フリーランスとして成果を出したときには、単価アップをしたいと考えるのは当然です。しかし単価アップの交渉をする際には、タイミングとトーク術が大切です。タイミングを逃してしまうと、単価アップのチャンスも無くなります。
また、タイミングが良くても伝え方を間違えれば、単価アップは認められないでしょう。そこでこの記事では、単価アップのタイミングと必要なトーク術7選を紹介します。
単価アップはタイミングとトーク術で決まる!
単価アップにはタイミングとトーク術が非常に重要です。まずはタイミング。取引先が単価アップをしてもいいよと考えている時に話をするべきです。このタイミングがズレると、単価アップができないばかりか、取引先に悪い印象を与えかねません。
またトーク術も大事です。私は単価アップを切り出す際の話し方が駄目で、取引先の印象が悪くなったことがあります。自分なりには成果を出せていたのですが、先方の考えとは違ったようです。こうしたすれ違いは、実際の成果を数値で示してから話をすることで改善できます。
別案件では、私は他の業務委託先と比べて、成果が出ていることを数値で示せたので、単価アップの打診をしたらすぐに応じてくれました。このように単価アップに適したタイミングとトーク術を知るだけで、成功する可能性は高まるわけです。
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単価アップを切り出すタイミングとは
単価アップを切り出すタイミングとしては以下の5つが考えられます。成果が出た際にどのタイミングで単価アップを切り出せば良いか考えましょう。
契約更新をするとき
契約更新をするときは単価アップをしやすいです。たとえ単価アップに繋がらなかったとしても、話をしてみるタイミングになります。私は契約更新時に単価アップだけでなく、条件面での確認もしています。改めて業務内容はどこまで含まれるのか、毎月の仕事量、報酬、契約期間の確認などをしています。
また実際に企業側としてどのように評価しているか聞いても良いでしょう。もしあまり評価されていないのであれば、具体的に何がどう足りないのかを聞いて、次回、単価アップできるように行動を起こし、成果を出して交渉材料にしましょう。
契約更新の場は、単価や条件も含めて、依頼された仕事の評価、そして自分のスキルアップにつながる意見を交わす最良の場です。その場を有効に活用しましょう。
仕事量が増えた時
仕事量が増えた時も単価アップを切り出すタイミングです。特に単に仕事量が増えただけでなく、別のスキルを必要とする仕事が増えた場合です。なぜなら引き受けた仕事とは違った業務もするわけですから、単価アップを切り出してもおかしくないからです。
取引先としても、特別なスキルを必要とする仕事を新たに依頼しているわけですから、単価アップを言われても違和感はないでしょう。
ただ取引先が仕事量を増やしたという意識が無い場合はトラブルが起こります。そうしたトラブルが起きる原因は、業務の範囲を契約時に明確にしていないからです。そのため取引先としては依頼した業務の範囲内だと思ってしまうわけです。
例えばシステム開発で、ただ仕様書に沿ってプログラミングをする下流工程と、開発の初期から関わり、マネジメント能力も必要な上流工程では全く違います。
この問題でよく揉めているフリーランスの知人がいます。契約時に業務の範囲をしっかりと決めた上で、特別なスキルを必要とする仕事を依頼したと取引先にも分かるようにしておきましょう。
プロジェクトが変わる時
プロジェクトが変わる時も単価アップのタイミングです。すでに別の案件で成果を出しているわけですから、違うプロジェクトが始まる際には、以前よりも単価を上げてもらえる可能性は高いです。
私も別のプロジェクトが始まるときに単価について確認するようにしています。単に単価が上がるだけでなく、仕事の役割面や条件面をよくしてくれる場合もあります。例えば今まではプログラミングするだけだったのが、プロジェクトの中心メンバーにしてもらうなどです。
仕事も増えるので、単価も上がるというだけでなく、上流工程の経験も積めるわけです。こうした経験はフリーランスにとって重要で、別の企業の仕事にも生かせます。プロジェクトが変わる際には、単価アップについて相談する場を設けてもらいましょう。
新たなスキルを得た時
新たなスキルを得た時も単価アップのタイミングとなります。成果を出したとしても、なかなか単価アップは切り出せないものです。しかし資格や新たなプログラミング言語、スキルなどを取得してスキルアップが明確になれば、それをきっかけに単価アップの話もできるでしょう。
普段から新たな資格やスキルを得るということを依頼企業に伝えておくと、話がさらにスムーズになります。
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年度予算を決める時
年度予算を決める時も単価アップを切り出すタイミングです。成果が出たとしても年度予算が決まっているので、即座の単価アップは難しいことが多いです。そこで年度予算を決める時、つまり年度末の半年位前には来年度以降の単価アップを提案します。
予算を組めるタイミングで成果が出ているのであれば、単価アップを認めてくれる可能性は高いです。企業によって異なりますが、早いところは8ヶ月位前から、多くは半年位前から次年度の予算の検討を始めます。
率直に担当者に聞いてみて、年度予算に合わせて単価アップを企業内で検討してほしい旨を伝えておきましょう。
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単価アップに必要はトーク術7選
単価アップにはタイミングだけでなく、トーク術も必要です。どれほどタイミングが良くても、トーク術が上手くなければ成功しません。ここでは単価アップに必要なトーク術として7つ紹介します。
相談から始める
単価アップをしたいという想いだけが先行して、いきなり「単価アップしてください」では上手くいきません。まずは相談という形で、単価アップについて担当者と話をしてみましょう。
成果がしっかりと出ていれば、担当者としても単価アップを考えていることもあります。また単価アップといってもいきなり単価の数字を示すのではなく、単価を上げられないかの相談から始まり、どれくらいなら可能か、いつからなら上げられそうかと聞いてみましょう。
いきなり大幅な単価アップは難しい場合も多いので、相談ベースで取引先の考え方を聞くようにしましょう。
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一般的な相場など資料を示して交渉する
一般的な相場などの資料を示して話をする必要もあります。およその単価はネットで調べれば出てきます。一般的にこの仕事でこのスキルであれば○○円という資料を使いながら、話してみましょう。
成果が出ているのに一般の相場よりも安いのはおかしいと、先方が思ってくれることもあります。私もおおよその相場観は知っているので、単価交渉はしやすいです。単価アップだけでなく、今後の案件のためにもウェブなどで調査をして資料をまとめてみましょう。
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成果を数値で示す
成果が出ているといっても、それを数値化できなければ説得力がありません。ウェブマーケターであれば、PV数やコンバージョン率の変化を示せます。
実際に自分が関わった事業の売上や収益等がどれぐらい変わったのかについても、担当者に聞けば教えてくれるはずです。そうした資料が単価アップの交渉に役立ちます。また成果を集めておくと、次の案件にも役立ちます。別の取引先の案件でも成果として示すことで、案件獲得に繋がるわけです。
依頼先のメリットを示す
単価アップで得するのはフリーランスだけだとなかなか説得できません。単価をアップすることで、依頼先にどのようなメリットがあるのか示しましょう。ポイントとしてはただ単価アップを要求するだけにしないことです。
「○○という仕事もプラスするので、単価を○○にしてください」と交渉するわけです。例えばウェブマーケターであれば、リスティング広告だけでなく、SNS広告の運用もするので、単価を○○円にしてくださいと言えます。
仕事量も増えるのですが、その分、単価もアップしてプラスにできるわけです。こうすることで、依頼先にもメリットがあります。自分にできることで依頼先にプラスになることを積極的に提案して、単価アップに繋げていきましょう。
他社の案件の事例を出す
自分が請け負っている他社案件の事例を引き合いに出すのもひとつの方法です。同じ人が同じ業務をしているのに単価に開きがあることを理解して、単価アップに応じてくれることもあります。その際に他社案件でも成果を出していることについて伝えておきましょう。
自社案件でも他社案件でも成果を出しているフリーランスは優秀だと理解してくれるはずです。他社よりも低い単価を上げてくれるきっかけとなるでしょう。
いくらぐらいまで単価をあげられるか聞いてみる
単価アップはしたいけれども限界があるというのが殆どです。あまりにも高い単価を言われてしまうと、断るしか無くなってしまう場合もありますし、先方の心象が悪くなってしまいます。自分の要求額とは違うかもしれませんが、率直にいくらぐらいの予算でいくらまでなら出せるのか聞いてみましょう。
意外と予算について教えてもらえるクライアントは多く、自分の単価の根拠が分かる場合もあります。こうしたやり方で、担当者に単価アップについて相談してみましょう。
エージェントがいる場合は相談する
単価アップの交渉は、慣れていてもなかなか難しいものです。タイミングよく切り出すのが苦手という方もいるでしょう。そこでもしエージェントがいる場合は、エージェントに相談するのも良いです。
私はエージェントを通して契約することもあり、単価交渉は全て行ってくれます。そのため取引先と揉めることもなく関係性もスムーズで非常に助かっています。そもそも交渉が苦手という人は、エージェントがいるフリーランスのマッチングサイトを利用するのが良いでしょう。
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単価アップの提案で気をつけるべきこととは
単価アップを提案する際にはタイミングとトーク術以外に、気を付ける点があります。以下の3つの点をもう一度確認してから、単価アップの提案をしましょう。
信頼関係が築けているかどうか
成果が出ていたとしても信頼関係が築けていない場合は単価アップに応じてもらえません。例えば普段の連絡が遅かったり、納期の遅れることが多かったりすると、依頼先としては信頼できないでしょう。
普段のコミュニケーションは特に大事です。メールの返信を早くするだけでも、相手からの信頼度は違います。また納期も重要です。遅れる場合でも事前にしっかり連絡できるかどうかがポイントです。まずは信頼関係を築くように努めましょう。
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客観的に成果を出しているかどうか
成果を出していると思っているのは自分だけという場合もあります。前述したように取引先を説得するためには、数値化が必須です。つまり数値化できるだけの成果が出ているのかどうかがポイントなのです。
また数値化できたとしても、自分が思っている成果と取引先の要求していた成果が違うということもあります。例えばウェブマーケターが、PV数が増えたことを成果として伝えると、取引先からはコンバージョン率の改善までしてほしかったと言われることがあるわけです。
このふたつは密接に関係しているのですが、依頼先はPV数を増やしただけでは成果としては不十分だと考えていたのでしょう。こうした齟齬はプロジェクトの最初からあったはずです。何を成果とするのかを最初から頻繁に依頼先とすり合わせて明確にしておきましょう。
相場よりも安いか高いか
企業側もおおよその相場を調べて、あなたに仕事の依頼をしているはずです。そのため相場よりも安いか高いかの判断のできる人は多いです。ただフリーランスに依頼した経験が少ない企業側もあるため、相場は調べて提示できるようにしておきます。
相場よりも安いために単価をアップしたいと提案することは理解されやすいです。しかし相場よりも高い単価を要求する場合は、その価値を示さなければなりません。その価値は成果でしょう。他のフリーランスに比べて、今までの実績を含め、いかに自分の方が成果を出せているかについて示していく必要があります。
相場よりも高いからといって単価アップをお願いしてはいけないというわけではありません。その価値に見合った仕事ができることを示していきましょう。
まずは仕事で成果を出そう!
ここまで仕事で成果が出せたときに、どのようなタイミングでどのように単価アップについて話すかについて解説してきました。あくまでも前提は仕事で成果が出せていることです。フリーランスとしてまず成果を出すことを目指しましょう。
またその成果を数値化する必要もあります。成果を数値化しなければ、依頼先にも成果が出ていると理解してもらうのは難しいでしょう。依頼先とのコミュニケーションを取りながら、成果を数値化し、単価アップのタイミングを図っていきましょう。