセを見直し、「失敗から学ぶこともある」と考え方を変えていくことも大切なのです。

このように、まずは自分が「なぜ」「どんな時」に落ち込むのかを振り返ってみましょう。その際、紙に書き出してみるのもオススメ。それによって、その回避法や適切な気持ちの切り替え方法も見えてくるはずです。次の項目で具体的な方法を解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

対処法2:不安などのモヤモヤは一枚の紙に書き出して習慣的に「心の整理」を!

ストレスの多くは「自分を良く見せたい」「自分の感情を抑えよう」と思った時に起こるもの。また抱える様々な不安も、頭の中だけで考えていると際限なく広がり、膨れ上がってしまいます。

それを防ぐためにも、ぜひ取り入れて欲しいのが、自分の感情、思ったことや不安を紙に書き出すという「エクスプレッシブ・ライティング」の習慣。1日20分、仕事が終わった後や寝る前に自分の中にある不安や思っていることを紙に書き出すだけで、頭の中でしっかりと整理され、不安の解消・メンタルの強化といった効果が期待できるといいます。

エクスプレッシブ・ライティングを実践するうえで大事なのは「何でも、躊躇なく書き出す」こと。「売上目標、達成できるかな」「〇〇さんの対応が怖い」仕事のことだけでなく、「〇〇を買いに行く時間がない」「もっと朝遅い時間まで眠りたい」といったプライベートのことでもOK。辛いこと、不安なこと、ストレスに感じていることはすべて書き出すようにしましょう。もちろん多少文章が乱雑だってかまいません。

頭の中にたまっていた感情や不安を書き出すことで「自分はこんなことを思っているのか」「こんな感情を持っているのか」と、客観的に見つめられるようになり、自然とその感情を受け入れられるようになります。また、これは友人の話ですが、心にある不満や不安を書き出してみたら、自分が思ったよりも数が少なくて「これだけ?」と驚くと同時に「これなら意外と簡単に解決できるかも」と気づかされた…なんてケースもあります。

こうして書き出した感情は日記のように書き溜めておき、数カ月後や1年先に読み返してみるのもオススメ。それによって「本当にどうでもいいこと」に悩んでいた自分に気づき、今抱えている悩みも「時間が経てば大したことのない悩みなのかも」と思えるようになり、気持ちもグンと楽になるはずです。

対処法3:「共感できるフレーズ集」を心のサプリメントに!

自分が落ち込んでいる時に、他人からの励ましや、心を奮い立たせる言葉をかけてもらえるとうれしいもの。しかし、同僚や上司など、気軽に仕事の話ができる相手がいないフリーランスの場合、つらい気持ちを発散する場がなく、一人で抱えこむことも少なくありません。

そこで、落ち込んだ時には前向きな言葉や、名言にたくさん触れるようにしましょう。大好きな映画や本を読み返すことはもちろん、普段から成功した先人たちの格言や、普段読んでいる本、友人・家族との会話の中から、あなたの心に響く、安らぐ言葉をノートや手帳に書き留めたり、スマホのメモ帳やスクリーンショットに溜めたりすることで自分だけの名言集を作ってみるのもオススメです。心が落ち込んだ時に読み返せば、気持ちを前向きに変えるきっかけにもなってくれるはず!

また名言だけでなく、仕事上やプライベートであなたが褒められたメールやチャットの何気ない一言をスクリーンショットや写真にして溜め込むこともお勧めします。心がへこんだ時に、自信を取り戻すキッカケになったり、仕事で輝いていた時の自分の心情を思い出すキッカケともなるのではないでしょうか。

対処法4:「完全OFFの日」を意識的に作って大好きなことに没頭しよう

働くペースや休日も基本、自分で決められるフリーランスは、ともするとクライアントの都合優先でスケジュールを決めてしまい、気づけば「土日も何かと仕事が入っている」なんてことにもなってしまいがち。常にやらなくてはならないことに追われる状態となれば、心のゆとりも失われてしまいます。

そこでスケジュールを自分で組み立てられるというフリーランスのメリットを最大限に活かし、無理のない程度で「意識的に」仕事の電話やメールからも離れられる完全OFFの日を作るようにしたいもの。

そして休み当日は、映画や音楽、スポーツ観戦や実際にスポーツをやってみたり、ドライブ、読書など、とにかく自分が一番好きなこと、楽しいと感じることに没頭して気分転換を。心が疲れ、落ち込んだ時は、感情が固まったように動かなくなってしまいます。

特に、休みの日であっても時間さえあればスマホをチェックしがちな人には、ドライブ、映画、スポーツを行うなど完全にスマホから離れられる時間を意図的に取れる行動をすることをお勧めします。

筆者も必ず月に一度は完全OFFの日を作ってその時にやりたいこと、会いたい人に会う時間を作るようにしています。それがあるから頑張れるし、気分を切り替えることができる。積極的に好きなものに触れる機会を持ち、心を動かすことで、気分の落ち込みを防ぐこともできるはずです。

対処法5:運動や散歩など「身体を動かす」習慣を付けよう

様々な研究の結果、運動をすると快感を得る脳内物質であるエンドルフィンやセロトニンが体内で増加し、脳がストレスに反応しにくくなるといわれています。また、落ち込んでいる時に、何か別のことに夢中になることは、その落ち込んだ気持ちから解放されるということにもつながります。ウォーキングやランニング、筋トレなどの運動に打ち込めば、体はもちろん心までリフレッシュできる、まさに一石二鳥の効果も期待できるのです。

もし、しっかりと運動をする時間が取れない、もしくはいきなり本格的な運動はちょっと…という場合は、10分程度の軽い散歩でもOK。特に早朝や日中に太陽の光を浴びながらゆっくり歩くだけでもセロトニンの分泌が活発になるので、機会を見て外の新鮮な風に当たるようにしましょう。

体を動かす習慣をつけると、硬直していた筋肉がほぐれ、不眠の解消や生活リズムの改善につながるともいわれています。また、充分な睡眠、すっきりとした目覚めも、落ち込んだ気持ちを解消するための重要なポイント。気持ちが落ち込み、なかなか眠れないという時にも運動は有効な対処法だといえます。

また、仕事で疲れたときには敢えて運動することで疲れが取れるアクティブレストという方法もあります。これは血流を改善させ、疲労物質を効率的に排出させる疲労回復の一つの方法です。疲れたから休むのではなく、20〜30分のジョギングなどが心身ともに疲れを癒やしてくれるはずです。

対処法6:贅沢な「おひとりさま」時間を満喫しよう

いつも元気で精神的に強い人は、もともとストレス耐性が高いというわけではなく、自分に合ったストレス発散の方法を見つけ、実行しているという人が多い。特によく見られるのが自分への贅沢やご褒美で「自分で自分の気分を上げる時間を過ごす」ことだ。

例えば、いつもの飲み屋ではなく、ホテルのラウンジでお酒を楽しむ、大きな仕事が終わった時にその収入でちょっと贅沢な買い物をするというのもいいかもしれません。また、筆者の友人の中には「遠方への出張の帰りにグリーン車や空港の有料ラウンジを利用することを楽しみにしている」という人もいます。このように、自分で心から楽しい・うれしい・気分が上がるといった、「ポジティブな感情を生み出す時間」を過ごす習慣をつけるようにしましょう。

自分に合った対処法で「前向きな心」へと切り替えを!

・・・いかがでしょうか。

何事にもポジティブな人と、ネガティブに物事を考えてしまう人の差は「性格」や「もともとのストレス耐性強さ」ではありません。常にポジティブな人は、ストレスを感じても、それをうまく受け止め、気持ちを切り替える方法が上手な人なのです。

「なんでこんなに落ち込みやすい性格なのだろう」と、お悩みの人もいるかもしれませんが、誰にでも必ず自分に合った“対処法”があります。ちょっとした心がけや習慣でグンと気持ちが楽になるはずなので、ぜひ実行を!

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