「個人コンサルとはどんな働き方なのか?」「個人コンサルのメリットやデメリットを知りたい」と考えている人も多いのではないでしょうか。個人コンサルとして働く上では、個人で働くメリットとデメリットを理解し、自分自身に合っている職業なのか判断するのが大切。

しかし、適切に判断ができないと働き方にストレスを抱えてしまったり収入が途絶えてしまったりする恐れもあります。

今回は、個人コンサルの仕事内容やメリット・デメリットについて解説します。この記事を参考にすることで、あなた自身が個人コンサルとして働くのに適しているかどうかを判断できるでしょう。

個人コンサルとは?

個人コンサルとは、独立してコンサル業を行うフリーランスを指します。一般的にはコンサルティングファームを退職し、個人事業主としてコンサルティング業務を提供する方が多いです。

個人コンサルになるということは、これまで在籍していた企業やコンサルファームの名前が使えなくなるため、会社員以上に実績や資格などによる信頼関係の構築が不可欠となります。

さらに、実績や資格があっても営業力がなければ案件が獲得できないため、個人コンサルになる前に、独立する際のメリットとデメリットを理解しておくことが重要です。

個人コンサルになるのに資格は必要?

個人コンサルになるために必ず必要な資格はありません。しかし、保有しておいた方が良い資格は下記の4つです。

  • 中小企業診断士
  • MBA
  • IT関連の資格

個人コンサルは資格が必要ないため簡単に起業できますが、わかりやすい実績や資格がないと案件の獲得が非常に難しくなります。

中小企業診断士

中小企業診断士は、国家資格として認められた経営コンサルタントの証。中小企業の経営分析や戦略立案といった業務に活きる知識の証明になります。

中小企業診断士資格は合格難易度が高く、合格率は3〜8%程度。中小企業診断士を持っているからすぐに案件が獲得できる、とは限りませんが、無資格でいきなり開業するケースに比べれば、保有しているだけでも信用の獲得に繋がるでしょう。

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MBA

MBAは、経営学の大学院修士課程を修了すると授与される学位のことで、日本では経営学修士と呼ばれるため、厳密に言えば資格ではありません。MBAを取得していると、経営に対する俯瞰的な観点やグローバルな経営知識を習得していることを証明できます。

さらに、MBAを海外で取得した場合には、高いレベルの英語力を身につけられるため、仕事の幅を広げられるでしょう。最近では、国内でもあえて英語で講義を行うMBAスクールも増えています。

MBAを取得していれば、個人コンサルとしても他のコンサルと差別化を図れるため、興味のある方は取得することをおすすめします。

IT関連の資格

IT関連の資格を保有していることで、個人コンサルとして有利に働くでしょう。IT技術や市場の発展によってIT関連のコンサル案件も増えており、今後も増加すると予想されます。IT関連の案件にも携われれば、他の個人コンサルタントとの差別化にも繋がります。

IT関連の資格の中でもおすすめな資格は下記の3つです。

  • 応用情報技術者
  • ITストラテジスト
  • PMP

これらの資格だけではITコンサルタントとして実務を行うのは難しいですが、例えば経営コンサルタントや戦略コンサルタントがこれらのIT系資格を保有しておけば、ITにも強い経営コンサルタントとしてブランディングができ、仕事の幅が広がります。

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個人コンサルの仕事内容

個人コンサルの仕事内容は、どの領域でコンサルティングを行うのかによって異なります。例えば、IT領域の知見や経験が豊富な方であれば、IT企業の技術面であったり、企業のDX化であったり、ITに関するコンサルティングが主な業務となるでしょう。

基本的には営業活動を通して案件を獲得し、クライアントとの打ち合わせや課題のヒアリングを行います。自身の知見も交えて課題解決の提案を行い、予算やリソースに合わせて解決スキームを確定したら施策の実行まで伴走。案件の内容によっては解決スキームの立案のみで、実行はクライアント側で進めるケースも存在します。

また、個人のコンサルタントは、仕事場所や稼働時間を自分で管理します。会社員として働いていた頃よりも柔軟な働き方ができるため、ストレスなく、効率的にコンサル業を行えるでしょう。

個人コンサルになるメリット

個人コンサルになるメリットは下記の3つです。

  • 事業を始めるコストがほぼかからない
  • 柔軟な働き方ができる
  • 経費が少なく利益率が高い

個人コンサルになれば、コンサルティングファームで働いていた時とは異なり、上記のメリットを得られます。それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。

事業を始めるコストがほぼかからない

個人コンサルの事業を始めるにあたって、コストはほとんどかかりません。基本的に連絡を取るためのスマホや仕事をする上でのパソコンがあれば問題なく、これらについても新たに買い足す必要はないでしょう。

一方で、実店舗を必要とする事業では下記のコストがかかります。

  • 店舗の初期費用や家賃
  • 改装工事費用
  • 備品や商品費用
  • 従業員の人件費

こうした事業と比較すると、個人コンサルの参入障壁は低いと言えるでしょう。事務所や在庫といった固定費のかかる要素がなくとも事業が成立するので、人によっては初期費用0円で始められるほどの手軽さがメリットです。

柔軟な働き方ができる

個人コンサルのメリットは、柔軟な働き方ができる点です。個人コンサルは自分自身で働き方を決められるため、生活スタイルに合った働き方を選べます。また、自分が挑戦したい案件に絞ってコンサルを行えばキャリアアップに繋げることもできるでしょう。

ただ、案件が少ないうちは仕事を選ぶことができなかったり、収入が途絶えてしまったりするリスクもあります。独立する前にコンサル事業の発展性や市場のリサーチを行い、独立後も余裕を持った事業展開ができるよう準備しましょう。

経費が少なく利益率が高い

コンサルタントはかかる経費が少なく、売上に対する利益率が高い職業です。個人コンサルを事業として考えた場合、毎月かかる経費は交通費や家賃程度で、自宅からリモートでコンサルティングを行う場合は交通費や家賃もかかりません。

飲食店の場合には、店舗維持にかかる固定費や仕入れの費用などの経費がかかります。売上が多くても、経費の方が多ければ利益は出ず、赤字になるでしょう。

しかし、個人コンサルは経費が少なく、売上のほとんどが利益になります。そのため、赤字にはなりませんが、今度は自分に対する人件費の計算が必要になるでしょう。

自分の時間単価をいくらに設定するのか、それを下回らないためにはどうすればよいのか、といった視点で効率化を重ねていければ、個人コンサルタントとして満足のいく働き方が実現できます。

個人コンサルになるデメリット

個人コンサルになるデメリットは下記の2つです。

  • 案件が獲得できないことがある
  • なんとなく怪しいと思われてしまう

個人コンサルになると、コンサルファームで会社員として働いていた時とは状況が変わります。実際に体験しないとわからないデメリットも多く存在するため、あらかじめ理解した上で独立に踏み切りましょう。

案件が獲得できないことがある

個人コンサルとして働いていると「案件が獲得できない」という悩みに直面する可能性があります。コンサルファームで会社員として働いていると自動的に案件が割り振られてくるため、「案件が獲得できない」という状況はあり得ません。

しかし、独立して間もない時期には具体的な実績も少ないため提案力が低いです。営業活動も不慣れなため案件が獲得できず、その状況から抜け出せなくなる可能性もあります。

個人コンサルとして独立して間もない時は、過去の人脈を活かして案件を紹介してもらったり、案件が集まるプラットフォームを活用したりして、個人のコンサル案件や実績を獲得していきましょう。

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なんとなく怪しいと思われてしまう

個人コンサルは事業の実態が明確でなく、目に見える商品やサービスが存在しないため「なんとなく怪しい」と思われてしまいがち。起業に資格を要さず、参入障壁が低いことも理由の一つです。

そのため、個人コンサルとして事業を展開するにはクライアントとの信頼関係が非常に重要。信頼関係を築くために、少しでも怪しいと思われる部分を減らさなければいけません。

具体的には、資格を取得したり過去の実績を数字を用いて具体的に解説したりしましょう。クライアントが納得できる説明をすれば、そこを糸口に信頼関係を築くことができ、怪しいと思われずに案件も獲得できるでしょう。

自身のWebサイトを開設したり、法人化したりするのも信頼を獲得するための一つの手法です。ぜひ参考にしてみてください。

個人コンサルになるためには「開業届」が必要

個人コンサルになるためには、開業届の提出が必要です。開業届を提出すれば、2つのメリットを受けられます。

  • 青色申告が可能
  • 赤字を3年間繰り越し可能

それぞれ詳しく見ていきましょう。

青色申告が可能

開業届を提出すれば、確定申告時に「白色申告」よりも有利な「青色申告」を選べるようになります。青色申告とは、最大で65万円の所得控除を受けられる制度であり、単純に毎年65万円分の節税が認められるようになるのです。

青色申告をするかどうかで税金の支払い額に大きな差が出るため、開業時には注意が必要です。青色申告承認申請書の提出期限は、「青色申告を行う年の3月15日まで」となっています。

さらに、青色申告の申請は一度承認されれば「青色申告者」となり、それ以降も継続して青色申告が適用されるため、毎年申請する必要はありません。

そのため、開業届を提出したら、一緒に青色申告の申請も行うことをおすすめします。

赤字を3年間繰り越し可能

開業届を提出すれば「損益通算」という税制上の優遇を受けられます。損益通算を活用すれば「赤字を3年間繰り越す」ことが可能です。これにより、3年以内の赤字分は黒字化して所得が発生した年に補填でき、損失分を課税対象額から差し引けます。

簡単に言えば、赤字の年の損失分を3年間だけ取っておける権利を手に入れるのですが、この権利を使えば、利益が出た年に、昔の赤字を引っ張ってきて「この赤字で利益を目減りさせて、節税に繋げてしまおう!」という行為が認められるのです。

調整しすぎると脱税の疑いがかけられてしまいますが、適切に活用すれば創業期の強い味方となります。ぜひ開業届を提出して活用したい制度です。

個人コンサルになって市場価値を上げよう

今回は、個人コンサルの仕事内容やメリット・デメリットについて解説しました。個人コンサルとして独立することを目標にする方は少なくありませんが、人によってはデメリットの方が大きくなる可能性もあります。

今回解説した内容をもとに個人コンサルの特徴を理解し、準備を整えてから独立に踏み切れば、市場価値を高めつつ個人コンサルとして成功できるでしょう。