市場のグローバル化、デジタル化政策の進展、SDGs対策など、企業を取り巻く環境は常に変化しています。企業が抱えている課題も多様化しており、課題に適した戦略を展開できなければ企業は生き残れません。
そこで、活躍を期待されるのがコンサルタントです。コンサルタントにはさまざまな職種がありますが、今回は「営業コンサルタント」について、以下の点を中心に説明します。
- 営業コンサルタントとよく似た業種との違い
- 営業コンサルタントの仕事内容とやりがい
- 営業コンサルタントに求められる能力
最後まで読むと、営業コンサルタントについての理解が深まり、自分が目指す職業かどうかがわかります。営業コンサルタントを志す人はぜひ参考にしてみてください。
営業コンサルタントとは
営業コンサルタントとは、簡単にいうと「クライアントの営業活動を支援する営業の専門家」。クライアントの利益を最大化することを目的とし、営業分野での課題を分析して営業力を高めるためのサポートをします。コンサルティング契約期間が終わったあとでもクライアントが業績を伸ばしていけるよう、根本的な業務の仕組みづくりも担当します。
自社に不足している営業スキルの獲得や、業務システムの再構築、新規顧客の獲得、人材育成など、クライアントが営業コンサルタントに求める内容は多岐にわたります。企業内部にいては見えてこない課題の解決も営業コンサルタントは期待されています。
さまざまなクライアントの支援を通し培った知見を活かし、第三者の中立的視点からクライアントをサポートすることが求められます。
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営業コンサルタントとよく似た業種との違い
営業コンサルタントの他にも、似ている形態の仕事が多くあります。それらの違いを認識することで、営業コンサルタントの仕事への理解を深めましょう。
ここでは、以下の職業との違いについて取り上げます。
- 「営業コンサルティング」と「コンサルティング営業」の違い
- 「営業コンサルタント」と「経営コンサルタント」の違い
ひとつずつ説明します。
「営業コンサルタント」と「コンサルティング営業」の違い
営業コンサルタントは、数多くあるコンサルタント職のひとつ。「営業分野での課題解決」により、クライアントの利益拡大を目指します。
一方、コンサルティング営業は営業職のひとつ。「クライアントが抱える課題を解決することで売上を伸ばすこと」を目的にしている点は営業コンサルティングと変わりませんが、アプローチ方法が異なります。コンサルティング営業では「自社あるいは他社の商品の販売」により、クライアントの利益拡大を目指します。
どちらもクライアントの立場に寄り添い利益拡大に貢献する仕事ですが、自分のやりたい内容と合致しているかあらかじめ確認しておきましょう。
「営業コンサルタント」と「経営コンサルタント」の違い
営業コンサルタントと経営コンサルタントは、どちらもクライアントの課題解決のためにコンサルティング業務を行う仕事です。しかし、それぞれにカバーする事業範囲が異なります。
経営コンサルタントは、経営に関連した幅広い領域のサポートをする職業。以下は業務の一例です。
- 経営戦略の策定サポート
- 財務・会計面のサポート
- 人事・労働環境改善のサポート
- 営業戦略のサポート
- 業務改善・付加価値のサポート
- 組織の強化
一方、営業コンサルタントは、クライアントの営業部門の強化に特化したコンサルティングを行います。具体的な業務例は以下のとおりです。
- マーケティング戦略サポート
- 新規クライアント獲得のためのアドバイス
- 営業担当者のスキルアップサポート
- 営業体制の見直し、再構築
つまり、経営コンサルタントが担当する業務の中のひとつに、営業コンサルタントがあると言えるでしょう。
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営業コンサルタントの仕事内容
営業コンサルタントの仕事内容は、大きく分けて次の3つがあげられます。
- 情報収集と分析による課題の抽出
- 戦略の提案
- アフターフォロー
ひとつずつ具体的に紹介します。
情報収集と分析による課題の抽出
コンサルティング業務は、クライアントから情報を集めて分析し、抱えている課題を把握することから始まります。
まず、重要なのがクライアントへのヒアリング。経営者や社員、関係者などと対話し聞き取りを行います。これまでの事例などを交えたり、時には雑談を挟んだりしながら本音や潜在ニーズを引き出していきます。コミュニケーション能力が必要とされる場面です。
次に、営業分野における分析では戦略提案のベースとなる情報を収集します。クライアントからの聞き取りである程度課題を把握できている場合もあるでしょう。その場合は、課題の原因について仮説を立て、その裏付けになるような情報を収集するというアプローチも大切です。
また、市場環境は常に変化しているため、営業コンサルタントは常に最新の情報も把握しておかなくてはいけません。以下に分析内容の一例をあげます。
- クライアント企業が属する業界の分析:業界動向、業界全体の課題、業界におけるクライアント企業の立ち位置
- クライアント企業のターゲット分析:ターゲットとなる顧客の年齢・属性・購買意欲の分析、顧客のニーズや購買決定プロセスの分析
- 競合他社の分析:クライアント企業と比べたときの強みや弱み
- クライアント企業の営業体制の分析:販売経路や商品戦略、各種プロモーションなどにおける課題
戦略の提案
クライアントの課題を把握したら、どのような戦略をとるべきか、体系的に組み立てていきます。以下は提案内容の一例です。
- クライアント企業に不足しているノウハウやスキルの獲得:プレゼンテーション研修の実施、セミナーの企画や運営、現場同行
- 営業利益向上のための仕組み化:営業用マニュアルの作成、営業支援システムなどのツールの導入支援
- 受注率の向上に向けたプロモーション支援:販売促進、広告展開、販路拡大
営業人材の育成や営業ノウハウの仕組み化を行い、組織全体の営業力アップを目指します。
また、戦略を立てたとしても、すぐに実行するわけではありません。クライアント企業の担当者とディスカッションし、必要に応じてテストを行う場合もあります。
アフターフォロー
営業コンサルタントの仕事は、戦略プランの提案と支援まで。プランを実行するのはあくまでクライアントです。営業コンサルタントがプランを実行してしまうと、契約期間後は実行者がいないため、クライアントは課題を解決する前の状態に戻ってしまいます。
コンサルティングの契約期間終了後は、営業コンサルタントが定期的にクライアントのもとを訪問し、課題解決後の成果の確認などのアフターフォローを行います。
営業コンサルタントの3つのやりがい
営業コンサルタントは、営業のプロとしてクライアントから課題の解決を期待される存在です。営業コンサルタントのやりがいには、以下の3つがあげられます。
- クライアントの課題を解決することで達成感を得られる
- 自分のスキルを活かして活躍できる
- 業界での人脈が増え、知見を深められる
順番に見ていきましょう。
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クライアントの課題を解決することで達成感を得られる
営業コンサルタントはクライアントの課題を解決する仕事です。肉体的・精神的にもプレッシャーがかかる仕事ですが、プロジェクトが成功した際に得られる大きな達成感はコンサルタントのやりがいのひとつでしょう。自分の仕事がクライアントの喜びにつながり、社会にとってもプラスに働いているという実感も、仕事のやりがいと大きく結びついています。
また、営業コンサルタントはプロジェクトメンバーやクライアントと一丸となって仕事を進めます。チームで協力しひとつの目的達成にむけて努力するという点も、コンサルタントとしての醍醐味と言えるでしょう。
自分のスキルを活かして活躍できる
自分のスキルや強みを仕事で発揮できることも、やりがいにつながります。コンサルティング経験を積むことでスキルが上がり、自分のスキルが高まればさらに仕事の幅が広がっていく点も、コンサルタントの魅力のひとつ。仕事を通して自分の成長を実感でき、コンサルタント上位職へのキャリアアップも期待できます。
業界での人脈が増え、知見を深められる
営業コンサルタントが活躍する業界は幅広いため、さまざまな人、知識に触れられることもやりがいのひとつです。ほかの職業と比べてコンサルタントは企業の経営陣と接する機会も多いため、経営者としての視点も学べるでしょう。クライアントに関する情報だけではなく、社会全体のトレンド、クライアントが属する業界の動向や競合他社についても、幅広い知識を得られます。
営業コンサルタントに必要とされる4つの能力
営業コンサルタントが担当する業務内容は広く、各業務で求められるスキルも多種多様です。コンサルティング会社によって得意とする手法も異なるため、求められる人材も異なる傾向にあります。
しかし、以下にあげる能力はコンサルタントに共通して必要とされる資質です。
- リサーチ力・分析力
- 論理的思考力
- コミュニケーション能力
- プレゼンテーション能力
ひとつずつ紹介します。
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リサーチ力・分析力
必要な情報を収集するリサーチ力と分析力は、営業コンサルタントに必須とされる能力のひとつです。
しかし、ただリサーチをすれば良いというわけではありません。まず、どのような答えを導き出すために行うリサーチなのか、目的を考えることから始まります。そして、どのような視点で情報を集めるのか、どこから情報を集めるのか、どのような手段を用いるのかなど、アプローチ方法を組み立てる必要もあります。
そのあとに必要とされるのが分析力です。リサーチで情報をいくら集めても、多角的な視点から情報を分析するスキルがなければクライアントの課題解決に必要な提案を組み立てられません。
リサーチ力と分析力は、営業コンサルタントとして良い仕事をするための第一歩といえるでしょう。
論理的思考力
営業コンサルタントは、限られた時間の中で情報を収集し、仮説を立て、最適なアドバイスを行い結果を出すことを求められます。
そのために欠かせないのが、論理的思考力です。クライアントの抱えている課題はときに複雑で、整理されていないこともしばしば。情報収集や分析、仮説の構築、戦略の提案にいたるまで、勘に頼っていたのではクライアントを納得させるようなアプローチはできません。物事を論理的に整理し、体系的に組み立てることが必要です。
論理的思考は、営業コンサルタントにとって仕事のベースとなる重要な考え方と言えます。
コミュニケーション能力
営業コンサルタントには、高いコミュニケーション能力が求められます。
営業コンサルタントは、クライアントの課題を把握するために関係者にインタビューを行います。対話力やヒアリングスキルがなければ、本当に必要な情報を引き出すことはできないでしょう。課題の根本的な原因を突き止められない可能性もあります。
また、営業コンサルタントは、クライアント以外にも社内のプロジェクトメンバーなど、さまざまな人とともに仕事を進めます。良い人間関係を築くだけのコミュニケーション能力が備わっていなければ、プロジェクトを円滑に進めることは難しいでしょう。
プレゼンテーション能力
クライアントに対し課題解決方法を提案するプレゼンテーション能力は、営業コンサルタントにとってとても重要です。いくら提案内容が良くても、うまく伝えるプレゼンテーション能力がなければクライアントに納得してもらうことはできません。最終的なクライアントの課題解決にもつながらないでしょう。
プレゼンテーション能力は大学生活や他の業種でも必要とされる能力です。日々の活動の中で能力を高めることができるので、伝える順番を論理的に組み立てる構成力や表現力、聞き手の心を掴む説得力などを意識して取り組むと良いでしょう。
営業コンサルタントは営業面での課題を解決する職業
今回は、特に営業コンサルタントについて以下の点を中心に説明しました。
- 営業コンサルタントとよく似た業種との違い
- 営業コンサルタントの仕事内容とやりがい
- 営業コンサルタントに求められる能力
コンサルティング業界における市場は年々拡大しています。企業をとりまく環境が刻々と変わる中で、営業コンサルタントの重要性も増していくでしょう。営業コンサルタントを目指す方はこの記事を参考にして検討してみてください。