やっぱりフリーランスとして成功している人は、学歴も資格も独立前のキャリアも自分とは違うよね…と考えている人はいないだろうか。しかし実際にフリーランスとして独立し、活動を始めてみるとこれまでのキャリアや学歴「だけ」では成功を掴めないことを実感させられる場面にいくつも出会うはずだ。しかしそれは言い換えれば、決して輝かしいキャリアがなくとも、努力次第でフリーランスコンサルタントとして活躍できるチャンスがたくさんあるということ!

そこで今回はフリーランスコンサルタントとして成功し、活躍を続ける3人の先輩のキャリアスキルをご紹介。目の前のチャンスを逃さずに“理想の将来像”を掴んだ先輩の体験をぜひ自身のキャリア形成&成功への参考にしてみてください。

※以降、登場する方々のお名前はすべて仮名です

順調なキャリアじゃない…からこそ「参考になる!」と依頼が殺到!

現在、フリーのキャリアコンサルタントとして活動する藤原さん(男性・48歳)は、20代後半まで自分の「やりたいこと」「得意なこと」を見つけることができず、大学卒業後に入社した広告代理店も2年足らずで退社。その後は、契約社員や派遣社員での勤務を含め「短いスパンでの転職を繰り返していた」といいます。

そんな藤原さんの転機は28歳の時、大手人材派遣会社に契約社員のコーディネーターとして入社したことでした。入社当初は「転職を繰り返してきた自分の経験が活かせたら…という軽い気持ちで選んだ仕事だった」そうですが、自分と同じように「どんな仕事が自分に向いているのかわからない」「やりたい仕事が見つからない」と悩む派遣社員の声に耳を傾け、一緒に「自分らしい働き方」を見つけていく毎日にやりがいを感じるように。2年間の勤務後、これまでの実績が評価され正社員に。その後12年間に渡り、コーディネーター、営業、キャリアコンサルタントと着実に経験を重ねてきました。

しかし2015年の派遣法改正により「派遣社員は派遣先の事業所における同一の組織単位(部署)で、3年を超えて働くことができない」といういわゆる“3年ルール”が導入されることに。それを機に、派遣社員という枠を超えたキャリアサポートに携わりたいと一念発起。キャリアコンサルタントとして独立・開業、人材派遣会社時代の人脈を生かし、カウンセリング・講習活動を続けています。

キャリアカウンセラーとして独立後、藤原さんの“強み”となったのは、自身の転職経験、そして派遣会社での勤務を通じて「やりがい探しに悩む求職者の心情」や「さまざまな業界のリアルな内情」に精通していたこと。派遣スタッフを依頼される際にはどのような人材を求めるか、スキルだけでなく人柄まで細かくヒアリングするため、「統計として、どの業界でどのような人材が重用されるのか、経験とともに情報提供できるのは大きな武器になった」といいます。

また、藤原さん自身が20代後半まで自分のキャリアに悩み、失敗を繰り返した経験をもつことから、20代後半、30代になっても自分が進むべき道が見つからずに悩む人にも、決して「上から目線」になることなく、気持ちに寄り添うことができることもカウンセリングの指名・リピート率も増加させる大きな要因となりました。また「転職回数が多いことを“不利”だと考えるのではなく、『他の人よりも豊富な経験がある』と前向きに捉えること。そして20代後半、30代からのキャリア形成のための時間の使い方、人生設計の必要性などをお伝えするようにしている」という講演・セミナーは評判を呼び、企業や大学などの教育機関からの依頼も増えているのだとか。

また、コロナ禍によって対面でのカウンセリングや講習ができなくなり、時間に余裕ができたことを機にSNSやメルマガでの情報発信やカウンセリングも開始。それが「既存のお客様との関係継続だけでなく、新たなお客様との出会いにもつながった」といいます。さらにオンラインでのカウンセリングや講習も早くから取り入れたことで、東京近郊だけでなく、全国各地から講習の依頼が寄せられるように。20代の迷い・回り道を完全に払拭する順調なキャリアを作り上げています。

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出版を機にマナー講師から「経営コンサルタント」としてステップアップ

現在、フリーの経営コンサルタントとして社員研修やセミナー活動を展開している安田さん(女性・42歳)。しかし「会社員時代にはコンサルタントになりたいといった強い気持ちを持っていたわけではありません。むしろ自分にコンサルタントの肩書をもって活動できる能力やスキルがあるなんて、考えたこともなかった」と振り返ります。

安田さんは短期大学卒業後、社長秘書として大手マーケティング会社に入社。その後も人事や総務などのバックオフィス業務に従事し、経営コンサルタントとして「持っていると有利」だといわれる資格を有しているわけでもありません。しかし、彼女が秘書として仕えた当時の社長は、創業者として会社を急速に拡大させ、その後も多くの企業で社外取締役として活躍、何冊もの著書を出版している著名な実業家。カリスマ性の高い社長のもとで、より効率的に成果を出すための整理力、判断力、時間活用法を学び、実践することとなり、「この時に得た知識・スキルは今でも自分の大きな財産になっている」といいます。

「社長のもとで学んだのは、決して難しい理論ではなく、常に『相手がどう思うかを考えて行動する』ということ。どんな場面でもその視点を大切にすると、周りからの評価も大きく変わっていくのです」

その後、2人目のお子さんを出産したことを機に「家族の時間もしっかり確保したい」と20年近く務めた会社を退社した安田さん。その後、社長秘書だった経験を活かし、フリーのビジネスマナー講師として活動を開始、企業からの依頼を受け、新人研修やセミナーを開催するようになりました。そして、その活動を通じて多くのビジネスパーソンと触れ合う中で、「会社員時代、社長から鍛えられ“当たり前”のこととして実践してきた、仕事の進め方・考え方は、多くの方にとってこれまで考えたこともない、新しく、非常に興味深い知識であることに気づいた」といいます。

そこで安田さんは、会社員時代に身に付けたノウハウを「もっと多くの人に伝えていこう」と一冊の本にまとめて出版。マナー講座の参加者や各企業の人事担当者などを中心に「わかりやすい」「参考になる」と好評となり、増版となるほどの人気を集めました。

そして、その著書がある編集者の目に留まり、仕事の効率化や人材教育のノウハウ記事にアドバイザーとして登場し、監修を依頼されるなど、メディアでの活動も増えていきました。それによって、組織づくりや人材登用、営業ノウハウなど、多彩なテーマの講演依頼も寄せられるように。著書出版から5年が過ぎる頃には業務効率の見直しを図りたい企業からのコンサル依頼も増え、拠点である大阪を中心に、全国各地を飛び回るような状況となり、事務所を開設し、スケジュール管理や経理スタッフを置くほどの成長を遂げました。

「自分が幸運だったのは、社会人としてのスタートでカリスマ的な存在感を持つ上司と出会い、そのノウハウや考え方を早くから吸収することができたこと。そして身に付けたノウハウが決して“当たり前”ではないものではないのだと気づくことができた点も大きかったと思っています。正直、会社を退職し、フリーランスとなった時には、ここまで講演やセミナーが自分の活動の大部分を占めることになるとは思ってもみませんでしたが、今は、自分がお伝えするノウハウが多くの方のお役に立ち、喜んでいただけていることに大きなやりがいを感じています」

コロナ禍で講習やセミナーが軒並み中止となり、安田さんも順調だった活動がストップするなどの影響を受けましたが、それによってできた時間を活用して、2冊目の著書を執筆、発刊。その結果、「新たなお客様からのセミナー依頼も増えてきた」という安田さん。家庭と仕事を見事に両立しながら、さらに活躍の場を広げ、充実した毎日を過ごしています。

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「自分の意見が通らない」ジレンマを独立・開業で解決!

フリーランスの財務・会計コンサルタントとして活躍する山口さん(男性・38歳)は、大学で経済・会計学を学んだ後、新卒で中堅クラスの会計事務所に就職。入社4年目を迎える時には公認会計士の資格も取得、着実にスキルアップを続けていました。

彼が入社した会計事務所は、設立から40年以上の歴史を持ち、その伝統と実績で安定した経営を維持している反面、年功序列の文化が色濃く残っており、どんなにスキルを磨いても若手社員にはなかなかチャンスが回ってきません。入社時からさまざまな企業の決算や監査に関わることができ、着実に知識を磨くことに魅力を感じるものの、徐々に「ただ上司の指示で任された業務をこなしていく」毎日に、マンネリを感じるように。煩雑になりがちな業務をまとめるため、新たな手法やソフトの導入を提案することもありましたがなかなか意見を受け入れてもらえない、稟議に時間がかかりなかなか次のステップに進むことができないなど、「年次を重ねるごとにストレスを感じる場面が増えた」といいます。

公認会計士の資格取得を急いだのも、「それによって社内での立場、発言権が少し上がるのではないかと考えた」からだったのですが、勤続20年を超えるスタッフも多い環境の中では、「資格手当で給与が少し上がった以外、何一つ変わらなかった」と振り返ります。

入社後、さまざまな業務に関わる中で、会計士としての監査や税務といった業務よりも、システムの導入や経営計画などの提案といったコンサルタント業務に興味・やりがいを感じるようになっており、「担当企業に向けたアドバイスや改善案にも参加したいという希望を上司には伝えていた」そうですが、その都度、「まずは財務や会計の基礎をしっかり身に付けることが先決」だと諭されることの繰り返し。

また、日々の業務は上司を含めたチームで取り組むことが大部分であったため、会議などで改善策などを提案することがあっても、「チームリーダーによって必要なしと判断され、検討事案に上がることもなく廃案なることがほとんどだった」といいます。

「もちろん最初から大きなプロジェクトを任され、自分の意見が採用されることは難しいことだということも、どの業界でも“下積み”の期間があるということは理解していたつもりです。でも新しいことに挑戦する、自分の提案が採用されるチャンスすらほとんどないという時間が長くなるにつれ、モチベーションを維持することが難しくなっていきました」

そこで山口さんは、独立・開業をめざし、まずは自分がこれから身に付けるべき資格・スキルがないかを客観的に見直し、「今は独立して活動できるほどのスキルも知識もない」と冷静に判断。さらにこれまで全く知識も経験もなく「むしろ苦手だと思っていた」IT系のスキルを磨くことを決意し、コロナ禍でリモートワークが推奨され、時間に余裕ができたことを機に、スクールに入校。プログラミングの基礎を学ぶことにしました。

「今はどの企業もIT導入が進んでいて、例えば社内でも監査システムの仕組みがわからず、エンジニア経験のあるスタッフを頼りながら業務を進めている状態だったので…プログラミングの知識を持つことで、仕事の幅がもっと広がっていくはずだと考えたのです」

実際、プログラミングの知識を身に付けたことで「これまでは人に頼らないと進められなかった業務が自分の力で解決できるようになり、時には上司から頼られるなんて場面も増えていった」という山口さん。最初は「エンジニアになるわけでもないし、1年程度勉強すればいいかな…と思っていた」そうですが、勉強すればするほど自分の“武器”になると実感、今でもそのスキルを磨き続けています。

そして山口さんは今、会計事務所時代の取引先だった物流会社と業務委託契約を結び、財務・会計コンサルタントとして関連会社を含めた3社の業務効率化に取り組んでいます。独立・開業してまだ1年足らずですが、「自分の考え、アイデアをお客様に伝え、一つひとつ形にしていく過程が楽しく、毎日が本当に楽しい」と話します。

思うように仕事を進めることができず、「公認会計士の資格もあるし、まずは独立してから身の振り方を考えようかと思ったこともありましたが、現状の不満から“逃げたい”といった負の感情で行動するのは、マイナスの結果しか生まない気がして…。今、振り返ってみれば、独立・開業のために自分に足りないものは何かを冷静に考え、行動したことが今につながっていると思います」

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・・・いかがでしょうか。

今回、フリーランスコンサルタントとして成功を遂げた3名の先輩コンサルタントの実例をご紹介しました。彼らは皆、自分の経験の中にある武器・売りを冷静に見つめ、足りないものを補いながら成功を掴んでおり、最初から特別なスキルや経験が備わっていた…というわけではありません。

最初に登場した藤原さんのような「何度も転職を繰り返した」経験や、安田さんのような「カリスマ性の高い社長からノウハウを学んだ」経験などは、人によっては自分にとって不利な経歴だと考える、単なる若い頃の思い出として処理してしまう可能性もあります。また目の前の仕事への不満に耐えられず、山口さんのような「振り返り」をすることなく、自分のスキルを過信し、独立ありきの行動をとってしまう人も少なくありません。自分の経験や能力を冷静に見つめ、それを活かすための行動ができたからこそ今の成功があります。

「自分の力」で生き抜くフリーランスとして活動を続けるためには、他の人にはない自分の強みはどこか、逆に自分に足りない部分は何かを客観的に見極める「冷静な目」を持つのはとても大切なこと。これから独立を考えている、独立したもののなかなか成功のチャンスがない…とお悩みなら、まず一度自分のキャリアをじっくりと見直し、自分の強みと弱みを把握することから始めてみてはいかがでしょうか。