フリーランスという働き方を考えたとき、どのくらいの年収になるのかは気になる事柄の一つ。自由な働き方ができても、十分な収入を得られなければ、経済的には不自由になってしまいます。
今回はフリーランスの平均年収がどの程度なのか考察し、平均年収以上に稼ぐ方法を解説しています。
フリーランスの平均年収は200万円って本当?
国税庁の民間給与実態統計調査(令和3年分)では、給与所得者の平均年収443万円でした。フリーランスになるなら、これと同等またはそれ以上の年収になりたいと考える人がほとんどではないでしょうか。
フリーランスの年収について調べていると、平均は200万円と記載しているものも見かけます。これを見ると「フリーランスになっても思ったように稼げないのでは」と、不安になる人もいるでしょう。
内閣官房の「フリーランス実態調査(令和2年5月)」では、主たる生計者(家計を支える者)が本業として行なうフリーランスの年収は、200万円以上300万円未満の割合がもっとも多くなっています。また、200万円未満・100万円未満の割合もそれぞれ16%となっているので、稼げていない人が多い印象を受けます。
フリーランスの年収 | 主たる生計者が本業として行なう | 主たる生計業者以外が本業として行なう | 副業として行なう |
100万円未満 | 16% | 47% | 74% |
100万円以上200万円未満 | 16% | 26% | 13% |
200万円以上300万円未満 | 19% | 14% | 4% |
300万円以上400万円未満 | 16% | 6% | 3% |
400万円以上500万円未満 | 12% | 3% | 2% |
600万円以上700万円未満 | 8% | 1% | 0% |
700万円以上800万円未満 | 4% | 0% | 1% |
800万円以上900万円未満 | 2% | 0% | 0% |
900万円以上1000万円未満 | 2% | 0% | 0% |
1000万円以上 | 4% | 1% | 1% |
※内閣官房日本経済再生総合事務局「フリーランス実態調査結果(令和2年5月)」をもとに作成
平均年収の低さはフリーランスの急増も影響している
フリーランスの年収についての調査結果が低い水準になっている背景には、近年フリーランス人口が増加している点も考慮する必要があるでしょう。
クラウドソーシングサービスの大手・ランサーズでは「新・フリーランス実態調査 2021-2022年版」を発表しており、それによると2015年と比較してフリーランス人口は640万人増加しています。
フリーランス独立直後では、収入が安定せず、会社員時代と同等に稼げないケースも珍しくありません。仕事が軌道に乗りきっていないフリーランスも調査結果に含まれていると考えれば、年収が低い人の割合が多くなるのも理解できます。
独立直後は厳しいけれど伸びしろもある
フリーランスになった直後は、収入が安定せず、軌道に乗せるのは難しいものです。中には、やむを得ず廃業して会社員に戻る選択をする人もいるでしょう。
フリーランスのポータルサイト「フリーランス名鑑」では、フリーランス1年目の年収について調査しています。その結果によると、1年目は8割以上の人が年収200万円以下と回答していました。
参考:フリーランス名鑑
このように、独立直後は思ったほど収入を得られないケースは珍しくないので、フリーランスになるならしっかりと計画を立て、収入が不安定な時期を乗り切るための蓄えも必要です。
また、内閣官房の調査では、300万円以上・400万円以上という人の割合もそれぞれ10%以上存在しており、「今後もフリーランスとして働き続けたい」とする人の割合は78.3%。さらに「今後は受ける仕事を増やす予定」としている人は46.2%となっているので、今はフリーランスの年収平均が低い水準でも、今後は伸びしろがあるのではないかと考えられます。
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平均年収以上を稼ぐフリーランスになる方法
現状、フリーランスの年収は200万円~300万円がボリュームゾーンとなっており、平均年収が高いとは言えません。しかし、フリーランスはスキルや実績次第で収入を増やしやすい働き方でもあります。
ここからは、平均年収以上を稼げるフリーランスになる方法について解説します。
稼ぎやすい仕事を選ぶ
仕事の数が少なく、単価の低い仕事、つまり稼ぎにくい仕事を選ぶと、平均年収より多く稼ぐのは難しくなります。稼ぎやすい仕事であるかは、次のポイントで考えると良いでしょう。
- 高単価を狙えるか
- 需要が高いか
- スキルや実績を活かせるか
- 興味を持って続けられるか
- 苦手なことでないか
それぞれ、順番に解説します。
高単価を狙える仕事
稼ぎやすい仕事は高単価を狙えるかが重要です。それには、価値に見合った対価を支払ってくれる相手と仕事する必要があるでしょう。
どんなに優れたスキルを持ち、高い価値を提供できるフリーランスであっても、仕事の分野が衰退傾向ではクライアントが出せるお金が限られます。また、同じ分野の仕事でも、潤沢な予算を持っているクライアントの仕事を受けた方が、より報酬アップを見込めるでしょう。
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需要の高い仕事
今後需要が見込まれる仕事を選んだ方が、年収アップしやすいでしょう。いち早くトレンドに乗って需要の高い仕事の先駆者になればアドバンテージを取れます。
どんな市場に人気が集まっているか、自分の仕事に取り入れられる要素がないかを考え、反映させましょう。
自分のスキルや実績を活かせる仕事
これまでの職歴や得意を活かせる仕事なら、フリーランスになった直後でも高単価で受注しやすくなります。自分のスキルや実績がフリーランスの活動でも有用なら、活用しましょう。
やりがいも大きくなり、高いモチベーションを保って仕事にあたれます。
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興味を持って続けられる仕事
フリーランスの仕事では、興味を持って取り組めるかも重要なポイントです。興味を持っていれば自然と仕事に熱が入り、クライアントからの評価や信頼も得やすくなります。
実績と信頼を積み上げると同時に、仕事を通じてスキルアップできるので、収入にも反映されやすくなるでしょう。
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苦手ではない・苦にならない仕事
自分の得意・興味を持っていることがピンとこなくても、苦にならない仕事内容なら続けやすいでしょう。収入を上げるには、こうした分野に目を向けるのも一つの方法です。
好きなことを仕事にして大きく稼ぐのは簡単ではありません。好きなこと・得意なことが高単価な仕事にならなかったり、そもそもビジネスとしての需要が見込まれなかったりするのはよくあることです。
苦手と感じずに続けられる仕事なら、携わるうちに興味が湧き、実績を得られる成功体験から好きになっていくこともあるでしょう。その他の仕事にプラスして新しい価値提供ができれば、単価アップの材料にもできます。
フリーランスとしての価値を高める
稼ぎやすい仕事を選ぶと同時に、自身の価値を高めることも大切です。フリーランスの価値はスキルだけでなく、対応できる仕事の幅やクライアントからの信頼も評価のポイントになります。
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積極的にスキルアップする
優れた実績を持っていても、目新しさに欠けると業績が停滞することもあります。主流となる技術の入れ替わりが激しい分野や、トレンドの変化が大きい分野の仕事では、常に最新の情報をキャッチして対応できる状態でないと、取り残されてしまうでしょう。
フリーランスとしての価値を高めるなら、こうした市場の変化にも柔軟に対応し、求められるスキルを常に身につけておく必要があります。
今、何が求められているか、これから必要とされるのはどんな能力かを知り、スキルアップを継続させましょう。できることが増えれば、アピール材料になり、報酬アップや新しい仕事を受注するきっかけになります。
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様々な案件に挑戦する
スキルアップと並行して考えたいのは、仕事の幅を広げる挑戦です。今、案件が豊富にある分野でも、今後は市場環境や規模が変わる可能性もあるでしょう。
状況が変わってから新しい取り組みを始めるのではなく、それ以前からできる仕事を増やしておくと、いち早く対応できます。
一つの分野に特化して強みを持つのも重要ですが、時にはその周辺領域などに目を向け、可能性を広げられないか考えておきましょう。
クライアントの信頼を得る
フリーランスの価値は期待以上の結果を出せるスキルが重要であるとともに、誠実な対応ができるかも重要です。能力が高くても対応が不適切であると、信頼を得られません。
- クライアントの利益を考えた提案
- 相手の理解を得る適切なコミュニケーション
- 仕事に対して謙虚に、真面目に取り組む姿勢
一見、仕事のスキルとは関係ないようにも思われがちですが、こうした対応の善し悪しが信頼に繋がります。信頼できない相手から単価交渉や高額な報酬を求められても、クライアントは応じてくれません。最悪、契約を打ち切られる恐れもあります。
収入を増やしたいと考えるなら、結果を出すとともに、長くつき合いたいと思われる対応を心がけましょう。
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売上と経費を意識する
意外と見落としがちなのは、売上と経費への意識です。どんなに売上を伸ばしても、経費がかさむと収入は増えません。
フリーランスは経費計上による節税がしやすいと思われていますが、売上から差し引かれる経費が増えるほど収入は減ります。また、経費計上の度が過ぎると、税務調査で追及される恐れも。
売上に対して妥当な額か、適切な内容であるかも考えて、経費を使いましょう。
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ポイントを押さえて平均年収以上稼げるフリーランスに
フリーランスの平均年収と、それ以上に稼ぐポイントについて解説しました。
現状、調査結果から見られるフリーランスの年収は、200万円から300万円という人の割合が多く、あまり稼げていない印象があるでしょう。しかし、ここ数年でフリーランスになる人も増えており、事業が軌道に乗りきっていないために収入が低くなっている人も多いとも考えられます。
フリーランスになって生計を立てていくのは難しい部分もありますが、努力次第で大幅に収入を伸ばすことも可能。平均年収以上に稼ぐためのポイントを押さえ、納得できる収入を得られるフリーランスになりましょう。