高いスキルで企業の課題を解決していくコンサルタント。就活生や転職者からも人気の職業ですが、求められるスキルが高く、幅広いため、コンサルタントを目指すことに二の足を踏んでしまう方も少なくありません。
本記事では、コンサルタントを目指している方に向けて、コンサルタントに求められるスキルを9個に絞って詳しく解説しています。「なぜそのスキルが求められるのか」という実務面も交えて解説しているため、働く際のイメージを膨らませたり、不足するものは「リスキリング」も考慮にいれながら読み進めてみましょう。
そもそもコンサルタントとはどんな職業?
コンサルタントの語源はconsult(相談する)に由来し、企業の困りごとや直面している課題に対して相談に乗り、解決策を提示したり、解決に向けた施策の音頭を取ったりすることです。そのため、対応する業務の幅は多岐にわたり、豊富な知識や経験が求められます。
コンサルタントの中には様々な種類があり、経営全般に対応する経営コンサルタントや、新規事業の立ち上げをサポートする新規事業コンサルタント、財政面をケアする財務コンサルタントなど、企業が直面する課題の数だけ専門のコンサルタントが存在するのです。
こうした専門のことを「領域」と呼び、これからコンサルタントとして働きたいと考えている方は、まずは「自分はどの領域でコンサルタントとして活躍するのか」を考えることが大切です。
例えば財務コンサルタントと新規事業コンサルタントは、どちらもコンサルタントという名を冠していますが、実務で扱う内容は大きく異なります。また、求められるスキルや知識も一部を除いて大きく異なるため、早いうちから自身の専門性に磨きをかける必要があるでしょう。
コンサルタントの業務内容とは?
コンサルタントの業務内容は、先述したように企業の困りごと(課題)の原因を見つけ、分析や把握を通して解決策を見い出し、実際に施策を実行することです。
細分化すると、以下のような流れで業務を進めます。
- クライアント企業にヒアリング
- 課題の分析や把握
- 課題が生じている原因の究明
- 因果関係をもとに解決策を立案
- 具体的な実行プランを作成し、提案
- 同意のもと施策の実行と効果の測定
大まかにこうした流れで業務を進めますが、場合によってはクライアント企業に出向し、企業のメンバーをまとめながら施策を進めることもあります。
社外の人間として関わるポジションでありながら、上手くコミュニケーションを取って施策を成功させなければならず、コンサルタントに特有の距離感で業務を進めるコミュニケーション能力やマネジメント能力が求められるでしょう。
こうした実務に基づいて、コンサルタントには様々なスキルが求められます。以下の章ではコンサルタントに求められるスキルについて、詳しく紹介しましょう。
コンサルタントに求められる9つのスキル【リスキリング参考】
コンサルタントに求められるスキルは、主に以下の9個と言えます。
- コミュニケーション能力
- マネジメント能力
- 論理的思考力
- プレゼンテーション能力
- 洞察力
- 質問力
- 責任感
- 精神力
- 体力
それぞれ詳しく見ていきましょう。
コミュニケーション能力
コンサルタントは社内外の様々なステークホルダーと関わりながら業務を進めるため、コミュニケーション能力が求められます。
一般的に言うコミュニケーション能力が「人と仲良くなる力」だとすれば、コンサルタントに求められるコミュニケーション能力は「人に伝える力」や「人に伝えてもらう力」。伝えるだけでは不十分で、人に伝えてもらう力も非常に大切です。
先述したように、コンサルタントは社外に深く関わり、その中で施策を実行するシーンが多いですが、関係性が薄い中でもクライアント企業のメンバーと忌憚ない意見を言い合えるようにならなければ、成果には繋がりにくいと言えます。
こちらの意図を伝えることに注力するあまり、双方向のコミュニケーションが取れなくなってしまうと、最も大切な信頼を失ってしまうことも。傾聴も含めた高いコミュニケーションスキルを身に付けて、実務をスムーズに進められるコンサルタントを目指しましょう。
マネジメント能力
コンサルタントとして実務に関わる際は、自社のチームメンバーやクライアント企業のメンバーを指揮しながら業務に当たるケースもよく見られます。こうした際にどっしりと構えて人と協働するには、マネジメント能力が欠かせません。
細かく見ればマネジメント能力とは「適材適所を見抜く力」「折衝する力」「責任を持つ力」と言い換えられます。それぞれ「洞察力」「コミュニケーション能力」「責任感」と同義で、つまりマネジメント能力とはいくつかの能力を併用した能力と言えるでしょう。
マネジメント能力を身に着けようとするのではなく、まずは基盤となる能力をしっかりと身に付け、そのあとにマネジメントの経験を積むことで、マネジメントのための能力の使い方が身に付きます。
このフェーズになって初めてマネジメント能力が備わるため、洞察力やコミュニケーション能力、責任感を意識しながら日々の業務や生活をこなしましょう。
論理的思考力
コンサルタントの実務では課題の原因を探ったり、解決策を導き出したりすることが多く、論理的思考力が重宝されます。もし論理的思考力がなければ的外れなコンサルティングを提供してしまい、クライアントからの信用を失ってしまうため、非常に重要なスキルです。
非コンサル職の方がコンサル的な論理的思考力を鍛える方法として、実際にモデルケースとして企業の経営課題と向き合ってみることをおすすめします。原因を何と捉えるか、どのような提案をするのか、といった思考過程は、そのまま実務に活かせる経験になるでしょう。
日々の生活ではクリティカルシンキングを意識することをおすすめします。クリティカルシンキングは批判的思考とも呼ばれ、コンサルタントのみならず、課題解決に活きる重要な思考法です。
何らかの物事や事象を「そうなのか」と受け入れるのではなく、「本当にそうなのか?」「別の角度から見るとどう映るのか?」といった多角的な視点を取り入れながら検討することを指し、主観的な認識よりも論理的・客観的な結論を導き出すのに有用と言えます。
コンサルタントを目指す方はぜひ日頃からクリティカルシンキングを取り入れて、生活に潜む「曖昧さ」に向き合う癖を付けてみましょう。
プレゼンテーション能力
コンサルタントはクライアント企業の責任者や経営者といった決済権を持つ人物と協働しながらプロジェクトを進めますが、こうした意思決定権を持つ重要な人物に提案を受け入れてもらうためのプレゼンテーション能力が欠かせません。
プレゼンテーション能力に乏しいと、せっかく有効な解決策を導き出しても、その真意や効果が伝わらず、同意が得られない可能性があります。場合によっては意思の疎通が図れず、クライアントからの評価を落としてしまうことも。
導いた結論を分かる形に変換し、正しく伝えるためのプレゼンテーション能力は、コンサルティングをスムーズに進めるうえで非常に重要です。普段から他人に説明するときに「その人の視点に立ちながら説明する」癖を付けておくのが良いでしょう。
洞察力
相手が何を考えているのか、どんな気持ちなのかを察する「洞察力」もコンサルタントには重要なスキルです。クライアントすら気付いていないところに課題の本質が潜んでいることも多く、こうした本質を見抜くために洞察力は非常に大切。素直に言葉に現れない原因も踏まえて対処できるのが優秀なコンサルタントです。
洞察力を磨くには、他人と関わるなかで生じた違和感や直感を見逃さないようにするのが大切。自分はなぜ違和感を感じたのか、相手の言動のどこに違和感があったのか、という細かな部分に目を向け、質問できる相手であれば「今はこういう意図で発言した?」「こういう気分になってる?」というように本質的な質問をぶつけてみるのも良いでしょう。
洞察に自信が持てれば、相手の言葉の裏側にある真意にも注意を向けやすくなり、コンサルティングに活かせるスキルが身に付きます。
質問力
コンサルタントに求められるスキルとして、質問力が挙げられます。洞察力と被る部分もありますが、洞察によって得た感覚を確かめるために適切な質問を投げかけられれば、言葉に表せないほど深いところにある課題の本質にも手が届くようになるでしょう。
課題の本質を見抜けるようになれば、コンサルタントとしてのバリューも飛躍的に向上するため、質問力は非常に大切なスキルです。
質問力を鍛えるためには、質問の型を把握しておくことが大切。大きく「横に開く」「縦に掘る(戻る)」質問に分けられます。
横に開く質問は「猫は好き?」という質問の後に「じゃあ犬は?」と尋ねるようなタイプですが、縦に掘る質問は「猫は好き?」という質問の後に「どこが好き?」と尋ねるようなタイプを指します。
どちらも使いこなせるようになると、クライアントが抱えている課題をより明瞭に把握でき、クライアント自身も気付いていなかった課題の本質に、質問を通して迫れるようになるのです。普段から意識し、質問の型を取り入れてみましょう。
責任感
コンサルタントには、最後まで投げ出さずに責任を持ち、業務を完遂する責任感が求められます。コンサルタントの業務は地道な仮説の立案や検証が多く、心身が疲弊することも少なくありません。
こうした厳しい状況の中でパフォーマンスを落とさず、最後までクライアントに寄り添うためには、根性よりも責任感のほうが重要です。責任感は「自分事」として捉えることと言い換えられますが、クライアントの課題を自分事として捉え、最後まで向き合う姿勢が大切。
責任感を持つには、自分がこの課題を解決するんだ、という意志だったり、自分の能力や裁量に自信とプライドを持ったりする必要があります。
普段から責任感を養うためにも、日々の生活で投げ出したくなったり諦めそうになったりした際には、自分への期待を捨てず、やり切った先にある「成功した未来」を明確に描きながら踏ん張ることを心がけましょう。
精神力
コンサルタントは厳しい状況下でも高いパフォーマンスを維持する必要があります。ここで求められるのが「精神力」です。厳しい状況とは、成果が上がらずクライアントからプレッシャーを感じる状況や、長い労働時間に心身がすり減っていく状況などを指します。
精神力がなく、プレッシャーやメンタルの減耗に耐えられないと、最悪の場合は頑張りすぎて心を壊してしまったり、身体を壊してしまったりする可能性があります。
そもそも精神力を高めるには厳しい状況に自分を晒し、最終的に成功体験に変えるというステップが必要なので、短期的に鍛えることは難しいでしょう。そのため、ストレスへの耐久性を高めるのと同時に、ストレスの緩和方法も身に付けておくのが良いでしょう。
ストレッサー(ストレスを与えてくる存在)が何なのか、何をストレスと感じるのか、といった構造を把握するだけでも精神的には余裕ができるため、普段から自分の心を整理する癖を付けておき、コンサルタントとして厳しい局面に立たされてもセルフケアができるように備えておくことをおすすめします。
体力
コンサルタントは長時間の勤務や拘束が多い職業です。体力的にも厳しい状況に立たされることは少なくありません。パフォーマンスを落とさずにやり切るには、体力も必要不可欠。
運動や睡眠、食事の管理などにも気を配り、体力が衰えないような生活習慣を身に付けておくとよいでしょう。
コンサルタントという職業に共通して求められるスキルを紹介してきましたが、一方でコンサルタントと一口に言っても、対象とする領域によって多岐に亘る職種が存在し、求められる知見やスキルは変わります。
下記では、様々なコンサルタントの特徴について解説していますので、ご自身の目指す方向性に併せてご覧になり理解を深めて下さい。
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コンサルタントになるには?
実際にコンサルタントとして活躍するには、大きく2つの方法があります。それぞれ見ていきましょう。
新卒者の場合
大学や大学院を卒業し、新卒でコンサルタントになる場合はコンサルティングファームに入社しましょう。また、煤みたい領域が決まっている場合は、その領域に合わせて入社先を選ぶことが大切です。
新卒者にとって難関になるのが、入社試験として課される「ケース面談」です。実際の実務を想定し、アドリブでコンサルティングを行わなければなりません。知識を詰め込むのではなく、どのように使うかが問われるこの試験に苦労する方が多いため、日頃から課題解決に向けた思考を身に付けておくようにしましょう。
転職者の場合
転職者の場合は、コンサルティングサービスを提供する会社に中途で入社するケースが想定されます。中途入社の場合は、若手社員を採用する「ポテンシャル採用」と即戦力を採用する「中途採用」に分かれ、それぞれ採用方針が異なるので注意しましょう。
ポテンシャル採用はこれまでのキャリアよりも個人の可能性や社風とのマッチングを重視するのに対し、中途採用はこれまでのキャリアや経験、実績を通して即戦力で活躍してもらえるのかを重視します。
自身の年齢やキャリアと相談しながら、転職先を検討するのが大切です。
コンサルタントになって理想の未来を手に入れる
多くの就活生や転職希望者に人気のコンサルタント。本記事で紹介したスキルをベースに、様々なプロジェクトへの参画を通してたゆまぬ研鑽を積まなければなりません。
しかし、高い収入はもちろん、待遇の良さや将来的な独立の可能性なども踏まえると魅力的な職業であり、さまざまな企業のアドバイザーとして活躍するため大きなやりがいも得られます。
この記事を参考にしつつ、ぜひ今から必要に応じたリスキリングも実施しつつ、コンサルタントに必要なスキルを身に付け、理想の未来を手に入れてくださいね。
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