企業が成功するために欠かせないのがマーケティングです。いつの時代も企業を成功へと導く能力として評価されているマーケティングは、これからも腐ることはまずないでしょう。
これから先の社会で活躍してくために「マーケティングコンサルタント」を目指す人もいるはずです。しかし、実際にどのような仕事をしたり、どのようなスキルが必要なのかわからなかったりして、目指すにも目指しようがない人もいるでしょう。
そこで、この記事ではマーケティングコンサルタントの仕事内容や必要なスキルについて解説します。マーケティングコンサルタントを目指すにあたって、取得しておきたい資格についても紹介しているので参考にしてください。
マーケティングコンサルタントとは?
マーケティングコンサルタントとは、企業が適切なマーケティング活動ができるようにサポートするサービスです。現代社会ではあらゆる技術が発展したおかげで、どの製品やサービスもある程度のレベルまで到達しています。一方で、すでに製品やサービスで差別化を図るのが難しいのが現状です。
そこで、近年では製品やサービスの改善に取り組むよりも、マーケティング活動に注力している企業が増え始めています。特に近年注目されているのがWebマーケティングの分野です。株式会社ジーニーが実施したアンケートによると、Webマーケティングを実施している企業は89%にものぼります。
しかし、マーケティングを実施している会社は増えているものの、難しいと感じている企業が多いのも事実です。株式会社Suneightの調査では「コロナ禍のマーケティングで差別化は大切」と93.6%の人が回答した一方で、82.5%の業者が「自社の差別化は難しい」と感じているそうです。
【参考:無形商材の差別化の重要性を認識する一方で、約8割が「自社の差別化が難しい」と回答 動画マーケティングによる「ブランディング」に高い関心あり】
以上のようにマーケティング活動が大切だと理解していながらも、適切に実施するのは難しいという業者が抱えるジレンマを解消するのが「マーケティングコンサルタント」の役目です。市場の調査から具体的なマーケティング施策の提示まで、ワンストップで提供します。
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マーケティングコンサルタントの仕事内容
マーケティングコンサルタントの仕事内容は主に3つに分かれます。
- 市場調査
- 課題の抽出
- マーケティング施策の提示
マーケティングコンサルタントとして活躍するためには必要な仕事内容なので、それぞれ詳細に確認します。
市場調査
マーケティングコンサルタントは市場調査も仕事に含まれます。市場のニーズやターゲットを調査しなければ、どのような商品やサービスを展開したらよいのかわかりません。そのため、マーケティングコンサルタントにとって市場調査は欠かせない業務です。
例えば、女性向けのフィットネスサービスを展開するとしましょう。サービスを展開する際は、その市場にどれだけフィットネスが求められているのか、もしくはどんなフィットネスが人気なのかを調査します。
市場のニーズを把握することはマーケティングとしての第一歩です。市場のニーズを探らなければ適切な戦略を練られません。
課題の抽出
マーケティングコンサルタントでは、企業が抱えるマーケティング課題の抽出もおこないます。どれだけ優れている企業でもマーケティング戦略に正解はなく、何らかの課題を抱えているものです。そこで、コンサルタントの目線でデータ分析をおこない、客観的に課題を抽出します。
特にコロナ禍ではオフラインのマーケティング戦略を実行しづらく、ビジネス課題にぶつかる企業も少なくありません。アドビ株式会社が発表している「アフターコロナに向けたデジタル戦略に関する調査」によると、アフターコロナのマーケティング課題として以下の項目が浮き彫りになっています。
- 顧客との関係が築けない
- リードが取れない
- リードから案件に進まない
- 顧客のニーズが読めない
など
マーケティングコンサルタントは以上のようなビジネス課題を発見しなければいけません。財務諸表やキャッシュフロー、ときには現場や顧客の声に耳を傾けながら課題を抽出していきます。
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マーケティング施策の提示
マーケティングに関する課題を抽出できたら、次は具体的な解決策の提案です。例えば、上述したアフターコロナのマーケティング課題として「顧客との関係が築けない」という項目があげられていました。企業が特に上記の課題を解決したいと願う場合は、適切なマーケティング施策を考えなければいけません。
解決策として考えられるのは「オンラインイベントの実施」や「オンライン広告の実施」などでしょう。いずれの施策をマーケティングとして実行するためには、プロセスや費用の計算は必須です。
マーケティング施策を具体的に落とし込めたら、クライアントに提示します。この際にクライアントから許可を取れれば、初めてマーケティング施策を実行可能です。
マーケティングコンサルタントはあくまでも企業のサポート役です。そのため、クライアントが「GOサイン」を出さなければ施策を実行できません。
マーケティングコンサルタントに必要なスキル3選
マーケティングコンサルタントとして活躍していくためには3つのスキルが大切です。マーケティングコンサルタントを目指す人は、以下のスキルの習得を最優先にしてください。
- マーケティングに関する知識
- 経営に関する知識
- 顧客視点
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マーケティングに関する知識
マーケティングコンサルタントと名乗るのであれば、マーケティングに関する知識は必須です。例えば、マーケティングコンサルタントと名乗っているにもかかわらず「3C分析」や「PEST分析」などのフレームワークを知らないというわけにはいきません。
実際に使用するかどうかに限らず、マーケティングとしての考え方という意味では知っておく必要があります。マーケティングコンサルタントとして活躍していくのであれば、他にも以下の項目は知っておくべきです。
- 市場の調査方法
- データの分析方法や見方
- マーケティング戦略
いずれの項目も必須の知識です。しかし、マーケティングを担当する業界や企業によってはそれぞれ求められる知識が異なります。
Webマーケティングを担当するのであれば、SEOやアナリティクスの知識が求められるでしょう。一方で、アパレル業界のマーケティングを担当するのであれば、洋服のトレンドや販売方法に関する知識が求められます。
以上のように業界によっては、ガラッと求められるスキルが異なります。そのため、あらかじめどの業界で活躍していくかを絞る方が、マーケティングコンサルタントとして活躍できるでしょう。
経営に関する知識
マーケティングコンサルタントとして活躍するためには、経営に関する知識も必要です。会社経営に関する最低限の知識がなければ予算の把握もしづらく、具体的なマーケティング施策を提案しづらくなります。特に以下の知識は身につけておいて損はありません。
- 経営指標
- 財務諸表の読み方
- 人事組織の構築戦略
以上の知識を身につけておけば、経営に関する知識は網羅できます。マーケティングコンサルタントとして信用を勝ち取るためにも勉強しておきましょう。
顧客視点
マーケティングは顧客に商品を販売するための手段であるため、顧客視点は身につけておかなければいけません。業種によってはマーケティングに求める知識が異なりますが、顧客の需要を読み解く力はどの業種でも必要です。
顧客がどのようなサービスを、どんな付加価値を求めているのかを把握することはマーケティングの根幹部分にあたります。例えば、どれだけ優れた商品を提供したとしても、顧客が求めていなければ売上にまでつながりません。そのため、商品を開発する前に顧客視点で需要を探る必要があります。
顧客視点を得るための方法として以下の手法が考えられます。
顧客視点を取得する方法 | 詳細 |
---|---|
ペルソナの作成 | ・具体的な顧客像をイメージすること ・性別や住んでいる地域、年収、仕事などできるだけ具体的な顧客像をイメージする |
カスタマージャーニーの作成 | 顧客が商品やサービスを購入するまでを図で示したもの |
以上の手法を利用して顧客視点を確保するのが一般的です。
マーケティングコンサルタントにおすすめの資格
マーケティングコンサルタントになるためにおすすめの資格は6つ存在します。国家資格から民間が実施している資格までさまざまな資格を紹介しているので、これからマーケティングコンサルタントとして箔をつけたい人は参考にしてください。
中小企業診断士
中小企業診断士は「中小企業支援法」に基づいた国家資格です。弁護士や公認会計士などの業務独占資格ではないものの、国家資格としてコンサルティング力の証明に役立ちます。
試験は一次と二次に分かれていて、合格後は15日以上の実務補習・実務従事を受ければ資格を取得できます。中小企業診断協会が発表している「令和3年度の試験について」を参考にすると、2021年の一次試験の合格率は36.4%で、二次試験の合格率は18.3%と記載されています。
一次と二次両方を合格するためにはかなりの勉強時間を求められますが、国家資格であるため、長期的な目線で見れば腐らない資格といえるでしょう。
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販売士
販売士はマーケティングから店舗運営、経営に関する知識を有していることの証明になります。1級レベルでは高度な経営知識に加えて、商品計画からマーケティング知識が必要です。そのため、マーケティングコンサルタントとして活躍していくためには1級を取得するべきでしょう。
日本商工会議所が発表している資料によると、2021年に実施された第87回の各級合格率は以下の通りです。
- 1級…25%
- 2級…73.4%
- 3級…71.4%
以上のように高度な知識が求められる1級からは合格率が格段に下がります。1級の取得を目指すのであれば、十分に準備したうえで臨みましょう。
マーケティング・ビジネス実務検定
マーケティング・ビジネス実務検定とは2005年に開始された試験で、マーケティングに関する総合的な知識の証明に役立ちます。難易度の高い順にA、B、C級と分かれていて、自分の実力にあわせたレベルを受験できます。
基礎からコンサルタントレベルまで用意されている資格なので、マーケティング知識に自信がない人はC級から受験してみましょう。
マーケティング検定
マーケティング検定は日本マーケティング協会が実施している試験で、マーケティングに関する理論の習得を目指す資格です。3級と2級は誰でも受験可能で、それぞれ初心者と中級者レベルの問題が用意されています。
マーケティングに関する体系的な知識の証明に役立つので、マーケティングコンサルタントを目指すのであれば取得しておいて損はないでしょう。
ネットマーケティング検定
ネットマーケティング検定は、Webマーケティングの知識を網羅的に有していることの証明に役立つ資格です。インターネットの発展とともに導入する企業が増えたWebマーケティングは、今後も数多くの企業が実施していくことが予想されます。
そのため、ネットマーケティング検定の資格を今のうちに取得しておけば、将来的なマーケティングコンサルタントに役立つでしょう。ネットマーケティング検定の公式サイトが発表している情報によると、合格率は85.9%で学習時間の目安も15時間程度と記載されています。
比較的手軽に取得できる資格でもあるので、時間に余裕がない人でも取得できる資格といえるでしょう。
MBA
MBAは大学院の修士課程を修了した人に与えられる称号で、経営学の知識を有していることを証明できます。MBAといえば海外をイメージするため取得へのハードルが高いと感じる人も多いですが、近年では国内MBAを実施している大学院も増えているため、年々ハードルは低くなりつつあります。
しかし、MBAを修了するためには大学院に入学する必要があるため、それなりに時間とコストがかかる点には注意してください。さらに、入学倍率が2倍以上である大学院も珍しくないため、対策しなければ入学すらままなりません。
マーケティングコンサルタントの将来性は?
マーケティングコンサルタントは、デジタル分野を中心に市場規模が拡大していくでしょう。デジタルD2Cの市場規模は年々増加していて、2020年には2兆2,200億円だった市場も2025年には3兆円にまで達する予想を発表している専門家も存在します。
実店舗業務に関するマーケティングも必要とされるかもしれませんが、今や1人一台スマートフォンを持つ時代なので、デジタル分野のマーケティングコンサルタントの方が高い将来性を見込めます。
とはいえ、体系的なマーケティング知識が必要であることは間違いありません。今後マーケティングコンサルタントとして活躍するためにもマーケティング知識は身につけておきましょう。
マーケティングコンサルタントになるためには?
マーケティングコンサルタントになるためには特定の資格を必要としません。しかし、スキルの証明のためにも何かしらの資格を取得しておくべきです。
難易度の易しいネットマーケティング検定などから理解を深めて、将来的には中小企業診断士などの国家資格を取得できるとマーケティングコンサルタントとして活躍できるでしょう。
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