経営コンサルタントや業務コンサルタントなど、コンサルタントと称される仕事でも、携わる分野が異なれば、要求されるスキルも変化します。

この記事では、さまざまなコンサルタントの中から、会社立て直しコンサルタントを解説。業務内容や、なぜ会社の立て直しにコンサルタントが必要とされているのかも取り上げています。

会社立て直しコンサルタントに興味のある方や、今後のキャリアを考えるコンサルタントの方は参考にしてください。

会社立て直しコンサルタントとは?

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企業経営や業務改善など、経営者にアドバイスするコンサルタントの一つとして、会社立て直しコンサルタントがあります。

会社立て直しコンサルタントはその名の通り、事業や経営状況が思わしくない企業に対して、立て直すためにコンサルティングする存在です。企業再生・事業再生コンサルタントや、マネジメントコンサルタントといった呼び方もされ、状況を好転させるための助言や施策を行います。

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経営コンサルタントや業務コンサルタントなどとの違い

さまざまな分野があるコンサルタントの中でも、会社立て直しコンサルタントは特に難易度の高い仕事です。

会社立て直しコンサルタントを必要としている企業は、経営上の大きな問題を抱えている状況にあり、立て直しが困難になっているケースもあります。事業戦略や経営方針、業務の改善方法をアドバイスしたり、有効な施策を導入したりするだけでは状況を好転できず、大がかりな改革を要することもあるでしょう。

経営状況を悪化させている原因は、表面化している問題だけではないことも。問題を取り除くだけでなく、繰り返さない仕組み作りも考えねばならず、判断を誤ると結果を出せないどころか、さらに悪い事態に陥る可能性もある仕事です。

このように、非常に高度な分析や判断が求められる会社立て直しコンサルタントですが、それだけ成功時の達成感ややりがいは大きいでしょう。機能不全に陥っている会社を助け、再び同じ状況に陥らない体制作りを進める会社立て直しコンサルタントは、企業の病院のような存在です。

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会社立て直しコンサルタントの業務内容

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基本的には他のコンサルタントと同様に、クライアントの問題を聞き出し、解決策を提案・導入していくのが会社立て直しコンサルタントの仕事です。

ただし、会社を立て直すという性質上、他のコンサルタントとは異なる点も。ここでは、会社立て直しコンサルタントの業務内容を解説します。

企業に対してヒアリング、カウンセリングを実施

まずは立て直しを必要としている会社が、どのような状況にあり、抱えている問題点や希望を聞き出します。

採用する解決策の決定権は、会社の経営者側が持っています。問題を解決できれば何をしても良いわけではなく、クライアントの意向も考慮した提案をしなければなりません。

例えば、不採算事業から撤退すれば損失削減を期待できますが、それが創業当時から企業の顔となっている部門なら、クライアントは残したいと考えるかもしれません。規模の縮小や事業の方向転換など、さまざまな方法を模索し、クライアントの納得する提案ができるよう、しっかりとヒアリング、カウンセリングを行います。

原因を究明し改善策を提案

会社の状況とクライアントの要望を聞き出したなら、どのようにして立て直しを実現させるかを考えます。

この時、クライアントの言葉だけを鵜呑みにせず、客観的な視点から問題点を分析する必要があるでしょう。クライアントが気付いていない、潜在的な問題によって、会社の状況を悪化させているケースもあります。

コンサルタントという第三者の視点から状況を見つめて冷静に分析し、改善策を提案します。

改善に向けた目標設定

提案した改善策が採用されたら、どのようなプロセスで進行するのか目標設定します。

状況次第では、会社の立て直しに年単位の時間がかかることもあるでしょう。長期的な取り組みになると、目標達成までの進捗状況が分かりづらくなるものです。「本当に改善に向かっているのか?」「立て直しは実現できるのか?」と、クライアント側が不安を感じる時もあります。

目標を細分化して、達成までの進行状況を可視化すれば、こうした不安を取り除けます。また、分かりやすい短期目標があることで、社内での意識もまとまりやすく、改善に向けた施策が進めやすくなるでしょう。

問題が起きないシステムの再構築

会社の立て直しにあたっては、問題を再発させないシステムの再構築も必要です。組織の体制や会社経営の根本的な部分にも関わるため、再構築には事業を改善させる以上に時間がかかるケースもあります。

目の前の問題を解決するだけでは、時間の経過と共に同じ状況に陥って、危機を迎える可能性が考えられます。繰り返さない仕組み作りを考え、実現させてこその会社立て直しといえるでしょう。

会社立て直しコンサルタントの仕事をするには

会社立て直しコンサルタントの仕事をするには(見出し下画像)

会社立て直しコンサルタントとして働くなら、コンサルティングファームに所属するか、自身で起業するかのどちらかになります。

コンサルティングファームに就職

将来的に独立を考える場合も、コンサルティングファームに就職して、経験を積むのが一般的です。企業経営に関わるコンサルタントは、経営のプロとしての知見や経験が問われる職業であるため、経験が伴わないと信頼を得られません。

コンサルティングファームへの就職は新卒採用だけでなく、第二新卒や中途採用も行っています。未経験でも、個人の適性で判断されるポテンシャル採用なら転職可能です。

会社立て直しのコンサルタントを目指すなら、それをメインとしているファームにしぼって就職するほか、戦略・業務コンサルの経験を積んでからキャリアアップ転職する方法もあります。

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会社立て直しコンサルとして独立起業

コンサルタントの中には、自身の経験を生かして独立起業を考える人も居るでしょう。この場合も、まずはコンサル業務を一通り経験するため、コンサルティングファームに就職してからとなります。

会社立て直しコンサルタントは、他の業務コンサルタントよりも難易度の高い仕事です。個人で仕事を受けられる存在になるには、豊富な知識や経験、クライアントに寄り添いながらも状況を打破する判断力が必要となるでしょう。

クライアントが求める高水準なスキルを身につけるには、実務経験を通じて切磋琢磨するのが近道です。十分な経験を積み、資金を貯めてから独立しましょう。

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会社立て直しコンサルが必要とされる理由

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会社経営や事業の立て直しは経営者の責任であり、社内で問題を究明して立て直しを図るべきと考える人もいるでしょう。確かに、社内の人員で立て直しを実行できれば理想的です。

しかし、現実問題としてそれは容易ではないため、会社立て直しコンサルタントが必要とされています。必要とされる理由を3つ紹介しましょう。

効率よく立て直しできる

経営状況を好転させ、事業を立て直すには、客観的な視点で物事を見つめる必要があります。企業内の経営者や従業員の立場では、冷静な判断や思い切った意見を出しづらいでしょう。

そうなると、有効な改善策を打ち出せず、立て直しが進まない可能性も高くなります。立て直しが遅れている間にも、状況が悪化するでしょう。

効率よく会社の立て直しを実現させるには、コンサルタントの知見やノウハウを取り入れるのも有効な方法です。素早く、効果的な立て直しを実現させるため、企業側は会社立て直しコンサルタントを必要としています。

社員が自社事業に専念できる

社内の人間が、会社立て直しへの取り組みを行う場合、担当業務以外にも労力を割くことになります。会社の状況が悪化しているなら、既に社員の業務負担が大きくなっているかもしれません。

そのような状態で、社員が立て直し施策まで考えるとなると、負担増から会社を見限る恐れもあるでしょう。あるいは、会社立て直しのために社員が内部の状況を深く知った結果、将来への不安を感じて離職する恐れもあります。

会社立て直しコンサルタントに依頼すれば、社員が本来の業務に集中できる状態を維持し、余計な不安を与えずに立て直し施策を進められます。

経営者の意識改革になる

会社の経営者側に居る人物は、社内の立場が強く、客観的な意見をもらう機会が乏しいものです。

会社の立て直しにあたっては、経営者が問題に気付き、意識を変えなければならない場面もあるでしょう。しかし、社内からの意見は、立場の強い経営者の顔色を伺ったものになりやすく、考えを改めるきっかけが得られません。

立場や役職に関係なく、社員からの忌憚ない意見が経営者の耳に届くと良いのですが、そのような風通しの良い状態を保つのは難しいものです。

第三者として会社立て直しコンサルタントが入ると、経営者が客観的な意見を聞く機会になるでしょう。経営者の意識が改められることで、立て直し施策がトップダウンで進み、効果が出やすくなります。

会社立て直しコンサルタントに必要な能力

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コンサルタントの素養となるコミュニケーション能力や論理的思考能力に加えて、会社立て直しコンサルタントには、危機管理能力や当事者意識も欠かせません。クライアント企業が抱える問題を自分ごととして考え、どのようにして危機回避するかが重要です。

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危機管理能力

会社の立て直しは判断を誤ると、取り返しの付かない状況に陥る可能性もあります。課題解決策を提案・導入すれば完了ではなく、想定していた効果が得られているかを随時確認し、状況に応じて軌道修正する必要もあります。

このように、状況に合わせたプロセスもマネジメントする必要があるので、危機管理能力も会社立て直しコンサルタントには欠かせない能力です。

当事者意識

会社立て直しコンサルタントに相談する経営者は、問題を抱える自社を何とか存続させたいと、必死になっていることも多いでしょう。

このようなクライアントへ改善提案をしていくには、当事者意識を持って併走してくれる姿勢も求められます。

どんなに優れた提案をしてくれるコンサルタントであっても、他人事のように考えている様子では不信感を持たれかねません。信頼を得て、会社立て直しを成功させるには、相手の問題を自分ごとのように考えられるかも重要です。

会社立て直しコンサルタントは企業を再生・存続させる存在

会社立て直しコンサルタントは企業を再生・存続させる存在(見出し下画像)

会社立て直しコンサルタントは、企業の問題を解決し、同じ問題を繰り返さない仕組み作りまでを提案・導入するコンサルタントです。

既に問題が深刻化しているケースもあり、他のコンサルタントよりも難易度の高い仕事となるでしょう。同時に、立て直しが成功すればクライアントに感謝され、大きな喜びを実感できる仕事でもあります。

立て直しには年単位での時間を要することもあるので、目標に向けての進捗状況を可視化する取り組みも必要です。長期的な目標とともに、短期目標も設定して、立て直しに向けて進んでいる状況を確認できるようにします。