フリーランスコンサルタントとして独立を考えたとき、収入や仕事の取り方は気になる点です。独立後に案件が受注できるよう、独立前の調査や準備が必要不可欠。これらの準備が不十分だったために売上が伸び悩んでいるフリーコンサルタントも少なくありません。

そこで、この記事ではフリーランスのコンサルタントになって成功するための方法や、フリーランスになってからの仕事の取り方、年収相場などを解説します。独立を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

フリーランスのコンサルタントになる方法

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コンサルタントといっても、さまざまな分野・ジャンルがありますが、コンサルティングファームで実務経験を積んでから独立するルートが一般的です。ここでは、まず実務経験を積むケースと未経験からコンサルタントになるケースをそれぞれ解説します。

実務経験を積んでから独立するケースが多い

企業のコンサルティングを請け負うコンサルティングファームに就職し、実務経験を積んでから独立してフリーランスというパターンが多く見られます。

コンサルティングファームはクライアントから対価を受け取りますが、所属するコンサルタントが受け取る給与はその一部です。実力のある人ほど、自分の成果に対して取り分が少ないと感じやすくなります。そして、より多くの報酬を得るため、フリーランスになる選択をする方もいらっしゃるでしょう。

また、稼働時間を自由に設定したいと思い、フリーランスを選ぶコンサルタントもいます。会社に所属していると、案件を受ける・受けないは自分の意志だけで決められません。フリーランスになれば、その判断も自由にできます。

フリーランスのコンサルタントになろうと考えるなら、まずはコンサルティングファームに所属し、少なくとも3年以上の実務経験を積みましょう。所属会社にもよりますが、企業のコンサルティングを主体的にできる目安の年数です。

志望するジャンルによっては、対象となる業務や事業に就業し、現場を知ってから独立するケースもあるようです。

たとえば人事コンサルタントなら、コンサルティングファームから別企業の人事部に転職してからフリーランスになるというルートです。ITコンサルタントなら、システムを開発するIT系企業の幹部を経験してから、独立するという流れもあるでしょう。

現場に即したコンサルティングができるので、コンサルタントとしてのバリューを高められます。独立後の業務がスムーズに進められるでしょう。

未経験からフリーランスでコンサルタントは可能?

フリーランスのコンサルタントになるには、実務経験がないと難しく、未経験からの独立起業は困難です。

会社経営や企業の事業戦略など、ビジネス系のコンサルティングを成功させるには、高いスキルが求められます。実務経験がない状態では、適切に対処できません。

クライアント側も会社の方針や事業など、経営の根幹となる部分のアドバイスを求めています。そのような重要な相談事の相手として、未経験のフリーランスを選ぶとは考えにくいでしょう。

なお、企業を相手にしたビジネス分野のコンサルタントではなく、受験や就職活動、恋愛・婚活などのコンサルタントでは、未経験でもフリーランスで生計を立てられる可能性があります。

ただし、この場合はコンサルタントと言うよりも、特定分野のアドバイザーやカウンセラーと表現したほうが適切です。

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フリーランスコンサルタントが仕事を取る方法

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独立前のクライアントとの信頼関係が構築できていると、独立後も継続取引できないか声がかかる場合もあるでしょう。独立後の顧客を確保できて安心ですが、後述する競業避止義務の観点から問題になる可能性があります。

フリーランスになってからの仕事を安定させるには、複数の取引先を持つ必要があるため、新規営業も大切。仕事を取るための営業活動にはいくつかの種類がありますが、1つに限定せず、複数の方法を組み合わせて受注につなげましょう。

チラシ配布やDM送付

集客できる範囲を限定したアナログな営業方法ですが、チラシ配布やDM送付は、地元企業の目に留めてもらいやすい有効な方法です。

はじめのうちは興味を持ってくれた企業に対し、少額でのコンサルを実施して実績を作るのもよいでしょう。評判が良ければ、地元企業の経営者同士の繋がりから口コミが広がり、新規案件の紹介も期待できます。

ホームページやSNSで集客

チラシやDMとは対照的に、広範囲に対して安価で営業できるのが、ホームページやSNSの特徴です。コンサルタントの知見を生かした有益な情報を発信し、ファンを獲得しましょう。

コンサルティングを行うジャンルやコンサル内容によっては現地に行かずに対応できるものもあるので、そうした業務であれば地域を問わず全国の企業がクライアントになり得ます。ホームページやSNSでの集客と相性が良いため、ぜひ活用したいところです。

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企業や見込み客へ直接営業

コンサルタントを必要としていそうな企業を1件ずつ回り、直接営業する方法もあるでしょう。手間はかかりますが、ダイレクトに相手の反応を確認でき、受注の見込みがどの程度であるか分かりやすいのが特徴です。

チラシ・DMやネット集客で反応のあった相手に直接営業すれば、ある程度こちらに興味を持ってくれている状態から商談に持ち込めます。契約に繋がる可能性も高いため、他の手法と組み合わせながら上手く営業を行いましょう。

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知人の紹介

フリーランスになる前から繋がりのある人物や企業、独立してからできた人脈を辿って案件を紹介してもらうのも有効な営業方法です。

ただし、以前の職場との競業避止義務に合意していた場合、以前の顧客との取引が問題になる恐れも。競業避止義務を退職後も適用する内容で合意している場合は要注意です。

こうしたリスクも踏まえ、リアルの知り合いのみならず、コロナ禍以降流行しているリモート飲み会やウェビナーなども活用し、同業者や異業者との交流を深めましょう。オンラインでの繋がりも現代においては強い武器になり得ます。

コンサル案件を扱うエージェントを利用

フリーランス向けのエージェントも複数誕生し、多様な働き方が認められるようになってきた昨今、コンサル系の案件に特化したエージェントも少なくありません。

フリーランスコンサルタントとして案件を獲得するために活用しない手はありません。エージェントを活用すれば、営業活動の手間を削減でき、希望条件に合った案件を紹介してもらえます。

スキルや実績次第になりますが、フリーランスになった直後でも、安定して案件を獲得しやすい方法です。

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フリーランスコンサルタントの年収相場

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フリーランスコンサルタントを目指す場合、年収がどの程度になるのかは無視できない事柄です。個人のスキルや対応する分野に左右される部分が大きいでしょう。

フリーランス向けのコンサルタント案件を紹介するエージェントでは、月額100万円前後の案件も多く見られます。仮に毎月100万円の案件を受注できれば、想定される年収は1,200万円。稼働しない月が2、3ヶ月あったとしても1,000万円前後の年収は見込めるでしょう。

高単価の案件をコンスタントに獲得できるフリーランスコンサルタントであれば年収は1,000万円程度が相場となりますが、実際はこれよりも低単価で業務を引き受けたり、継続依頼を得られなかったりするフリーランスの声も多く寄せられています。

個人で戦っていくため、担当できる範囲が限定されたり、知見の幅を越えた業務に対応できなかったりするのが主な要因と考えられますが、フリーコンサルタントとして成功を収めるためにはチーム化したり外注を視野に入れたりしてクライアントの課題解決にとことん向き合う姿勢が重要になりそうです。

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フリーランスのコンサルタントになるメリット

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フリーランスのコンサルタントになると、仕事量や稼働時間を自由に設定でき、成果が報酬に反映されるメリットがあります。

自分の意志で仕事を選べる

会社に所属していると、自分の意志で担当する案件を選べません。個人的に受けたくないと感じる仕事であっても、会社やクライアント側の要望によっては、引き受けざるを得ない場面があります。

フリーランスなら、働きやすいと感じる仕事を自由に選べるでしょう。自身の裁量で業務を選べるのはフリーランスのメリットです。その分責任も大きくなりますが、会社員としてコンサルティングに当たるよりも大きなやりがいを感じられるでしょう。

稼働時間や働く場所が自由になる

フリーランスなら、仕事を受けるタイミングや稼働時間も自由に決められます。仕事量を調節できるので、週単位・月単位の大型休暇も取りやすいでしょう。事務所の場所を変えたり、日によって仕事場所を選んだりする自由も得られます。

スケジュール管理や業務の調整は必要ですが、ライフワークバランスを考えた柔軟な働き方が手に入るのは大きなメリットでしょう。

仕事の成果が報酬に反映される

会社員として収入をアップさせるには、会社で評価されなければなりません。昇給・昇進の機会も限られており、逃すと次のタイミングまで増加しません。

また、どれだけ実力をつけて結果を出していても、報酬は社内で分配されてしまいます。成果に応じた賞与があるとはいえ、プロジェクトへの貢献度が高く、自分の実力に自信を持っている人ほど不満を感じやすくなるでしょう。

しかし、フリーランスなら自分の出した結果がダイレクトに売上となって反映されます。毎月の報酬が約束されない不安定な立場ですが、実力次第で収入を大幅に増やせるのも大きなメリットです。

フリーランスのコンサルタントになるデメリット

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フリーランスコンサルタントにはデメリットも存在するので、メリットと合わせて理解しておきましょう。

競業避止義務違反のリスクがある

競業避止義務とは、所属する企業に不利益を与えないよう、競合事業の立ち上げや情報の流用をしないよう従業員に課されるものです。元顧客との独立後の取引は、在職時に得た情報によって利益を得ていると解釈できるため、所属していた企業と元従業員がトラブルになるケースがあります。

憲法にある「職業選択の自由」を考えると、退職後の仕事については制限されるべきでないため、有効か無効かを裁判で争った事例も存在します。

入社時・退社時には、さまざまな書類に署名を求められるので、その中に退職後の競業避止義務が含まれていなかったか確認しておきましょう。

フリーランスは立場が弱くなりがち

クライアントにもよりますが、フリーランスは企業に比べて立場が弱く、契約まで至れなかったり単価面で負担を強いられたりするリスクがあります。

コンサルティングファームであれば、担当者に問題があった場合は人員を変えて対応できますが、個人ではそのようにはいきません。確実な対応をしてほしい企業側からすると、資本金がなく、過失があった際に責任を負えないフリーランスはそれだけで不安要素のある存在です。

また、契約にこぎ着けても、何らかの問題があれば簡単に切られてしまいます。

企業間で年単位の長期契約を結んでいるなら、契約が終了するときにこれまでの付き合いが考慮されることもあるでしょう。段階的に契約を見直したのちに終了、というような調整も期待できますが、個人はこうした配慮がないまま突然打ち切られてしまうことも。

あるいは立場の弱さにつけ込まれてしまい、業務外の仕事まで頼まれてしまうケースも考えられます。

こうした立場の弱さは、フリーランスの最大のデメリットです。自身のスキルを磨いて信用を勝ち取るのも重要ですが、不利な契約を結ばないように自衛するための知識も身につけましょう。

コンサル業務以外の処理も自分でしないといけない

フリーランスとして独立すると、営業や事務、経理などの業務も自分で対応しなければなりません。営業活動をしなければ新しい取引先を開拓できませんし、バックオフィスの業務もこなさなければ日々の業務に支障を来してしまいます。

手が回らないと感じる場合は、従業員を雇ったり、事務代行や経理代行のサービスを利用したりして自身の工数削減を目指しましょう。

不安や孤独を感じやすい

コンサルタントに限らず、フリーランスは「仕事が途切れたら」という不安や、「仕事の相談相手が身近にいない」という孤独に苛まれやすい働き方です。個人の性格にもよりますが、不安や孤独が仕事のパフォーマンスに悪影響を及ぼす場合もあるでしょう。

フリーランス同士の交流ができる交流会やコミュニティに参加し、人脈を広げるとともに、不安や孤独を分かち合える相手も見つけたいところです。

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フリーランスのコンサルタントが注意すべき点

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ここからは、フリーランスのコンサルタントが円滑に業務を進めていくために注意すべき点について紹介します。

心身の健康管理

心身の健康を損なって業務に支障を来たしても、フリーランスという働き方はカバーしてくれる存在がありません。会社に所属していれば、上司や同僚が代わりに業務をこなしてくれますが、フリーランスの場合は自己責任となります。

予定が大幅に崩れ、クライアントに迷惑をかけてしまう恐れがあるので、健康管理には注意しましょう。たとえ体調不良が原因であっても、契約通りの業務をこなせないと信用の失墜に関わります。

また、会社は従業員の労働時間を把握し、定期的に健康診断が受けられるよう対応してくれますが、フリーランスはそれらも自分で管理する必要があります。健康上の問題が発生しないよう注意するとともに、定期的に診断を受けるようにして、心身の不調を早期発見しましょう。

スケジュール管理

複数の顧客と契約を結んでいる場合、プロジェクトの進行が同時進行となる場合もあるでしょう。進捗状況を把握し、予定が被ったり日程を取り違えたりしないよう、スケジュール管理の徹底も重要です。

予定を詰め込みすぎた結果、思わぬアクシデントによって時間を取られた際に、立て直せなくなるのも問題です。何らかの遅れが発生したときに備え、調整する余白を挟みながらスケジュールを考えましょう。

会計や税務処理、確定申告

会社員の場合は必要ありませんが、フリーコンサルタントになった際は会計処理や税務処理が発生します。日々の収支を帳簿に記帳し、確定申告時に決算書類を作成して提出しなければなりません。

会計ソフトを活用すれば難しい作業ではないものの、ついつい後回しにしてしまう方も散見されます。あとからまとめて作業すると、いつ・どこでといった情報があやふやであったり、経費の根拠となるレシートや領収書を紛失していたりといったリスクが生じるでしょう。

一定規模の売上が発生し、帳簿作成に大きな工数が必要な場合は税理士に依頼するのも一つの手段です。日々の会計処理はもちろん、節税に繋がる様々な対策についてもアドバイスを受けられるため、フリーコンサルタントにとって心強い味方となってくれるでしょう。

不利な契約を交わしていないかチェック

会社勤めであれば、クライアントと取り交わした契約書の内容を法務部などの専門部署がチェックしてくれるでしょう。しかし、フリーランスは、こうした対応も自分でしなければなりません。

一方的に不利な条件で契約をしていないか、法令違反になる項目はないかなど、知識を身につけてチェックできるようにしましょう。

効率よく仕事をこなせるフリーランスコンサルタントになろう

効率よく仕事をこなせるフリーランスコンサルタントになろう(見出し下画像)

フリーランスのコンサルタントになるには、多くの場合コンサルティングファームで実務経験を積み、時にはコンサル領域の実務経験も必要になることが分かりました。自身のキャリアプランと照らし合わせながら独立のタイミングを見計らいましょう。

また、独立後は裁量が全て自分にある分、大きな自由と責任が伴います。収入を安定させるために営業が必要になったり、健康やスケジュール管理に注意したりと、会社員時代よりも気にかけるべき内容は増えるでしょう。

一方で、柔軟な働き方が手に入ったり、実力次第でどこまでも売上を伸ばせたりといったやりがいも手に入ります。効率よく仕事をこなせるフリーランスコンサルタントになるためにも、本記事を参考にしてみてください。